日々の恐怖 3月19日 店宛のメール
3年前の話だが、その頃色々ストレスがあって自営してたんだが店をたたんで家で休養していた。
暇だったんで、数か月前の店宛のメールを読んでいると、何か違和感がある文章を見付けた。
メールの発信者の記憶は無い。
昔、暗号をちょっとかじったことあったから、それを当て嵌めるといくつかの言葉があった。
タクシー
左後ろにへこみ
青いランプ
ようこそ
文にはなってなくて、言葉だった。
あと1つか2つあった気がするが思い出せない。
それを紙にメモって、嫁と子供が車で出かけるって言っていたから、駐車場まで見送りに行ったら、うちのマンションの前にタクシー止まっていた。
よく使うタクシー会社だから、特に気にすることもなく嫁と子供と車に向かっていた。
歩いてると、タクシーの左後方部が見えてへこみがあるのに気付いた。
夜で暗かったが間違いなくへこみがあった。
そして、窓の部分が青いLEDか何かで照らされていた。
よくある足元を照らすような光だ。
ちょっと怖くなって、俺は出かける予定なかったけれど、家族と一緒に自分の車に乗り込んで事情を説明し、嫁と子供にちょっと待ってくれないかと言った。
しかし、いくら待っても、そのタクシーに人が乗り込む様子がなくてしばらく待機していた。
それでも、気になって仕方なかったからしびれを切らして車を降り、タクシーに向かって歩いて行ったらドアが開いた。
運転手が、
「 ようこそ。」
とか言うんだ。
もう、どうしたらいいかわからなくて、周りキョロキョロしてたら数人のスーツ姿の男が向こうの道角から、こっちを見ていた。
普通の住宅街だから、普段、夜のその時間に人を見かけることは少ない。
何かやばいと思って、俺が乗らなきゃ嫁と子供も危ないかもとか、変な危機感が出てきて、とりあえずタクシーに乗ってみたら、タクシーは無言で出発した。
タクシーの中でラジオが流れていたけど、桃太郎の話をしていた。
ただ、どこかストーリーが遠くて、恐怖が増したのは覚えている。
そのときの記憶が曖昧でよく覚えてない。
訳の分からないまま10分くらい走り、そのラジオから、
「 桃太郎が大泣きしてる。」
って聞こえた。
すると、子供の顔が頭に浮かんで涙が出てきた。
運転手がそれまで無言だったのに、
「 戻りますか?」
って聞いてきたので大きく頷いた。
結局、何事もなく家の前まで辿り着いて俺を下ろした後、タクシーは金も請求せず、どこかに走り去った。
駐車場を見るとうちの車がなかったから慌てたけど、そのタクシーとすれ違って戻って来るうちの車が見えた。
どうやら俺を探しに行っていたらしい。
俺が心配だから家族は出かけるのを中止して、一緒にいてくれることになった。
家に戻って解読したメモ見せると嫁も不思議な顔をしていた。
ただの奇行にしたくなかったから、確認のため俺が乗ったタクシーの会社に問い合わせてみたら、
「 その時間にそちらには配車してないし、付近にうちのタクシーはいません。
それに、へこみがあるようなタクシーは、すぐに修理に出すので勘違いではありませんか?」
って言われた。
ストレスで店をたたんで休養していた最中の出来事だったので、危ないヤツと思われるかも知れませんが、回復した今から思うと意味不明だったと思います。
今は店も復活しています。
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