大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 3月16日 操車場跡

2016-03-16 20:58:51 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月16日 操車場跡



 埼玉の三郷に操車場跡というところがあります。
地図にも載ってます。
心霊スポットとしては途中のお化けトンネルが有名ですが、体験したのは近くの建物です。
 操車場は上から見ると芋の形をしているのですが、その両脇を道路が走っています。
その東(千葉)側の真ん中辺りの道路脇に敷地があり、奥まった所に真っ暗なビルが残っています。
 敷地の入り口は柵がされており、建物は入り口を鉄板などで封鎖されています。
7、8階建てのビルなのですが、1番上の階辺りにぽつんと明かりがついてて不思議でした。
そこは以前から窓から人が見ていたとか、写真を撮ったら窓から手が出ていたとか聞いていました。
自分たちもそれを期待して夜から観に行ったわけです。
 敷地に入ると資材が色々置いてあり、プレハブもあったのでまだ何かに使っているようでした。
人がいた形跡の為にすこし気が抜けたのですが、案の定建物には入れません。
一緒にいた友人も、何も無いねぇなんて言ってたんです。
 建物の周りを一回りして車に戻ろうとした所、入り口の柵の脇に通路を見つけました。
そこは敷地の端っこから坂になっていて、ちょうど自分の真下のところでトンネルになっています。
 坂の脇に回ったのですが、トンネルの奥は真っ暗で何も見えません。
何があるんだろうと思い覗き込んでいたら、ふと音が聞こえてきました。

“ カタン・・・、カタン・・・、カタン・・・、カタン・・・。”

電車のレールの継ぎ目を車輪が超える瞬間のあの音です。

“ ん?
なんで音が?
こんな所で?”

時間も時間だし、操車場はほとんど使われていません。
それに道向こうの操車場は高い壁で囲まれていて、電車の音なんて聞こえるはずが無いのです。
 それは一瞬の出来事でした。
深く考える間もなく横で叫び声がしました。

「 キャー!」
「 うわー!」

“ ん?
どうした?
なんでみんな逃げるの?
え?
なんか出たの?
え?
え?
まって?
置いて行かないで~!”

自分も走り出しました。
 自分は変なものを見たことが無いし、怖い思いもありません。

“ でも、みんな逃げるし、置いて行かれてもイヤだし・・・。”

何て思いながら、ようやく車に辿りつき発車させました。

「 え?どうしたの?なにがあったの?」

一緒に言った4人は黙っています。

「 なんだよぉ、教えてくれよぉ・・・・。」

俺一人訳の分からないパターンです。

「 もういいよ!」

ふてくされて運転を続けてると、女の子がポツリと言いました。

「 電車が走ってきた・・・。」
「 え?
電車?
どこ?
いつ?」

 詳しく聞いてみると、自分が覗いていたのと反対側に資材が置いてあったようなのですが、その女の子が、

“ あっ!”

と思った瞬間、自分の側に向かって電車が走ってくるのが見えたそうです。
そうです、自分に聞こえたあの音は、やはり電車の音だったようです。
 その女の子も、あんな電車は初めて見たと言っていました。
私にとっては、怖くは無いのですが貴重な体験でした。












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日々の恐怖 3月15日 告白

2016-03-15 17:52:23 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月15日 告白



 小学校低学年の時、仲の良かったT君と近所の工事現場で遊んでいました。
下水管を配管するための工事だったらしく、深さ3メートル、横幅2メートル、長さ10メートルくらいの大きな穴があいていて、その上に幅30センチくらいの横板が2~3本渡してありました。
 その穴を私が恐々覗き込んでいた時、T君はふざけて私の背中を軽く押しました。
その行為がかなり頭にきてしまい、T君が覗いた時に、私は彼の背中を強く押しました。
 T君は穴の中に落下して、動きません。
呼んでみても返事がありません。
 私は頭が混乱して、泣きながら家まで走りました。
家に着くなり母親に向かって泣き叫びました。

