大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 3月30日 青い袖(2)

2016-03-30 21:11:19 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月30日 青い袖(2)



 それが泣く程悲しかった私は、母に弟の様子を話したことを後悔した。
私は怪我や事故以外、弟が何をしようと今後一切母に話さないと心に誓って、弟に全部話して泣きながら謝った。
 弟は笑って、

「 気にしないで。」

と言ってくれた。

 その次の日、一緒に神社に行った時、神社の裏の林で犬が二匹地面を掘り返していた。
私達に気が付いて犬が逃げて、弟にくっついて恐る恐る行ってみると、土から骨が出ているのが見えて、みんなが悲鳴をあげて逃げてしまった。
 私は弟の服を掴んで無理矢理逃げようとしたが、弟は私の手を振り払ってその骨を土からひっぱった。
弟に手を払われた事の方がショックだった私は、どうしてかその光景を鮮明に覚えている。
 骨には青い布がついていて、弟が持ち上げるとポロポロと小さい骨が土に落ちた。
直ぐに家に帰って弟が電話で通報して、すぐにパトカーが家にきた。
 母もすぐに会社から帰ってきて、私は母にしかられると思ったが、全く逆で母はやけに優しかった。
その夜は物騒だからと母が叔父さんを呼んで、私と弟は母の布団で三人で一緒に寝たのを覚えている。

 これは後で知ったことだけど、青い布を見て、

“ 多分、あれは袖だ。”

とあの時思った通り、そこには二人の人が埋められていた。
母親らしき女性と、幼い女の子だった。
 当然のように私達は神社で遊ぶことを禁止されたが、一ヶ月後にはまた神社でかくれんぼをしていた。
ふと弟がお地蔵様の所を避けないで歩いている事に気が付いた私は、それを思いきって弟に尋ねてみた。
 弟は何でもないことのように、

「 いつも親子がそこにじっと座ってたから。」

と言った。
 ゾッとした私が恐る恐る、

「 幽霊?」

と尋ねると、同じ調子で、

「 よく知らないけど、たぶん生きてる人じゃないと思う。」

そして微笑みながら、

「 もういないから、怖いのはもうこれで終わりだよ。」

と私の手を引いてくれた。











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