日々の恐怖 3月13日 シンクロ
中学生の頃、実家で体験したシンクロニシティの話です。
深夜、家族が寝静まっても俺はゲームか何かで夜更かししていた。
ふとトイレに行きたくなって用を足しに。
トイレは俺の部屋から5メートルと離れてないものの、廊下の電灯のスイッチが離れてたのでトイレまではほぼ真っ暗だ。
振り返ると、向こうのリビングの豆球のオレンジ色の明かりに照らされて、隣の弟の部屋の扉が微かに分かるくらい。
怖い話が好きだった俺は、そんなときは想像が膨らんで怖くなったりもしていた。
ま、自業自得ってとこか。
んで、用を足し終えてトイレから出てくると、今はもう俺の想像だったのかどうか分からないんだけど、弟の部屋の前に人影がいる、いや、いたような気がした。
妙に怖くなって部屋に逃げ帰って、
「 ナムアミダブツ、ナムアミダブツ・・・。」
とか唱え始める始末の俺。
ああ、中学生だ、いやはや。
でもあのときは本気でびびっていた。
そしたら廊下から足音が聞こえてきた、裸足の足音。
俗に言う、
“ ヒタヒタヒタヒタ。”
ってやつ。
しかも俺の部屋に近づいてくる。
“ うっわ、やっべぇぇ・・・・!”
俺、恐怖絶頂。
そして開くドア。
そしたら何のことはない、来たのは俺の弟だった。
「 おまえ、びびらせんなよ!」
と思わず怒ってしまった。
でも、なんか弟の様子がいつもと違う。
「 兄ちゃん、ここで眠らせてくれへん?」
とか言い出しやがる。
“ ハァ?アホか、おまえ?”
とか思ったが、理由を聞くとこうだった。
弟が寝ているとドアの前に人が立ってる夢を見た。
“ ああ、なんか人がいるなぁ・・・。”
と思ったら、そいつは部屋に入ってきてベッドの脇に立ち弟の顔をのぞき込んできた。
真っ黒な顔、口だけ笑ってる。
と、そこで本当に目が覚めて、怖くて俺の部屋に来たんだと。
俺がトイレから出てきて人影を見たと思ったとき、弟はドアの前に人がいる夢を見てうなされていた。
これは、シンクロニシティなのかな。
そんときの俺はどっちでもよくて、俺のベッドを占拠して眠ってる弟をうらやましく思いながら朝が来るのを待ちました。
俺の唯一の怖げなシンクロっぽい実体験でした。
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