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★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

就職難の果てに

2021年06月29日 12時08分42秒 | 徒然(つれづれ)
 1978年、大学5回生の年が明けても、就職が決まらない。
 大学生活もあと3ヵ月足らずだ。
 就職難だった去年は、来年になれば、事態は好転するだろうと留年を決め込んだ。

 それがどうだ、相変わらず買い手市場は継続し、受ける会社はことごとく不採用の連続だった。
 挫折といえば挫折だ。
 このまま再留年するわけにもいかない。

 3月の中旬、諦め半分で就職課に泣きつき、京都の小さな会社を紹介してもらい、面接に行ったら即採用になった。
 東京に本社がある、社員は支社長以下4人の石油製品販売の京都支社だった。
 仕事の内容は、ガソリンスタンドやカーディーラー相手の、車の添加剤のルートセールスだ。

 とりあえず、ペーパードライバーだったので、クルマの運転と営業慣れを目的に入社した。
 クーラーもついていないサニーのライトバンに、商品を満載して、得意先回りや新規開拓に駆け回った。
 添加剤を売り込むために、赤いツナギを着て、ガソリンスタンドで給油の手伝いをしながら、添加剤販売のキャンペーンに明け暮れた。

 外見だけはメカニック然としていたので、付け焼刃の知識を小出しにしながら、ガソリンスタンドの若い社員やアルバイトからは一目置かれるようになった。
 ガソリンスタンドやカーディーラーの若い社員の多くは、昼は仕事で、夜は暴走族というのが定番だった。

 ある夜、河原町で信号待ちをしていたら、暴走族の集団が前を通った。
 その中の1台のバイクが、2、3台のバイクを引き連れて、私の前に止まり、ヘルメットを脱ぐと、私に挨拶した。

 顔を見ると、ガソリンスタンドの若いアルバイトの子だった。
 暴走族ではそれなりの地位にあるらしかった。
 私は二言三言言葉を交わし、まわりの視線を気にしながら横断歩道を渡っていった。
 

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