日々の恐怖 3月27日 電波な人(1)
私のバイト先にはK君という変わり者で有名な人がいた。
かなり奇行が目立つ人なんだけど、性格的に明るく人懐っこいせいか職場のムードメーカー的な位置付けにいる人だった。
どんな事をするか例をあげてみると、誰も呼んでいないのに、
「 ん?何?」
と突然振り返る。
鳴っていない携帯電話に出て、まるで通話中かのように話し出す。
本人いわく、不幸があった人がわかる。
まぁ電波な人なんだと言ってしまえばそれまでなんですが、冗談交じりにそういったことをするので、なかなか楽しい人だった。
去年の丁度今頃、忘年会を兼ねてK君の家で鍋を囲もうという話が出ました。
何せ奇人変人としての評価が高い彼のこと、口には出しませんが、彼がどのような生活をしているのか皆興味津々でした。
K君は嫌がりましたが、結局押し切られてマンションへと向いました。
部屋は3Fにあり、予想と反して普通の部屋です。
皆で、
「 ツマラネ~~~!」
とか文句を言いながら鍋を突き、酒も飲み、時間も深夜の2時を回った頃に事件は起きました。
いい感じに皆お酒が回り、下戸で運転手の私はテンションについて行けず、食器や鍋を片づけつつ、台所で洗い物をしていました。
そこに、
“ ばぁーーーーん!!!”
と物凄い音がしました。
“ 近所迷惑を考えろよ・・・。”
と思いつつリビングに戻ると、みんな青い顔でお互いを見詰めています。
ただ、K君1人だけが窓越しに外を見ているようです。
“ あんまり騒ぐと迷惑ですから・・・・^^;”
と私が注意すると、みんなが、
「 ・・・いや、・・・う~ん・・・・・。」
と要領を得ない生返事を返して来ました。
“ 誰か悪酔いして喧嘩したのかな?”
と思った瞬間です。
“ ばぁーーーーーーーーん!!!!”
分かりました。
誰が鳴らしたのでもなく、K君の家の窓が叩かれているのです。
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