平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

『乱歩奇譚』と『サイコパス』~悪に染まるカガミと、染まらない常守朱とコバヤシ

2015年08月08日 | コミック・アニメ・特撮
 アニメ『乱歩奇譚』
 小林少年は、悪や狂気に親和性のある高校生として描かれている。
 美少年だから、女装しても可愛いし、ハシバは惚れてるし(笑)
 乱歩自身も同性愛に関する著述があり、横溝正史と関係があった? などという噂もあるから、この点は、いろいろ妄想が膨らむな~。
 明智小五郎自身も文代夫人という妻がいるが、文代夫人は病気で療養所暮らしをしており、実質、麹町のアパートで小林少年と暮らしてたし……。

 さて、悪や狂気に親和性のある人物。
 他の作家の作品に目を転じれば、乙一の『GOTH』の主人公なんかが思い浮かぶ。
 映画にもなった『羊たちの沈黙』では、殺人鬼ハンニバル・レクターに近づくと悪に取り込まれると指摘されるクラリス捜査官が登場する。
 このクラリスの設定は、そのままアニメ『サイコパス』の設定になっている。

 それで、『乱歩奇譚』。
 明智がコバヤシを自分の所に出入りを許したのは、コバヤシが悪や狂気に染まらないと判断したからなのだろう。
 コバヤシは悪や狂気に親和性を持っているが、『サイコパス』の主人公・常守朱(つねもりあかね)のようにそれらに染まらない。

 一方、コバヤシや常守朱とは正反対の人物がいる。
 以下ネタバレ。


 刑事のカガミだ。
 彼は、心神喪失などで罪の償いを免れ、のうのうと暮らしている犯罪者たちを許せない。
 警察官として、ずっと葛藤を抱えてきた。
 その葛藤の行き着いた先が、法に代わって悪を裁く正義の断罪者・怪人二十面相。

 カガミが正義の断罪者になった事件は説得力がありましたね。
 服飾デザイナーになりたくて、長年の努力してきた妹。
 彼女は、最近、賞を獲り、デザイナーとしてやっと道が開けた。
 そんな矢先、妹は無惨に吊されて殺される。
 賞を獲ったデザインの服を着て……。
 こんな残酷なことがあるだろうか。
 これならカガミが殺人者の世界に行ってしまうのもわかる。

 しかし一方で、カガミは弱かった。
 さまざまな悪に触れているうちに、少しずつ悪に染まってしまったのだ。
 アニメ『サイコパス』の設定を借りれば、犯罪係数がどんどん上がっていってしまった。
 カガミは常守朱になれなかった。

 物語のラストでカガミは言う。
「私を極刑に。罪人は罰せられるべきです」
 そして、こうつけ加える。
「だが、二十面相は死なない」

 これはある意味、真実ですよね。
 悪の因子はなくならないし、現実の理不尽を憎むあまりに悪の側に行ってしまう人間もいる。
 ネットに映像を流して自分の犯行をアピールする所などは、「イスラム国」を想わせる。

 二十面相は今後も出現するに違いない。

コメント
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