極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 101

2025年01月09日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。

                     

【季語と短歌:1月9日】

     犬はしゃぎ吾はスコップ除雪かな 

                 高山 宇 (赤鬼) 



 

⛑️ 異常気象:ロサンゼルス西部で大規模な山火事 2025.1.8 AFP



最近はかなり浸透してき、すでに有線よりワイヤレス充電のほうがメイン。
そんなワイヤレス充電に新たな便利さが加わる。パナソニック傘下のパナ
ソニック オートモーティブシステムズが開発した「ムービングコイル技術
が、ワイヤレス充電規格「Qi2」の新規格
「APP(Active Alignment Power
Profile)」基礎技術に採用


✅ 現状のワイヤレス充電の弱点
ガジェット向けワイヤレス充電規格のベースが「Qi」。充電器側のコイル
の上に、同じくコイルを内蔵したスマホを乗せることで、ワイヤレスで電
気を伝える方式。これは、コイルの面合わせがズレると給電できない。
この課題を解決したのが「Qi2」規格。つまり、コイルの位置にマグネッ
トを配置することで、正確な位置合わせが可能となった。ベスポジで充電
できることで、充電ロスも減るってわけですね。また、現行のMagSafe充
電器がそうであるように、磁石によって3次元的に機器を充電する(原理は
下図をクリック)


※しかし、電磁波の多様・拡大社会は、その「リスク・インパクト・マネ
 ージメント」は大切になる。



✳️ 炭素磁石の合成に成功 京大
1月8日、京都大などの研究チームは、炭素を素材に用いた磁石を作るこ
とに成功した。成果は軽量・低コストで高性能の炭素磁石実用化に向けた
一歩になるという。論文は9日、英科学誌ネイチャーに掲載された。
現代のエレクトロニクスには高性能な磁石が不可欠ですが、従来の磁石は
主に金属で作られており重量や希少金属使用による供給リスク等の問題が
ある。これに対して、炭素は軽量かつ安価で、炭素でできた磁石の研究が
進められていた。グラフェンナノリボン(GNR)は、その端構造を設計す
ることで電子・磁気特性を制御できる可能性があるため大きな注目を集め
ているが、従来の研究では対称ジグザグ端を持つGNRしか合成できず、磁
石の性質を示さなかった(反強磁性)。これに対して、非対称ジグザグ端
を持つGNR
は強磁性を示すと考えられていたが、その合成は技術的に非常
に困難であり未解決の課題となっていた。 

坂口浩司 エネルギー理工学研究所教授と小島崇寛 同助教、およびシンガ
ポール国立大学(National University of Singapore )、米国カリフォルニ
ア大学バークレー校(University of California, Berkeley)との国際共同研
究チームは、非対称なZ型構造を持つ前駆体分子を設計・合成し、これを
金属基板上で一方向に揃えて繋げる新たな合成法を開発することで、非
称ジグザグ端型GNRの合成に成功した。合成した非対称ジグザグ端型GNR
は、本研究チームの理論予測通り、電子スピンがジグザグ端に高密度で局在
「炭素磁石」としての特性を持つことを世界で初めて実証。この非対称ジ
グザグ端型GNRを、ギリシャ神話に登場する二面顔を持つ神「ヤヌス(Janus)」
にちなみ、「Janus GNR(JGNR)」と命名。この成果は、磁性材料研究
を革新する一歩となり、様々な電子工学、機械工学やメディカル分野への
応用が期待されている。


炭素磁石となるニ面顔「ヤヌス型」グラフェンナノリボン(JGNR)
【掲載論文】
タイトル:Janus graphene nanoribbons with localized states on a single
zigzag edge  (非対称ジグザグ端上にスピン状態を持つヤヌス型グラフェン
ナノリボン) 
著  者:Shaotang Song, Yu Teng, Weichen Tang, Zhen Xu, Yuanyuan He,
Jiawei Ruan, Takahiro Kojima, Wenping Hu, Franz J Giessibl, Hiroshi
Sakaguchi*, Steven G Louie*, Jiong Lu* (*は責任著者) 
掲 載 誌:Nature  DOI:10.1038/s41586-024-08296-x. 

