平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ドン★キホーテ~今までの定石を壊した作劇!

2011年07月19日 | その他ドラマ
 久しぶりの体入れ替わりコメディですね。
 土曜9時の日テレ枠はヤンキーやヤクザが大好きですが、これまで培ってきた、ヤクザ・ヤンキーもののノウハウを上手く活かしている。

 第2話「勝手にひきこもれ」の解決の仕方も斬新だ。
 主人公・城田(松田翔太)は、ひきこもりを何とかしようと思って奮闘しているわけではない。
 ただ、コミック『新宿鯖』を読みたいだけ(笑)
 まあ、最初は城田も同じ『新宿鯖』を愛読する見所のある同志として、ひきこもり少年を救ってあげたいと思ってたと思うんですよ。
 しかし、そんなことどうでもよくなってしまった。ともかく続きを読みたい。
 でも、それがひきこもり少年に感情をよみがえらせた。
 「ここは僕の家だ!」と叫ぶ。
 すると、少年の母親や家族にも感情の火がついて、みんなが叫び始める。
 そして、家族の和解。ひきこもり少年は部屋から出て、外への一歩を踏み出そうとし始めた。
 後半の解決はとってつけた様でイマイチだが、思っていることや感情を抑え込まず、人にぶつけてみることが人間と向き合う様になる第一歩なんですね。
 そしてすごいのは、主人公・城田がひきこもりを何とかしようとして解決したのではなく、偶然解決してしまった所。
 今までのドラマなら、主人公は事件を解決しようとして奮闘する。くじけて仲間に励まされて、何とか解決していく。
 それが、この作品にはない。

 斬新ですね。
 この作劇が今後も通用するとは思いませんが、今回は新しくて面白かった。
 今のドラマには定石を壊すことが必要なんですね。
 定石を壊すことで、作品にパワーが生まれ、キャラクターも破天荒になる。
 昨日『全開ガール』を見ましたが、全開ガールと言いながら、主人公は少しも破天荒でない。あくまで常識の中に留まっている。
 これでは見ている方は自由になれない。

 この作品『ドン★キホーテ』には、かつて映画が全盛だった頃、ヤクザ映画を見た観客が映画館から出てきた時、ヤクザの様に肩をいからせて出てきた様な感じがある。
 観客は<日常からの脱出>を求めている。
 それをかなえてくれるのが、この作品だ。
 ヤクザとの体の入れ替わりという設定が、その願望を見事に実現してくれている。
 定石を壊した作劇が<自由>を与えてくれている。

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江~姫たちの戦国~ 第27回「秀勝の遺言」

2011年07月18日 | 大河ドラマ・時代劇
 秀勝(AKIRA)の死の後日談。
 すべてがフツーなんですよね。
 最愛の夫が亡くなれば、泣いたり落ち込んだりするのは当然だし、ガラシャ(ミムラ)が「ひとりの方をそれほど思えるのは幸せ」と慰めるのも、淀(宮沢りえ)が「鶴松を失った自分も同じだった」と語るのも当たり前。
 だから見ている方は「そうなんだ」と思うくらいで、江(上野樹里)に大きく感情移入することもない。

 秀勝の手紙も今ひとつだった。
 江と秀勝の結婚に至る過程や結婚生活が、十分に描かれてこなかったため、迫るものがない。
 なので手紙も、江と過ごした日々のことではなく、朝鮮の子供と過した話。
 史実を気にしたのか、生まれた子供・完に関する記述も手紙にない。「そなたに何を残してやれたのか?」などと惚けたことを言っている。

 いくさの愚かさや虚しさも言葉にしたら興ざめだ。
 こういうのはせりふで言わずに、エピソードなどで視聴者に感じさせることが必須。
 というわけでこの作品はすべてにわたって説明過多。
 わかりきったことをストレートに語り過ぎる。

 まあ、敢えて深読みすれば、次の二点。

★現実主義者
 江は「天上で父上や母上、柴田の父や叔父上(信長)、秀勝がのんびりと暮らしている。」と初(水川あさみ)に言われても納得しない。
 「それでもそばにいてほしい。共にいて、触れたり、話したり、笑ったりしたい」と語る。
 江は現実主義者なのだ。
 決して宗教にすがろうとは思わない。
 この点は信長に似ている。

★母性
 最後の最後で江はやっと母性に目覚めた様だ。
 それまでは生まれてきた娘を抱こうとしなかった。
 母という自分を見いだして、江の行動、生き方は変わっていくのだろうか?
 上野さんにはぜひ<母の顔>を見せてほしい。
 今のままだと、天守閣で娘を抱いていても人形を抱いている様に見える。


 
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それでも、生きていく~やはり満島ひかりはすごい!

