ここまで来たからは、護摩壇山頂に行こう・・ということで、歩いても500mや
し・・と言いながら、歩き出しました。標識の左隅に見える無舗装の道。前を4人
の熟年たちが歩いていたので、でもチェーンソーの音と木の倒れる音が聞こえるの
で、100mほど歩いて「やっぱ間違えてる感じや」とUターン。熟年たちは歩い
ていってしまったけど。で、また標識まで戻ってよく見ると、微妙に矢印らしく斜
めにカットしてました。「あのまま行って遭難したらどうすんよ!この看板が中途
半端やって訴えてやるわ!」と私は自分の落ち度なんてそっちのけで文句を言いま
す。キャンプファイヤーみたいに積み上げたのが≪ごまさんスカイタワー≫です。
その横の道を上がるのです。毎日こげの散歩で歩いてるから平気や!とおとうさん
も不安はなさそう。
しかし、現実は違うものなんですね。普段は高低の無い道、舗装された道を歩く私
たちですが、この山頂への道は一面落ち葉で覆われた幅広の階段になっています。
ただの坂道よりは歩きやすいという人もいるかもしれないけど、その階段が二歩で
上の段に行けば楽なんだけど、一歩半とか二歩半で上の段となるとだんだんテンポ
が狂ってきて「あ、足にきそう」と50mほどで言ってしまった。おとうさんが
「そこに杖があるから拾って使えば」みると、階段両横には何本かの枯れ枝の杖が
投げ捨てたように置かれています。戻ってきてここに次の人(私たちのような)の
ために置いてくれた・・と思っていいですよね。「うちの山ならおばあさん、そこ
らの木を折って杖にするなぁ」とおとうさん。「この間、加寿地蔵さんに行った時
「まだ杖はいらんわぁ」って思ったのに」と弱音を吐く私。杖を使うと足取りも軽
くなったようです。そういや、さっき上がっていく老人は山岳用の杖持ってたなぁ
自然のしくみ
理科で習うことですね、ようは いらんものを持ち込むな! ですが、こう環境変
化が続くと、それはそれで生き残っていくものとそうでないものに別れていく、
山奥の生物が里山に下りてくる・・もう自然のしくみは崩れている。それもこれも
人間が悪いのです。ところでクマ出るのかな?途中の木の皮が剥がれ、つめ跡みた
いなものが・・。「クマ除けの鈴忘れた、大台が原で買ったのに」と嘆くおとうさ
ん。「大丈夫!このこげ人形に鈴がついて微かに鳴るから。それにこの杖で戦う」
ヒーコラ言いながら上がると前に30過ぎの娘さんと両親という三人連れが
歩いていました。だいぶお疲れのようで、山頂から降りてくるおじさんにあとどれ
位か訊ねています。「このあたりで半分」と聞かされ父親は「あと半分も・・」と
ショックのようです。母親が疲れたようなので一休みしそうなので、「こんにちは
お先に」と声をかけ、横を通り過ぎた時に「おい、杖ついてるぞ」という父親の声
が聞こえました。私達は小声で「まさか私らがその辺の枝を折って、杖にしたって
思って、折ったりしないよ・・・」「ね」という前に後方で「ボキッ」と木を折る
音が・・・。私達は下で捨てられた杖を拾ってきたんだー!父親が疲れた奥さんに
杖を作ったようです。
しかし、山はいい。下りてくる人が皆、「こんにちは」と声をかけてきます。
次男君ぐらいの年頃の若者が4人下りて来ましたが、挨拶をしてくれます。書写山
のときも、夏の笹の滝の時も同じです。狭い道は譲りあい、きっとみんなにわか山
男みたいな気分かもしれません。
山頂が見えたのでやっと到着です。そこには見晴台とモニュメントがありました
和歌山県朝日夕陽百選
古座川の一枚岩にも、海中公園にもあるモニュメントです。協力してくれた杖と。
冬は写真のような景色なんでしょう。子供の時に両親と叔母の四人で高野山に行く
ためたしかこの道を走ったことがあった。こともあろうに帰路で雪道になり、ガソ
リンスタンドで急遽、チェーンを買うことになったんだけどシーズン中でタイヤに
合うのが無く、それでも下りなければなりません。父親は渋る店員から大きいチェ
ーンを購入し、たぶん大は小を兼ねる・・精神だったと思う。付け方を教えてもら
い(本州最南端で生きている限り、一生雪道でチェーンを装着することはない)、
下りだしたら、タイヤに合って無いからズレだしはじめ車は振られるわ、滑るわ、
止めてトランクから紐やら何やらで固定しなおし、横を走って行く車からはジロジ
ロ見られ、ナントカ下りた記憶があります。その時父親は「あの店員はサイズの違
うのを売った」となんとまぁ、勝手なことをブツブツ。そういう父親なのだ。
まだある、私を連れて高野山に行こうと言い出しこの道を、まだ舗装されていない
箇所があったのだけど、また車が振られ始め窓か後輪を見たらパンクしてるやん。
路肩に止め、今度はスペアタイヤに交換・・・つくづく私と父親ペアではこの
高野龍神スカイラインは鬼門なのだと思う。
山頂にある石版
山頂だけど、じつはこの近くに≪和歌山県で一番高い山≫があるのです。山頂から
700mいったNHKの中継局のあるあたり。それなら写真撮ってたなぁ。その山
は国土地理院で計測されて和歌山の最高峰になったけど、名前の無い山で最近命名
されました。新聞で読みました。700mはきつかったので、やめました。
標識
NHK中継局
この道を上がってきました。落ち葉の道は滑る・・こうやって見て思わず
「竹ぼうきで掃きたくなる、レレレのおじさんみたいに」と言ってしまった。杖を
握るおとうさんの影がおかしぃ。