かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

精神疾患と遺伝子の関係がまた一つ明らかに。

2009-10-15 21:40:11 | 夢、易占
 昨日は眠くて眠くて、酔いもあって全くまともな思考状態ではありませんでしたが、案の定テキストが乱れていましたね。一応これは、と思うところだけ直しを入れましたが、まあ一年のうちにはこういうときもあるのだということで、ほぼそのままにしておこうと思います。

 さて、精神疾患の一つ、統合失調症や注意欠陥多動性障害の発症に関係している遺伝子を新たに特定したとの報告が、岐阜薬科大の研究グループから発表されたとのことです。『この遺伝子は細胞の成長や分化に関与し、細胞増殖因子「HB―EGF」と呼ばれる』なんてニュースだけ読んでいると、細胞増殖因子と遺伝子がごっちゃになっているようですが、細胞増殖因子は細胞の受容体にくっついて、その細胞のある特定の遺伝子を活性化させるシグナルを送り込んでくるモノであって、遺伝子そのものではありません。そのHB―EGFについて、マウスを使って、前脳で働かないようにした、もしくは前頭葉から取り除いた、とここでもマスコミ各社で妙な解釈がされているようですが、多分 siRNAでも使って、関与する遺伝子を不活性化したのでしょう。マスコミの受け取ったニュアンスからしたら、受容体の方を止めたんでしょうか? ちなみに、 siRNAについては拙著「ドリームジェノミクス」をご参照ください、という宣伝と揚げ足取りはこの辺にして、ようはこの「HB-EGF」だけ働かないようにしたマウスを作ってみたら、正常なマウスと比べ、仲間同士で接触する頻度が約3割減るなどし、更に統合失調症の薬を投与するとそれが改善したのだそうです。この結果から、その機能の喪失が、社会性低下や記憶障害、多動性行動など幅広い症状の発症に関与しているとみられる、という結論です。これを元に、この種の精神疾患の発症メカニズム解明や新薬開発につなげたい、という研究者のコメントがありましたが、何しろまだマウスでの実験段階であって、安全性評価とかも一筋縄ではいかないでしょうし、ヒトに有効な薬の開発までには恐らく随分と時間がかかることになるでしょう。ただ、HB-EGFはガンの増殖にも深く関与する因子としても知られていて、これを標的に抗がん剤を作ろう,なんていう動きもありますから、多方面からのアプローチがあれば、案外早く有効な治療薬が生まれてくるかもしれません。いずれにしても、脳科学や遺伝子工学の発展に伴い、精神疾患もその原因が少しずつ解明されてきているわけで、心と脳の関係を解き明かすというフロイトの夢が、100年越しに実現しつつあるのではないでしょうか。早く夢もそういう俎上に乗ってきて欲しいものです。

コメント
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