✳️ 水素発生と半導体応用を備えた二次元半導体ナノリボン
1月9日、クリーンエネルギーの必要性から、水素への期待は高まり、効
果的に水素を製造する方法が望まれている。電気化学的に水から水素を発
生する方法では、白金が高い触媒活性を示すことが知られているが、白金
は希少金属で非常に高価であることが課題です。半導体性の二次元物質で
あるMoS2は安価で、高い触媒活性を示すことが知られていましたが、そ
の活性サイト(反応が起こる場所)に関して議論があった。また、MoS2
のナノシートは半導体材料としても優れており、微細化の限界に近付きつ
つあるシリコンデバイスに代わる次世代半導体として、近年大きな注目を
集めている。研究グループは、化学蒸着法と呼ばれる方法により二次元半
導体であるMoS2のナノリボンを基板上に高密度に成長させる方法を新たに
開発し、ナノスケールの電気化学的な測定を通じて、ナノリボンの端が中
心部の100倍近い触媒活性を示すことを見出しました。さらに、このMoS2
ナノリボンは半導体デバイスとしても優れた電気特性を示すことも明らか
にしました。本研究成果は、クリーンエネルギーの開発に寄与するととも
に、次世代半導体開発に大きく貢献すると期待されている。

文章を入れてください
図、高密度のMoS2ナノリボンの端(エッジ)から電気化学反応によって
  水素ガスが発生するイメージ
【掲載論文】
タイトル:Janus graphene nanoribbons with localized states on a single
zigzag edge  (非対称ジグザグ端上にスピン状態を持つヤヌス型グラフェン
ナノリボン) 
著  者:Shaotang Song, Yu Teng, Weichen Tang, Zhen Xu, Yuanyuan He,
Jiawei Ruan, Takahiro Kojima, Wenping Hu, Franz J Giessibl, Hiroshi
Sakaguchi, Steven G Louie*, Jiong Lu
掲 載 誌:Nature  DOI:10.1038/s41586-024-08296-x. 

 ペロブスカイト太陽電池の大面積及び耐久性強化⓶
・特開2024-164966 太陽電池及びそれに用いる光学素子を
備えるバリア
構造体 マクセル株式会社
【要約】下図21のごとく、本発明の太陽電池は高効率で、印刷工程で安価
な太陽電池が実現できる有機無機ペロブスカイト型太陽電池の課題である
水分・空気のバリア性が高いガラス同等のバリア層を有しその表面に超微
細または微細光学素子を設け反射防止と集光作用を備え光電変換層(光吸
収層)平面内に光の疎密を作ることで一層の高効率化を実現する。

【0020】〈バリア構造〉
【0023】本発明の太陽電池は、基材上に、少なくとも光電変換層(光吸
収層)と透明電極とを有する。なお、本明細書中、「層」とは、明確な境
界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層
をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、太陽電池断面のFE-T
EM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によっ
て行うことができる。また、本明細書中に記載した「層」とは、平坦な薄
膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形
成しうる層をも意味する。

