鈴鹿市議会議員 中西だいすけの活動日誌

鈴鹿市議会議員として年齢も含め5期目のベテランになりました。日々の活動や感じたこと、議会での動きなどをつづります。

厳しい財政について

2019年04月13日 13時34分53秒 | Weblog

  鈴鹿市の財政は厳しいと、行政の説明でよく聞くことがあります。しかし、その中身が語られることはほとんどないのではないでしょうか。平成31年度予算では、歳入と歳出ともに633億6700万円が骨格予算として計上され、この後の肉付け予算といわれる部分も含めれば、総額はさらに大きくなります。その金額だけを見ればお金があるように見えますが、実際はどうでしょうか。

 鈴鹿市の歳入(収入)をみると、独自に使い道を考えられる「一般財源」と、使い道が決まっている「特定財源」があり、その比率はおおよそ6対4です。つまり入ってくる分の約4割は使い道が決まっています。歳出(支出)をみると、約5割が人件費、扶助費、公債費で構成される義務的経費(支出が義務付けられている)です。つまり、予算額が大きく見えても、独自に使える枠はかなり小さいことが考えられます。

 この指標としての「経常収支比率」について、これは「独自で使えるお金に対して、固定費となるお金が、どれだけの割合なのか」を示すものです。この数値が80%を超えると、独自に使える枠が少ない、「財政の硬直化」といわれる状況になっていると言われます。次の図はこのことを表したものです。

 経常収支比率について、鈴鹿市は平成13年に77.7%だったものが、平成29年には93.9%になっています。これはこの間に、固定費となる政策を実施してきた結果と言えますこのことを金額でみると、独自に使えたのは平成13年は約82億円だったのですが、平成29年度決算の時点では約23億円にまで縮まっています。このことが「厳しい財政」という言葉が示すことです。この間には、基金(自治体の貯金)全体の減少もありますし、臨時財政対策債の増加という課題も存在しています。

 このような状況が続けられてきているのは、図の右側のグラフに見えるように、税収が大きく減少することなく、ある一定の水準で推移してきたことがあるからといえます。しかし、前回のブログに書いているように、なんらかの理由で、この金額が下向きになった時どうなるのでしょうか。財政調整基金に余裕があるのであれば、一時しのぎをすることは可能かもしれません。しかし、それを続けることは難しいでしょう。

 そう考えれば、将来に向けての負担を減らすために、経常経費の抑制に取り組まなければいけませんし、それは要望されるすべての政策を実現することは難しいということとつながるでしょう。また、入れ替わるときがいつか来る可能性があると想定して物事を考え、行動する必要も出てくると考えます。

 そうなったとき、「なくてはならない事業」、「あるにこしたことはない事業」、「必要度の低い事業」と仕分ける必要が出てきます。その上で事業を選択していくことに対しては、市民、行政、議会のすべてが責任をもっていかなければいけなくなると考えています。だからこそ、聞こえのいいことだけを政治は語るべきではないと考えています。

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市財政と人口減少の影響について

2019年04月13日 12時46分41秒 | Weblog

 今回も座談会でお話した内容から。鈴鹿市の人口減少が、財政にどのように影響するか、自分なりに考えたことです。

 次の図は、国立社会保障人口問題研究所のデータから作成したものです。鈴鹿市人口ビジョンでも、2015年から人口減少局面に入っていることが示されていますので、2015年から2045年にかけての人口推移から考え、特に生産年齢人口と個人市民税の関係に着目しました。個人市民税については、決算カードから引用しています。ただし、計算については単純に比率から算定したものになっています。 

 社人研のデータでは、15歳から64歳の生産年齢人口について、2015年は12万2021人、2030年には10万5318人、2045年は7万8323人と減少する予想となっています。個人市民税について、2015年は112億5777万700円でした。そこで、2015年とそれぞれの年度の人口について比較し、その比率を個人市民税の額にかけて計算すると、2030年は97億1546万1551円、2045年は72億2749万2834円という形になります。

