福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

地蔵菩薩三国霊験記 8/14巻の13/13

2024-09-24 | 先祖供養

地蔵菩薩三国霊験記 8/14巻の13/13

十三、  田に水を入れ信者を助給ふ事

出雲の國八重と云里(島根県松江市)に下男一人侍りき。地蔵菩薩に事(つかへまつ)り現当二世の所願併しながら叶ふと申すえんふん事を聞き傳へて深く頼み奉りけり。彼は田を作る夫なれば夏の程は安く目も閉ることなく田の水口に夜を明かし日を送りける。されども名号は口に絶へることなし。折節旱して田に水をえがたくしてあれば、水を論じて喧嘩に及び半死半生に打ちおぼれて東西を失ひて臥してけるが独言にさても心憂ことかな。地蔵を頼み奉るほどに如是の事はよもあらじ、とこそ思ひしに何の利にもなり玉はぬことよ、と恨み申してぞ臥してけり。されば彼の田に小僧一人立ふさがりて水を引き玉ひけり。傍の人の云く、さのみ一方へ水を引玉ふべからず。先日ゆゆしき水論ありて大事に及びき。田主に傭はれて案内をしりたまはで水を引き玉ふかとぞ申しければ、水をまかせやみぬ。或人是を見て餘りに此の法師水を心のままに引く悪さまとて物の影より忍びよりて中指引きつめ射ける。小僧矢を躰付けられて失にけり。次の日隣の人々あさましき事に思て問ければ、彼の俗つやつやさることはなしと申しけり。あまりあやしく思て年来安置したてまつる地蔵を拝み奉れば御足に土付玉ひて御後に矢を一筋負ひて御座す。男泣く泣く矢をぬき奉り天に仰ぎ地に伏して悲しみける。見聞の里人歩をはこぶこと斜めならず。されば信を致す輩は利生を蒙りしたらざる輩は感應虚し。世間の人是を水引地蔵と申して霊験無双利生きはまりなし。田夫野人の者までも此の尊を尊敬すべし。

引証。十輪経に云、或いは甘露の雨と為り、或は水を求むる為に、或稼穡の爲に乃至若し諸有情種子を以て荒田或は熟田中に殖へて、若し勤めて營務し或は營務せず、能く至心に地藏菩薩摩訶薩を稱名念誦歸敬供養する者有らば、此の善男子、功徳妙定威神力の故に、彼の一切の果實をして豐稔ならしむべし。(大乘大集地藏十輪經序品第一「或爲甘雨或爲求水或爲稼穡或爲扇 拂或爲涼風或爲求火或爲車乘或爲男 女或爲方便或爲修福或爲温暖或爲清 涼或爲憶念或爲種種世出世間諸利樂事。於追求時爲諸憂苦之所逼切。有能至心稱名念誦歸敬供養地藏菩薩摩訶薩者。此善男子。功徳妙定威神力故。令彼一切皆離憂苦意願滿足。隨其所應安置生天涅槃之道。隨所在處若諸有情以諸種子 殖於荒田或熟田中。若勤營務或不營務。有能至心稱名念誦歸敬供養地藏菩薩摩訶薩者。此善男子。功徳妙定威神力故。令彼一切果實豐稔」)。

地蔵菩薩三国霊験記巻八終

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