大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 3月22日 ←ココ(1)

2016-03-22 19:25:05 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月22日 ←ココ(1)



 このあいだちょうど小学校の同窓会があったんで、そのときに当然のごとく話題に上がった俺たちのあいだでは有名な事件をひとつがある。
俺が通っていた小学校はちょっと変わっていて、3階建ての校舎のうち、最上階の3階が1・2年の教室、2階が3・4年の教室で、一番下の1階が5・6年の教室になっている。
別の学校に通ってた従兄弟にこの話したらびっくりしてたんで多分俺の学校が特殊なんだと思う。
 校舎自体はコンクリート造りで、相当というほどでもないが、そこそこ年数がたってたらしく廊下の壁とかは薄汚れていて汚いな、と子供ながらに思ってた記憶がある。
 それで、6年になるまで気がつかなかったんだが、1階の6年2組の教室の前の廊下だけ壁が綺麗に塗りなおされている。
下級生の時代に6年のフロアになんか怖くて行けないから、知らなくて当たり前だ。
 もともとのコンクリートの壁と似たような色のペンキで、隣りの6年1組との境目から6年3組の境界まで、きっちりと塗られている。
そこだけ汚れてないからすぐわかる。
 ある日、6年3組寄りの、その塗りなおされた壁の右下に近い部分に薄ーく鉛筆で、

←ココ

って書いてあるのに気がついた。
←ココと指された部分を見ても、まあ何の変化もない、ただの壁だ。
 その当時、学校では校舎の至るところに、

左へ○歩進め
真っ直ぐ○歩進め
上を見ろ
右を向け

などと書いてその通りに進んでいく、という遊びが流行っていたので、←ココもその類のものだろうと気にも留めなかった。

 2週間くらいしてからかな、友達のY君が教室の外で俺を呼んでいる。
行ってみると廊下の壁の←ココの矢印の先に青いシミが浮き出ていた。
 5cmくらいの小さなシミだったけど、ちょうど矢印が指している先に出たもんだから、俺とY君で、

「 すげー、不思議だね。」

とか言ってた。
 次の日、そのシミはいきなり倍くらいの大きさになってて、←ココの文字の部分にまで広がってて、もうその文字は見えなくなっていた。
その代わりに、シミの形が人間の手のように見えた。
 さすがに俺たち以外の生徒もそのシミに気がついて、形が形ってこともあって、瞬く間にクラス中に、

呪いのシミ

として話題になった。
 その話が先生の耳にも入ったらしく、その日の帰りのHRでは、

「 何でもないただのシミだから、気にするな。」

と半ば強制的に家に帰された。

 その週が空けて次の月曜、教室に行くと、なんと廊下の壁の、シミがあった部分が丸々はがれ落ちてて、しかもそこを中心に上下に細い亀裂と言うかヒビが入っていた。
俺が教室に行くと、すでに廊下で数人が騒いでたので見たらそんな状態だった。
 朝のHRで先生が来るまでは俺のクラスと、両隣のクラスの何人かも含めて大騒ぎで、

“ 絶対この壁のうしろに何かあるよ、死体が埋められてる。”

なんていう話にもなって、クラスのお調子者K君がカッターでその亀裂をガリガリやろうとしたところに先生がきて、ものすごい勢いで怒られてた。
申し訳ないけど、俺はそのとき知らない振りしていた。
 その昼休みに、K君が懲りもせず、

「 朝の続きやろうぜ!」

と言い出した。
壁を削る続きをやろうぜと言うわけだ。










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