 このことから、あたりまえといえばあたりまえですが、人口減少は税収減小とはっきりつながることがわかります。この当たり前の事実をどれだけ真剣に考えているのか、そこは問われる点ではないでしょうか。

 この税収減に対して、個々の収入が変わらないのであれば、人口を増やす施策で税収を確保するという考えになるでしょうし、人口が減っていくのであれば、個人の収入を増やす政策を考えなければいけないということになるでしょう。それらを組み合わせることが、これからの政策選択です。

 ただ、人口増の政策について、自然増となる出生数を増やす政策をとったとしても、生産年齢人口(15~64歳)から考えられるように、生まれた子が働き始めるまでには、最低でも義務教育を終えなければいけませんから、仮に出生数が増えても15年間は労働などから税収が増えることは期待できません。

 社会増となる政策について、他の地域からの移住を期待することは別の地域の人口減とつながることですし、外国人労働者の方々の受け入れを増やすことはその方々たちの生活と今の社会との融和の課題とつながるでしょうから、なんらかの形で社会的なコストが増える要因も抱えていると考えられます。

 個人の収入を増やす政策について、最低賃金を上げることが考えられますが、そのためには企業の生産性向上や、労働力を低く抑えて雇用しようとする考えの転換、私たち自身もものを安く手に入れるためにはどのようなことがあるかを考えるなどが必要になるのではないでしょうか。

 つまり、ある対策がそのまま解決につながるとは言えない状況です。そのようなことを政治が深く考えず、目先の人気取り政策に走ってしまえば、行き詰まるスピードを速めるだけになり、決めた人たちがいなくなったころに、選択の余地がない状況に追い込まれるのではないでしょうか。

 このようなことを避けなければいけないと思っています。

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市財政と議会

2019年04月13日 09時54分01秒 | Weblog

 三重県の財政が厳しいと、県知事・県議会選挙を前に新聞で記事として取り上げられていたりしました。このことについて、知事の財政運営という観点から記事が書かれていたりしたのですが、これは三重県全体として考えると、政治の責任が半分しか語られていないと考えます。

 次の図は、学生インターン生への説明や、自分の報告会で用いたパワポ資料からです。要点は、自治体の財政について、議会にも責任があるということです。 「行政はお金がないのか」と一般質問で行政側に問う議員の方がいらっしゃったりしますが、議員一期目から違和感を感じています。なぜなら、行政の持つお金は、つきつめれば『税金』なので、それを他人事かのように言葉に出されることは、税を使う意識に乏しいのではないかと思うからです。

 行政は、することが義務付けられているものや、総合計画にのっとった事業を基本にして、予算案を作成して議会に提案します。そして、それを議会は審議して、修正が必要であれば修正をして、認めるのか認めないのかを決めます。この議決という大きな権限が議会にあるわけですから、厳しい財政状況というときに、議会が関係ないふりはできないと考えています。

 ですが、「あれも、これも」と税を使うことを提案するばかりで、その実現のための財源は、行政に考えろとばかりに質問される方もいらっしゃったりします。ですが、財政に対する責任は議会にもあるのですから、提案するのであれば財源についても考えを持って臨むことが、議員には必要と考えています。

 ただ、財政の課題について10年、20年といった期間で考えられることはあまりなく、4年間の任期期間、もしくは単年度での視点が多いのではないかと思います。しかし、財政破たんや財政危機といったことは、決して他人事とはいえなくなっている今、多様な視点や考えを持つ議会が、財政について真摯に議論する必要は、これまで以上に高まっている、というより、必須の事項だと考えます。

 たびたび、ブログにも取り上げさせて頂いたりしますが、国の「平成31年度予算の編成等に関する建議」について、ぜひご一読頂いて、議会と財政、そして私たちの生活について、一緒に考えて頂ければと思います。

■「平成31年度予算の編成等に関する建議」

 

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