「新極道の女たち 惚れたら地獄」
この作品にはヤクザ映画の定石が踏まえられている。
★耐えて耐えて耐え忍ぶ。
組を守るため、梅田の再開発の利権を確保できれば3000人の侠和会に対応できる組になるため、村木芙由(岩下志麻)は耐え忍ぶ。
賭場荒らしにあったにも関わらず、若い組員の森安健(赤坂晃)の暴走の責任をとって芙由は指を詰める。
指を詰めて手打ちしたにも関わらず、芙由の命を狙ってくる侠和会にも報復しない。(政治家を使って国税局を動かし、脱税で相手にダメージを与えるという手段は取るが、警察沙汰になるような抗争は起こさない)
★配下の組員が暴発・報復する。
しかし芙由が耐えても、配下の組員は熱くなっている。
「出入りの指揮をとらせてくれ」とせがむ幹部たち。
首を縦に振らない芙由。
しかし彼らは恥をかかされて黙ってはいられない。報復に出る。
結果配下の者が次々とやられていく。
★最後に爆発する。最後に筋を通す。落とし前をつける。
がまんにがまんを重ねた芙由が単身乗り込んで機関銃を撃つ。
そして、筋を通させてもらったと啖呵を切る。
「極道の女として、かくしかしようがなく、ただいまケジメをつけさせていただきました」
このカタルシス。
これらの定石を踏まえ、インパクトのあるシーンを積み上げていく。
★賭場荒らしをされた森安
後日、賭場荒らしをした相手を街中で撃ち殺す。
その気配も見せずに黙って平然と撃ち殺す。
この「黙って平然と」という所が魅せる。
「静」から「動」へ行く瞬間のカタルシス。
森安は殺した男を肩に抱きかかえると、そのまま交番に行って自首する。
その潔さもこの場面の見せ場。
★単身乗り込む権藤啓太(世良公則)
背中の腰に銃を入れ侠和会に単身乗り込む権藤。
しかし5人の刺客が街中で権藤を刺す。
刺されダメージを負いながらも銃を抜き、5人の刺客を撃つ。
刺客の血しぶきが飛び散り、権藤自身もそのまま倒れる。
志半ばで倒れる美学、少しでも道連れにしてやろうという権藤の強い意思を感じさせる見せ場だ。
この様に男たちがかっこいいのが、「ヤクザ映画」だが、このシリーズは女たちも格好いい。
★手打ちに乗り込んだ芙由は、相手の不当な要求にも反論せず「ごもっとも」と指を詰める。その時に表情も変えない。
この場面で対照的なのが、侠和会の三代目・坂本(中条きよし)の妻・英子だ。
英子は芙由が歯向かえないのをいいことに、好き勝手な要求をする。ヒステリックに芙由をなじる。
この英子の虎の威を借りた軽さが逆に何者にも動じない芙由を引き立たせる。
そして芙由はただ指を詰めるだけでは終わらせようとしない。
同行させた新谷斎子(斉藤慶子)には「パイナップル」(手榴弾)を鞄に持たせている。何かがあれば爆発させ、三代目・坂本も道連れにするつもりだ。
女たちと言えば、権藤の妻・加奈代(川島なお美)もいい。
自分のせいで組が潰れ自失の権藤を挑発し、体で慰める。そして自失の権藤でも自分の側で生きていてくれさえすればいいと権藤に語る。やくざの女たちの典型でもあるが、パターンとわかっていても心動かされてしまう。
★追記
ストーリーはこう。
「大阪・ミナミに拠点を置く御蔵組は、小さいながらも強く深い絆で結ばれていた。村木芙由は、病床の夫である組長に代わり組織を取りまとめ、組員からもその妻たちからも慕われていた。彼女は、折りからの土地再開発に便乗し、その利権でこの組織を他組織の脅威にも揺るがないほどの盤石なものにしようとしていたが、その利権をめぐってキタに拠点を持つ巨大組織・侠和会が露骨に牽制してきた。そして遂に、別荘で夫の村木と過ごした翌日、車で帰途途中ヘリコプターからの銃弾にみまわれ、村木は即死、芙由も重傷を負って病院に運び込まれてしまう。さらに組の若者の森安が、侠和会系のチンピラを殺害する事件が起こった。侠和会にとっては御蔵潰しの格好の口実となり、御蔵組でもこの戦争を受けて立とうとする。だが、芙由は今ここで抗争を起こしたら組が潰されるだけだと病院を抜け出し、幹部の新谷の妻・斎子一人を連れて侠和会に出向き、会長・坂本やその妻・英子の挑発をかわしながら和解を申し立てる。その度胸の良さに侠和会も決裂のきっかけを作れなかった。だが侠和会は密かに病院に刺客を送り出し、芙由の身代わりになった幹部・野田の妻・志津江が殺されてしまう。他の幹部たちを説得し、芙由の命令を守り抗争を避けてきた新谷ももはや手のほどこしようがなく、野田は侠和会の理事長・加納を襲い刺殺、自分も殺されてしまい、輪島や権藤も坂本を狙っていたところを警察に捕まってしまう。再開発をめぐる利権も、御蔵組の縄張りもまんまと侠和会に奪われてしまった。神戸のマンションに潜入していた芙由は、一からやり直そうと決心し新谷を呼びつけるが、途中新谷は侠和会に捕まってしまう。夫を人質に捕られた斎子は芙由を殺せと脅迫され、彼女を山中におびき寄せるが、斎子に芙由は殺せなかった。芙由は自分が殺されたふりをするが、にもかかわらず結局新谷と斎子は侠和会の罠により車ごと谷底に突き落とされる。全てを失った芙由は、侠和会先代の三回忌に忍び込み、坂本や英子らを撃ち殺して落とし前をつけるのだった」(goo映画より)
