言葉のチカラ

2017年06月19日 | セミナー

「実力からすると望外(ぼうがい)の結果」、「僥倖(ぎょうこう)としか言いようがない」。連勝止まらぬ藤井四段のあどけない表情からは想像できない難しい言葉に、私は恥ずかしながら辞書を引いた。

 

ひと昔前までは互いに連絡をとりあう手段といえば電話かメールだった。それがいつの間にかFacebookやLINEに変わり、このような難しい言葉といよいよ縁のない生活にどっぷりとつかってしまっていたと気づく。それはそれで、LINEのスタンプひとつで気持ちを通じ合えるというのも現代人ならではの優れた表現力なのかもしれないが、藤井四段が格好良くこのような難しい言葉を使っていると何だか私も難しい言葉を使ってみたくなり、今日はひとつ言葉のお話を差し上げようと思う。

 

私たちは仕事柄様々な業種の方とお会いするのだが、特段言葉の使い方に気を付けなければならない業種がひとつだけある。それは医療の世界だ。院長先生方の中には「売上高」「儲け」という言葉をあまり好まない方もいる(大好物だ!という先生もいらっしゃいますが笑)。そのため私の場合は、一貫して「売上高」を「医業収益」という言葉に置き換えていつも話をさせていただいているのだが、それでもひとつだけ困る場面がある。それは儲け(利益)の表現だ。一般企業なら「社長!すごいですね。儲けまくってたまりませんね!」なんて話もできるのだが、医療の世界において「院長!儲けまくってたまりませんな!」なんて二人でニヤニヤするのはどうもしっくりこない。医療であれ経営をしている以上、利益が生まれ資金がまわる状態というのは望ましいことであるのは間違いないのだが、儲けということを100%の喜びを持って表現していいものかいつも悩む。利益追求、言うなれば「儲け」という言葉が「商売くさい」のだ。そんな、儲けという事象をもっと上手に表現できる言葉はないかと考えていた折、なるほどと思える言葉に出会った。

 

それは落語で用いられていた「信頼」という言葉だ。利益が生まれる、儲けがでるということを噺の中では「信頼が集まる」という言葉で表現することがある。医療機関において、儲けがでる、そしてその儲けが膨らむということは、患者様からの信頼が集まり、その信頼が大きくなることと同意なのだと考えると100%状況を喜べるのではないか、そう思った。

 

粋な時代の言葉の使い方。信頼。いい言葉ですよね。医療機関に限らず、「今日一日頑張って得たお金は、誰かからあなたへ支払われた信頼」なのだと考えると、この忙しい毎日でもまた一歩頑張れるのではないでしょうか。

 

税理士法人恒輝では、ヒト・モノ・カネの相談に限らず、小さな悩みから大きな決断まで、税理士・社会保険労務士・弁護士・司法書士・行政書士を中心に据えた強固なネットワークで皆様の未来を応援しています。定期的にセミナーや各種相談会等を開催しておりますので、ご興味いただけた際には是非ともお気軽にご参加ください。

 

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監査部一課/医療経営支援部

原浩恭


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