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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

風林火山 第12回「勘助仕官」

2007年03月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 山本勘助(内野聖陽)は42歳。
 ずっと自分の居場所を探していた。
 最初に見出した居場所はミツ(貫地谷しほり)。
 しかし信虎(仲代達矢)に殺されてしまった。
 以後、彼の生涯は復讐にとらわれるのだが、信虎が追放されて間接的だが、その目的も果たした。もはや信虎には怒りや憎しみは感じず、哀れのみを感じる。
 そんな勘助が見出した新しい居場所は武田晴信(市川亀治郎)。
 前から気になっていた存在であった。
 彼の言うこと、なすことが反論を含めて引っかかる。
 そして信虎追放の時に見せた手腕。
 作品中では描かれていないが、勘助は晴信の力量を試してみた。
 青木大膳(四方堂亘)に板垣信方(千葉真一)を襲わせる。自分が助ける。
 それを晴信はどう読むか?
 晴信は自分の意図を理解してくれた。
「自分の仕官の意思は直接晴信に伝えなければならない。普通に仕官を願い出ても板垣はそれを揉み潰すだけ。それでは板垣が取りつがなくてはならない状況を作り出そう」
 それが青木の板垣襲撃だった。
 晴信はそんな勘助の意図を理解・看破する。
 海ノ口城のあざやかな攻防やこの様な意図が見え見えの愚作を使ってくる男、今川が使いこなせぬと怖れる男、「この様な男を使いこなしてみたいものだ」と晴信は言う。
 そして勘助。
 意図を看破した晴信を自分の「真の理解者」だと思う。
 今までミツ以外、誰にも理解されなかった勘助には嬉しいこと。
 自分の居場所とは「自分を理解してくれる人のいる場所」なのだ。
 勘助はふたたび自分の居場所を見出した。
 勘助の人生にとっては最も嬉しい瞬間であっただろう。
 おまけに金200貫、足軽25人を擁する足軽頭という破格の待遇。
 出仕の際の着物まで用意してくれ、名前の「晴」の字まで与えてくれると言う。
 勘助は「力」ではなく「心」で晴信に感服させられた。

 しかしそんな待遇に反発もある。
 武田生え抜きの重臣たちだ。
 重臣たちは勘助の仮面を引き剥がそうとする。
 各国の事情、陣取り・城取りに通じている。剣では「行流」の使い手。
 重臣たちは勘助に質問し、陣取り・城取りに何の実績もないことを暴露する。
 勘助は自分の知略を披露するのは晴信が初めてと居直る。
 さらにいくさの極意とは闘わぬことと語る。
 重臣たちの失笑。
 晴信は「海ノ口城での密約で駿河に行かせ、信虎を駿府まで無事連れていく様に指示した」と偽りの勘助の実績をフォローするが。

 そしてラスト。
 勘助に全面的に信頼を寄せているかに見えた晴信が意外な行動を取る。
 剣で闘わせ、行流の使い手であることもウソであることを暴露しようとする重臣たち。
 勘助は真剣でなければ闘わぬと言って拒絶するが、晴信は猛将・原美濃守虎胤(宍戸開)と真剣で闘うことを許す。
 この晴信の意図は何であるかはここでは明らかにされない。
 勘助を重臣たちに認めさせるために何かを意図したものなのか?今までの信頼はウソで勘助の心を弄んでいただけなのか?
 ドラマを見る視聴者は、使えるべき主君、自分の居場所を見出した勘助に「よかったね」と言いたい。「よかったね」と言わせて感動したい。
 しかし、ミツの時もそうだったが(勘助はミツに居場所を見つけるがラストは矢を彼女に向かって引く信虎で終わる)、この作品の作者はそれをしない。
 なかなか意地悪な作者である。

★追記
 武田家で家督を継ぐ時は「楯無しの鎧」と「御旗」に向かって誓いを述べる。
 晴信は家臣に向かって言う。
「我に真がない時はいつでも諫めよ」
 信虎とは180度違う家臣に対する態度だ。

★追記
 第13話では勘助と原の対決。
 まともに戦っては勝てない勘助は知略を使う。
 船の上での果たし合いを提案し、原が船に乗り移った所で船に穴を開ける。
 勘助は別の船に乗り移って、原は泳ぎができずに降参。
 見物の家臣たちは笑い転げるが、勘助は自説を披露。
「戦わずして勝つ。兵を損なわず、知謀のもとに戦うがいくさの上策」
 晴信も「家臣の命を救うことが上意」と返す。
 これで勘助が今までにいないタイプの人材であることを家中に示した。

★追記
 晴信は言う。
「光ある者には陰がある」
 晴信は勘助に陰の部分を背負わせる様子。
 果たして勘助の人生は?
 興味深い。


コメント (5)
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