日々の恐怖 3月31日 青い袖(3)
その後のことですが、弟が小学校4年生のときの担任が私を呼び出して話してくれたことを話します。
前に話した死体遺棄事件の後も、不思議なことが沢山あった。
排気ガスで自殺しようとした人や、産気づいた叔母さんを助けたりと、気が付いたら人助けというのが幾つもあったけれど、これはその中で私が一番怖いなと思ったことです。
遺体発見の噂はすぐに学校中に広まって、弟は薄気味悪いヤツというレッテルを貼られて、それがイジメに発展して、弟は丸一年ほどイジメられた。
悔しかった私は、二ヶ月くらい毎朝弟のクラスへ行って、イジメているヤツに文句を言っていた。
私なりに弟を守っているつもりでいい気になっていた。
でもそれは全く逆効果で、弟へのイジメはエスカレートしていて、私が自分でそれに気が付いたときは既に遅くて、弟が鼻骨を折って帰って来たとき、ついに母が担任に猛然と抗議した。
しかしその時の担任は事なかれ主義で、知らぬ存ぜぬでイジメられる方が悪いと言って、後で母に聞いた話では、母はそのとき訴えるつもりでいたらしい。
だが、弟がいきり立つ母をなだめて、裁判沙汰にはならなかった。
そして学年が次に進み、イジメはクラス編成でおさまった。
弟の新しい担任はとても若い女の先生で、家庭訪問のとき最初に、
「 ○○君はもう絶対イジメられませんから、安心してください。」
と言って、母と私はとても驚いた。
イジメは去年からわかっていたのだが、他所のクラスことなので、なかなか口を出せなかったと言った。
先生は絶対イジメを許さない熱血先生だった。
私と母は良い先生に巡り会ったと、すっかり安心した。
そして、一学期、弟はイジメにあうことも無く学校生活を送っていた。
私はイジメに対しては安心していたのだが、それは7月18日の午後のことだった。
私はクラブ中に、何故か弟の担任に呼ばれ、
「 家で変わったことはない?」
と尋ねられた。
私は、
「 特に変わったことは無いです。」
と答えると、先生は信じられないことを話し出した。
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