さかつら

2007年11月04日 | Weblog


 今朝は朝から気持ちいい天気です。スズメの声も高いですね。数も多いです。今日は彼等も稼ぎどきなんでしょうか。やっぱり、久しぶりの  はきもちいいですからね。天気の 晴 は気持ちの 晴 でもあります。

 しばらく前から、夏目漱石展を江戸東京博物館でやっているから、見てみようかなと思っていたのですが、どうせ原稿の一部とか、使っていたペンとか、くすぶったロンドンでの生活の場の写真とかの展示だろうと思うと、わざわざ出かけることもあるまい、と未だに見に行っていません。そろそろ終わりになりますね。どなたか、見た方はいませんか。

    

 漱石の小説は、若い頃に全部読みました。すごい作家ですね。とくに 「 こころ 」 から最後の「 明暗 」までは、場面も主人公も違うのですが、一つの作品のような気がします。また、決してそうではないでしょうが、簡単に言うと、彼がほとんどのことを言ってしまったので、しばらく後の作家は言うことがなくて困っているのではないかなとも思えるほどです。

 さて、だから昨日はそれを見に行ったのではないのです。行きたい半分、言ってもしょうがない半分のきもちですからね。じつは、昨日はいつものようにもみ殻燻炭を作ったり、たき火などをしていたのですが、とうとう奥さん  ← ちょっと若すぎかな ? に追い出されてしまいました。夫婦喧嘩をしたわけではないんです。理由は簡単です。
   
 この辺の野良仕事は、自分でやるから、私にどこかに出かけてこいというのです。毎日、黙々と野良仕事ばっかりやっていないで、時には出かけて気分転換をせよと言うのです。  

 それじゃ、と言ってお昼を食べてから出かけてみました。隣のひたちなか市は、元は勝田市と那珂湊市だったのですが、その那珂湊は漁港です。そのすぐ南の町、大洗にも漁港があります。大洗に 磯節(いそぶし) という民謡がありますが、その一部に 

  三十五反(たん)の 帆を捲き上げて(ハーサイショネ)
  行くよ仙台 石巻 (行くよネ)
  仙台イソ 石巻

とありますが、石巻に行ってそれから北海道の方を目指すのだと聞いたことがありますが、真偽のほどは分かりません。ということで、この辺は漁師の町でもあります。もちろん、どこでも同じでしょうが、だんだん下降気味ではあるようですが。

 その海辺の町旧那珂湊市に 酒列磯前神社 という大きなお宮があります。

   

 このお宮の名前が変わっています。酒列と書いて さかつら と読みます。普通はよめませんね。さけれついそまえじんじゃ と読んでしまいます。読み方は さかつらいそざきじんじゃ です。どうして さかつら なのかなと長年思っていましたところ、やっとその理由がわかりました。

 昨日は、その謎を解こうと思って出かけてみました。まずは、その神社にお参りしていたら、神主さんと、宮司さんもでてきてくれたのですが、二人としばらく雑談をして、神社の案内をもらっておいとまをしました。その案内にも書いてありましたが、これは、この辺の地層から来ている名前なんです。この辺りの海岸は、白亜紀に出来た地層が露出しているんです。

 
    

 とまあ、こんな風に白亜紀にできたと言う、岩だらけの海岸が2~3kmくらい続いてあるのですが、ここは引き潮の時には遊ぶのに良いですね。小魚が岩の間にできた小さな池に取り残されていたり、やどかりが歩いていたり、、、。子供でも楽しく遊べるところです。

 この近くに、阿字ヶ浦(あじがうら)海岸という砂浜があるのですが、そこはサーフィンのメッカです。何でも、近くの青年がプロのサーフィンの大会で優勝したときに、どこでやっているのかと聞かれて、ここだと言ったことから人気がでたのだそうです。


 北 ←  → 南

 それで、この岩なのですが、全部が ほぼ南(南東と言った方が正確かも知れませんが) に向かって傾いているんです。ところがどうしてか一カ所だけ逆向きの所があるんです。

 北 ←  → 南


 こんなふうに逆に向いて連なっているんですね。逆に列をつくっている → 逆につらなっている → 逆列(つら) → さかつら → 酒列 となる、と言うのです。その酒列磯前神社は酒の神様でもあるのだそうで、逆 という文字を 酒 にしているわけです。 なるほどねー。逆という文字より、酒の方がいいですね。さすが。

 磯前は、いそざき と言うのですが、その方がいいですね。いそまえ では旅館の名前のような感じがしますからね。

 ということで、とても納得のできた外出でした。これで、ひとつ胸の内がスッキリしました。