平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒15 「嘘吐き」~誰が真実を言い、誰が偽証しているのか?

2016年11月17日 | 推理・サスペンスドラマ
 アパートに住む漫画家の三ツ門夏音(柳生みゆ)が聞いてしまった隣人の男女の言い争いと暴力。
 翌日、隣人の女性はまったく違う女性に変わっていた。
 夏音が知っている隣人の女性は〝地味で背が高い女性〟だったのに、現在の女性は〝派手で小柄〟。
 アパートの管理人に聞くと、隣人の女性は〝派手で小柄〟だったと言う。
 これは、いったい、どういうことか?
 おまけに事件はこれだけで済まず、毎夜、謎の中年夫婦が隣の部屋を尋ねてくる。
 彼らは、いったい何者なのか?

 奇怪な事件である。
 事件を普通に解釈するとこうなる。

★アパートの隣の女性が痴話ゲンカで殺されて、遺体損壊&遺棄。
 それを三ツ門夏音が知ってしまったため、口封じのため襲われた。

 しかし、この解釈だと、<管理人の証言>と<毎夜訪ねてくる中年夫婦>の説明がつかなくなる。
 右京(水谷豊)たちが調べていくと、夏音には〝虚言癖〟があったことがわかる。
 ということは、すべては夏音の虚言・妄想なのか?

 しかし、この事件には第三の真相があった。
 ………………

 黒澤明の映画『羅生門』で描かれたとおり、
 現実は<見る角度>や<スポットのあて方>で、さまざまに解釈が出来るんですね。
 今回はその典型。
 探偵や刑事は事実の断片をつなぎ合わせ、解釈して真相に迫っていく。

 右京が今回おこなったのは、<隣人の猪口勇人><殺された?瀬戸はるか><管理人><中年夫婦>の共通点を探ること。
 これをすることで、真相が見えてきた。
 彼らは実はつながっていて、共通の利害と動機があったのだ。
 ミステリ作品を読んだり見たりする時、この<共通点を探す>という方法は、結構、有効ですよね。
 こんがらがっていた糸が一気に解ける。
 今回の共通点は、ちょっと強引だけど。

 青木(浅利陽介)は便利キャラですよね。
 青木が<謎の中年夫婦>の正体を割り出さなければ、今回の真相には迫れなかった。
 製作側にとっては有り難い存在だが、視聴者にとっては便利すぎて作品をつまらなくする存在。
 ………………

 脚本家さんは落語を意識していたのかなぁ。
『三軒長屋』
『ウソつきの国』
 米沢さんがいたら絶対に言及しそう。
 ひさしぶりに寄席に行ってみますか。

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逃げるは恥だが役に立つ 第6話~あと一駅、永遠に着かなきゃいいのに

2016年11月16日 | 恋愛ドラマ
 みくり(新垣結衣)は思う。
「いつもいつもあたしからで疲れた」
「欲しいのは仕方なくなんかじゃなくて」
 そうなんですよね。
 バーのマスターも言ってましたけど、人間、何かをすると見返りが欲しくなる。
 無限に与え続けることなんてできない。
 ふたりの関係が契約関係で結ばれていることはわかっているんだけど。
 だから、こう割り切って心のもやもやを解消する。
「何もしない。何も求めない」

 まむしドリンク〝とぐろターボ〟(笑)を見つけて、みくりは驚いたけど、嬉しかったんだと思う。
 新しい下着を着けて、ベッドの中で、
「いいのだろうか? 平匡さんの心のテリトリーに入らせてもらえるのだろうか?」
 なのに、平匡(星野源)は…………
 腕がしびれた~(笑)
 耳栓とアイマスクで眠ることが出来た!(笑)

 平匡~~~っ!
 お前ってやつは!
 横に寝ているのはガッキーなんだぞっ!
 ガッキーは心の準備が出来ているんだぞっ!
 ハグの日のハグもパスするし、ヘタレすぎるっ!
 オトコ代表として、断固、抗議するっ!(笑)

 で、結局、翌朝、みくりが作った句は、
〝あたらしき したぎ むなしい あきのあさ〟

 もしかしたら、平匡はすごい恋愛テクニシャンなのかもしれない。
 見事にみくりを追いかけさせている。
 恋愛は追いかけた方が負けですからね。
 僕なんかいつも追いかけて玉砕してた!

