福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

善財童子の訪問者と教え(華厳経入法界品)54

2019-10-23 | 諸経
善財童子の訪問者と教え(華厳経入法界品)54
五十三番目、南方海澗(かいかん)国大荘厳園林  彌勤菩薩
徳生童子と有徳童女は「此の南方に一国土あり、名けて海澗という、彼に園林あり、大荘厳蔵と名く。彼の林中において大楼観あり、厳浄蔵と名け、菩薩の往昔の善根をおこせし所なり。・・彼の園中に菩薩摩訶薩あり名けて弥勒といい・・・汝かしこに詣でて問え・・」といいます。
善財は弥勒菩薩を訪ねていく途中ですでに「空・無想・無願」の三昧に入ります。そして弥勒菩薩にまみえていつものように菩薩の道を問うと、弥勒菩薩は善財童子の菩提心を誉めて菩提心の徳を延々と述べます。
そして善財の頂を撫でて授記します。さらに楼観に善財を入れて菩薩の不思議力を見せ一切は幻で諸行無常と説きます。
「爾時彌勒菩薩、如是等の善財の諸妙功徳を讃歎するを以て無量衆生をして道心を発しめ已りて、善財に告げて言く、『善哉善哉、童子よ、乃ち能く阿耨多羅三藐三菩提心を發し專ら一切佛法を求め、一切世間を饒益し、一切衆生を救護せり。善男子よ、汝善利を得て人身と壽命ありて諸佛に値遇し、文殊師利大善知識を見ることを得、汝法器と為りて善根潤澤、清白法を長じ、欲性を淨勝にし、善知識の總攝する所となり、諸佛に護念せらる。何を以っての故に、菩提心は則ち一切諸佛の種子なり、能く一切諸佛法を生ずるが故に。・・・菩提心は則ち安隱の床なり、一切生死の苦を除滅する床なるが故に。・・菩提心は則ち波羅提毘叉藥(はらだいびしゃやく・燈照薬)なり、悉く能く五欲毒を療治するが故に。・・・菩提心は則ち因陀羅網なり、諸煩惱阿修羅を攝するが故に。・・・佛子よ、菩提心は如是の無量功徳を成就して悉く一切諸佛菩薩の諸功徳と等し。何以故、菩提心によりて一切諸菩薩の行を出生し、三世諸佛は正覺を成じたまうが故に。
・・菩提心の随意の宝珠を得れば一切の邪命貧窮困苦を除滅す。・・菩提心の大荘厳具を被れば一切の煩悩・諸魔怨敵も壊ること能ざる所也。 「彌勒菩薩の威神力の故に、諸樓觀中に自ら其身を見る。又た無量自在神力不思議の事を見る。」
「善財童子亦復如是に樓觀中において悉く一切未曾有の事を見る。譬えば比丘の一切の入定を得ば行・立・坐・臥、彼の境界に随って悉く現じて在前するが如し。・・「善財童子亦復如是。樓觀中において、彌勒
菩薩の威神力の故に、悉く一切未曾有事を見て
障礙するところ無し。爾時、彌勒菩薩、威神力を摂して即時に彈指して善財告げて言く、『善男子、汝定より起てよ』。
「爾時善財、大聖に白して言さく、『此は何の法門なりや。』答言、『【入三世智正念思惟莊嚴藏の法(三世一切の智の境界に入り妄念せざる荘厳)】なり。
善男子よ、一生補生の菩薩は如是等の不可説不可説の法門を得たり。』
『大聖、諸の奇特なる妙莊嚴法は何れの所よりか来れるや。』
答言、『菩薩薩神力の出生する所にしてしかも神力之中にあらず。不來不去にして積聚する處無し。・・・』・・・その時善財。白して言く、『大聖よ、何の所よりか來る』、答て言く、『佛子よ、菩薩は無來の趣、無行住の趣、無所著の趣、不生不死の趣、不往不至の趣、不離不起の趣、不捨不著の趣、無業無報の趣、無起無依の趣、不常不斷の趣より(来る)なり。善男子よ、菩薩は但だ衆生を教化救護せんが為に大慈悲より來る。衆生苦を滅んが故に菩薩淨戒の道より來る・・・』」

ここは探玄記では「摂徳成因相」とされ、「さきに既に縁を会して実相に入り定んで成仏するが故に一生補処成因の義を弁ず(いままでを会縁入実相としていたがそれを過ぎて次の生には成仏することが約束されたので摂徳成因相という。この摂徳成因相とは一切の徳を摂受し仏果の因と為すという位という意味)」。
「華厳五十五所絵巻」にも「摂徳成因知識」と書かれています。
ニュースで報じられている災害や事故の悲惨な犠牲者は代受苦の菩薩でありこの一生補処の菩薩かもしれません。来世には成仏を約束されている菩薩です。


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