「 T君が穴に落ちちゃった!」

 母親は私を連れ工事現場まで走りました。
穴の中には横たわったままのT君がいました。
 それから後はよく覚えていませんが、救急車やパトカーが数台きました。
近所の人もたくさん集まってきました。
 警察や親を含めた数人の大人に、

「 どうしてT君は穴に落ちたの?」

と聞かれました。
 私は、

「 T君が横板を渡ろうとして落ちた。」

と答えました。
怖くて怖くて嘘をつきました。

 数日後、T君は息を引きとりました。
詳しく説明されませんでしたが、落下時に頭部を強打したことが原因だったらしいです。
 T君のお葬式にも行きました。
T君の父親は涙をながしながら私に向かって、

「 Tと仲良くしてくれてありがとう。
Tは天国に行っても○○ちゃんのことを絶対に忘れないから、○○ちゃんもTのことを絶対に忘れないでね。」

その途端、私は泣き出しました。
 周りの大人は、T君の死を悲しんで私が泣いたと思ったみたいですが、その時の私はT君の父親のセリフが、

『 Tは○○に殺されたことを忘れない、○○もTを殺したことを忘れるな。』

と言う意味に聞こえ、恐怖のあまり泣き出したのでした。
 泣き続ける私は母親に抱きかかえられながら家に帰りました。
それから数日間、学校を休んだ記憶があります。
 その事件に付いては、その後誰も口にしません。
みな私のことを気遣ってくれたのでしょう。

 今でも時々T君の夢をみます。
いきなり後ろから誰かに背中を突き飛ばされます。
私は深い穴に落ちます。
穴の中から上を見上げると、T君がじっと私をみつめています。
 そこで必ず目が覚めます。
T君は、いつになったら私を許してくれるのでしょうか。











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日々の恐怖 3月14日 化学の先生

2016-03-14 18:32:25 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月14日 化学の先生



 高校の時の化学の先生は几帳面な人だった。
そんな先生の引っ越し先に奇妙なことがよく起きる。
 誰もいない部屋にゼーハーという苦しげな呼吸音がしたり、床下から突き上げるようにドスドスという音がしたり、ある日は家中の鏡という鏡にヒビが入ったり。
 先生は、

「 家鳴りがひどい。欠陥住宅だ!」

と言っていたが、私たち生徒は、

「 それは絶対に霊だ!」

と噂し合っていた。


 そんなある日、新聞部の連中が、先生の借家で15年前に自殺があったと載っている地元新聞の記事をたまたま発見し、学校に持って来た。

「 やっぱり霊だ!」

と私たち生徒が騒ぎ、先生も渋々ながら、

「 霊なのかもしれない・・・・。」

と妙に納得したようだった。

 その日の夜から、化学の先生流の除霊が始まった。
異音がする度に、先生は布団から出て部屋の真ん中に正座し、

「 君はね、もう死んでいるんですよ。
自分の宗教流儀に則って、成仏したらどうですか。
私に頼られても無駄ですよ。
 そもそも君は迷惑です。
無関係な人間に迷惑をかけてでも、自分の希望を押し通すなんて身勝手過ぎます。
 君も、生きている時は社会人だったのでしょう?
少しは常識というものを考えてですね・・・。」

そういうお説教を音が止むまで、10日ほど続けたそうだ。
 そして最後の晩、いつものように異音がし、いつものようにお説教をかましていたら、黒い靄の様なようなものが現れ、

「 申し訳ありませんでした。」

と謝罪し、異音はなくなったんだと。
 以来、先生は、幽霊さえも降参する粘着説教教師として、生徒たちに尊敬されることとなりました。











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日々の恐怖 3月13日 シンクロ

2016-03-13 19:26:12 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月13日 シンクロ



 中学生の頃、実家で体験したシンクロニシティの話です。
深夜、家族が寝静まっても俺はゲームか何かで夜更かししていた。
ふとトイレに行きたくなって用を足しに。
 トイレは俺の部屋から5メートルと離れてないものの、廊下の電灯のスイッチが離れてたのでトイレまではほぼ真っ暗だ。
振り返ると、向こうのリビングの豆球のオレンジ色の明かりに照らされて、隣の弟の部屋の扉が微かに分かるくらい。
怖い話が好きだった俺は、そんなときは想像が膨らんで怖くなったりもしていた。
ま、自業自得ってとこか。
 んで、用を足し終えてトイレから出てくると、今はもう俺の想像だったのかどうか分からないんだけど、弟の部屋の前に人影がいる、いや、いたような気がした。
妙に怖くなって部屋に逃げ帰って、