【0024】〈基材〉
上記基材は特に限定されないが、フレキシブル基材が好ましく、例えば、
ポリイミド、ポリエステル系の耐熱性高分子や金属箔を有する基材が挙げ
られる。なかでも、ポリエチレンナフタレートフィルムや金属箔を有する
基材が好ましい。特に上記金属箔を用いることにより、耐熱性高分子を用
いる場合と比べてコストを抑えられるとともに、高温処理を行うことがで
きる。即ち、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層形成時にお
いて耐光性(光劣化に対する耐性)を付与する目的で80(℃)以上の温
度で熱アニール(加熱処理)を行っても、歪みの発生を最小限に抑えて、
高い光電変換効率を得ることができる。
【0025】上述した金属箔は特に限定されず、例えば、アルミニウム、チタ
ン、銅、金等の金属や、ステンレス鋼(SUS)等の合金からなる金属箔
が挙げられる。これらは単独で用いられても良く、2種以上を併用しても
よい。上述した基板の候補としてはアルミニウム箔が好ましい。上記アル
ミニウム箔を用いることにより、他の金属箔を用いる場合と比べてもコス
トを抑えるとともに、柔軟性があることから作業性を向上できる。
【0026】上記基材は、上記金属箔のみからなるものであってもよい。この
場合、上記金属箔は、電極としての役割も果たしてもよい。また、上記基
材は、更に、上記金属箔上に形成された絶縁層を有していてもよい。この
場合、本発明の太陽電池は、更に、上記絶縁層上に形成された電極を有す
ることが好ましい 。
【0027】上記絶縁層は特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、酸化
ケイ素、酸化亜鉛等からなる無機絶縁層、エポキシ樹脂、ポリイミド等か
らなる有機絶縁層が挙げられる。なかでも、上記金属箔がアルミニウム箔
である場合には、上記絶縁層が酸化アルミニウム被膜であることが好まし
い。上記絶縁層として上記酸化アルミニウム被膜を用いることにより、
機絶縁層の場合と比べて、大気中の水分が絶縁層を透過して有機無機ペロブ
スカイト化合物を含む光電変換層を劣化させることを抑制することができ
る。
【0028】また、上記絶縁層として上記酸化アルミニウム被膜を用いること
により、上記アルミニウム箔と接することで時間の経過とともに有機無機
ペロブスカイト化合物を含む光電変換層(光吸収層)に変色が生じ、腐食
が起きるという現象を抑制することができることはすでに公知である。
なお、一般的な他の太陽電池では光電変換層がアルミニウムと反応して変
色が生じること等は報告されておらず、上記のような腐食が起きるという
現象は、光電変換層が有機無機ペロブスカイト化合物を含むペロブスカイ
ト太陽電池に特有の問題として先出願された公報に記載されている。
【0029】上述した公報によれば酸化アルミニウム被膜の厚みは特に限定さ
れないが、好ましい下限が0.1(μm)、好ましい上限が20(μm)で
あり、より好ましい下限が0.5(μm)、より好ましい上限が10(μm)
である。上記酸化アルミニウム被膜の厚みが0.1(μm)以上であれば、
上記酸化アルミニウム被膜が上記アルミニウム箔の表面を充分に覆うこと
ができ、上記アルミニウム箔と電極との間の絶縁性が安定する。さらに、
酸化アルミニウム被膜の厚みが20(μm)以下であれば、上記基材を湾曲
させても上記酸化アルミニウム被膜にクラックが生じにくい。
上記酸化ア
ルミニウム被膜の厚みは、例えば、上記基材の断面を電子顕微鏡(例えば、
S-4800、HITACHI社製等)で観察し、得られた写真のコント
ラストを解析することにより測定することができる。
【0030】上記酸化アルミニウム被膜と上記基材の厚みの比率は特に限定さ
れないが、上記基材の厚み100(%)に対する上記酸化アルミニウム被
膜の厚みの比率の好ましい下限が0.1(%)、好ましい上限が15(%)
である。上記比率が0.1(%)以上であれば、上記酸化アルミニウム被
膜の硬度が上がり、上記電極をパターニングする際に上記酸化アルミニウ
ム被膜の剥離を抑制しつつパターニングを良好に行うことができ、絶縁不
良及び導通不良の発生を抑制することができる。上記比率が15%以下で
あれば、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層形成時に加熱処
理を行う際に、上記アルミニウム箔との熱膨張係数の差によって上記酸化
アルミニウム被膜及び/又はその上に形成された上記電極にクラックが生
じることを抑制することができる。これにより、太陽電池の抵抗値が上昇
してしまったり、上記アルミニウム箔が露出して有機無機ペロブスカイト
化合物を含む光電変換層に腐食が起きたりすることを抑制することができ
る。
【0031】上記酸化アルミニウム被膜を製膜する方法は特に限定されず、例
えば、上記アルミニウム箔に陽極酸化を施す方法、上記アルミニウム箔の
表面にアルミニウムのアルコキシド等を塗布する方法、上記アルミニウム
箔の表面に熱処理による自然酸化被膜を形成する方法等が挙げられる。な
かでも、上記アルミニウム箔の表面全体を均一に酸化させることができる
ことから、上記アルミニウム箔に陽極酸化を施す方法が好ましい。即ち、
上記酸化アルミニウム被膜は、陽極酸化被膜であることが好ましい。上記
アルミニウム箔に陽極酸化を施す場合には、陽極酸化における処理濃度、
処理温度、電流密度、処理時間等を変更することにより、上記酸化アルミ
ニウム被膜の厚みを調整するとができる。
【0032】上記基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限が5(μm)、
好ましい上限が500(μm)である。上記基材の厚みが5(μm)以上で
あれば、充分な機械的強度を持つことができ、取扱い性に優れた太陽電池
とすることができる。さらに、上記基材の厚みを500(μm)以下とする
ことで、フレキシブル性に優れた太陽電池が実現できる。上記基材の厚み
として、より好ましい下限は10(μm)、より好ましい上限は100(μm)
である。上記基材の厚みとは、上記基材が上記金属箔と上記金属箔上に形
成された絶縁層とを有する場合、上記金属箔と上記絶縁層とを含む上記基
材全体の厚みを意味する。
【0033】上述したように基材が金属箔と金属箔上に形成された絶縁層とを
有する場合、上記絶縁層上に形成された電極を有することが好ましい。
【0034】〈電極及び透明電極材料〉
上記電極及び上記透明電極は、どちらが陰極になってもよく、陽極になっ
