皆さん おはようございます。本日は思考をかえてあるお客様から相談があった「うちの社員は交渉やコミュニケーション力が弱いどうしようか?」という案件を振り返って書いてみました。社内の交渉コミュニケーションでトレーニングをして外部にも役立てようという内容ですが 皆様のヒントになれば幸いです!
①対立を避けるための社内交渉分析
ビジネスではさまざまな利害関係 者が、相手からより有利な条件を 引き出して取引をしたいと考えています。そのため、交渉を通じてそれぞれの主張を調整しながら進めて いくのが通常です。 こうした交渉が必要なのは、社外 の関係者との間に限りません。例え ば製造業の場合、生産部門は「増 産よりも製造ラインの安定稼働や 品質維持」、販売部門は「製造ラインの安定稼働よりも増産による収 益の確保」をそれぞれが主張して、 双方が譲らないといったことが考え られます。 また、部門間で主張が異なる場合、双方の主張とも間違いではな いことが多く、仮にどちらかが妥協 をしたとしても、遺恨を残すような 形にもなりかねません。 将来的な部門間の対立や深刻な 衝突につながる事態を回避して、 双方が納得を得られるようにするために、調整も必要となります。
② 交渉を始める前に注意すべき点
交渉を行う前に注意が必要なのが、心理的なバイアスの問題です。 例えば同じ事象でも、個人によって 捉え方が異なります。これを心理学 では「フレーミング」(枠付け)と呼び ます。フレーミングには、所属する 組織の文化や個人の経験が強く影 響しており、これを完全に排除する ことはできません。同じ製品でも、 売れると思うか売れないと思うかが 人によって異なるのはこのためで す。こうしたフレーミングから抜け出 すためには、「リフレーミング」(再枠 付け)を試みます。具体的な方法と して「人や場所を変える」「第三者に 同席してもらう」などがあります。ま た、「相手が知らない情報を提供し、 気付きを与える」ことも有効です。 交渉に当たり、相手が「こちらの考えを理解しない」と腹を立てるの ではなく、例えば少しでも多く売り たいと考えている販売部門と、常に 生産ラインを安定稼働させたい生 産部門とでは、考え方の基となるフ レームが異なるという認識が必要 です。 こうした心理的バイアスはフレー ミング以外にも数多くあり、それら を完全に排除することはできませ ん。しかし、少なくとも「双方に心理 的なバイアスがある」ことを知るだ けでも効果があります。
③ 押さえておきたい交渉の基本 交渉に当たっては、心理的バイア スを軽減し、人と問題を切り離した 上で状況を整理してみます。そうすると、表面的な主張は激しく対立し ていても、双方が本当に望んでいることを考えていくことで、交渉の突 破口を見つけることができます。 この、双方が本当に望んでいる ことを満たす合意案を考えること が、「Win・Win(ウィンウィン)」の 関係構築です。相手が本当に望ん でいることは、相手が譲れないこと ともいえます。これを知らないまま でWin-Winを目指せぱ、表面的 な妥協を繰り返すことになりかねません。 交渉は駆け引きではありませんが、善い人同士の譲り合いでもありません。合意のために自分の要求レベルを下げ続ける人もいますが、これでは交渉をする意味がありませ ん。自分の要求を通しながら相手とうまく交渉するためには、押さえるべきポイントが3つあります。
1つ目が「留保価値」です。留保 価値とは、「それ以下の条件では合 意しない」という交渉の最低ライン のことです。
2つ目が「ZOPA(ゾーパ、Zone ofPossibleAgreement)」です。 これは、双方の留保価値の間のことで、「交渉の余地はあるのか?」とのフレーズをよく聞きますが、つまり 「双方の留保価値が重なり合っているか」ということです。
3つ目が「BATNA(バトナ、Best AlternativetoNegotiated Agreement)」です。これは、足元 の交渉が決裂した場合、次に取るべき最も好ましい代替案です。対外的な交渉では、当事者がそれぞれ のBATNAを持って交渉に当たることになります。一方で、社内会議で の交渉では、基本的に交渉が成立 しないということを前提にしていないため、BATNAを持って交渉に当た るということはありません。
④社内交渉で強い企業を目指す 部門間で譲り合ってばかりいては、会社の発展は望めません。それ ぞれの部門が責任を持って主張を し合うことは会社にとって必要なこ とです。一方で、各部門が意地の張り合いのような対立や深刻な衝 突をすることは、会社全体の雰囲気 を悪くします。社内の協力体制が発 揮できなくなり、競争力が失われて しまいます。 社内交渉は、社外との交渉とは 異なり、お互いが合意に向かうこと が前提です。また、社内会議では 基本的に必要な資料や情報は開示 されています。交渉に必要なこうし た要素がそろった状況で、「衝突、 確認、合意」のプロセスを繰り返す ことにより、社員の交渉力を高める ことができるでしょう。そういった意 味で社内会議による交渉は、相手 が本当に望んでいることを知る訓練 や社員の交渉力を高めるための格 好の機会です。 経営者は、そうした有意義な社内 交渉の経過を見守りつつ、時に部 門間の対立が深刻なものに向かっ ていかないように配慮するようにしましょう。
社内の部門間の会議等で悩まれている皆様 ③の3つのポイントを少しだけ思い出してみてください!
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MG