「 ナムアミダブツ、ナムアミダブツ・・・。」

とか唱え始める始末の俺。
 ああ、中学生だ、いやはや。
でもあのときは本気でびびっていた。
そしたら廊下から足音が聞こえてきた、裸足の足音。
俗に言う、

“ ヒタヒタヒタヒタ。”

ってやつ。
しかも俺の部屋に近づいてくる。
“ うっわ、やっべぇぇ・・・・!”

俺、恐怖絶頂。
そして開くドア。
そしたら何のことはない、来たのは俺の弟だった。

「 おまえ、びびらせんなよ!」

と思わず怒ってしまった。
 でも、なんか弟の様子がいつもと違う。

「 兄ちゃん、ここで眠らせてくれへん?」

とか言い出しやがる。

“ ハァ?アホか、おまえ?”

とか思ったが、理由を聞くとこうだった。
 弟が寝ているとドアの前に人が立ってる夢を見た。

“ ああ、なんか人がいるなぁ・・・。”

と思ったら、そいつは部屋に入ってきてベッドの脇に立ち弟の顔をのぞき込んできた。
真っ黒な顔、口だけ笑ってる。
と、そこで本当に目が覚めて、怖くて俺の部屋に来たんだと。
 俺がトイレから出てきて人影を見たと思ったとき、弟はドアの前に人がいる夢を見てうなされていた。
 これは、シンクロニシティなのかな。
そんときの俺はどっちでもよくて、俺のベッドを占拠して眠ってる弟をうらやましく思いながら朝が来るのを待ちました。
俺の唯一の怖げなシンクロっぽい実体験でした。









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3月13日 お知らせ しづめばこ §28 幻影

2016-03-13 19:25:40 | C,しづめばこ
3月13日 お知らせ


しづめばこ §28 幻影  、大峰正楓の小説書庫で近日中にアップします。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”




大峰正楓の小説書庫です。
大峰正楓小説書庫


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日々の恐怖 3月12日 挨拶

2016-03-12 19:22:42 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月12日 挨拶



 母(今年で47歳)が子供の頃体験した話です。
夜中に玄関が開く音で目が覚め、こんな時間に誰だろうと思っていると、誰かが母の居る部屋へ向かって歩いてくる音がする。
 布団の中から廊下を見ると(夏場だったのでふすまは開いていた)、誰かが裸足で部屋の前に立っている。
視線を上へ向けると、白っぽい浴衣のようなものを着た中年女性だ。
 それは近所に住むおばさんだった。

「 ○○ちゃん、お父さんはどこ?」

母が祖父が寝ている奥の部屋を指差すと、おばさんはすすっと歩いて行ってしまった。

“ こんな時間に一体何の用事なんだろう・・・。
あれ?
あのおばさんは、ずっと入院しているんじゃなかったっけ?”

母は、疑問を抱きつつもすぐに寝入ってしまった。
 翌朝起きて茶の間へ行くと、祖父もすでに起きていた。

「 なあ、近所の××のおばさん、ずっと入院していただろ。」
「 うん。」
「 実は、亡くなってしまったんだよ。」
「 えっ! そのおばさんなら、昨日の夜うちに来たよ!?」
「 そう、父さんのところへ挨拶に来てくれたんだ。」

なんでも、自分の死期を悟ったおばさんは最期の力を振り絞り、病院を抜け出して世話になった人間に礼を言いに来たらしい。
この話を聞いたとき、人間の執念ってすごいなァと思った。











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日々の恐怖 3月11日 屋根裏

2016-03-11 19:11:05 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月11日 屋根裏



 俺と俺の友達4人が、近所に住む一人暮らしのお婆さんの引越しの手伝いをするように頼まれた時のこと。
 屋根裏部屋を整理しようと入った俺は、部屋の角に妙なものをみつけた。
ちょうどカドにある物を隠すように、部屋の一角が床から天井まで一枚の板で不自然に塞がれている。

“ 何かな?”