2011年07月15日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 やはり満島ひかりさんはすごい。
 昨夜の録画した第2話も何度も繰り返して見てしまった。
 くるくる変わる表情、予想のつかないせりふまわし、独特の間。
 物語もそうだが、満島さんの演技の凄さに圧倒され、感動してしまう。

 前回も書きましたが、満島さんの演じる双葉って、すごく難しい役だと思うんです。
 加害者の家族として迫害されてきた人生。
 死にたいとは思わないけど、生きていたくもない人生。
 兄への愛。
 いつまでも残っている自分に優しかった兄の記憶。もしかしたら兄は無実と信じたい気持ち。
 一方で、洋貴(瑛太)を始めとする深見家への懺悔の気持ち。
 兄に戻ってきてほしいという想い。
 兄への手紙で描かれた、希求にも似た充実したOL生活を送っている自分と幸せな家族の情景のイメージ。
 これら様々に揺れ動く心の中の嵐を、抑えた演技で的確に表現している。
 「(殺しても)いいですよ」「クリスマスケーキ、食べていませんから」といったポツリと発せられるせりふのひとつひとつに力がある。
 アドリブもある。
 おそらく「とっても可愛い子猫」とか「たった一行の」とつけ足した部分はアドリブだろう。

 通常、テレビドラマの演技って、カット割りで何とかなるもの。
 役者さんがそんなに哀しい演技をしていなくても、前後の流れでアップの顔が哀しく見えてしまう。
 だが、満島さんの場合はそんなカメラワークは必要ない。
 遠景のロングのカットでも、顔が映っていない背中越しのカットでも、体の強張りやせりふの力で表現してしまう。

 あるいは芝居とは役者さんと役者さんのせりふのキャッチボール、ぶつかり合いである。
 今回の瑛太さん演じる洋貴とのやりとりはすごかった。
 次回は大竹しのぶさんとの絡みがありそう。
 満島ひかり×大竹しのぶ。
 このふたりがぶつかり合って、どんなすごい芝居が見られるか?
 満島さんの演技を大竹さんがどう受けとめ、返すか?
 満島さんは変化球投手ですからね、一方、大竹さんは変化球も直球も投げられる女優さん。

 テレビドラマで、こんなに演技を楽しみに出来る作品はひさしぶりだ。


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花ざかりの君たちへ2011~ AKBファンなのですが……

2011年07月14日 | 学園・青春ドラマ
 前田敦子さんを始めとするAKBメンバーが出ているだけで、僕としては満足なのですが、この作品の文体については賛否が分かれる所でしょうね。

 この作品の文体とは、ゴチャゴチャとしたおもちゃ箱をひっくり返した様な文体。
 普通の作品なら、まず主人公を深く描き込み、ドラマとしての論理を積み重ねていく。
 しかし、前作の堀北真希さんバージョンを含めて「花君」にはそれがない。
 様々なキャラクターが入り乱れての大騒ぎ。お祭り騒ぎ。
 論理的整合性などクソくらえ。無秩序なゴチャゴチャとした感じこそが青春なのだから、青春を語るにはこういう文体こそがふさわしい。青春のエネルギーを表現するには、この無秩序な文体こそが的確。
 という作り方だ。

 この製作意図はわかる。
 後は好みの問題だ。
 今までのドラマの文体に慣れている僕としては、ちょっと抵抗がある。
 このお祭り世界に入り込むまでに時間がかかる。
 製作側もファーストシーンの飛行機雲で『この作品は理屈抜きで楽しんで下さい』と表記していたが、このドラマの製作意図についての言い訳?
 
 リメイクということにも引っかかる。
 今回、桃境学園(桜咲=大阪に対する東京という意味なんですね)という新たな設定が加わったが、物語の流れは同じ。
 マラソン大会が球技大会に変わっただけだ。
 なのでドラマとしての新しさや次はどうなるんだろうとワクワク感は半減。
 となると、前作との比較にどうしても目が行ってしまう。
 リメイクということであれば、当然前作を越えなくてはならないのに、同じことをやっていたのでは、当然前作の方がよく見える。

 AKBファンとしては、芦屋瑞稀役の前田敦子さんだけでなく、岸里樹理役の柏木由紀さん←僕の推しメン、尼崎カンナ役の市川美織さん←フレッシュレモン!、阿部野エリカ役の大場美奈さん、神戸夢美役の永尾まりやさんが出ているだけで充分嬉しいのですが、もっと彼女たちやイケメンたちを活かす企画はあったでしょうに。
 逆にアンチAKBが増えそうで心配。

 今回のリメイク版は、腰を据えてドラマを作り込んだ方がいい(←それが新しさに繋がる)と思うのですが、今から路線変更は出来ませんよね。
 視聴率が落ちていくのが目に見える……。(※追記 第1話は10.1%→第2話は6.0%)
 これで前田敦ちゃんや柏木ゆきりんが悩んだりしないかが心配。


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絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~ 面白かった!

