「弘法大師から親鸞、道元へは同質的なものの発展を見て取ることができる。弘法大師によれば他受用応化身(仏が衆生を導くためにとる姿)の随機説法が顕教で、自受用法性佛の内証智の境を説くのが密教ということになる。いいかえれば全く形を越えた宇宙そのものの絶対佛がそのまま果てしなき冥想を享受しているというのが毘盧遮那仏の自受用三昧に外ならない。これが密教の根本三昧である。・・・道元の根本的立場もまたこのような密教の三昧と全く同質である。「たとひひと時の座禅であろうとも自分の身口意の三つの働きに、そのまま佛の印をつけて三昧に端座するとき、全世界がみな佛の印となり、全虚空がことごとく悟りとなる。諸仏如来はますます法楽を増し、迷界の衆生も十方世界の万物も大解脱を実現し、すぐれた法輪を転ずる。これらの悟りがさらに自分に還ってきて互いに通じ合うから、ついに座禅人は身心脱落して天真の仏法に証入することができる」。
親鸞 においては、弘法大師や道元における佛の自受用三昧が、本願力に対応する。本願力が自受用三昧と同じである。「弥陀佛の本願を憶念すれば、自然に即の時に必定に入る」
(「仏教の根底にあるもの、玉城康四郎」)
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