と思った俺は友達を呼び、全員でその板を剥がしてみようという事になった。

「 せーのっ!」

で板を引っ剥がした。

「 ギャアァァァァ!!!!」

少しの沈黙の後、全員悲鳴をあげながら屋根裏部屋を飛び出した。
 外に出てようやく落ち着いた俺たちは口々に、

「 ガクランを着た男が座ってたよな・・・・。」

と言った。
 落ち着きを取り戻し、再び屋根裏部屋に戻って少年がいた方向を見ると、確かにガクランを着た少年がそこに座っていた。
体育座りをして、深々と学帽をかぶって、うつむきがちな少年だった。
 俺が恐る恐る近寄ると、後ろから友達の一人が言った。

「 なんだ、人形じゃん!」

その一言に安心し、近寄って確かめてみた。
 確かに布でできた肌の、決して良い出来ではなかったが、だいぶ古い人形だった。

「 でも、どうしてこんな所に・・・?」

という疑問だけが残り、動かすのも気味悪いので、もう下りることにした。


 近所のおばさんが手伝いに来てくれたとき、その人形の正体が発覚した。
戦時中、息子を持つ母親達の中には、どうしても子供を戦場へ行かせたくないという想いから息子を隠す人もいたらしい。
 おばあさんも息子を隠してその場をやり切ろうとしたが、そんな手段が通るはずも無く、呆気なく見つけ出されて息子は連れて行かれてしまい、後に戦死の知らせを受ける。
その時からおばあさんの中で何かが壊れてしまったのか、息子に似せた等身大の人形を作って息子のガクランを着せ、ずっと屋根裏の角に隠していたとのことだった。
発見した時はマジで幽霊かと思っておしっこ出そうだった。










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日々の恐怖 3月10日 年中行事

2016-03-10 21:47:52 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月10日 年中行事



 私は神社の目の前に住んでます。
引っ越したばかりの頃に家鳴りが凄くて、

“ 木造だし、冬だし、引っ越し直後で湿度の変化も激しいだろうし・・。”

と気にも留めずにいたら、今度は怪現象がバンバン始まり、ある日ついにご対面。
 あれこれ調べると明らかに何かあったらしいのですが、不動産屋は直前の入居者は問題なく居住し越して行ったからと、詳細を教えてくれませんでしたが、隣近所いわく、

「 1ケ月で越して行った。」

とのこと。
 夫婦で会議しましたが、諸々の事情で引っ越しはとりあえず保留ということに。
その後もあれこれありましたが、段々と慣れて来まして・・・。
 結局もう10年以上住んでますが、ご出現は年に一度の特定な期間のみということが分かり、いまや年中行事となっています。
 但し夫は、

「 確かにバイタリティーみたいなものが失われ易い気はする。」

と言い、私はイライラし易くなる傾向などが怪現象以外にもあります。
 実際、旅行や出張に行った後はお互い快活となる傾向があります。
多分、もう取り込まれてる気がします。

※年中行事の内容は差し障りがあるので明確に出来ないとのことでした。










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日々の恐怖 3月9日 亡くなった祖母の訪問

2016-03-09 17:09:54 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月9日 亡くなった祖母の訪問



 私、隣に住んでる父方の祖母が亡くなったとき、お通夜の晩に父と母は隣の家に行っていて、私と弟だけが家で寝ようとしていました。
 ウチは狭くて隣の家に続く裏戸があって、間に台所を挟んでスグ私と弟の寝る部屋があります。
 布団に入って寝ていると、その裏戸が開いて、

“ 父と母が帰って来たな・・・・。”

