平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

華麗なる一族 最終話

2007年03月19日 | その他ドラマ
 大介(北大路欣也)と鉄平(木村拓哉)父子の裁判。
 銭高常務(西村雅彦)が「借入表を大介に改ざんするよう命じたのは大介であること」を証言して、裁判は鉄平側が有利に。
 しかし大介には奥の手があった。
 会社更生法が適用された阪神特殊製鋼の破産管財人に帝国製鉄の和島所長(矢島健一)。和島は鉄平を馘首、大介への提訴を取り下げ。
 大逆転だ。
 そのまま真実はうやむやに。
 会社再建の夢も絶たれ、絶望の淵にある鉄平にさらにこんなことが起きる。
 大同銀行と阪神銀行の合併、三雲(柳葉敏郎)の解任。
 そして父・大介の本音。
「理性で愛そうと思っても、感情では憎んでいた。おまえが生まれていなければ、私も家族も別の人生を歩んでいたのかもしれない」
 仕事も自分の存在も、すべてを否定された鉄平。
 完全な絶望。
 そして……。

 鉄平の自殺についてはいろいろ考えてしまう。
 彼のまわりには、鉄平を愛してくれる人がたくさんいた。
 妻の早苗(長谷川京子)、母の寧子(原田美枝子)。
 阪神特殊製鋼の人たち。
 鉄平の出生で不幸になった銀平(山本耕史)ら万俵家の人たちだって、彼を愛し信頼している。
 そんな彼らに鉄平は生きて、応えるべきだったのではないか?
 鉄平の死で逆に多くの人が傷ついた。
 鉄平を信じ、すべてを話した銭高(西村雅彦)だってやりきれない。
 鉄平は技術を持っているのだから、政治などとは関係のない部分で、自分の理想を実現すべきではなかったのか?

 ラスト、鉄平は遺書の中で語る。
「人間はちっぽけだ」
「ちっぽけだから自分を大きく見せようとして、夢や理想を持つ」
「夢を持つことは苦しいことだ。でも自分は夢の実現のために闘う」
「事をなし遂げても、志を失ってはならない」
 ここまではいい。
 問題なのは次だ。
「僕はなぜ明日の太陽を見ようとしないのだろう」
 そう、そこまで気づいているのなら、鉄平には這いつくばってでも生きて明日の太陽を見てほしかった。
 理想や夢は時に権力に押し潰されるのだろうが、押し潰されても這い上がる強さを見せてほしかった。
 自分の頭を銃で撃ち抜くことは確かに怖いこと・勇気のいることであろうが、強さではない。絶望の淵に立っても生き抜くことが強さだ。


★追記
 鉄平の死後の大介は中途半端である。
 中途半端にいい人になってしまっている。
 高須相子(鈴木京香)と別れる。
 阪神特殊製鋼の煙突からのぼる煙を鉄平の位牌に見せる。
 二子(相武紗季)の閨閥の縁談を白紙にする。
 銭高は阪神特殊製鋼のもとの地位に戻したらしい。
 これらは鉄平の死が大介に教えたことで、その点で鉄平の死は意味のあるものであったが、大介には自分の背負った罪と業を最後まで背負ってほしかった。
 物語論としては破滅・自滅してほしかった。
 後半、富国銀行に合併・吸収されることを大臣の永田に匂わされるが。

★追記
 鉄平が実はB型で大介の子だったという事実は一歩間違えると物語に破綻をもたらす。
 そんな勘違い・ミス・よく調べればわかることで、多くの人の人生が狂わされたのか?
 勘違い・ミスで物語が形作られるのは、あまりよろしくない。

★追記
 鉄平と銀平の関係は面白い。
 鉄平は、大同銀行合併までのシナリオを知っていた銀平を責めない。
「つらかっただろう」と慰める。鉄平の強さでもある。
 一方、銀平は知っていながら何もしなかった自分を責めている。
 そして鉄平の遺体の前でこう言う。
「兄さんを殺したのはお父さんと僕です」


コメント
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