 それはともかく……
 ふたりが互いを求め合っていることは確か。
 だって、帰りの電車で、ふたりは同じことを考えたのだから。
「あと一駅。
 永遠に着かなきゃいいのに」

 草食系の恋愛ですね。
『東京ラブストーリー』の「カンチ、セックスしよう!」とは大きな違い。
 これが時代なのだろうか?
 平匡の言う、〝安全装置のついた疑似恋愛〟の行方はどうなるのか?

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真田丸 第45回「完封」~源次郎、あっぱれな戦いぶりよ! 日の本一の強者、真田左衞門佐!

2016年11月14日 | 大河ドラマ・時代劇
「源次郎、あっぱれな戦いぶりよ!
 日の本一の強者! 真田左衞門佐!」
 上杉景勝(遠藤憲一)としては、こう叫ばずにはいられなかったのだろう。
 何しろ景勝は家康(内野聖陽)に抗うことができなかった。
 義を捨て、言われるがままにひたすら忍従。
 牙を抜かれた虎。
 本来は自分がやるべきことを幸村(堺雅人)がやってくれた。
 だから、こう叫ばずにはいられなかった。
 もちろん、幸村と景勝では持っているものが違う。
 景勝は上杉家を守らなければならない。
 ………………

「敵をひとつの塊と思ってはならぬ。所詮、人の集まりじゃ」
 それは軍隊だけでなく、あらゆることに言えること。
 家康の陣営の中にも、福島正則(福水元基)や平野長泰(近藤芳正)のような人間がいる。
 豊臣にも、織田有楽斎(井上順)のような人間がいる。
 どんな集団にも綻びがあり、異を唱える者がいて一枚岩ではないのだ。
 軍隊は規律で統制された組織だが、今回のように混乱に陥ると、兵士は一個の人間となる。
 ………………

 真田丸の攻防が〝辛勝〟であったことも描かれた。
 開かない留め金。
 石が落とせず、一歩間違えば突破されていた。
 幸村もいくさの後、心臓が口から出そうなほど緊張していたと、木村重成(白石隼也)に本音を漏らした。
 戦争は必ずしも作戦どおりに行くものではなく、ひとつのトラブル、ひとつのミス、ひとつの気の緩みで、大きく崩れてしまう。
 兵士の心が折れてしまったら、それでおしまい。
 それを食い止めようとするのが個人の奮闘だ。
 今回は、後藤又兵衛(哀川翔)、毛利勝永(岡本健一)らがそれをやった。
 彼らの奮闘が他の兵士たちの心に火をつけた。

 いくさとは心理戦。
 心と心の戦い。
 単に刀と槍を交えたり、鉄砲を撃ち合ったりするだけでない、いくさの描写を見ることができた。

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勇者ヨシヒコと導かれし七人~第6話 パフパフは世界を救う。ムラサキ、可愛い!

2016年11月13日 | その他ドラマ
 胸タイラー国務長官のムラサキ(木南晴夏)が可愛い!