てもよい。上記電極及び上記透明電極の材料として、例えば、FTO(フ
ッ素ドープ酸化スズ)、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、リチウ
ム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム-銀混合物、マグネシウ
ム-インジウム混合物、アルミニウム-リチウム合金、Al/Al
合物、Al/LiF混合物、金等の金属、CuI、ITO(インジウムスズ
酸化物)、SnO、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(イン
ジウム亜鉛酸化 物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)等の導電性透明材料、
導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられても
よく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】〈光電変換層:有機無機ペロブスカイト化合物〉
上記光電変換層(光吸収層)102は、有機無機ペロブスカイト化合物を
含む。光電変換層に有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、
太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。有機無機ペロブスカ
イト化合物は、一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、
Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表されることが好まし
い。
【0036】上記Rは有機分子であり、C(l、m、nはいずれも
正の整数)で示されることが好ましい。上記Rは、具体的には例えば、メ
チルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルア
ミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルア
ミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチル
プロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシル
メチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イミダゾー
ル、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、
イミダゾリン、カルバゾール、メチルカルボキシアミン、エチルカルボキ
シアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチ
ルカルボキシアミン、ヘキシルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、
グアニジン、アニリン、ピリジン及びこれらのイオン(例えば、メチルア
ンモニウム(CHNH)等)やフェネチルアンモニウム等が挙げられ
る。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、プロピル
カルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン
、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンが好ましく、メチ
ルアミン、エチルアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウ
ム、グアニジン及びこれらのイオンがより好ましい。なかでも、高い光電
変換効率が得られることから、メチルアミン、ホルムアミジニウム及びこ
れらのイオンが更に好ましい。
【0037】上記Mは金属原子であり、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、ア
ンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲル
マニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マン
ガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。なかでも、電
子軌道の重なりの観点から、鉛又はスズが好ましい。これらの金属原子は
単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、
臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらのハロゲン原子又は
カルコゲン原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なかでも、構造中にハロゲンを含有することで、上記有機無機ペロブスカ
イト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能にな
ることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイ
ト化合のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素がより好
ましい。
【0039】有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に
有機分子R、面心に ハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方
晶系の構造を有することが好ましい。図1は、体心に金属原子M、各頂点
に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立
方晶系の構造の一般的な有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例
を示す模式図である。詳細は明らかではないが、上記構造を有することに
より、結晶格子内の八面体の向きが容易に変わることができるため、上記
有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の