と思ってふと見ると、なんと死んだ祖母が入って来たのです。
 私はつい、

「 うわあああ!おばあちゃん!死んだんちゃうん?!」

って叫んで、弟も起き上がり、弟も、

「 ああああああ~!!」

と泣き出してしまいました。
 祖母は何か言いながらドンドン進んでくるので、半分パニックになっていたのですが、あの世に行く前に私らになにか言いたいことでもあったんだと思い、思いきって、

「 どうしたん?!」

と聞いてみると、

「 焼香あげに来いや~。」

と言いました。
 ソコでふと気づいたんですが、それは祖母では無く、父の兄弟一番上の御年75のお姉さんだったのです。
子供って親に似ると言うけど、ちょっと似過ぎてて恐ろしかった。











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日々の恐怖 3月8日 能面の左半分

2016-03-08 22:24:00 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月8日 能面の左半分



 私が通っていた小学校は、明治初期に墓地を移動させてそこに作ったとこだった。
そのせいか、開校から怪しい話が後を絶たない怪奇小学校。
 でもそれほど大掛かりな現象は起きなくて、こっちもだんだん慣れてきて、旧校舎の築山の裏から回収しそこねた人骨が出てきたとか、講堂の楽屋の床一面に髪の毛がちらばってたとかくらいでは、

「 ああ、またか・・・。」

くらいにしか思わなくなった。
 なかなか豪胆なことだが、なにが一番すごいって、卒業アルバムの中のあるクラスの集合写真が心霊写真だったのに、鑑定の結果、

「 これは悪いものじゃない!」

と言われて、そのまま載せてしまったことでしょう。
その卒業アルバムは卒業生全員に配られて、いまも私の手元にある。
 スキャナもデジカメももってないのでお見せできないのですが、どんな感じだったかはお伝えできると思います。
 その年の卒業生は4クラス。
アルバム用の集合写真は、出来たばかりの新校舎の正面玄関前で撮影されたのですが、一番最後に撮影したクラスだけは、なぜかそこから数メートル横の芝生の上に生徒を座らせたものでした。
 そして、その芝生で撮影したクラスの写真の左上隅、欠席した子の写真を後から貼り付ける場所にそれはありました。
ちょうど人の顔の大きさくらいで、能面を縦真っ二つにした左半分だけのような顔が浮かんでいます。
 よく見ると能面ではなく人の顔のようにも見えますが、どちらにせよそんなとこにあるはずのないものがはっきりと写ってます。
そして、その写真は卒業アルバムだけではなく、校長室にも歴代の卒業生写真と一緒にフツーに飾ってあります。









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日々の恐怖 3月7日 母の思いやり

2016-03-07 19:01:35 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月7日 母の思いやり



 うちの母のこと。
うちの母は私が子供の頃に薬を嫌がって飲まないからって、ジュースにこっそり混ぜたり食べ物に混ぜたりして、私に内緒で飲ませてた。
 だからかなんだか知らないけど去年の朝、駅のベンチで電車待ってたら、異常なほどの眠気に襲われていつの間にか爆睡してしまった。
私が爆睡してる間、周りは、

“ ホームに意識不明の女性がいる!”

と大騒ぎになって、私は救急車で病院に運ばれてて病院で目が覚めた。
 検査の結果特に異常がなかったので、念のため1泊しただけで帰されたんだけど、家に帰ったら母が、

「 効きすぎちゃってゴメン。」

と言う。
 母は私が、

「 最近よく眠れない・・・。」

と言っていたのを聞いて、夜に私が食事中に飲む麦茶に、よかろうと思って睡眠剤を混ぜたらしい。
 が、どういうわけか、効いたのがだいぶ時間が経った朝だった。

「 なんでそんなことするの!」

と怒ったら、心配そうな顔で言った。

「 だって眠れないって言ってたから・・・。」

 それからついこの前、夜から次の日の昼まで、ずーーーっと腹痛と下痢でトイレ何回も行った。

「 何か悪い物食べたかなぁ・・・?」

と考えていると、母が、

「 出てよかったじゃない?
最近、あんたお通じないって言ってたから♪」

と言う。
 まさかと思って聞いたら、前の日の夜、私がトイレ行ってる間に、私が飲みかけのジュースに下剤を入れておいたと言う。

“ なんでそんなことするんだよ!!!”

