国会空転与党暴走を霞ませるためのスピン報道
マスメディアが連休を控えて人心の誘導を図っている疑いが濃厚である。
現時点の最大の問題は、政権の失態とこれに対峙する野党勢力との闘いである。
森友、加計問題が一段と深刻化している。
そこに追い打ちをかけたのが財務省前事務次官福田淳一氏のセクハラ問題である。
音源データの内容まで公開されて、事実を否定しようがない状況下で福田氏は事実を認めず、麻生財務相は被害者を攻撃する暴挙に打って出ている。
野党の麻生財務相辞任要求は適正である。
他方、加計疑惑では安倍首相が2015年4月時点で加計学園の獣医学部新設意向を認識していた疑いがさらに強まっている。
柳瀬唯夫元首相秘書官が2015年4月2日に首相官邸で加計学園関係者と面会したことを裏付ける証拠が次々と明るみに出た。
野党が柳瀬唯夫氏の証人喚問を求めていることも適正である。
これに対して安倍政権与党は野党の適正な要求に対してゼロ回答を示したまま、野党が審議に応じないなかで国会を空回ししている。
空前絶後の横暴な国会運営である。
メディアは本来、最重要の緊迫した国政の現況を市民に伝える責務を負っているが、これを十分に報じない。
メディアが提供する情報空間を独占しているのはアイドルグループメンバーの不祥事である。
2月の事案がこのタイミングで公開された。
典型的なスピン報道である。
これまでもメディアは、重要な政治問題が浮上する、あるいは、国政選挙が近づくと、有名人の麻薬事案を取り上げてきた。
政治権力がタイミングを計って、メディア空間を占拠する素材を公開しているのだと考えられる。
最重要問題である国会空転と与党の暴走を報道せずに、芸能ネタで情報空間を占拠させる。
ゴールデンウィークに突入すれば市民は政治問題に対する関心を薄めるとの浅知恵に基づいて、メディアに指示して情報をコントロールしているのだと考えられる。
近年の特徴は、市民がインターネット空間から情報を得る比率が高くなっていることである。
その際に強い影響力を有するのが大手のポータルサイトである。
グーグルやヤフーなどの大手ポータルサイトがニュースサイトで提供するトップニュースの構成と配置によって、情報空間における各ニュースの位置付けがコントロールされる。
国会空転、政権不祥事、与党暴走の情報をトップニュースとして繰り返し報道し続ければ、問題は確実に拡大する。
しかし、これらの重大ニュースをトップニュースから外して、別の話題で占拠させ続ければ、問題は縮小することになる。
福田前次官の問題も、メディアの取り扱いの大きさによって、情報空間における位置付けが激変するのである。
柳瀬元秘書官の証人喚問と麻生太郎財務相の辞任問題をトップニュースで報じ続ければ、問題は確実に拡大し続けるのだ。
インターネット上の大手ポータルサイトも大資本そのものであり、大資本のための政治を実行している安倍政権にとっては、こうしたインターネット上の大資本を含めて、大半のマスメディアが支配可能な事業者である。
安倍政権はメディアに指令することを通じて、情報空間に流布される情報を強くコントロールしているのだと考えられる。
次から次へと噴出するスキャンダル、不祥事に対して、安倍政権は真摯な対応を示していない。
「膿を出し切る」と口では言いながら、何もせずに、暴走を続けている。
本来、社会の木鐸として、政治権力の腐敗、暴走を糾弾する役割を担っているはずのメディアが、権力の御用機関と化して、権力のための情報操作に加担している状況が、日本政治の転落を加速させているのである。
まさに、何から何まで 真っ暗闇よという現実が広がっている。
ここで重要になるのが主権者の意識と行動だ。
メディアの情報操作を見抜いて、メディアの情報誘導、情報操作に流されない鑑識眼を持って、毅然と行動しなければならない。
安倍政権と対峙する野党は、ここで屈してはならない。
与党が真摯な姿勢を示さずに暴走するなら、その暴走を主権者国民にしっかりと見てもらう努力を続けるべきだ。
暴走しているのは与党であるから、野党議員は街に出て、主権者に直接、与党の横暴を訴えるべきである。
主権者多数が野党の毅然とした行動を肯定し、容認する。
麻生財務相辞任、柳瀬唯夫氏証人喚問を獲得するまで野党は引くべきでない。