格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

原発事故加害者救済で被害者切り棄ての不条理

2014-05-28 20:07:21 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

原発事故加害者救済で被害者切り棄ての不条理




5月27日付東京新聞(=中日新聞)『こちら特報部』は、


「棄民化の策 帰還を強要」


の見出しで原発放射能汚染地域の住民が国や県によって棄民化されている現実を伝えている。


「チェルノブイリ原発事故で旧ソ連は年間積算線量1~5ミリシーベルトの区域を「移住権利ゾーン」と設定し、住民が移住を設定した場合、住民が失う家屋などの財産を補償した。


日本では20ミリシーベルト以下の地域で帰還を促し、もしも拒否すれば、その後の生活は自己責任とされてしまう。」


と記述する。


旧ソ連と現在の日本。


どちらが人の生きる権利、人権、生存権に強い配慮を示しているのか。


この事実ひとつでも、実態がくっきりと浮かび上がる。


『美味しんぼ』は休載に追い込まれたが、原作者の雁屋哲氏の主張を排除する正当な理由は存在しない。


雁屋氏は福島県に居住するすべての住民の鼻血が出るなどとは一言も言っていない。


鼻血が出た人がいる事実、その人が述べた「多くの人が、鼻血が出る体験をしている」の発言を、事実通りに描写しただけだ。


その上で、低線量被ばくの潜在的なリスクを重視する考えを示した。


低線量被ばくの健康被害の実態は十分に明らかになっていない。


しかし、低線量被ばくでも健康被害は起こり得るとの見解を示す専門家は多数存在する。


この見解を否定し切る根拠は存在しない。

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『美味しんぼ』第604話「福島の真実」24は、登場人物の海原雄山の口から次の言葉を表出させた。


「福島に住んでいる人たちの心を傷つけるから、
住むことの危険性については、
言葉を控えるのが良識とされている。」


「だが、それは偽善だろう。」


「医者は低線量の放射線の影響に対する知見はないというが、

知見がない、とはわからないということだ。」


「私は一人の人間として、福島の人たちに、
危ないところから逃げる勇気をもってほしいと
言いたいのだ。」


「特に子供たちの行く末を考えてほしい。」


「福島の復興は、
土地の復興ではなく、人間の復興だと
思うからだ。」


そして、こう付け加える。


「では、われわれにできることは。」


「福島を出たいという人たちに対して、
全力を挙げて協力することだ。」


「住居、仕事、医療などすべての面で、
個人では不可能なことを補償するように
国に働きかけることだ。」

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国の政策に対する強烈なメッセージ、批判が込められている。


いまの安倍政権の対応、佐藤雄平氏が率いる福島県の対応は、この真逆である。


放射能に汚染された地域で、いま、急ピッチに避難措置解除が推進されている。


完全な安全を確保し、住民を帰還させるのではない。


避難に伴う財政負担を軽くするために、避難措置を解除しているだけなのだ。


チェルノブイリでは年間積算線量1~5ミリシーベルトの地域は「移住権利ゾーン」とされた。


それが、日本では年間積算線量20ミリシーベルトの地域で帰還を促し、補償を打ち切る措置が取られるのである。

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『美味しんぼ』が排斥されたのは、『美味しんぼ』が正論中の正論を提示するからである。


このような「正論」が浸透すれば、国と福島県による「棄民政策」の推進は妨害される。


福島県は住民帰還を強行するために、空間線量をできるだけ低く見せるための工作を行ってきた。


住民の生命と健康を第一に考えるのではなく、財政負担の軽減だけを考える姿勢である。


原発事故を引き起こした東電は実質債務超過状態にあり、法的整理を実行して、関係ある当事者の責任を問う必要がある。


経営者、株主、債権者の適正な責任が問われる必要があるが、この責任は免除され、国が救済している。


一方で、罪のない住民の被害は共済もされず、放置されている。


このような理不尽、不条理が放置されている。


それが、いまの日本なのである。







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