福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

四国八十八所の霊験・・・その44

2018-11-13 | 四国八十八所の霊験
58番仙遊寺では明治4年住職宥蓮上人が42才で衆生済度のため即身仏となったということが「東寺四国遍路札所案内」に記されています。つい最近です。札所住職は代々衆生済度のため文字通り身を捨てています。そもそも入定はお釈迦様の弟子摩訶迦葉が、弥勒菩薩出世の56億7千万年後を目指しお釈迦様から託された袈裟を弥勒菩薩に伝えるべく鶏足山に入定されたことにはじまります(大唐西域記)。中国でもおおくの入定僧がでています。有名な方々を挙げると、天台智者大師 智 は開皇十七 (597)天台山国清寺 に、禅宗五祖 弘忍は上元二 (675)安徽省黄梅に、真言 五祖 善無畏三蔵は開元二十三(735)龍門西山広化寺に入定されています。    
日本では お大師様の弟子実恵、堅恵大徳も入定され四国26番金剛頂寺の2代目住職智光上人も大師のあとを追って大師入定の一月後に入定されています。このお二人のことは26番のところで説明板に書いてあることを紹介しました。拾遺往生伝に、「大僧都定照は興福寺の惣官、東寺の長者なり、・・三業怠らずして一生犯すことなし。・・その臨終に到りて沐浴清浄にして、新しき浄衣を着、右に五鈷を取りて、左に妙經を持せり、初めは密印を結び真言を誦し、次に観念をこらして法花を誦せり。薬王品の「於此命終、即往安楽世界、阿弥陀仏、大菩薩衆、囲繞住処、生蓮華中、寶座之上」の文に到りて再三複誦せり。弟子に告げて曰く、我が屍骸焼き尽くすことなかれ、骸骨となるといえども、法花を誦すべしといへり。言語すでに畢りて端座して入滅せり。時に永観二年春秋七十三也。その誓願力のゆえに、今に墓の中に読経の声あり、また振鈴の音あり。」とあるのなどは本当は入定ではないかとも思います。
「元亨釈書」や「続本朝往生伝」等によれば摂津勝尾寺証如は 貞観九(867) に、大和多武峰寺の増賀 は長保五(1003)に入定したとされます。続本朝往生伝にも、「阿闍梨成尋は、・・西に向かいて逝去せり。その頂上より光を放つこと三日、寺の中に安置するに全身乱れず、今に存せり。膚に漆金をちりばむるに毛髪なおし生ひて、形質変わることなし。」とあり、これなどは當に入定と云えるでしょう。
「高野往生伝」等では維範が 嘉保三(1096)に琳賢も 久安六(1150)に高野山 に入定しています。新義真言宗開祖の覚鑁 上人も康治二(1143) 入定されたが九日目に火葬にされたという説もあります。( 太平記にも「高野根来不仲の事」として「 高野伝法院に、覚鑁とて一人の上人御坐けり。一度三密瑜伽の道場に入しより、永四曼不離の行業に不懈、観法座闌(たけなはに)して薫修年久しかりけるが、即身成仏と乍談、猶有漏の身を不替事を歎て、求聞持の法を七座迄行ふ。され共三品成就の内、何れを得たりとも覚ざりければ、覚洞院の清憲僧正の室に入、一印一明を受て、又百日行ひ給ひければ、其法忽に成就して、自然智を得給て、浅略深秘の奥義、不習底を極め、不聞旨を開けり。」とでてきます。)

秀吉から高野山を救った木食応其上人も1608年に入定しています。ほぼ同じ頃50番繁多寺の住職覚了師は穴のなかで雨乞いの行をしたまま入定し23日目に雨が降ったといわれています。土佐の仏海庵の仏海上人も江戸時代に入定しています。この他、学術調査で確認されたのは京都阿弥陀寺の開祖弾誓上人(1613年入定)湯殿山注連寺の鉄門海上人(1829年入定)など24体あるといわれています。江戸期に多いということです。(以上「日本のミイラ佛をたずねて」土方正志著等)。また、富士山行者の身禄は、享保18年(1733)に烏帽子岩で入定しています。



江戸初期の円空は「円空仏」と呼ばれる、独特の作風の仏像を多数残しましたが、64歳の時(元禄8年(1695年)7月13日)己の死期を悟り、飛騨・弥勒寺の南に位置する長良川河畔に穴を掘り、多くの里人に見守られ念仏を唱えながら自ら土に埋もれ入定を果たした,とされ、この円空入定塚のうえは現在藤棚となっており、季節になると藤の花が咲き誇っているといいます。


さらに四国31番竹林寺では明治時代に船岡芳信住職が衆生済度のため「米一升供えればだれでも望みを叶える」と遺言し石室に入定されています。明治4年住職宥蓮上人(58番仙遊寺 )の例は今述べたとおりです。いずれにせよ入定は強烈な衆生済度の願いにより行われるものです。

四国遍路はお大師様の御請願に加えて後の世の住職のこういう捨て身の請願の生きているお寺を88も回るのですからお蔭をうけるわけです。
つい最近、明治時代にも即身仏になった真言僧が多くおられたというのはなにか粛然とした気持ちになります。自らの老後を考えて考えさせられることがあります。

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