いずれ毒薬でも入れられるんじゃないかと・・・。











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日々の恐怖 3月6日 箪笥の引き出し

2016-03-06 18:52:21 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月6日 箪笥の引き出し



 Mさんが高校の頃、英語教師に聞いた話です。
わかりやすい授業と淡々としたユーモアが売りで、生徒と余り馴れ合うことはないけれど、中々人気のある先生でした。
 昔奥さんが死んだ時、(話の枕がこれだったので、そんな事実を、初耳だった我々は、その時点で相当びびり気味だったのですが)彼はよく不思議な幻を見たそうです。
 それは、もう使う人のない奥さん用の箪笥の引き出しが開き、そこから奥さんが頭半分を出して、ベッドに寝ている先生を見ているというものでした。
 彼は、

“ ああ、家族の死で私は精神的に不安定になっているのだな。”

と病院へ行き、精神科などに相談し薬などを出してもらい、なるべく疲れないよう、ストレスをためない様にしてみましたが、奥さんは相変わらず夜になると箪笥の引き出しに姿を現し、微妙なポージングで彼を見ていたそうです。
 それで、先生は精神的なものでないのなら、現実に起こっていることだと判断しました。
そして、ある時、その箪笥の引き出しに体を入れ、全身でがたがた揺すりながら、長い時間をかけて引き出しを閉めてしまったそうです。
 そこで長い間待っていると、

「 あら!」

と、なんと奥さんの声がしたそうです。
 思えばリアクションを用意していた訳ではない先生。(冷静なつもりが矢張動揺していたんですね、とか言ってました。)
困っていると、奥さんが、

「 あなたは太っているから、ここじゃ無理よ!」

と言い、先生も、

“ そうだなあ・・・。”

と思い、またがたがたやって出たそうです。
 因にその箪笥はまだ先生のうちにあり、疲れた時などに、奥さんが登場しているのが寝入りばな見えるとのことでした。
 先生は、この話の最後に、

「 私は大丈夫だったけれど、気弱な人だったら、引き出しに入ったまま死んでもいい、と思ってしまうかもしれない、そんな居心地の良さでした。」

と淡々と語っていました。
そして、高校のときの同級生が言うには、先生はまだ箪笥をお持ちだということです。











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日々の恐怖 3月5日 牡丹

2016-03-05 18:08:42 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月5日 牡丹



 私の家の裏側にある小さな空き地(公共地)では、近隣の住民が勝手に隅の方を耕して土を盛って花壇にしている。
そんな花壇の中の一つ、うちの庭のすぐ裏、十年以上前に越した以前の隣の住人が残していった花壇に、大株の牡丹がある。
毎年見事に花をつけるそれは、自分がバラを育て始めた数年前から私の疑問の種であった。
 2m×60㎝位の面積で盛り上げられた土に、キングローズと桃色の牡丹。
以前は白い牡丹もあったそうだが、それは何かの工事があった際に枯れてしまったらしい。
うちが越してきたのは18年程前だが、母いわく、その頃はまだ小さかったわねぇと。
突然旦那様が家出された隣の奥さんが気を紛らわそうと、それまで植えていた草花を一掃して、植えつけたばかりだったという。
 越した頃、私は仕事を始めたばかりで殺人的に忙しく、部屋の窓から裏を覗くことすらせず、私には紅白並んだ牡丹はおろか、隣の住人の記憶さえない。
誰もそのことに触れないが、手入れする人がいなくなってからは、近隣の誰かが剪定しているのだろう。
 しかし、夏場あまり雨の降らない時期には、私も家の水遣りのついでに垣根の向こうにも散水してやることはあるが、それ以外特に水遣りの形跡を見ることはない。
 とすれば肥料など論外だ。
肥料喰いといわれる牡丹やバラを、十年以上咲かせ続ける事が出来るなんて、どんな土を入れたのだろう。
これほど広いスペースに2株だけだから大丈夫なのかな。
 今年も牡丹は30ほどの大輪の花を株いっぱいにつけ、桜の散った今、付近を散歩する人々の驚嘆と賞賛の声を一身に集めている。
間もなく隣のキングローズが、今度はその艶やかな濃緑の葉の間を、あでやかなローズ色のぽんぽんのような小さな花でびっしり埋めるのだろう。
 周りの住民は、ただ花を遠巻きに愛でるだけでそれ以上は触れない。
近くに新しい住民が越して最初の春、牡丹の説明をするたびに漂うわずかな緊張感がいったい何なのか、前の住人を知らない私が知る由などない。












