平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第32回「大逆転!」~これより萩にのぼり椋梨を討つ! 志のある者は功山寺に集結せよ!

2015年08月10日 | 大河ドラマ・時代劇
 高杉晋作(高良健吾)たちに拠るクーデター、革命である。
 対象は、幕府に恭順しようとする藩の守旧派(=椋梨一派)。
 高杉たちは、外国の言いなりになっている幕府がいずれ国を滅ぼすと考えている。
 だから幕府にヘコヘコする椋梨たちが許せない。

 歴史は、勝利した者の視点で描かれるから、明治の世になり、長州・薩摩が実権を握るようになると、高杉らのクーデターは正当化される。
 幕府や椋梨たちにしてみれば、高杉らは反政府の過激派であろう。
 いろいろな主義主張や大義名分が飛び交っているが、結局、歴史とは権力闘争。高杉派が勝つか、椋梨派が勝つか。

 一方、ドラマとしては、松下村塾側が主人公なので、高杉のクーデターが勇ましく、大義名分のあるものとして描かれねばならない。
 そうでないと、視聴者が感情移入しにくいからだ。
 たとえば、『忠臣蔵』では赤穂浪士は正しくて吉良上野介は悪でなくてはならない。吉良上野介にも一部の理ありと描かれたら、忠臣蔵は盛り上がらない。
 しかし、今作では、高杉たちの大義名分が、今ひとつ伝わって来ない。
 林家木久扇師匠が演じた百姓に代表される民衆が高杉たちを応援する理由も。
 この作品が『忠臣蔵』のような明解さを目指していないのはわかるが、松下村塾側の大義名分や民衆の共感というものが、過去にもっと描かれていれば良かったと思う。

 女たちの戦いも描かれた。
「わたしを人質にすれば、高杉晋作は決して奥に手を出しませぬ」
 雅(黒島結菜)のこのせりふは迫力と説得力があった。
 それに「面白い」と応じる銀姫(田中麗奈)も奥を守ろうとする都美姫(松坂慶子)。
 彼女たちはそれぞれの立場で必死に戦っている。
 一方、美和(井上真央)の行動は今ひとつ。
 和平を毛利敬親(北大路欣也)に懇願に行く理由がわからない。
 無駄な殺し合いをさせたくないということと、銀姫のお産の負担を軽くしたいというのが理由なのだろうが、どこか伝わって来ない。
 美和には背負っているものがないからだろうか。
 雅や銀姫は子を背負い、都美姫は毛利家と奥を背負っているが、美和にはそれがない。

 とはいえ、今回は密度の濃い内容でした。
 でも、玉木彦助(冨田佳輔)の死はいらなかったかな~。あまり描かれて来なかったし。
 それだったら刺客に襲われた梅太郎(原田泰造)の顛末をもっと描くべきだった。

コメント (2)
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