★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

映画館通い

2014年10月13日 22時54分13秒 | 徒然(つれづれ)
 中学三年から高校一年の二年間は、人生で一番多くの映画を観た期間だ。

 九州の辺境の田舎町にも、当時、映画館は3、4軒あったように思う。家からはバスでしか行けない距離だった。親父が小学校の映画担当で、業者からもらうタダ券を拝借して月に2、3回は観に行っていた。
 
 中学三年の時は若大将シリーズやクレージー、ドリフなどの邦画がメインで、高校一年になると洋画専門だった。
 洋画はロードショークラスの話題作から、B級、C級クラスまで暇があれば観ていた。話題作はそこそこの入りだったが、B級、C級になると客も疎らだった。
 田舎の映画館だったので、ほとんどが二本立てだった。

 別に洋画が好きだった訳ではなく、スクリーンから放たれる都会の雰囲気とか先端に触れるのが目的だった。B級、C級映画はほとんどがハズレだったが、何本かは当たりもあった。たとえば、ルノー・ベルレーの「さらば夏の日」やレイモンド・ラブロックの「火の森」、アントニオーニ監督の「砂丘」などが当たりだった。

 しかし、当たりの映画であっても、今ではほとんど筋も忘れている、というか前二者は大した筋立てではなく、後者に至っては筋書きのない不条理物だったからだ。

 映画を観る時は、パン屋でフランスパンを一本買って、朝一番から3時か4時くらいまで、ひとりで暗い席に座っていた。映画館を出た後は、近くの喫茶店でカレーを食べて帰るのが習慣だった。映画の筋は忘れても、フランスパンとカレーが旨かったということだけは記憶の底に残っている。

 今ではあのパン屋も喫茶店もなくなってしまっている。
 もちろん映画館も。
 そして、それらが存在していた昭和という時代も。
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