かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

昨日の王座戦の劇的な決着に今日も興奮醒めやらぬまま、関連のネットニュースを渉猟してました。

2023-10-12 19:52:26 | Weblog

 奈良市の今朝の最低気温は11.8℃、昼の最高気温は24.7℃、五條市の今朝の最低気温は9.8℃、昼の最高気温は 23.7℃でした。今日は昨日に続き朝からよく晴れて、昼間は暖かくなりました。朝はともかく昼はやや高めの気温が続きますが、ようやく空が安定した秋の天気になったような気がします。多分気分的には今の状況がちょうど9月のお彼岸頃で、季節の移り変わりが三週間位遅れている感じです。そのせいなのか、ありえないと驚いたのですが、まだ満開状態で咲いている彼岸花を見かけました。たまたま遅く咲く系統でもあるのかと思いましたが、それでも10月も半ばに差し掛かろうというときまで花開く彼岸花は想定外です。このまま気候が三週間遅れのまま推移するのか、はたまたどこかでまたスイッチが切り替わって突然変化するのか、気になる季節が続きます。

 さて、昨夜は王座戦五番勝負四局目を観戦していました。ちょうど観始めた時分が、AI評価値が六四で永瀬王座優位とはいうもののほぼ互角、ただ藤井竜王・名人が大きく時間を削られて苦しそうにしている、という感じの、中盤からいよいよ終盤に差し掛かろうかという場面。そのまま永瀬王座が的確に差し回して藤井竜王・名人を追い詰め、劣勢が敗勢に差し掛かろうかというところで永瀬王座の緩手で評価値が八割藤井竜王・名人優位という勝勢になりましたが、AIの示す最善手は選ばず再び形勢は互角から劣勢に、そしてそのまま永瀬王座の正確無比な指し回しで、藤井竜王・名人の勝負手にも惑わされること無くついに藤井玉を捉えて勝利目前、あと一手で勝ち確にまで追い詰めていましたが、たった一手、最後の最後で詰めを誤り、藤井玉が息を吹き返した後は、先程の勝負手も効いて逆に永瀬王座を追い詰め、一気に討ち取られました。まさに目を剥くばかりの大逆転劇。前回の第三局に続く衝撃的な幕切れでしたが、前回は油断してその瞬間を見逃してしまいました。そこで今回は、まさか無かろうと思いながらもせめて藤井竜王・名人が投了を宣言されるまで目を離さないぞと構えておりましたらこの結末です。まさに感動的と言うよりないその瞬間は、思わず唸り声をあげてしまいました。
 しかし、何よりも感動的だったのは、その直後、失着に気づいた永瀬王座が、ギュッと目をつぶって激しく髪を掻き毟り、額に拳を打ちつけ、天を仰いで嘆かれていたことです。そのさなかでも無常に時計は進み、もはや改めての逆転がまず無い状況で無理矢理でも手を進めざるを得ないというのが、まさに勝負師の残酷な一面を容赦なく描いていました。その後も投了まで何度も叫びたいのをこらえるように荒れ狂う心中をその仕草で示されていましたのが、人と人による真剣勝負の怖さと面白さを存分に示していたと思います。
 今となってはもう随分前になりますが、コンピューターにプロ棋士が負けた時、プロ将棋はもはや滅びの時を迎えているのではないかと思いました。しかし、強者同士の対局には、まさにヒトらしい葛藤と苦悩、緊張とカタルシスが生まれる極上のドラマで、単純な勝ち負けだけでは得られない面白さと感動が生まれることがわかりました。これある限り、いくらAIが進化しその強さが隔絶していこうとも、プロ将棋の価値が損なわれることはまず無いでしょう。本当にいいものを観た、と心から感じた一局でした。

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