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日々の恐怖 3月4日 ナムアミダブツ

2016-03-04 19:46:10 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月4日 ナムアミダブツ



 短大に通っていた頃のKさんの話です。
私の部屋は2階の通りに面しています。
 ある日の朝4時頃に、男の子の、

「 ナムアミダブツ、ナムアミダブツ・・・。」

という声で目を覚ましました。
 あまりに延々と聞こえるので、朝機嫌が悪いタイプの私は、むかついたので窓を開けました。
すると、小学校4、5年生くらいの色白の男の子が(ランドセルを背負っていて、ベージュの半ズボン)立っていたのです。
 半分寝ぼけ眼で私が、

「 ボク、まだ朝早いから、みんなに迷惑でしょ!」

と声をかけたら、顔だけ私に向け、スーッスーッと歩きはじめ、同じ様にお経を唱えて去っていきました。
 朝になって、母に今の話をして、

「 うるさかったよね!」

と言っても、そんなの聞こえなかったとのこと。
それに、家族の誰も聞いて無い。
 いまだに私の謎です。
寝ぼけていたかもしれませんが、その後トイレに行ってので、意識ははっきりしていたんです。
 あの時は起こされてむかついてたから、

“ 変なの!”

としか思いませんでしたが、尋常でないような気がします。
 小学生の能面のようなあの顔は未だに憶えています。
月日が経つにつれて、

“ あれは、なに・・・?”

て気がしてます。











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日々の恐怖 3月3日 居心地の良い家(2)

2016-03-03 20:00:45 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 3月3日 居心地の良い家(2)



 おそらく掃除もあまりしていないだろうし、家庭の事情も聞いていたので、そんな風に思ってしまったのだろうとそのときは思いました。
 ところが、居間に通されてお酒を飲みながら話をしているうちに、なんだかとても居心地が良くなってしまったのです。
Kとどちらともなく、

「 もう遅いし、泊まっていくことにしようか・・・。」

ということになりました。
 次の日になりましたが、私たちはグズグズとSの家にいました。
昼ご飯を食べ、夕方になってもまだ帰る気にならず、私は思わず、

「 もう一泊しちゃおうか?」

とKに切り出しましたが、Kは、

「 私も泊まりたいけど、このあとどうしても休めないバイトがあるから帰らないといけない。」

とのことでした。
 二人ともすごく名残惜しかったのですが、また近々来ることを約束してSの家を後にしました。
そのときは、

“ 本当にまたすぐ来たい!”

と思っていました。
 その帰り道のことです。
私はKに聞きました。

「 ねえ、Sの家なんか雰囲気悪かったよね?」
「 うん、暗かったし、なんか変な感じがした。」
「 あのさ、とくに階段のところ気持ち悪くなかった?」
「 実は私も上がった瞬間思った。」
「 せ~のっ、で、何思ったか言ってみない?」

そして二人同時に言ったのは、

「 せ~のっ・・、女がいたよね?!」

その瞬間、本当にぞ~っとしました。
 Sの家にいる間中、頭にフィルターがかかっていたようでした。
あれほど気持ちが悪く帰りたかったのに、家に入ってしまえば、今度はいつまでもそこにいたいような気分になっていたことも、怖くなりました。
 Kも私も何かを見てしまったわけではありません。
ただそんな感じがしたというだけですが、SやSの家族が大変なことになっているのも、あの時感じた何かが原因のような気がしてなりません。
その後、Sは学校にまったくこなくなり、今では音信不通になってしまいました。









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