平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

今週、妻が浮気します 最終話

2007年03月28日 | ホームドラマ
 悪戦苦闘したハジメ(ユースケ・サンタマリア)が最後に得たものはもとの暮らし。
 だが、もとの暮らしとはいえ、その質は違っている。妻と子がいて共に過ごし、共に食事する一瞬一瞬が大事であることを知っている。
 思えば「東京タワー」も同じモチーフであった。母の病気と死を目の当たりにして、共に過ごす時間が大事であることを認識する。
 「東京タワー」では雅也とオカンの母子関係が他の人間に影響を及ぼし、母子関係を考えるきっかけを与えるが、この点も同じであった。ハジメが悪戦苦闘する姿を見て、まわりが「人を愛するとは何か?」を考えるようになった。結果、轟(沢村一樹)と玉子(ともさかりえ)の関係が成立する。

 最終回はともかくハッピーエンドが満載だ。
 ハジメらの関係はもとに戻り、「現代公論」は存続、ハジメは編集長に。そしていくつかのカップルが成立。
 いささかウソっぽさを感じる。
 登場人物に視聴者が感情移入できなくなった時に物語はウソの作り物になる。
 ハジメは浮気相手の顔がちらついて陶子(石田ゆり子)にキスできなくなるが、現実は果たしてそうか?いったん離婚までさせようという作者の意図を感じてしまう。
 ハジメは嬉しいことがあった時に電話するのが陶子であったことを思い出して、彼女の大事さを確認するが、それだけで今までの離婚までした気持ちを翻していいのか?
 「現代公論」はいい雑誌ということで存続が決まるが、どの様にいい雑誌なのか?表紙には「宗教的生活のすすめ」と書かれていた。
 Q&Aサイトのハジメのやりとりでまわりの人が勇気づけられたというが、誰がどの様に勇気づけられたのか?作品中では寄せられたコメントが文字で紹介されるだけである。
 ハジメの姿を見て、人を愛するっていいことだなぁ、自分も恋愛してみたいという気持ちにさせたというが本当なのか?
 このあたりが気になり出すと物語についていけなくなる。

 この作品で僕がハジメに感情移入できたのは、陶子の浮気現場に乗り込むシーンとその後である。
 Q&Aサイトでも様々な意見が飛び交い、ハジメはどう対応するのか?という点で感情移入できる。浮気相手の妻に浮気のことを告げたシーンも、ハジメにしてみれば仕返しをした瞬間、快哉をあげることが出来る。
 だが残りのエピソードはハジメという人物が勝手に動きまわっている感じがする。主人公と見ている視聴者はイコールではないから、100%感情移入することは難しいだろうが、ハジメの場合はどうしても空まわり感が否めなかった。


コメント
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