御用評論家田崎史郎氏が普天間問題でまた暴論
報道各社は頻繁に世論調査を実施しているが、なぜ、最大の論点である普天間問題についての国民の声を問わないのか。
鳩山由紀夫総理大臣と小沢一郎民主党幹事長の去就について問うだけが世論調査の役割ではない。
鳩山政権は沖縄県名護市辺野古付近への移設案を日米合意として発表したが、海上滑走路建設には沖縄県知事の許可が必要である。
本年11月に沖縄県知事選がある。辺野古基地建設を容認する候補者は知事選で敗北する。辺野古基地建設を認めないとの公約を示す候補者だけに知事選勝利の可能性がある。
日米政府が基地建設を決定しても、実際には工事に着工できない。
結局、①辺野古案の実現可能性は低く、②現状維持、か、③グアム・テニアンへの移設、しか現実的な候補はない。
世論調査は日本を揺るがしている普天間問題をどのように解決すべきかについての国民の声を聞くべきである。世論調査で調査すべきことをまったく調べず、世論調査を民主党攻撃の道具としてしか使わないから、マスメディアはマスゴミと呼ばれるのだ。
①名護市民が基地移設拒絶の民意を表明したにもかかわらず、辺野古海岸に軍事基地を建設することを適切と思うか。
②海兵隊の沖縄残留が「抑止力」の視点から日本にとって不可欠だと思うか。
③グアム・テニアンが普天間基地移設受け入れを表明しているが、グアム・テニアンへの移設案を積極的に検討するべきだと思うか。
米国は海兵隊拠点をグアムに移す方針をすでに決めている。しかし、できれば、日本政府の費用負担で、沖縄に最新鋭の軍事拠点を確保したいのだ。自民党政権時代に日本政府が米国の要求を呑んだからには、この果実を手放したくないというのが米国の考えである。
鳩山総理はグアム・テニアンへの移設を決断するべきだった。そのうえで、2014年までにグアム・テニアンの受け入れ態勢が整わないことへの対応として、キャンプ・シュワブに必要最小限の設備を設置することを検討すべきだった。
普天間問題は現時点でまったく決着していない。今後の検討に際しては、グアム・テニアンへの移設を軸にして、付随措置として暫定措置を検討すべきである。
5月29日放送のTBS番組「ニュースキャスター」で、御用偏向評論家の田崎史郎氏がまた暴論を吐いた。
普天間問題に対して国民の関心がここまで高まったことは、鳩山総理の功績であって失点ではない。沖縄県がこれまでどれだけの犠牲と負担を強いられてきたか。現時点においても、在留米軍の75%が沖縄に集中しており、沖縄県の10%が米軍に占領されている。
普天間の県外・国外移設は沖縄に住む人々の心の叫びであり、普天間問題が拡大したことで、日本国民全体が問題の存在への理解をわずかでも深めたのは事実である。
それを、田崎氏は、やっと辺野古で決着しかかったのを鳩山総理がすべて台無しにしたとの発言を示した。
国論を分けるような重大な問題であるなら、問題の存在を明らかにして、主権者国民の審判を仰げばよいのだ。問題が表面に出て、全員参加で論議を深めた結果として、日本国中、どこへ行っても米軍基地建設拒絶の反応が示されているのではないか。
日本が民主主義国家で、国民に主権があるなら、主権者国民の総意で米軍基地拒絶の意思が確認できれば、これが日本国の決定にならなければおかしいではないか。
問題を表面に出して、じっくり全員参加で論議をすれば反対になるのだから、そのようなオープンな論議をせずに、どこかにうまく押し付けることができれば、それでいいじゃないか。せっかく寝た子を起こすのはけしからん。
田崎氏の主張はこのようなものだ。
同じく御用発言を繰り返す芸人の北野たけし氏。
麻生元首相としゃべったら、「せっかく辺野古にきめたのに」とぼやいていたと発言した。
二人の発言は、両名が国民主権の根本をまったく踏まえていないことを鮮明に示している。
全員参加の論議をして、米軍基地拒絶の結論が出るなら、それしか答えはない。密室で協議をして、利益誘導で一部関係者を籠絡し、主権者国民の総意を確かめることもなく政府が勝手に合意を作り、皆が知って大騒ぎになる前に既成事実を作ってしまえとの判断で政府が動くなら、そのような政府は反主権者の政府である。
主権者は国民であることを忘れてはならない。。主権者の意思と離れたところに政府が存在し、政府独自の利害が存在して、国民にはすべてを知らせず、ただ、政府が決めたことを受け入れさせる、被支配者として国民を捉えているなら、それは思い上がりも甚だしい。
そもそもの問題は、沖縄のかけがえのない大自然を破壊し、沖縄の人々に過酷な負担と犠牲を強いる、米国の要求した基地建設を旧政権が決定してしまったことにある。
鳩山総理がいま厳しい批判を浴びているのは、このような日本の主権者国民の意思に反する辺野古海岸破壊滑走路建設案に鳩山総理が回帰してしまったからなのである。
田崎氏は鳩山総理が普天間問題を重要政治課題として取り上げたことが間違いだったと批判するのだが、問題の本質をまったく理解していない。
普天間代替施設が沖縄に必要であるかどうかを決めるのは、主権者国民である。だから、この問題についての世論調査が不可欠なのだ。
田崎氏の主張を敷衍(ふえん)して考えれば、世論調査をして問題を国民全体で考えれば、辺野古海岸破壊滑走路建設に反対の国民の声が噴出するだろう。だから、そのような問題を提起した鳩山総理の罪は重い。このような問題は、皆が気付かないように処理すべきなのだ、ということになる。
言語道断の思考回路である。このような人物が大手を振ってテレビに登場しているのが、いまの日本の悲しい現実である。
国民に問題を提起し、国民が総意で、米軍基地建設拒絶の意思を示したのだ。
鳩山総理の最大の誤りは、このような民意が鮮明に示されたにもかかわらず、主権者国民の意思を無視して、米国の言いなりになってしまったことだ。この点で、鳩山総理は致命的な誤りを犯したと思う。自民党が犯した重大な誤りとまったく同じ誤りを犯したことが問題なのだ。
政局については稿を改めるが、現在日本の最大の問題は、日本の政治が主権者国民に支配されずに、米国に支配されている点にある。
対米隷属に賛成か反対か。この問題を今後の政治対立の軸に設定するべきであると思う。米国に言うべきことを言うためには、揺るがぬ政治信念と、強固な意志が不可欠である。社民党はひとつの筋を通したが、民主党内でこの大業を担えるのは小沢一郎氏しかいない。
政権を代えるなら、小沢氏が副総理・外務大臣として入閣することが強く求められる。
最悪のシナリオは、対米隷属の二大政党制が生まれることである。日本の支配者米国は、日本に対米隷属二大政党制を生み出そうと画策している。社民党排除はその第一ステップである。自民・民主大連立構想も、究極の狙いは対米隷属二大政党制構築にあったと思われる。
この重大な問題については稿を改める。