光電変換効率が向上すると推定されている。
【0040】有機無機ペロブスカイト化合物は、結晶性半導体であることが好
ましい。結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検
出できる半導体を意味している。上記有機無機ペロブスカイト化合物が結
晶性半導体であれば、有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が
高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。また、有機無機ペロブス
カイト化合物が結晶性半導体であれば、太陽電池に光を照射し続けること
による光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光
劣化が抑制されやすくなる。
【0041】〈結晶化の指標〉
一般的に、結晶化の指標として結晶化度を評価する。結晶化度は、X線散
乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来
のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、
全体のうちの結晶部分の比を算出することにより求めることができる。有
機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度の好ましい下限は30(%)であ
り結晶化度が30(%)以上であれば、有機無機ペロブスカイト化合物中
の電子の移動度が向上し、太陽電池の光電変換効率が高くなる。また、上
述した結晶化度が30(%)以上であれば、太陽電池に光を照射し続ける
ことによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因す
る光劣化が抑制されやすくなる。上記結晶化度のより好ましい下限は50
(%)、更に好ましい下限は70(%)である。また、上記有機無機ペロ
ブスカイト化合物の結晶化度を上げる方法として、例えば、熱アニール(
加熱処理)、レーザ等の強度の強い光の照射、プラズマ照射等が挙げられ
る。
【0042】また、他の結晶化の指標として結晶子径を評価することもできる。
結晶子径は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピ
ークの半値幅からhalder-wagner法で算出することができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶子径が5(nm)以上であれば、
太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、
特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制される。また、上記有機無機
ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換
効率が向上する。上記結晶子径のより好ましい下限は10(nm)、更に
好ましい下限は20(nm)である。
【0043】〈光電変換層(光吸収層)〉
光電変換層(光吸収層)は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、
上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、更に、有機半導体又は無機
半導体を含んでいてもよい。有機半導体として、例えば、ポリチオフェン
(3-アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げ
られる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカ
ルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電
性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロ
シアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリ
ン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物や、表面修飾されてい
てもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含
有材料も挙げられる。
【0044】無機半導体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジ
ウム、酸化スズ、酸 化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、
CuSCN、CuO、CuI、M oO、V、WO、MoS
MoSe、CuS等が挙げられる。
【0045】光電変換層(光吸収層)は、有機無機ペロブスカイト化合物と有
機半導体又は無機半導体とを含む場合、薄膜状の有機半導体又は無機半導
体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層体
であってもよいし、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカ
イト化合物部位とを複合化した複合膜であってもよい。量産時において製
法が容易な積層体が好ましく、他方有機半導体又は無機半導体中の電荷分
離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましい。
【0046】有機無機ペロブスカイト化合物で形成された部位の厚みは、好ま
しい下限が5(nm)、好ましい上限が1000(nm)である。上記厚
みが5(nm)以上であれば、充分に光を吸収することができるようにな
り、光電変換効率は高くなる。しかしながら、厚みが厚くなれば抵抗値も
大きくなるため電子や正孔の取り出し時の損失も大きくなるため効率低下
が生じる。
【0047】そこで本願発明では後段で詳細に説明するがバリア層表面に賦形
した光学素子のレンズ作用で太陽光を集光させる。この結果、光電変換層
を太陽光が斜めに通過することで厚い光電変換層と同等の光電変換効率が
得られ、高い光電変換効率と低損失を同時に両立できるという本願発明特
有の第一効果を得ることができる。


