平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

愛のむきだし~真実は股間にあり!

2011年07月28日 | 邦画
 盗撮、女装、レズビアン……。
 軽快に描かれる変態の世界。
 でもね、変態だからといって目を背けてはいけない。
 人間誰しも、多かれ少なかれ壊れていて、変態の要素があると思うんですよ。

 主人公ユウ(西島隆弘)にとって、盗撮は<愛>を探し求める行為。
 愛情表現が、盗撮という屈折した形でなされただけ。
 純粋な愛の行為。愛のむきだし。
 だから、それが徹底して行われると、彼の不良仲間が感動した様に崇高なものになる。

 一方、そんな愛を求める行為を阻害するものが、世間の常識であり、道徳を説く宗教。
 ユウが闘うことになる宗教団体・ゼロ教会はその象徴。
 ゼロ教会は、愛を求めるユウを去勢しようとする。
 あたかも世間が<変態>というレッテルを貼って、ユウを変態行為から脱却させようとした様に。

 だが、宗教とは何か?
 ゼロ教会の信者たちが虚ろな目で妄信している様に、ただの幻想でしかない。
 信じる者にはリアリティのある世界だが、信じない者にはデタラメな砂上の楼閣。
 アタマの中で作られた世界。
 作品はそんな幻想に縛られて去勢されている人間を糾弾する。
 もっと自由になって、むきだしの愛情表現をしろと語る。
 それは世間から変態と後ろ指を指されるものであってもいい。

 すべての真実は股間にあり!
 男も女も股間を熱くすることこそが生きることだと作品は語る。
 つまり、愛のむきだし。

 この作品は下半身にこだわる。
 頭の中だけで完結する世界を拒絶する。
 そして、下半身の形而下の世界を形而上まで高める。

 作品のヒロイン・ヨーコ(満島ひかり)とコイケ(安藤サクラ)については、まだまだ掘り下げて考えてみる必要がある様に思う。
 男への嫌悪、世界を破壊し尽くしたい衝動。原罪。
 彼女たちは男を求めている? 愛を求めている?
 その屈折した思いが、たとえば男性のペニスを切り取る行為に繋がっている?

 ハードな世界だ。
 4時間という作品の長さもあるが、見終わるとヘトヘトになる。


コメント
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