文豪の釈教歌
「廬舎那仏仰ぎて見ればあまたたび 継がれし首の安げなるかな」(森鴎外、大正11年「明星」)
「おりたちて今朝の寒さを驚きぬ露しとしとと柿の落ち葉深く」(伊藤左千夫、大正元年「アララギ」
「なにごとぞ手向けし花に狂ふ蝶」(夏目漱石、明治二十四年)
「垂乳根と詣でに来れば麻生やま 子供あそべり御仏の前」(北原白秋、大正3年)
「比叡山の古りぬる寺の木がくれの 庭の筧を聞きつつ眠る」(若山牧水、明治40年)
「わが性のよきもあしきもみ仏に ささげまつりて空しくしある」(岡本かの子、昭和4年)
「いずこにもわれは行かましみほとけのいましたまはぬ処なければ」(岡本かの子、昭和4年)
「あまつ陽を空に仰ぎて乞ひ祷るひたごころのみ我に残れり」(岡本かの子、昭和4年)
「塵点の劫を過ぎていましこの 妙のみ法にあひまつりしを」(宮沢賢治、昭和6年)