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★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

関西弁に染まる

2021年06月16日 20時57分53秒 | 徒然(つれづれ)
 大学生活で最初に苦労したのが、話し言葉だ。
 それまでは九州の田舎の標準語、いわゆる方言が話し言葉だった。

 大学入学が決まってから、京都に行ったらテレビ標準語の関東弁で話そうと思った。
 てっきり京都も標準語だと思っていたのだ。

 しかし京都での標準語は関西弁だった。
 大学も関西出身者が圧倒的に多く、まわりはほとんど関西弁だった。
 僕の九州訛りの関東弁は違和感テンコ盛りだ。

 関東弁で話しているのは、数少ない関東出身者だけだ。
 その連中は関西に来ても、断固として関西弁に染まらない。
 
 郷に入れば郷に従えで、僕は関西弁を習得すべく、和歌山出身のFの喋りを真似ることから始めた。
 しかし、Fの関西弁とテレビの関西弁はなんとなくニュアンスが違っていた。
 あとで京都や大阪出身者に聞いたら、和歌山弁は関西でも下品な言葉だと知らされた。

 それからは、吉本新喜劇やヤングおー!おー!を参考に、関西弁のアクセントやイントネーションの特訓を始めた。
 当初はまわりの連中から、変な関西弁と笑われた。
 ビートルズの「 I Want To Hold Your Hand」をアイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンドと言っているようなものだ。

 半年もすると普通に通じるようになった。
 要は僕の関西弁が、アワナ・ホージョーヘンになったのだ。
 


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大学生活のスタート

2021年06月16日 14時03分50秒 | 徒然(つれづれ)
 大学の入学式から1週間ほどのオリエンテーション期間というのがあった。
 履修登録やクラス分け、健康診断や各種手続き、クラブ勧誘の期間だ。

 僕は必要な登録や手続きを済ませ、当初の目的のクラブ探しに入った。
 音楽関係のクラブに入ろうと決めていたが、グリークラブや軽音楽部などの本格的なクラブから、同好会、サークルまで、音楽関係でも、それこそ多岐に渡っていた。

 デモンストレーションが各所で行われていたが、それらの演奏技術と自身の能力を比較検討して、最終的にフォークソング同好会に入ることにした。
 その同好会は50人ほどの規模で男女比率も半々くらいで、僕のギターの実力でもついていけそうなレベルだった。
 
 下宿は滋賀県との県境の新興住宅街の中の一軒家で、同じ大学の新入生の、和歌山出身のFと富山出身のSが同時に入居していた。
 本来ならもっと大学に近い下宿がよかったのだが、下宿探しに後れをとって、仕方なく遠方になった次第だ。

 新学期が始まり、僕は専門課程はもちろん、一般教養の講義にも欠かさず出席していたが、それも夏休みまでだった。
 大学の講義といえば、アカデミックなものを想像していたが、高校の授業となんら変わりはなかった。
 そんなわけで、前期の終わり頃には、出欠をとる専門課程の講義にしか出なくなった。

 それとは裏腹に、フォークソング同好会には日参した。
 そこで知り合いもでき、2人組のバンドも組んで、サイモン&ガーファンクルやビートルズのナンバーを練習した。
 
 下宿ではFの友達が入り浸り、コタツのある僕の部屋は麻雀部屋と化した。
 牌など握ったこともなかったが、猛勉強の末、五月の連休が明ける頃には、いっぱしの雀士気取りにまでなっていた。

 そんなわけで、僕の交友関係はフォークソング同好会とFの友人関係から、友達の友達という具合に、どんどん派生していった。
 残るはガールフレンドだったが、これがなかなか縁がなかった。
 英文科のクラスは女の比率が8:2と圧倒的だったが、あまりの多さに文字通り圧倒され、僕たち男子学生は隅っこに固まっていじけていた。

 友達連中が主催する合コンや合ハイにも積極的に参加したが、カップル成立までには至らなかった。
 麻雀とパチンコ、バンド練習と飲み会の日々が続いた。
 

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青春の始まりの日

2021年06月16日 11時14分59秒 | 徒然(つれづれ)
 昭和48年4月上旬、僕は京都御所に面する大学の校門の前に立っていた。
 田舎の高校の校門と比べると、ズッコケるくらい小さな校門だった。

 ともあれ、入学式の日だ。
 まわりは一目でそれとわかる新入生で賑わっていた。
 今、この時から、僕の本当の青春が始まるのだという期待感が、いやが上にも高まった。

 僕の横には母親がいた。
 はるばる九州から、どうしてもついてくるというのを断り切れなかったのだ。
 母は近くの学生に頼んで、持参のカメラに僕とのツーショットを収めた。
 その時の僕の服装は、JUNのブレザーにニットのベスト、京都駅の土産物屋で買った西陣織の派手なネクタイ、VANのスリムなスラックス、足元はパンタロンシューズという、今にして思えば赤面もののチグハグさだった。
 
 キャンパスの中に入ると、メインストリートの両側にテントが立ち並び、盛んにクラブ勧誘が行なわれていた。
 それを横目に、入学の手引を頼りにしながら、入学式が行われるホールに入った。

 満員の室内は新入生やその親で溢れ返っていた。
 8割方は着飾った女学生だ。
 それもそのはず、僕が入学したのは英文科だった。
 この中にまだ見ぬ恋人がいるのだろうかと、あたりを見まわしたが、当然それらしき子は見当たらない。

 粛々と式は進み、最後はグリークラブの荘厳なコーラスに見送られて退出した。
 桜はすでに散っていたが、外はビーカンの春の陽気だった。

 これから4年間、この地で暮らすのかと思うと、舞い上がるような多幸感に包まれた。
 
 

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