福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

地蔵菩薩三国霊験記 8/14巻の9/13

2024-09-20 | 先祖供養

地蔵菩薩三国霊験記 8/14巻の9/13

九主人の姧氣を免さしめ給ふ事

美濃の國遠山の某丸と申す武士の中に使ける者に猿尾の七郎儀継とて武勇人にすぐれ有徳の仁ありしが、平生後世の事を心にかけて居たりしに或僧来たりて教内教外の説、有漏無漏の行相、如来の内証外用凢聖二の分別上極楽より下地獄のありさま、ことごとく講演して中にも一切衆生の代苦、奈落の底にも入り玉ふ地蔵菩薩こそ僧の形をあらはして誓願きはまりなきく勤めに浄不浄をえらばず、ひとえに名号を唱ふるを先にせよと説き玉へり。忝き薩埵の大悲にあらずやと涙をながして申しければ七郎此の言下に得心して一向に他念なく地蔵の行人とぞ成りぬ。されば常灯をかかげ香をたき花を供し少しも怠りなくぞ修しける。然るに不慮に主命にそむきけることありて、是非なくて退出す。天晴危うきを見て命を捧ぐ君の為に一人當千の思ひおこり勵したるに今に後悔し玉ひなん。南無地蔵と申しけり。但し本尊あり。當所に一宇の堂を建立して地蔵菩薩を安置し奉らんと営みけるに、未だ半造作にて侍る事を悲み大勧進にたのみたる僧を招きて申し付けるは吾塵世露とはきへぬるとも彼の堂を造り玉へ。生々世々の芳恩なるべしと、深くたのみ入り、某存命の間は合力申さんと堅く約束しけり。主人あまりに腹を立て彼の新造の寺にも妨げをなしけれども、聖人少しもさはがず、是は私の願なり。奉賀に入り玉はば誰も十方檀那たるべしと云て身命を軽じて造立す。若し法師が頸を切り玉はば亡魂悪霊となりて猶一入大きに伽藍を建立して當所を寺領となさん。南無地蔵と申して眼を見出して拳を握り七日まで断食す。主人も何とか思はれけん使者をもて述玉ふ。某あやまり申したり造営心の任たるべし。不足の事あらば合力し奉るべしと云ふ。聖眼をくはっと見出し拳をにぎり臂をはり歯を咬居たるさま、偏に夜叉の如し。使は急ぎ立ちかへり哀れ御奉加あらばめでたかるべしと申して私宅にかへり、打ち伏し十日ばかり悩みけるを見る人と聞く人をそれをなして助成合力奉加して終に建立し畢んぬ。七郎も主人あやまりたる由にて使いをもて召し返し弥よ目出度くさかへける。彼の聖を尋ね、悦び申さんとて寺を見れば更に見へ玉はず。錫杖ばかり残し置給ふ。正に是れ真佛現前し玉ふとぞ。

引証。十輪経に云、若し諸有情互相び乖違し諸鬪諍を興し、能く至心に地藏菩薩摩訶薩を稱名念誦歸敬供養する者あらば一切皆毒害心を捨て共に相和穆し歡喜忍受展轉悔愧し慈心を相ひ向ふことを得ん。(大乘大集地藏十輪經序品第一「若諸有情互相乖違興諸鬪諍。有能至心稱名念誦歸敬供養地藏菩薩摩訶薩者一切皆得捨毒害心。共相和穆歡喜忍受展轉悔愧慈心相向」)。

 

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