平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

もののけ姫~人間と森の和解

2011年07月06日 | コミック・アニメ・特撮
 豊かな森にはコダマがいる。
 永く生きて巨大化し、半ば神となっている山犬やイノシシがいる。
 神となったシシ神もいる。

 かつて森は神の棲む場所であり、人間はそこに立ち入ることを怖れていた。
 しかし、やがてその神の領域を侵すようになった。
 自らの領域を広げるために山犬たちと敵対し、シシ神の首を手に入れて永遠の命までを手に入れようとする輩(やから)までが現れた。

 この作品は、森と人間との共生を謳った作品である。
 アシタカやもののけ姫・サンは、敵対する森と人間の架け橋となる存在。
 人間と森は和解し、共生することが出来るのか?

 この作品の面白さは、その豊かなイメージである。
 仮面をつけて戦う少女。
 怒りと憎しみに囚われてタタリ神になってしまった山の神。
 製鉄工場・タタラ場。石火矢。砦を築いた独立国。
 唐傘衆やジバシリ。
 夜になるとディダラボッチになるシシ神。
 大カモシカのヤックル。もののけコダマ。
 そして、何よりも豊かな森。
 見ているだけで楽しくなる。
 かつては人々の中に存在していたこれらのイメージが、現代人から失われてしまったことは哀しい。
 森はただの森になり、神秘のかけらもなくなってしまった。
 人間はひたすら傲慢になった。

 ラストの意味するものは何だろう?
 生命。
 あらゆるものは滅びる。だが、やがて形を変えて再生する。
 ディダラボッチはあらゆる命を奪ったが、別の命を生み出した。豊かな草原をもたらした。
 生命というものは滅びても、別の形で現れるものなのかもしれない。
 生命の摂理。
 そんなものを感じて、人は自然と共に生きていくべきではないのか。


コメント (2)
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