九州北部の多くの地域で線状降水帯の発生による猛烈な降雨で、甚大な被害が出ており、まだその全容もわからない状況です。被災された方々、地域、自治体のみなさんについて、できるだけ早く安心できる状況になるようにと思うと同時に、一日も早く復興できるようにと思うところです。
今回の災害について、九州北部だけでなく山陰地方でも同様の降雨状況が見られていたことは、私たちにとって非常に多くのことを示唆していると思います。それは、やはり気候変動期に私たちは生きているのではないかということです。
近年、日本の各地で豪雨災害が頻発し、報道などでも何十年に一度の災害という表現が使われています。たしかに、その地域にとってはそのような表現があてはまるかもしれませんが、しかし、日本というくくりで考えれば、そのような豪雨の状況はすでに毎年起こりえるものになっていると言えるのではないでしょうか。ただ、それが別の地域で起こっているため、そのような見方になりにくいのではないかと思います。
このことに関連して、平成27年に「気候変動への備え」として一般質問を行なっています。この質問の際は、鬼怒川の氾濫で大きな被害が出たことをきっかけにしていたのですが、このときも線状降水帯のことが話題になっていました。この時に色々と調べると、過去の東海豪雨の際も同じような現象が起こっていたらしいことがわかりました。とすれば、同じような気圧配置や大気の状況、海水温の上昇などの要因が揃うと、同じような災害状況が再現されやすい、しかも同じ地域で、と考えられるように思います。
「気候変動への備えについて」(平成27年12月定例会)
とすれば、私たちの気候災害への備えについて、考え方を再評価、場合によっては戦略を考え直す必要が出てきているのではないかと思います。
その時の発想は、気候災害に対して「何十年かに一度の事態への対応」ではなく、「そのような事態に毎年みまわれるかもしれない、もしかすると、同じ年に何度もみまわれるかもしれない」という前提で、事前復興的な発想も取り入れつつ対応を考えるということだと思います。
事前復興の考えに関しては、平成27年3月定例会での一般質問「地震災害への備えについて」の中で取り上げて、鈴鹿市に質問しています。
「地震災害への備えについて」(平成27年3月定例会)
大きな被害を受けての復興はもちろん、事前に復興を想定した都市のあり方を目指すにしても、そのためには多額のお金が必要となるだけでなく、もしかすると、私たちがこれまで当たり前と思っていた考えを根本から考え直す必要に迫られるかもしれません。そのために、政治に関わるものはどう考えるべきなのか、どのような方向を目指すのか、より難しい状況になると思います。
同時に、市民ひとりひとりも持続可能な地域社会の一員として、災害被害に対してしなやかに復興のできる方策はどうあるべきか、もし被災した際にどう復興に取り組んでいくのか、今から話し合って合意形成に取り組むことも重要ではないかと思います。
そういう意味で今回の豪雨災害は、私たちに災害を想定しながら、これからの社会にどう向かい合うべきかを強く問いかけていると思います。