図4

図16.実施例に係るバリアシート又はバリア層表面に設けた第一の実施例で
ある微細光学素子の形状と作用を示す模式図
【0048】図4図16および図17に示すように光電変換層が、有機無機
ペロブスカイト化合物部位を複数層設けて複合化した複合膜である場合、
上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は2000(
nm)である。さらに厚みが30(nm)以上であれば、充分に光を吸収
することができるようになり、光電変換効率が高くなる。



図17 実施例に係るバリアシート又はバリア層表面に設けた第二の実施例
である微細光学素子の形状と作用を示す模式図

【0049】この時、上述したバリア層表面に賦形した光学素子を設けること
で、この光学素子のレンズ作用で太陽光を集光させる。この結果として、
光電変換層を太陽光が斜めに通過することで厚い光電変換層と同等の光電
変換効率が得られ、高い光電変換効率と低損失を同時に両立できるという
本願発明特有の第一の効果を得ることができる。この構成によれば、厚み
が1500(nm)以下であっても、太陽光が斜めに光電変換部を通過す
るため電荷が電極に到達しやすくなり、光電変換効率が高くなる。

【0050】光電変換層は、光電変換層形成後に熱アニール(加熱処理)が施
されていることが好 ましい。熱アニール(加熱処理)を施すことにより、
光電変換層中の有機無機ペロブスカ イト化合物の結晶化度を上げることが
でき、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)をより
抑制することができる。従来の耐熱性高分子からなる基材を用いた太陽電
池にこのような熱アニール(加熱処理)を行うと、基材と光電変換層等と
の熱膨張係数の差により、アニール時に歪みが生じ、その結果、高い光電
変換効率を達成することが難しくなる。上記金属箔を用いた場合には、熱
アニール(加熱処理)を行っても、歪みの発生を最小限に抑えて、高い光
電変換効率を得ることができるので好ましい。
【0051】上記熱アニール(加熱処理)を行う場合、上記光電変換層を加熱
する温度は特に限定されないが、100(℃)以上、250(℃)未満で
あることが好ましい。上記加熱温度が100℃以上であれば、上記有機無
機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加
熱温度が250(℃)未満であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物
を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。より好ましい加熱
温度は、120(℃)以上、200(℃)以下である。また、加熱時間も
特に限定されないが、3分以上、2時間以内であることが好ましい。加熱
時間が3分以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度
を充分に上げることができる。上記加熱時間が2時間以内であれば、上記
有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うこ
とができる。これらの加熱操作は真空又は不活性ガス下で行われることが
好ましく、露点温度は10(℃)以下が好ましく、7.5(℃)以下がよ
り好ましく、5(℃)以下が更に好ましい。
【0052】本発明の太陽電池は、上記基材及び上記透明電極のうちの陰極と
なる側と、上記光電変換層との間に、電子輸送層を有してもよい。上記電
子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分
子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金
属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、シアノ
基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、
バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾ
ール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化
合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフ
ィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸
化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫
化亜鉛等が挙げられる。
【0053】上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層(バッファ層)のみから
なっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、
上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカ
イト化合物を複合化した複合膜である場合、より複雑な複合膜(より複雑
に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質
状の電子輸送層上に複合膜が製膜されていることが好ましい。
【0054】上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1(nm)、好ましい
上限が2000(nm)である。上記厚みが1(nm)以上であれば、充
分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000(nm)以
下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。
上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3(nm)、より好ましい上
限は1000(nm)であり、更に好ましい下限は5(nm)、更に好ま
しい上限は500(nm)である。
【0055】本発明の太陽電池は、上記光電変換層と、上記基材及び上記透明
電極のうちの陽極となる側との間に、ホール(正孔)輸送層を有してもよ
い。上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分
子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性
剤等が挙げられ、具体的には例えば、ポリ(3-アルキルチオフェン)等
のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、トリフ
ェニルアミン骨格、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニル カルバ
ゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高
分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシア
ニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨
格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物、酸化モリブデン、酸化バ
ナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モ
リブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホス
ホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸、CuSCN、CuI等の銅化合物、
カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン含有材料等が挙げられる。
【0056】上記ホール輸送層は、その一部が上記光電変換層に浸漬していて
もよいし、上記光電変換層上に薄膜状に配置されてもよい。上記ホール輸
送層が薄膜状に存在する時の厚みは、好ましい下限は1(nm)、好まし
い上限は2000(nm)である。上記厚みが1(nm)以上であれば、
充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000(nm)以
下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。
上記厚みのより好ましい下限は3(nm)、より好ましい上限は1000
(nm)であり、更に好ましい下限は5(nm)、更に好ましい上限は500
(nm)である。
【0057】本発明の太陽電池は、更に、上記透明電極上に配置された引出し
配線を有する。上記引出し配線を設けることにより、上記透明電極の面積
が大きくなったとしても高い光電変換効率を得ることができる。
【0058】上記引出し配線は、導電性材料からなる配線であれば特に限定さ
れず、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、白金等の金属又はこれらの合
金等からなる配線、炭素からなる配線等が挙げられる。これらは単独で用
いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。銀からなる配線である場
合、上記引出し配線は、上記透明電極上に例えば銀ペースト等を用いて形
成される。
【0059】上記引出し配線の形状は特に限定されず、例えば、線状(複数本
の線状)、格子状、網目状等が挙げられる。これらの形状は単独で用いら
れてもよく、2種以上が併用されてもよい。
 
                          この項つづく

  ダンシング・ロック 『Da-iCE / TAKE IT BACK』


今日の言葉: スプレー式シリコンスピンドル油を購入。安いものだ
         が雑なつくり(1コインショップが泣くねぇ)。心が
         ないね。

                 春が来ても、鳥たちは姿を消し、鳴き声も聞こえない。
                          春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』   
                            (因果報応の季節風)より

                        

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