その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

15倍速の「指環」: ヴァイグレ、読響、ドイツ音楽プログラム @フェスタサマーミューザ

2023-08-04 17:06:35 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

先週の都響に続き、今季2回目のサマーミューザ。

今回は読響と常任指揮者のヴァイグレさんコンビによるドイツ音楽プログラム。この日は4階席1列目に着席。

前半のベートーヴェン交響曲第8番は、とってもオーソドックスな演奏。端正で、音がとっても瑞々しい。読響は弦と管のバランスがとっても良いですね。楽聖の名曲のすばらしさを引き出してくれた演奏でした。

後半はワーグナーの『指環』の抜粋版(デ・フリーヘル編曲)です。ヴァイグレさん指揮のワーグナーは昨年「パルジファル」、一昨年に「タンホイザー」を観ていて、いずれも素晴らしい公演だったので期待も高かったです。その期待に十二分に応えてくれる演奏でした。

前半、ややエンジン抑え気味なのかと思ったところはありましたが、「ワルキューレ」「ジークフリート」と進みにつれ尻上がりに音楽に活気と力がみなぎります。ホルンのソロの見せ場がいくつかあり、見せ所だけど大変な重圧だろうなあと思いましたが、見事なソロを披露してくれました。この曲からも読響の管・弦・打のバランスの良さが引き立ちます。

ヴァイグレさんの指揮は実に堅実で、全体の流れを踏まえつつ、個々の見せ場を作りこむ技が素晴らしいですね。10倍速以上で進む物語ですが、それをまとめ上げる職人的な技を感じます。

4部、計15時間の「指環」を1時間足らずで走り抜けるので、15倍速。「え、もうここ!?」とあっけなさ感は残りますが、致し方ないですね。終演後の歓声、拍手は前週の都響を上回るのものでした。ソロカーテンコールではヴァイグレさんは大活躍のホルン首席奏者と一緒に登場。ステージマナーにもヴァイグレさんの丁寧なお人柄が表れている気がしました。

フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2023
読売日本交響楽団
サマーミューザ初登場!オペラの名匠ヴァイグレ×指環

ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ(読売日本交響楽団 常任指揮者)

ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 Op. 93
ワーグナー(デ・フリーヘル編曲):楽劇『ニーベルングの指環』 ~オーケストラル・アドヴェンチャー

Festa Summer MUZA KAWASAKI 2023
Yomiuri Nippon Symphony Orchestra

Tuesday 1 August 2023 Start at 19:00
MUZA Kawasaki Symphony Hall

Sebastian Weigle (Yomiuri Nippon Symphony Orchestra Principal Conductor), Conductor
Beethoven: Symphony No. 8 in F major, Op. 93
Wagner (arr. H. de Vlieger) : Der Ring des Nibelungen (an Orchestral Adventure)

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