 

 女怪盗(中村静香)におっぱいを盗まれて、
「ないっ、ないっ! わたしの大事なボイン盗まれた!」
 すると、メレブ(ムロツヨシ)がツッコんで、
「いつもと全然、変わらないから。いつもこんな感じだから」(笑)

 モンスターに遭遇した時は、
「わたし、ボインがないだけで戦うことすら恥ずかしいっ!」
 すると、メレブがツッコんで、
「だから何度も言うけどさ」(笑)

 村に戻って休んでる時は、
「そう言えばボインなくなったから肩こりなくなったかもな~」
 すると、メレブがツッコんで、
「おい、貴様、前の状態で肩こりがあったならば、それはボインが原因ではない。医者行け」(笑)

 女怪盗の能力は、他人のおっぱいを盗んで自分の胸に組み込んで大きくするものだった。
 しかし、ムラサキのおっぱいを盗んだ女怪盗は、
「お前の胸を盗んでもボリュームアップはしていない」
 すると、ムラサキ、カチン!となって、
「はい、殺す~。今の発言で殺し確定~」(笑)

 というわけで、今回はムラサキの胸がイジられまくった話だった。
 がんばれ~、ムラサキ~!
 胸がなくても十分に可愛いぞ~!
 ボインという昭和の言葉を使うのもいい。
 …………………

 おっぱいをパフパフすることに関して、ヨシヒコ(山田孝之)はこんな発言。
「魔王なんかどうでもいい!
 確かに魔物ははびこり続ける。
 しかし、パフパフさえできれば恐怖から目を背け、気持ちよくなることができる。
 ということは、世界にパフパフさえ残ればそれが世界を救う。
 私のこれからの人生、パフパフだけで生きていきます。
 魔王よりパフパフ、そう決めたんです」

 確かになぁ。
 世界中の人間がパフパフすることに一生懸命になったら、争いや戦争は起こらないよな~。
 パフパフは世界を救う。
<憎しみより愛>
<争うことよりパフパフ>
 こういう公約を掲げる政治家がいたら投票するよ!


 動画はこちら。
 勇者ヨシヒコと導かれし七人 ♯6(YouTube)

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黒い十人の女 第7話~壮絶な女の戦い! お前か、私のツラにヒザ蹴り喰らわせたのは!?(笑)

2016年11月12日 | 恋愛ドラマ
 女同士の戦いが凄まじい!(笑)

 不倫をバラされたことで離婚になった卯野真衣(白羽ゆり)とバラしたことで真空跳びヒザ蹴りをくらいむち打ち症になった弥上美羽(佐藤仁美)はこんなふうに罵り合う。
「お前か? こないだ私のツラにヒザ蹴りを食らわせたのは!」
「てめえこそ人の家庭ぶち壊しやがって!」
「はあ? 不倫してるくせに、てめえの家庭だけ無傷だと思ってんじゃねえぞ!」
「今度は今度はコルセットじゃすまねえぞ!」
「おおっ、やって見ろ! 不意討ち野郎!」

 前回は、神田久末(成海璃子)と文坂彩乃(佐野ひなこ)がプロレス技を駆使して大ゲンカ!
 ブレンバスター!!
 腕ひしぎ逆十字!!
 アリキック!!

 いいのか? 女優さんたちにこんなことさせて!(笑)
 見ている方は面白いけど。
 この作品で描かれているのは、男性なら密かに抱いている〝女性の怖ろしさ〟である。
 表面的には普通に接していても、裏では、
「あの婆ぁ、許せねえ!」
「あの婆ぁ、仕切り悪くて仕事できねえよな!」
 と悪口を言って盛り上がり、
 周囲にはわからないように、足を踏み、水を掛け、カチンコで殴り、焼きゴテをあてる!
 そして、最終的には、真空跳び膝蹴り!
 これが脚本を書いているバカリズムさんの女性観?
 何となく理解できる。
 うん、きっとそうだよ。

 十股の不倫男・風松吉(船越英一郎)に対する愛憎も生々しい。
 こんな男とつき合っていたらダメだとわかっているのにやめられない。
 別れを切り出しても言いくるめられてしまう。
 別れを告げられると追いかけてしまい、捨てられそうになると泣き出す。
〝恋愛は熱病のようなものだ〟とシェイクスピアは言ったが、まさに彼女たちは熱病にかかっている。
 冷めた目で見れば、松吉は〝ただのおっさん〟なのだが、彼女たちにはそう見えない。

