遺産分割の前に、その相続に係る相続人が死亡した場合

2015年08月17日 | Weblog

みなさん、こんにちは。

福岡は、山笠も終わり、暑さも日に日に厳しくなっておりましたが、最近は、暑さにも慣れたせいか、若干暑さが和らいだような気がしております。

本日は、お盆休み明けということは関係ないですが、遺産分割について、稀にある事例について書いてみたいと思います。

【事例】

父親が亡くなって、その遺産分割が終わらないうちに、母親が亡くなりました。家族構成は、父親と母親の間に2人の子供がいる場合。遺言等は特になし。

【取扱い】

この場合、父親の遺産分割については、通常、その相続人である母親と子供2人が遺産分割協議を行うことによって、父親の財産を分割いたします。

今回の場合、その遺産分割協議が終わらないうちに、父親の相続人の一人である母親が亡くなりました。

その場合、残された相続人である子供2人が、父親の相続財産について、遺産分割の内容を自由に決めることができます。

つまり、母親が亡くなっていても、母親が父親の財産を取得する遺産分割はできますし、母親がまったく父親の財産を取得しない遺産分割とすることもできます。

父親の遺産が分割されましたら、母親の遺産が確定されますので、それをもとに、母親の遺産分割協議を行います。

 

ただし、この場合の相続税について注意することと致しましては、以下のようなことが挙げられます。

・「配偶者に対する相続税額の軽減」「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」「特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例」については、相続税の申告期限までに遺産が未分割である場合は、適用することができない。ただし、原則、申告期限から3年以内に分割された場合には、適用することができる。

・「農地等についての相続税の納税猶予」「非上場株式等についての相続税の納税猶予」については、申告期限後に遺産が分割された場合でも、適用することができない。

 

以上のように、遺産の分割の内容によっては、上記特例等が適用できないことにより、納税負担が大きくなることもございますので、よくご検討いただいてから、遺産分割の内容等を決めてください。

 

 

吉野直樹