★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

八月の濡れた砂

2015年03月20日 20時22分08秒 | 徒然(つれづれ)
 この映画、日活がロマンポルノ路線にシフトする直前に公開された映画で、私は高校2年か3年の時に九州の田舎の映画館で観た。
 
 主人公が高校生と言う設定だったが、当時の私には違和感てんこ盛りだった。
 こいつら何年、留年してるんや、みたいな大人びた高校生だったし、チンピラ大学生も、もろ大人じゃん、みたいな感じだった。
 リアリティにも欠けるし、筋書きもない、私が見てもメインキャストは無名の若手俳優で、金がかかってないなあ、という印象は否めなかった。

 今にして思うと、若手俳優たちの成り上がろうとする熱い思いや、監督として認められようとする、若き藤田敏八の意気込みが全編に溢れていたのはわかる。
 当時全米を席巻していたアメリカン・ニューシネマに触発されて、製作したに違いない映画と思うが、やはり上の意向や限られた製作費の影響で、ジャパニーズ・ニューシネマには程遠い出来になってしまった。
「俺たちに明日はない」や「イージー・ライダー」、「卒業」や「いちご白書」に較べるほうがどうかしてるが。

 しかし、青春の入口を通過したばかりの私には、何かしら言葉にできない悶々とした空気感というか、青春の焦燥みたいなものが伝わってきた。
 当時の邦画といえば、大人受けする戦争映画とヤクザ映画が大半を占め、当時の高校生は洋画ばかり観ていたような気がする。

 そんな高校生の足を映画館に運ばせた功績は一定の評価に値するものだ。
 ポルノまがいのタイトルもその一助になっていると思われる。
 鑑賞後は、解決されない青春のモヤモヤと倦怠感が、石川セリの主題歌とともに頭の中で渦巻いていた。
コメント
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