2011年07月13日 | 推理・サスペンスドラマ
 面白かった。
 次々と人が入れ替わる尾行シーンが見事。
 指示を出す瀧河信次郎(桐谷健太)がカッコイイ!
 携帯カメラやビルの階段からのカメラ、バッグの中のカメラで、尾行者を撮り、本部のコンピューターで照合。画像に写った書類や免許証の解析も行う。
 指紋もドアの取っ手に付いたものを採取。
 ゴミ袋の中身もチェック。
 尾行の途中で桜木泉(上戸彩)が尾行者を見失ったり、尾行者がよく似た別の人物だったりといったミスもある。
 こういうディティルの積み重ねが、リアリティを出すんですね。
 見応えのある捜査シーンだった。

 桜木泉の葛藤もあった。
 目の前のひったくりを捕まえられない捜査は正しいのか?(「踊る大捜査線」でも同じ様な葛藤がありました)
 弁当屋の藤井香織(前田亜季)を騙して接近したり、盗聴器を仕掛けたりすることにも泉は葛藤する。
 それをしなければ連続殺人事件が起きてしまうし、どちらが正しいとも言えない見事な葛藤。
 これらの葛藤に泉がどう答えを見つけ、成長していくかが楽しみ。

 そして謎。
 犯人グループの黒幕は誰なのか?
 犯人グループはどうやって人を殺しているのか?
 次回への引きも十分。

 この緊張感・クォリティで、全話いってくれるといいのだが、今後はどうだろう?



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全開ガール~使い古されたストーリーはもうやめよう!

2011年07月12日 | 職業ドラマ
 鮎川若葉(新垣結衣)のキャラクターが面白い。
 すべての男は格付けされ、物事の判断基準は法律と合理性。
 非生産的なことは排除される。
 きついでしょうね、こういう生き方。
 若葉がこんな生き方を選んでしまったのには理由がある。
 父親が借金の保証人になって、借金取りに追われる子供時代を送ってしまったこと。
 なので若葉が信じられるのは、お金と法律。
 お金と法律があれば、世の中の荒波を渡っていけると考えている。
 キャラクターに多少のデフォルメがあるが、バックボーンがしっかりしているので、もしかしたらこういう人いるかも?と思える。

 この様にキャラクターは魅力的なのだが、問題なのはストーリーだ。
 母親の愛情に飢えている女の子・日向(谷花音)の物語。
 これは陳腐だ。似たようなドラマは過去にいくらもあった。
 どうしてテレビドラマは<親の愛情に飢えた子供の話>ばかりなのだろう?

 なので、今後の話の展開は見えてしまう。
・若葉が桜川昇子(薬師丸ひろ子)に日向が母を求めていることを語る。
 結果、昇子と日向の和解。
・若葉も日向のことや山田草太(錦戸亮)との関わりの中で、人間らしい気持ちを獲得していく。
 よくあるパターン。
 いくらキャラクターが魅力的でも、ストーリーが手垢のついたものなら、たちまち色褪せてしまう。

 この作品で楽しみなのは、蓮佛美沙子さんと皆藤愛子さんだ。
 蓮佛さんは「Q10」で存在感がありましたしね。
 おふたりとも新鮮!

 視聴者は新しいストーリー、新しい役者さんを求めている。
 ひょっとしたら大コケするかもしれないし、大化けするかもしれない作品。
 製作者はもっと冒険すべき。
 安全な作品ばかりを作っていたら、そこそこか、そこそこ以下の結果しか得られない。


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江~姫たちの戦国~第26回「母になる時」

2011年07月11日 | 大河ドラマ・時代劇
 江(上野樹里)と秀勝(AKIRA)の結婚話。
 「嫁ぐことは楽しい」ということで描かれる幸せな日々。子供もお腹に。
 それを打ち壊す戦争。