この作品にはヤクザ映画の定石が踏まえられている。
★耐えて耐えて耐え忍ぶ。
組を守るため、梅田の再開発の利権を確保できれば3000人の侠和会に対応できる組になるため、村木芙由(岩下志麻)は耐え忍ぶ。
賭場荒らしにあったにも関わらず、若い組員の森安健(赤坂晃)の暴走の責任をとって芙由は指を詰める。
指を詰めて手打ちしたにも関わらず、芙由の命を狙ってくる侠和会にも報復しない。(政治家を使って国税局を動かし、脱税で相手にダメージを与えるという手段は取るが、警察沙汰になるような抗争は起こさない)
★配下の組員が暴発・報復する。
しかし芙由が耐えても、配下の組員は熱くなっている。
「出入りの指揮をとらせてくれ」とせがむ幹部たち。
首を縦に振らない芙由。
しかし彼らは恥をかかされて黙ってはいられない。報復に出る。
結果配下の者が次々とやられていく。
★最後に爆発する。最後に筋を通す。落とし前をつける。
がまんにがまんを重ねた芙由が単身乗り込んで機関銃を撃つ。
そして、筋を通させてもらったと啖呵を切る。
「極道の女として、かくしかしようがなく、ただいまケジメをつけさせていただきました」
このカタルシス。
これらの定石を踏まえ、インパクトのあるシーンを積み上げていく。
★賭場荒らしをされた森安
後日、賭場荒らしをした相手を街中で撃ち殺す。
その気配も見せずに黙って平然と撃ち殺す。
この「黙って平然と」という所が魅せる。
「静」から「動」へ行く瞬間のカタルシス。
森安は殺した男を肩に抱きかかえると、そのまま交番に行って自首する。
その潔さもこの場面の見せ場。
★単身乗り込む権藤啓太(世良公則)
背中の腰に銃を入れ侠和会に単身乗り込む権藤。
しかし5人の刺客が街中で権藤を刺す。
刺されダメージを負いながらも銃を抜き、5人の刺客を撃つ。
刺客の血しぶきが飛び散り、権藤自身もそのまま倒れる。
志半ばで倒れる美学、少しでも道連れにしてやろうという権藤の強い意思を感じさせる見せ場だ。
この様に男たちがかっこいいのが、「ヤクザ映画」だが、このシリーズは女たちも格好いい。
★手打ちに乗り込んだ芙由は、相手の不当な要求にも反論せず「ごもっとも」と指を詰める。その時に表情も変えない。
この場面で対照的なのが、侠和会の三代目・坂本(中条きよし)の妻・英子だ。
英子は芙由が歯向かえないのをいいことに、好き勝手な要求をする。ヒステリックに芙由をなじる。
この英子の虎の威を借りた軽さが逆に何者にも動じない芙由を引き立たせる。
そして芙由はただ指を詰めるだけでは終わらせようとしない。
同行させた新谷斎子(斉藤慶子)には「パイナップル」(手榴弾)を鞄に持たせている。何かがあれば爆発させ、三代目・坂本も道連れにするつもりだ。
女たちと言えば、権藤の妻・加奈代(川島なお美)もいい。
自分のせいで組が潰れ自失の権藤を挑発し、体で慰める。そして自失の権藤でも自分の側で生きていてくれさえすればいいと権藤に語る。やくざの女たちの典型でもあるが、パターンとわかっていても心動かされてしまう。
★追記
ストーリーはこう。
「大阪・ミナミに拠点を置く御蔵組は、小さいながらも強く深い絆で結ばれていた。村木芙由は、病床の夫である組長に代わり組織を取りまとめ、組員からもその妻たちからも慕われていた。彼女は、折りからの土地再開発に便乗し、その利権でこの組織を他組織の脅威にも揺るがないほどの盤石なものにしようとしていたが、その利権をめぐってキタに拠点を持つ巨大組織・侠和会が露骨に牽制してきた。そして遂に、別荘で夫の村木と過ごした翌日、車で帰途途中ヘリコプターからの銃弾にみまわれ、村木は即死、芙由も重傷を負って病院に運び込まれてしまう。さらに組の若者の森安が、侠和会系のチンピラを殺害する事件が起こった。侠和会にとっては御蔵潰しの格好の口実となり、御蔵組でもこの戦争を受けて立とうとする。だが、芙由は今ここで抗争を起こしたら組が潰されるだけだと病院を抜け出し、幹部の新谷の妻・斎子一人を連れて侠和会に出向き、会長・坂本やその妻・英子の挑発をかわしながら和解を申し立てる。その度胸の良さに侠和会も決裂のきっかけを作れなかった。だが侠和会は密かに病院に刺客を送り出し、芙由の身代わりになった幹部・野田の妻・志津江が殺されてしまう。他の幹部たちを説得し、芙由の命令を守り抗争を避けてきた新谷ももはや手のほどこしようがなく、野田は侠和会の理事長・加納を襲い刺殺、自分も殺されてしまい、輪島や権藤も坂本を狙っていたところを警察に捕まってしまう。再開発をめぐる利権も、御蔵組の縄張りもまんまと侠和会に奪われてしまった。神戸のマンションに潜入していた芙由は、一からやり直そうと決心し新谷を呼びつけるが、途中新谷は侠和会に捕まってしまう。夫を人質に捕られた斎子は芙由を殺せと脅迫され、彼女を山中におびき寄せるが、斎子に芙由は殺せなかった。芙由は自分が殺されたふりをするが、にもかかわらず結局新谷と斎子は侠和会の罠により車ごと谷底に突き落とされる。全てを失った芙由は、侠和会先代の三回忌に忍び込み、坂本や英子らを撃ち殺して落とし前をつけるのだった」(goo映画より)