 人間はこうして生きていくのだ。
 愛憎、熱病、幻想、行き違い、不理解、理解、怒り、争い───これが人間のむき出しの姿なのだ。
 もしシェイクスピアが現代に生きていたら、「黒い十人の女」のような芝居を書くのではないか?
 ……………

 テレビ業界の裏側も描かれた。
 ドラマ「淡い三人の男」は視聴率4.6%で惨敗。
 スタッフはキャスティングが弱い、脚本がダメだと責任を他人に押しつけ、役者は始めから乗り気でなかったと言い訳する。
 テコ入れは〝猫〟と〝温泉〟と〝グルメネタ〟を出すこと!(笑)
 挙げ句の果てには、〝幕末にタイムスリップ〟!(笑)
 そして名言。
「視聴率をとれるドラマが面白いドラマで、面白いドラマが視聴率をとるわけではない」

 佳代さん(水野美紀)もなぁ。
 ただのエキストラに近い喫茶店のウエイトレスなんだから、役作りし過ぎ!(笑)
 ウエイトレスが社員かアルバイトかにこだわったり、ポーズをとったり、わざとコケたり、余計な芝居を入れ過ぎ!(笑)
 僕も、エキストラのバイトをしていたから気持ちはわかるんですけどね!

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トランプ大統領誕生~アメリカ国民は特権階級を潤す、新自由主義とグローバリズムに疲れている

2016年11月11日 | 事件・出来事
 トランプ大統領が誕生。
 その背景には、富める者はますます富み、貧しき者は没落していく新自由主義とグローバリズムの否定がある。
 元外務省の天木直人氏はこんなことを語っている。

「もともとグローバリズムは、“勝ち組”の政策です。
 格差が広がり、希望を持てない人を増やしてしまう。アメリカ国民も疲弊してしまった。一握りの富裕層だけが富み、中産階級が崩壊しつつあります。だから、以前から大衆の不満が充満していた。トランプはその不満を上手にすくい上げた形です。トランプが『中国が雇用を奪っている』『雇用を奪うTPPを止める』と自由貿易を批判すると、聴衆は拍手喝采し、熱狂した。
 これは“サンダース現象”にも通じる話です。ヒラリーと大統領候補の座を争ったサンダースも、新自由主義を否定し、TPPを『破滅的な協定だ』と批判して支持を集めた。
 アメリカ大統領選を通じて分かったのは、行き過ぎた新自由主義とグローバリズムが限界に達しつつあるということです。今後アメリカは、大きな転換を迫られると思う。熱心なTPP推進派だったヒラリーが、国民の強い反発を目の当たりにして『今も反対、選挙後も反対、大統領になっても反対』とTPP反対に宗旨変えしたことが、この先のアメリカを物語っています」

 的確な分析ですね。
 アメリカ国民は新自由主義とグローバリズムに疲れている。
 ちなみに僕は社会民主主義者のサンダース氏が大統領になってくれればいい、と思ってた。
 一方、日本はグローバリズムの象徴であるTPPに前向き。
 昨日の衆議院本会議で、TPPが承認されちゃった!
 国民も、アメリカほど被害を受けていないせいだろうか、「TPP、まあ、いいんじゃない」という人が結構いる。
 一方、筑波大学名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこんな警告を鳴らしている。

「例外なき関税撤廃、自由貿易が大前提のTPPに参加したら、日本の産業と雇用が破壊されるのは必至です。
 たとえば、日本が強い自動車産業だって、とても全メーカーが生き残れるとは思えない。
 まず農業、林業、漁業は、安い外国産に太刀打ちできないでしょう。第1次産業が壊滅したら、地方経済は成り立たなくなる。今でもシャッター通りだらけなのに、地方は活気を失い、本当に死んでしまう。
 新自由主義とグローバリズムの本質は、一般国民を犠牲にしてグローバル企業を儲けさせることです。世界的な大企業は潤うが、大衆には恩恵がない。だからアメリカも、産業界はTPPに賛成し、多くの国民が反対している。それでも安倍首相はTPP参加を強行しようとしているのだから、どうかしています。百歩譲って、もしメード・イン・ジャパンが世界市場を席巻している時だったら、TPPに参加するメリットがあったかもしれませんが、国際競争力が低下している今、参加するのは狂気の沙汰です。日本の富と市場を、アメリカのグローバル企業に奪われるのは目に見えています」

