彦根藩二当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる招き猫と井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時
代の井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。
前回よりの続き
🌠 特許第7566173号 酸性ガス還元電極触媒およびそれを用いた酸性
ガス還元装置 三菱電機株式会社⓶
【要約】電極触媒(100)は、導電性微粒子(2)の表面に活性金
属(1)を付着させた触媒粒子(3)と、酸性ガスを吸着する多孔質
膜(4)と、プロトンを透過する陽イオン交換膜(5)と、表面に、
多孔質膜(4)および陽イオン交換膜(5)が共存する触媒粒子(3)
を、固着させた多孔質の集電体(6)と、を備え、触媒粒子(3)は
多孔質膜(4)で被覆され、陽イオン交換膜(5)で覆われて集電体
(6)の表面に固着される。
【発明の効果】
本願によれば、酸性ガスを吸着する多孔質体と、プロトンを透過する
陽イオン交換膜と、が触媒上に共存することで、効率的に二酸化炭素
を還元することができる。
【0038】 実施の形態2.
実施の形態1では、触媒粒子3の集電体6側に多孔質膜4を、集電
体6とは反対側に陽イオン交換膜5を設けた場合を説明したが、実施
の形態2では、触媒粒子3の集電体6側に陽イオン交換膜5を、集電
体6とは反対側に多孔質膜4を設けた場合について説明する。
図5 実施の形態2に係る酸性ガス還元電極触媒の構成を示す断面図
【符号の説明】【0065】
1 活性金属、2 導電性微粒子、3 触媒粒子、4 多孔質膜、5 陽
イオン交換膜、6 集電体、100、101、102 電極触媒。
【0039】 図5は、本願の実施の形態2に係る酸性ガス還元電極触
媒の構成を示す断面図である。図5に示すように、電極触媒101は、
導電性微粒子2の表面に活性金属1を付着させた触媒粒子3、触媒粒
子3を、陽イオン交換膜5を介して固着させた集電体6、集電体6に
固着した触媒粒子3を覆う多孔質膜4、で構成される。【0040】
次に、本願の実施の形態2に係る酸性ガス還元電極触媒の製造方法に
ついて、図6Aおよび図6Bを用いて説明する。図6Aおよび図6B
は、実施の形態2に係る酸性ガス還元電極触媒の製造方法を説明する
ための断面図である。【0041】
図6Aおよび図6Bは、実施の形態2に係る酸性ガス還元電極の
製造方法を説明するための断面図
まず最初に、活性金属1が含まれた金属塩の溶液に導電性微粒子2を
入れて撹拌しながら、還元剤を入れることで、図6Aに示すような、
活性金属1を付着させた導電性微粒子2を得ることができる。金属塩
は水和物か否かにより、水またはアルコールを溶媒に用いる。活性金
属1は、導電性微粒子2に対して金属質量換算で0.1~50wt%
の範囲で付着させる。望ましくは、1~10wt%の範囲で付着させ
る。付着量が0.1%未満であると、ファラデー効率が悪くなるため、
産業利用の面で課題となる。付着量が50wt%よりも多くなるとシ
ンタリング現象により活性金属1のサイズが大きくなり、触媒反応が
乏しくなる。【0042】
続いて、陽イオン交換膜5の成分であるナフィオンを5wt%~10
wt%の割合でアルコール単体またはアルコールと水の混合溶液に溶
解させ、その溶液を集電体6の表面に塗布した後、導電性微粒子2に
活性金属1を付着させた触媒粒子3を、図6Bに示すように、形成さ
れた陽イオン交換膜5上に塗布する。なお、陽イオン交換膜5は、塗
布面の反対側の集電体6の表面に出て来てもよい。【0043】
触媒粒子3の塗布方法は、アルコール単体またはアルコールと水の混
合溶液の中に触媒粒子3を混合し、スピン塗布、スプレー塗布、ディ
スペンス塗布などの方法で実施し、集電体6の陽イオン交換膜5の塗
布面に均一に分散させるのが望ましい。塗布した後の乾燥温度は室温
放置、または50℃以下の加温をしても良い。【0044】
