かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

もったいないオバケと農薬とではどっちの方が怖い?

2007-02-01 23:21:19 | Weblog
 天気予報、なかなか当たるものですね。今日は昨日とは打って変わった寒い冬らしい一日でした。午前中は一時吹雪になって、たちまち地面が真っ白に塗り替えられましたけど、とりあえず昼までには溶けてなくなってしまいました。でも空気は冷たいし日はささないしで、なんだか初めて冬を実感したような気がいたしました。明日は更に寒さが増して、朝から雪になるんだそうです。積もったり凍結したりしたら大変ですが、たまにはそれくらいにならないと冬っぽさが無いまま春になってしまうのもおもむきがありません。難渋するのは覚悟の上で、是非明日は雪景色になるよう祈るといたしましょう。
 さて、栃木県のイチゴから、基準値を超える農薬が検出されたそうです。農薬名は「ホスチアゼート」。無作為抽出したイチゴパックから、基準値が、0.05ppmなのに対し、0.44ppm出てきてしまったとの事。栃木県の農協は、出荷した4万パックを回収の上、安全性が確認されるまで出荷停止するのだそうな。
 ところでホスチアゼートなる農薬は、なにに使うかというと線虫という土の中に潜む厄介な害虫、といってもいわゆる虫とは程遠い生き物なのですが、それをやっつけるために使われる農薬です。従来こういう土の中の消毒には、臭化メチルという薬剤が使われてきたのですが、これがオゾン層を破壊する化学物質だということで使えなくなり、その代用の一つとして最近増加しているのがこの農薬です。ところで何故土を消毒しないといけないかというと、ひとえに同一作物を連作するため。日本のように小さな面積で集約的な栽培を続けるところでは、どうしても避けられないもので、イチゴに限らず、ほとんどの植物で大なり小なり連作障害というものが出てきます。線虫は、そんな障害の一典型といえるもので、これが増えると植物がやられてしまうので、生産農家さんにとっては大問題になるのです。
 で、このホスチアゼートですが、ADI(一日摂取許容量)は0.001mg/kg、つまり体重50kgの人なら、0.05mgまでなら毎日食べても大丈夫、ということになります。今回0.44ppm検出、ということですから、一パック200gのイチゴだとすると、全部食べると0.09mgなので、約2倍、安全基準をオーバーしていることになります。まあ一人で1パック平らげることもあんまり無いのではないかと思いますし、もともとADIは実験的に確認された安全量の更に100分の1量で決められていますから、1回や2回これだけ食べたからといって、即具合が悪くなることもないでしょう。そう考えますと、4万パックものイチゴがこのために廃棄処分されてしまうというのもなんだか大変もったいないという気がいたします。もちろん基準オーバーというのは過ちとして反省すべきことではありますが、この基準というのも案外なところがあって、イチゴですと0.05ppmですが、トマトだと0.2ppmなのです。同じ薬剤なのに、作物によって基準値が異なるというのもヘンな話なのですが、一応国民が食べる量を想定して決められているんだとか。でも中にはトマトが大変好物な人もいるかもしれませんし、基準というにはどうも根拠薄弱な気がしてなりません。
 鳥インフルエンザのニワトリだって、焼くなり煮るなりすればちゃんと安全に食べられる肉ですのに、無為に何十万羽も処分されてしまいます。鳥インフルエンザが広がるのを防ぐ必要性は重々承知してはいますが、それを考慮に入れても、わが国は本来、こんな風に食べ物を粗末にしていい国ではないはずなのです。処分するにしたってもう少しやりようがあろうかと思いますし、それを考えるのもまた大事な仕事だと思うのですが。

コメント
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