 物語としては成り立っているのだが、すごく感動したとか泣けたとかには至らない。
 なぜだろう?
 ひとつは、戦争映画などのよくあるパターンどおりの展開だから。
 戦争が幸せな日々を壊すという使い古された文体。ああ、またかと思ってしまう。
 戦争は無意味で愚かな行為であることは明白で、これからも言い続けて行かなくてはならないことは確かなのだが、別の文体で語ってほしい。
 もうひとつ感情移入できない理由は、江が戦っていないこと。葛藤していないこと。
 江は戦争をやめさせるために秀吉(岸谷五朗)の所に行き、秀勝には「私はどなたも殺してほしくありません」と語ったが、江の戦いはここまで。後は流されるまま。
 史実という壁があるので仕方ないとは思うが、視聴者が感動するのは、主人公が自分の限界や制約を越えて戦った時。

 「戦争は嫌だ」「人を殺さないでほしい」と口で言うのは簡単。
 江は<口先だけの理想主義者>の域を出ていない。
 だから彼女の言葉が響かない。
 利休が「人々が笑って暮らせる世の中を作ってほしい」と江に託しても説得力がない。
 「JIN」が胸を打つのは、皆が迷いながらも戦っているから。
 仁は、歴史の修正力の前に自分の無力を感じながら、目の前の患者を助けようとする。
 咲は家や恋愛を捨てて、医療に志す。
 龍馬はそれこそ命がけで、口八丁手八丁で相手を騙しながらも理想を実現しようとする。幕府軍が潰走するのを見て喜ぶという間違いも犯す。
 だが、江は間違いを犯さないし、迷わない。何も犠牲にしないし、汗も流さない。

 この作品のサブタイトルは『姫たちの戦国』。
 結局、お姫様を主人公に選んでしまったことが間違いだったのだ。
 なぜならお姫様はお姫様でしかないのだから。
 自分は安全な所にいて、口先で理想を語るお姫様の言葉に誰が感動するだろう?

 これからも江は言い続けていくんでしょうね。
 「戦争は嫌だ」「人を殺さないでほしい」と。
 しかし、行動が伴わなくては……。
 行動になって現れてくるのは、秀忠(向井理)の妻になってからか?


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それでも、生きていく~満島ひかり、すごい女優さんが現れたものである

2011年07月09日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 双葉役の満島ひかりさんがすごい。
 映画「川の底からこんにちは」で、独特の雰囲気を出せる女優さん(以前はFolder5というエイベックスのアイドルグループのメンバーだった)だなと思っていたが、それがこの作品で上手く活かされている。
 柄本明さんも瑛太さんも見事だったが、彼女の演技に魅入られてしまう。

 双葉というのは難しい役である。
 深見達彦(柄本明)、洋貴(瑛太)の痛み・苦悩も、加害者の兄を持つ人間として理解できる。申し訳ないと思える。
 一方で、自分たちは兄の起こしたことで中傷被害を受けているが、それは兄のしたことで自分たちには関係ないことと、事件を少し引いて見ることも出来る。
 また、兄への憎しみと愛情もある。
 洋貴たちや自分たち家族をどん底に陥れた憎むべき兄だが、兄への愛情も残っている。
 双葉はそんな相反する心の葛藤を抱えている。
 非常に不安定。状況によってどちらにでも傾いてしまう。
 今回のラストは、お葬式で姿を見て、兄への愛情が噴き出してしまった。
 歩道橋で洋貴の足に絡みついて「お兄ちゃん、逃げて!」と叫ぶ。

 洋貴との会話のやりとりも独特の距離感、ズレ方があって、非常に見応えがある。
 洋貴は少し心を病んでいる感じだ。
 箱からアダルトビデオが出て来た時のリアクションは「15年延滞したら(延滞料金は)どれくらいになるんだろう」。普通は死んだ妹のことを思い出したり、双葉に見られて恥ずかしいと思ったりするはず。
 おにぎりのことで双葉が「シャケがいい」と言い出すと、「すみません。シャケに気づかなくて」と返す。
 ファミレスで双葉が「タンドリーチキン」を頼むと、「タンドリーとか好きなんですか?」と尋ね、双葉が同じ系列のファミレスでバイトしていたことを知ると、「その店もここと同じように空いているんですか?」と尋ねる。
 洋貴はリアクションが微妙にずれている。
 そのズレたせりふに双葉はせりふと表情で、独特の距離感をもって返す。
 これを下手な女優さんがやったら、あの雰囲気は生まれない。
 <距離感><雰囲気>。
 非常に抽象的な言葉だが、こういう言葉でしか、あのやりとりを表現できない。

 満島ひかり。すごい女優さんが現れたものである。


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九州電力・「やらせメール」事件~電力会社の地域独占をやめよう

2011年07月07日 | 事件・出来事
 九州電力に拠る<やらせメール事件>。
 こうまでして原発を推進したいのか?
 原発は低コスト。企業利益を考えれば、低コストの原発を使いたい所だろうが、今回の福島原発の事故を見ればわかるとおり、いったん事故が起これば、賠償などコストは会社が傾く位にかかることになる。
 その賠償金を電気料金に上乗せされたら、こちらはたまったものではない。
 そんなお金のことよりも何よりも人の命や自然環境に関わることになる。
 そこまで責任を持てることを想定して、原発を考えているのか?