 確かに。
 僕もそんな気がするよ ←自分の意見がない!
 安価な輸入食材などで、僕にはそれなりにTPPの恩恵があるだろうが、地方の産業は壊滅するだろう。
 安い労働力が入ってくれば、日本人の賃金も下げられるだろうし、クビも切られる。
 そうしないと国際競争に勝てない。
 現在のアメリカでおこっていることは近いうちに日本にもやって来る。
 それと、経団連はTPP推進みたいだけど、本当に大丈夫か?
 自分の会社の技術力、商品力、海外競争力を過信していないか?
 シャープみたいな会社がどんどん出てくるような気がする。

 一方、反グローバリズムの流れが出てくると、こんな発言をする人が出てくる。
 経済評論家の斎藤満氏だ。

「この20年、アメリカのエージェントのような経済学者やエコノミストが、グローバルスタンダードだ、構造改革だと日本式の経済システムをアメリカ型に変えてきたが、果たして日本国民の利益になったのかどうか。大失敗だったのは、この20年の日本経済が証明しています。
 今からでも日本の状況に合った経済システムを探すべきです。今振り返っても、年功序列、終身雇用、系列といった日本型経営はある意味、合理的なシステムでした。雇用が守られるので、サラリーマンは結婚、子育て、マイホーム取得と人生設計を立てられた。将来不安が少ない分、消費もできた。ところが、グローバルスタンダードに合わせるべきだと雇用を壊し、非正規を増やしたために、将来不安が強まり、消費が増えなくなってしまった。最悪なのは、社内に人材と技術の蓄積がなくなったために、商品開発力まで落ちてしまったことです」

 終身雇用の日本型経営の復活か。
 これはこれでどうなんだろう?
<グローバルスタンダードに合わせるべきだと雇用を壊し、非正規を増やしたために、将来不安が強まり、消費が増えなくなってしまった>
 っていうのは当っているけれど、金融など、世界は完全に繋がっている。
 僕が政府や経団連の言うことに洗脳されているのだろうか?

 いずれにしても、今回のトランプ大統領誕生で、行き過ぎたグローバリズムにちょっと待てよ、と人々が気づき始めたことは確か。
 内向きになったらなったで、排外主義とか愛国主義が出てきて、これはこれで厄介なんですけどね。


※参照記事
「泡沫と言われた放言王トランプの勝因は反グローバリズム」(日刊ゲンダイ)

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相棒15 「ブルーピカソ」~俺はもう描けない。描いても描いても、あの贋作がついて来る

2016年11月10日 | 推理・サスペンスドラマ
 発見されたピカソの幻の絵画・ブルーピカソ。
 だが、その真贋を調べているうちにブルーピカソは贋作にすり替えられ、画商は賠償金2億円を払うことに。
 画商が贋作にすり替えられたことに気づいたのは、画を止める鋲だった。
 発見されたブルーピカソの鋲は欠けていたが、すり替えられた贋作の鋲は欠けていなかった。

 さて、この事件を素直に解釈すると次のようになる。
『犯人はブルーピカソを贋作にすり替えて盗み出し、それを闇市場で売って大金を得た』

 これを『相棒』はひと捻りした。
『犯人は画商に2億円の賠償金を支払わせるために詐欺をおこなった。
 発見されたブルーピカソとすり替えられた贋作は実は同じもの。
 欠けた鋲を欠けていない鋲に取り替えただけだった。
 すべては賠償金を得るために仕組んだこと。
 本物のブルーピカソなど存在していなかった』

