消費税の「逆進性」について

2012年07月16日 | Weblog

 梅雨真っ只中、じめじめした天気が続いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。九州では先週から記録的豪雨が続き、多く方が犠牲にあわれました。心よりお見舞い、お悔やみ申し上げます。

 さて、本題に入ります。国会に目を向けてみますと、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の採択では民主党から多数の造反議員が出ました。そこで、今回は消費税にスポットを当てて、消費税に潜む問題点として度々取り沙汰される「逆進性」についてお話をしたいと思います。

 皆さんご存じのように消費税は消費に対して5%の税金がかけられています。これは高所得者も低所得者も同じ、平等です。しかし、所得全体に対する消費の割合でみてみると高所得者の方が消費に回す割合が少ないので消費税の負担割合が低くなります。例えば所得が1,000万円(500万円を消費し、500万円を貯蓄します。)の人と100万円(全額消費します。)の人を例に挙げてみますと、高所得者は500万円×5%=25万円で所得に占める割合は2.5%、低所得者は100万円×5%=5万円で同割合は5%という結果になります。

 本来租税は、等しい状況にある者には等しい負担を、そして異なる状況にある者にはそれに応じた負担(所得が多くなるにつれ、より多くの税負担を求めるということです。)であるべきとされていますので、先の消費税の税負担はこれに反しています。ここに消費税の逆進性が問われることになります。

 そこで、解決策として、食料品などの生活必需品に対しては税率を優遇するという方法もありますが、この場合でも高所得者の方が低所得者よりも食料品等を購入する額が大きいのですから、逆に高所得者の方が減税メリットを享受することになり、逆進性の問題は解決されません。

 次に、この逆進性の対応策として浮上しているのが米国、欧州などで既に取り入れられている「給付付き税額控除」といわれるものです。低所得者の場合、各種所得控除や税額控除があったとしても、それを差し引くだけの所得、税額が無いこともあります。「給付付き税額控除」とは差し引く所得・税額を全額控除して、マイナスになればそれに税率を掛けて逆に給付(もともと納付が無いので還付ではなく給付が正しいと思います。)を受けるものです。

 以上の対策は、消費税増税を念頭に考え出されたものになります。しかし、個人はまず所得を得た段階で、所得税が課され(高所得者には高い税率を適用しています。)、そこから消費した分について消費税が課され、消費しなかった分については贈与税・相続税の適用を受けるのです。消費税だけではなく、税制全体で何が公平なのかを考える必要があると思います。

 今後消費税が増税路線であることや、末端の消費者にまでその影響が及ぶことを考えると、消費税の問題は無視できない存在になってくるはずです。もっと関心を持って、これからの動向に注視していきたいと思うのです。