 まあ、今回の<やらせメール事件>に関して言えば、現在停止中の原発が動かなければ、12月には現在稼働中の原発が点検で止まり、九州電力の管内の原発すべてが止まってしまうという切羽詰まったことから来たことらしいが(ちなみに九州電力の原発依存度は40%)、原発が必要であると考えるのなら、正々堂々と自分の信じる所を語ればいい。<やらせメール>などの姑息な策を弄するな。

 さて、電力会社による地域独占。
 僕は独占をやめて、自由競争にすればいいと考える。
 東京に住む人間は東京電力以外の会社からも電力を買えるようにする。
 そうすれば、現在の電話・携帯電話(docomo、au、softbank)がそうであるように競争が起こる。
 競争が起これば、価格競争が起きる。
 安い電力を供給するために企業は努力して、効率のいい発電方法を開発しようとする。地熱発電など、研究がどんどん行われる。

 あるいは独占を廃することによって消費者は選べる。
 原子力発電で電力を供給する電力会社を選ぶのか、自然エネルギーで電力を供給する会社を選ぶのか?
 これはひとつの自然環境に関する意思表示。
 もちろん、原発を推進する会社には今まで以上の厳しい規制を。事故の際の保険加入を義務づけてもいい。そうすれば、原発はきっと効率が悪くなり、立ち行かなくなる。

 というわけで、電力会社の地域独占の廃止。
 これはきっと可能だ。
 電話・携帯電話の世界で出来たのだから。電話線で出来たことが、なぜ電線で出来ない?

 最後に原子力。
 人が制御できない力は使うべきでない。
 人や地球の滅びに繋がる力は使うべきでない。
 今回の震災でわかった様に、自然の力は、人間の予想を越えてはるかに大きいのだ。 おまけに今回明らかになった東京電力、九州電力のいい加減体質。 
 いい加減な人間が大きな力を持つなんてとんでもない!
 原子力がダメだとわかれば、人間は新たな知恵を出しますよ。実際、震災後、新たなクリーンな代替えエネルギーの話がどんどん出て来ているし。

 変わることを怖れてはいけない。


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もののけ姫~人間と森の和解

2011年07月06日 | コミック・アニメ・特撮
 豊かな森にはコダマがいる。
 永く生きて巨大化し、半ば神となっている山犬やイノシシがいる。
 神となったシシ神もいる。

 かつて森は神の棲む場所であり、人間はそこに立ち入ることを怖れていた。
 しかし、やがてその神の領域を侵すようになった。
 自らの領域を広げるために山犬たちと敵対し、シシ神の首を手に入れて永遠の命までを手に入れようとする輩(やから)までが現れた。

 この作品は、森と人間との共生を謳った作品である。
 アシタカやもののけ姫・サンは、敵対する森と人間の架け橋となる存在。
 人間と森は和解し、共生することが出来るのか?

 この作品の面白さは、その豊かなイメージである。
 仮面をつけて戦う少女。
 怒りと憎しみに囚われてタタリ神になってしまった山の神。
 製鉄工場・タタラ場。石火矢。砦を築いた独立国。
 唐傘衆やジバシリ。
 夜になるとディダラボッチになるシシ神。
 大カモシカのヤックル。もののけコダマ。
 そして、何よりも豊かな森。
 見ているだけで楽しくなる。
 かつては人々の中に存在していたこれらのイメージが、現代人から失われてしまったことは哀しい。
 森はただの森になり、神秘のかけらもなくなってしまった。
 人間はひたすら傲慢になった。

 ラストの意味するものは何だろう?
 生命。
 あらゆるものは滅びる。だが、やがて形を変えて再生する。
 ディダラボッチはあらゆる命を奪ったが、別の命を生み出した。豊かな草原をもたらした。
 生命というものは滅びても、別の形で現れるものなのかもしれない。
 生命の摂理。
 そんなものを感じて、人は自然と共に生きていくべきではないのか。


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