 うまい捻り方ですね。
 今回は、しっかり〝トリック〟があり、ミステリしてた。
 短編ミステリにありがちなトリックだけど。
 1時間の推理ドラマはワンアイデアのトリックがあれば成り立つんですね。

 贋作画家が、絵の中に偽物であることを示すメッセージを込めていた所も捻っている。
 メッセージとは画商がよく行く店のコースターに描かれたタロットカード。
 贋作画家は、画商に気づいて欲しかったのだ。
 しかし、画商は、欠けている鋲には気づいたが、コースターのメッセージには気づかなかった。
 何という皮肉。
 贋作画家の思いも伝わってくるし、こちらの捻りの方が面白い。
 ……………………

 ドラマとしては事件に関わった三人の人物のリアクションが面白い。

 贋作をおこなった画家・三上は、
「俺はもう描けない。
 描いても描いても、あの贋作がついて来る」

 詐欺事件の発覚を怖れて、衝動的に贋作画家を殺してしまった犯人・筒井は、
「流れるあいつの血が頭から離れないんです。
 今度は私が眠れなくなりました」

 こんなふうにふたりとも罪に苦しんでいるのに対し、詐欺事件を仕組んだ一番の黒幕は、
「筒井も勝手なことをしてくれたよ。
 放っときゃあ、三上は勝手に自殺したんだ」

〝悪いやつほど、よく眠る〟
 自ら手を染めないせいもあるけれど、一番悪いやつというのは罪を犯しても何も感じない。
 逆に開き直っている。
 こういう人間にはなりたくないなぁ。
 豊洲新市場の問題でも現場の責任者の名前は明らかになったが、裏で甘い汁を吸ってる本当に悪いやつは他にいるんじゃないの?
 
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逃げるは恥だが役に立つ 第5話~醸しましょう、新婚感! 出しましょう、親密感!

2016年11月09日 | 恋愛ドラマ
 物事は形から入るのもありですよね。
〝契約結婚〟
〝火曜日はハグの日〟
 みくり(新垣結衣)と平匡(星野源)はすべて形から入っている。
 そこから感情が生まれ、恋愛に発展する。

 公園でおこなったピクニック。
 これも百合(石田ゆり子)の誤解を解くためのもので、必要に迫られてやったものだった。
 しかし、そこから様々なものが生まれた。
 平匡は子供の時の家族のピクニックでそばをがんばって食べたことを話し、みくりはそれで平匡の人柄や過去を知った。
 みくりは友人の安恵(真野恵里菜)が離婚したことを話し、平匡は、みくりが「わたしはずっと安さんの味方だよ」と慰めたことを正しいと言った。
 この平匡の言葉がうれしくて、みくりはハグしてほしいと頼んだ。
 このハグは〝形〟や〝必要〟に迫られてやったものではなく、心からのものだった。
〝形〟が〝心〟になったのだ。
 こんなふうにして、みくりと平匡は心の距離を縮めていくのだろう。
 ………………

 平匡の子供の頃のピクニック話。
 平匡の母親は父親を驚かそうと思って、父親の故郷の瓦そばのお弁当をつくった。
 しかし、父親は激怒。
 瓦そばは本来、茶そばでつくるもので、母親は普通のそばでつくってしまったからだ。
 平匡にとってピクニックはつらい思い出でしかなかった。
 しかし、これには平匡の知らない別の物語があった。
 父親が、「本物の瓦そばを食べさせてやる」と言って、母親を瓦そばの店に連れていったのだ。
 そのことが母親にとって、忘れられない最高の思い出になった。

 人と人は物語を紡ぐ。
 平匡の両親が、瓦そばピクニックで忘れられない思い出をつくったように、平匡とみくりも今回のハグ・ピクニックで最高の思い出をつくった。
 茶そばを見れば、ピクニックのことを思い出すかもしれない。
 ふたりにとって、今回のピクニックは〝心からハグをした記念日〟になった。
 みくりの〝家事労働党〟が勝利した日でもあった(笑)
 これからも、ふたりは素敵な物語を紡いでいくに違いない。

