かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

連載終えたら次は何をしましょうか。

2009-11-01 22:02:10 | Weblog
 今日は朝のうち晴れていたので布団を干していたのですが、昼過ぎから急に雲が増えて蒸し暑さが増し、しばらくすると、本格的な雨が降り出しました。雨が降り出す直前、近所の地元スーパーマーケットに徒歩で買い物に出ていたので、この天気の急変にはかなり焦りました。幸い、雨が降り出すまでに帰宅して布団を取り込むことが出来たので、今夜はふかふかの布団で寝ることが出来ますが、ほんの10分も帰宅が遅れていたら、しとどに濡れた布団を必死に乾燥機で乾かす羽目に陥っていたことでしょう。本当に助かりました。

 さて、連載小説も予定通り更新出来ましたが、残されたテキストもあとわずか。師走を待たずして連載終了の目処が立ちました。まあまた終わってから感想なり解説なりは書くつもりでおりますが、これを終えて後次はどうしようか、というのが悩ましい話です。
 先日、古い記録を紐解いていて、来年は「かっこうの本棚」開設10周年ということになることに気づいたところでもあり、せっかくの記念に相応しいことを何か出来たら、とは思うわけですが、何かやるにしても早々一朝一夕に出来る話でもなく、それなりに下準備や、何か作るのだったらその製作時間も必要になります。前に作ったアニメだと、ほんの20秒でも8ヶ月かかりましたし、あの頃に比べ使える時間が少なめになっている昨今からしますと、同規模のものをやろうとしたらほぼ来年1年間丸々使って果たして出来るかどうか、という話になるに違いなく、それだけの『大作』を手がけるだけの気力を今果たして振り絞ることが出来るのか、はなはだ疑問だったりします。
 まああまり大上段に構えてみてもただプレッシャーが募るだけですし、時間もパワーも資源が限られている中で、やれることをやりたいようにやるしかないわけですから、連載終了後は少し頭の中を整理して、何をするか、何がしたいか、自分自身とじっくり相談して決めて行きたいと思います。まあまずは冬のコミトレに出るための申し込み締め切りが今月20日までですので、こちらもぼちぼち準備にかからないとなりません。そんなこんなをこなしつつ、10周年に相応しい『何か』が出来ればいいな、と思います。

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16 名前 その1

2009-11-01 08:49:24 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
 麗夢さん、アルファ、ベータと化け物達の戦いが続いている。私はお姉さまの手の中で震えながらも、その様子から目を離すことが出来なかった。
 戦いその物は圧倒的と言っていい。
 確かに魔物達は強そうな格好で怖い顔つきをしているけれど、どんなに猛々しく吠え盛ろうと、どんなに大きく口を開けて威嚇しようと、彼らの爪も牙も、まるで麗夢さん達には当たらない。
 一方、麗夢さんの剣も、アルファ、ベータの爪と牙も、ほとんど空振りなしに魔物の身体を捕らえ、大抵一発で吹っ飛ばす。特大のトラと狼みたいなアルファとベータはともかく、華奢な身体を申し訳程度に包んだドキッとするような格好で剣を振り回す麗夢さんに、どうしてそんな力があるのか、私には不思議でならない。
 どう見ても相手の方が力が強そうなのに、麗夢さんは魔物のブン! と振り回した腕を軽々と剣で受け止め、はじき返し、斬りつけては退治しているのだ。しかも、相手は次々と出てきて、ずっと休み無く剣を振り回し続けているのに、ちっとも動きが鈍ると言うことがない。あの剣だって軽いことはないと思うのに、どうして疲れないの? 見ていると色んな疑問が湧いてくるけど、今はとにかく応援あるのみ!
「ふーん、前に見たときより、少し強くなっているかもね」
 お姉さまは感心したように独り言をこぼした。
「そう言えばさっきもお知り合いみたいでしたけど、お姉さまは前に麗夢さんに会われたことがあるんですか?」
 私の問いに、お姉さまはちょっと珍しく戸惑いをみせながらも、ええと答えてくれた。
「まあ色々あってね。と言うか、思い出したんだけど……。そうそう、思い出したと言えばシェリーちゃん、私、捜し物を一つ見つけたんだ」
 この状況下で、実にのんびりとお姉さまは言った。私もつい釣られて何ですかと問いかける。するとお姉さまは言った。
「私の名前よ。忘れたって言ったでしょ? でも、さっき麗夢ちゃんを見てやっと思い出したのよ。私の名前はねえ……」
「危ない!」
 麗夢さんの切迫した叫びが、私達の意識を強引に外に向けさせた。目を上げるとそこに真っ黒な巨体が覆い被さるように迫っていた。爛々と輝く真っ赤な目が狂気じみた色を帯びて私達を睨みすえ、同じく真っ赤な口が思い切り開いて、私達を一呑みにしようと迫ってくる!
「きゃあぁっ!」
 私は思わず叫んで目をつむり、お姉さまにしがみついた。
「せっかくいいとこなのに、邪魔するなっ!」
 お姉さまの怒声が頭の上で鳴り響く。途端に背中が熱くなり、私が恐る恐る目を開けたとき、お姉さまがにっこりと笑いかけてきた。
「もう大丈夫よ。シェリーちゃんは私が守って上げる」
 見ると、今にも視界一杯を覆いそうだった魔物の姿が、跡形もなく消えている。その向こうで、麗夢さんがちょっと口をぽかんと開けてこちらを見ていた。が、すぐに襲ってきた別の魔物の攻撃をすっと避けると、再び向こうを向いて戦いの中に戻ってしまった。
「びっくりした? でもここはシェリーちゃんの夢の中なんだから、その気になればシェリーちゃんにも出来るんだよ」
「わ、私にも?」
「そう。夢の中ではイメージする力が大事なの。私みたいに『邪魔だから飛んでっちゃえー!』って思えば、あれくらいのやつはじき飛ばすのはわけないのよ」
 判った? と微笑むお姉さまに、私はぎこちなく頷いた。正直自分に出来るとは思えなかったから。でも、私は少なくともずっと心強くなった。麗夢さんやアルファ、ベータがいて、お姉さまがいる。私も頑張ればもう少し強くなれるらしい。そうなれば、この化け物達の悪夢を終わらせることも不可能ではないだろう。
 そう私が心強く思うことが出来たとき、そんな思いに冷や水を浴びせるような声が、向こうから上がった。
「麗夢。お前の狙いが解析できた」
 突然、右側の壁に大きなディスプレイが現れた。
 音もなく白く輝き、やがて、暗い映像がそこに映し出される。それは、随分高いところから下を見下ろしているような映像だった。
 暗くて良く判らないが、何となく広場のようなところらしい。
 しばらく映像は右左に揺れていたが、すぐに一点に集中すると、ぐいと地面に近づいた。暗い中に、ほのかに白くぼんやり輝いているように見えるところが現れてくる。
 やがて、それはおぼろげに人の形を浮かべ、更に画面一杯に上半身が映し出されるようになる頃には、私にもそれが何かはっきり判った。
「え、円光さんだ!」
 私の叫びに、麗夢さんの小さな舌打ちが重なった。
「思えば前回もお前とこの男の連携に破れたのだった。だが、今回はそうはさせない」
 佐緒里が魔物達を従えて前に出た。
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