鈴鹿市の財政は厳しいと、行政の説明でよく聞くことがあります。しかし、その中身が語られることはほとんどないのではないでしょうか。平成31年度予算では、歳入と歳出ともに633億6700万円が骨格予算として計上され、この後の肉付け予算といわれる部分も含めれば、総額はさらに大きくなります。その金額だけを見ればお金があるように見えますが、実際はどうでしょうか。
鈴鹿市の歳入(収入)をみると、独自に使い道を考えられる「一般財源」と、使い道が決まっている「特定財源」があり、その比率はおおよそ6対4です。つまり入ってくる分の約4割は使い道が決まっています。歳出(支出)をみると、約5割が人件費、扶助費、公債費で構成される義務的経費(支出が義務付けられている)です。つまり、予算額が大きく見えても、独自に使える枠はかなり小さいことが考えられます。
この指標としての「経常収支比率」について、これは「独自で使えるお金に対して、固定費となるお金が、どれだけの割合なのか」を示すものです。この数値が80%を超えると、独自に使える枠が少ない、「財政の硬直化」といわれる状況になっていると言われます。次の図はこのことを表したものです。
経常収支比率について、鈴鹿市は平成13年に77.7%だったものが、平成29年には93.9%になっています。これはこの間に、固定費となる政策を実施してきた結果と言えますこのことを金額でみると、独自に使えたのは平成13年は約82億円だったのですが、平成29年度決算の時点では約23億円にまで縮まっています。このことが「厳しい財政」という言葉が示すことです。この間には、基金(自治体の貯金)全体の減少もありますし、臨時財政対策債の増加という課題も存在しています。
このような状況が続けられてきているのは、図の右側のグラフに見えるように、税収が大きく減少することなく、ある一定の水準で推移してきたことがあるからといえます。しかし、前回のブログに書いているように、なんらかの理由で、この金額が下向きになった時どうなるのでしょうか。財政調整基金に余裕があるのであれば、一時しのぎをすることは可能かもしれません。しかし、それを続けることは難しいでしょう。
そう考えれば、将来に向けての負担を減らすために、経常経費の抑制に取り組まなければいけませんし、それは要望されるすべての政策を実現することは難しいということとつながるでしょう。また、入れ替わるときがいつか来る可能性があると想定して物事を考え、行動する必要も出てくると考えます。
そうなったとき、「なくてはならない事業」、「あるにこしたことはない事業」、「必要度の低い事業」と仕分ける必要が出てきます。その上で事業を選択していくことに対しては、市民、行政、議会のすべてが責任をもっていかなければいけなくなると考えています。だからこそ、聞こえのいいことだけを政治は語るべきではないと考えています。