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アメリカ大統領選~トランプ氏が訴える<反特権階級><反移民>はアメリカだけの問題ではない

2016年11月08日 | 事件・出来事
 本日はアメリカ大統領選。
 先週5日(土)に放送していたNHKスペシャル『揺らぐアメリカはどこへ? 混迷のアメリカ大統領選』では、なぜドナルド・トランプ氏が支持を受けるのかを特集していた。

 トランプ氏にはふたつの支持層があるらしい。

 ひとつは反特権階級。
 アメリカは1%の超富裕層がいて99%の貧困層がいると言われている社会。
 1%は既得権や影響力を持ち、アメリカの社会を牛耳っている。
 トランプ氏はこれの打破を訴えているらしい。
 そして、この特権階級を代表してるのが、対立候補のヒラリー・クリントン氏。
 彼女はセレブで特権階級の献金を受けている。
 当選すれば、まず特権階級のための政治をするだろう。
 そんな政治はまっぴらという人たちがトランプ氏を支持している。
 ヒラリー・クリントン氏と最後まで民主党大統領候補を争ったバーニー・サンダース氏も〝反特権階級〟を標榜して、熱い支持を受けたが、アメリカには特権階級に対する根強い反発があるようだ。

 もうひとつの支持層は、反移民・移民排除を訴える白人保守層。
 彼らは移民の流入により、白人が主流派でなくなることに危機感を抱いている。
 自分の払った税金が移民のために使われることに憤りを感じている。
 だから移民排除を訴えるトランプ氏を支持している。

 <反特権階級>と<反移民>。
 これはアメリカだけのテーマではない。
 日本だって、アメリカほどではないが、格差が進み、特権階級が生まれている。
 オリンピックエンブレムの盗作騒ぎの時、ネットでは〝上級国民〟という言葉が流布したが、これはそのことの表われ。
 上の方の人間がすべてを決定し、利権を漁り、富を独占している。
 アベノミクスが主張する、〝トリクルダウン〟なんて絶対に起きない。
 今や大企業の内部留保は300兆だ。
 オリンピック予算がどんぶり勘定でどんどん膨らんでいるのに、年金がカットされるのも、その象徴。
 政府は上の人間のために富を分配するが、下の人間のためにはやらない。
 選挙前に選挙対策として、年金生活者のお年寄りに1万円を配るだけ。
 保育園問題で怒りが表明されれば、「やれやれ、仕方ないなぁ」と言ってやっと重い腰をあげる。
 だから、日本でもアメリカのトランプ現象のように<反特権階級>の運動が起こるはずなのだが、なぜか<特権階級>のための政治をおこなっている自民党を支持している。
 すっかり飼い慣らされている日本国民?
 韓国の朴槿恵大統領の件だって、一部の人間が富を独占し、特権を有していることへの怒りの表われだろう。

 反移民・排外主義に関しても、日本ではヘイトスピーチがその象徴。
 この動きは世界的に拡がっていて、英国ではイギリス独立党のファラージ氏が、フランスではフランス国民戦線のルペン氏が台頭するなど、極右政党が人々の支持を集めつつある。

 このように、トランプ現象はアメリカだけの問題ではない。
 日本を含めて、世界的にこの傾向に傾きつつある。
 そして、これらの背景にあるのは、<グローバリズム>に対する疑問、疲れ、憤り。
 グローバリズムによって移民はさらに入ってくるだろうし、グローバリズムによって特権階級はますます肥え太っていく。
 人々は実は<グローバリズム>に怒っているのだ。
 そして、偉大なアメリカを取り戻すと主張するトランプ氏に象徴されるように、皆が内向き、国家主義的になっている。

 さあ、これからの世界はどうなっていくのだろう?
 極端なグローバリズムも問題だが、極端な国家主義も危険だ。
 しかし、その極端なものがどんどん勢いを増している。
 この流れは止められないのだろうか?

※追記
 日本は保守政治家である安倍晋三氏が、グローバリズムの典型であるTPPを進めていて、メチャクチャ!
 安倍氏の立場なら、トランプ氏のように<反TPP>になるはずなんだけど!(笑)

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真田丸 第44回「築城」~この出城、仕上げよ。私が許す。私はそなたたちを信じておる

2016年11月07日 | 大河ドラマ・時代劇
「城の名は何とします?」
「決まっておる、真田丸よ」
 今回は全尺を使って<真田丸>が完成するまでが描かれた。
 籠城が決まって、幸村(堺雅人)が建てた策は、大坂城の弱点とされる南側で出城を造ること。
 この策は後藤又兵衛(哀川翔)も考えていて、幸村は出城の建造は自分に任せてくれないかと交渉。
 又兵衛は幸村から、出城によって勝つ策を聞かされて、「面白えじゃねえか!」
 いいですね、又兵衛の価値判断の基準は<功名>ではなく、<面白さ>。

 他の牢人たちも自分の動機をもって、ここにいる。
 塙団右衛門は大名になるため。
 明石全登はキリシタンの布教のため。
 そして彼らはマイペースで自分を見失わない。
 塙団右衛門は木札の名刺を配りまくって名前を売り、明石全登はいくさの前なのにミサを欠かさない。
 こういう人たちがいるチームは強い。

 しかし、大坂城の中枢は牢人たちを信用していない。
 もし、牢人たちが徳川の内通者だったら……と不安でしょうがないのだ。
 幸村も言っていたが、信用で結ばれていないチームは弱いよな~。

 以下、作品は<信用>はテーマになる。
 牢人たちは、奇しくも、大坂城の中枢に信用されていないという点で、ひとつになった。
 大野治長(今井朋彦)は直に牢人たちと話をしているだけあって、半分、信用している。
 しかし、組織人で官僚だから上の決定には逆らえない。
 木村重成(白石隼)は牢人たちの武将としての凄さに気づき、学ぼうとしている。
 しかし、大蔵卿を中心とする大坂城の中枢の<牢人たちへの不信>は変わらない。
 こんな状態に毛利勝永(岡本健一)は叫ぶ。
「俺は降りた。ここに俺たちの居場所はないぞ!」
 そりゃあ、そうだよね。
 人間、信用されていないことほど、つらいことはない。
 いい加減な思いなら割り切れるが、真剣であればあるほど、つらくなる。

 一方、幸村。
 彼は揺るがない。
 どんなに不本意な決定が出ても、次の策を探す。
 信用されていないのだから、城を出て徳川につこうと誘われても、豊臣のために戦うという。
 幸村は強い人間だ。
 この強さの根っこにあるものは何だろう?
 秀吉や石田三成のそばにいて、大きな組織というものを知っているという点では、牢人たちとは違うのだが。

 そしてラスト。
 そんな幸村を見て、秀頼(中川大志)は言う。
「この出城、仕上げよ。
 私が許す。
 私はそなたたちを信じておる」
 幸村たちは信用されたのだ。
 おおっ、感動!
 これぞ、ドラマ!
 昨年の大河ドラマでは、やたら<赤誠>が叫ばれたけど、松陰たちは反抗してるだけで、あまり説得力がなかったもんなぁ。

 最後は徳川。
 幸村が大坂城にいると聞いた上杉景勝(遠藤憲一)は複雑な顔。
 義を尊ぶ景勝は本来、大坂城にいるべき人。
 伊達政宗は幸村のことを「愚かなやつですな」と言っていたが、内心、何を思っているのか?
 家康(内野聖陽)は老いて、半分ボケていたが、出城に幸村がいると聞いて、鋭い顔に。
「真田!? また真田か!」
 登場人物がそれぞれにドラマを抱えているから、「真田丸」は面白い。

 さあ、さまざまな人間模様の中、いよいよ大坂冬の陣が始まる。

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