最後に、集電体6に固着した触媒粒子3の表面を覆うように多孔質膜
4を形成ことで、図5に示す電極触媒101が得られる。このように
して形成された電極触媒101は、図3および図4に示すような酸性
ガス還元装置のカソード電極として使用される。【0045】
多孔質膜を薄く被覆するためには、実施の形態1と同様に、金属有機
構造体を構成される金属塩と有機配位子が溶解した溶液中に触媒粒子
3を入れて、十分撹拌して必要に応じて加温することで被覆すること
ができる。ここで述べた金属有機構造体の種類としては、耐熱性と耐
水性を有するものであればよく、例えば、HKUST-1、ZIF-
8、ZIF-67、UiO-66、MIL-100、MIL-101、
MOF-74が挙げられる。【0046】
多孔質膜4を均一に塗布する方法としては、ロール状塗布、スピン塗
布、スプレー塗布、ディップ塗布、ディスペンス塗布などの方法が望
ましい。塗布した後の乾燥温度は、室温放置、または50℃以下の加
が望ましい。【0047】
電極触媒101を図3の還元装置200のカソード電極12として使
用する場合は、二酸化炭素導入管16から出てくる二酸化炭素17が
多孔質膜4と接するように配置する必要がある。【0048】
電極触媒101を図4の還元装置200のカソード電極22として使
用する場合は、電解液18とは触媒粒子3が固着されていない集電体
6の面を接するようにし、気体として導入される二酸化炭素27は多
孔質膜4と接するようにする。この時、電解液28と接する集電体6
の最表面は陽イオン交換膜5で覆われている方が望ましい。【0049】
実施の形態2による電極触媒101のその他の構成および製造方法に
ついては、実施の形態1の電極触媒100と同様であり、対応する部
分には同符号を付してその説明を省略する。また、実施の形態2に
よる電極触媒101を用いた酸性ガス還元装置の構成についても、実
施の形態1の電極触媒100を用いた還元装置200と同様であり、
対応する部分には同符号を付してその説明を省略する。【0050】
以上のように、本実施の形態2に係る酸性ガス還元電極触媒によれば、
電極触媒101は、導電性微粒子2の表面に活性金属1を付着させた
触媒粒子3と、酸性ガスを吸着する多孔質膜4と、プロトンを透過す
る陽イオン交換膜5と、表面に多孔質膜4および陽イオン交換膜5が
共存する触媒粒子3を、固着させた多孔質の集電体6と、を備え、触
媒粒子3は、陽イオン交換膜5を介して集電体6の表面に固着され、
多孔質膜4で覆われるようにしたので、また、本実施の形態2に係る
酸性ガス還元装置によれば、還元装置200は、電解液18(28)
で満たされた電解槽11(21)と、電界層11(21)の中でイオ
ン交換膜14(24)を介して対置されたカソード電極12(22)
およびアノード電極13(23)と、カソード電極12(22)とア
ノード電極13(23)に接続する電源15(25)と、カソード電
極12(22)に接するように酸性ガスである二酸化炭素17(27)
を導入する二酸化炭素導入管16(26)と、を備え、カソード電極
12(22)は、電極触媒101を用いるようにしたので、酸性ガス
である二酸化炭素を吸着する多孔質膜と、プロトンを透過する陽イオ
ン交換膜と、が触媒上に共存することで、二酸化炭素とプロトンが両
側から供給され、集電体上で還元反応が起こり、効率的に二酸化炭素
を還元することができる。
図7 実施の形態3に係る酸性ガス還元電極触媒の構成を示す断面図
【0051】 実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、多孔質部材として多孔質膜
4を用いた場合について説明したが、実施の形態3では、多孔質部材
としての多孔質粒子を用いた場合について説明する。
【0052】 図7は、本願の実施の形態3に係る酸性ガス還元電極
触媒の構成を示す断面図である。図7に示すように、電極触媒102
は、導電性微粒子2の表面に活性金属1を付着させた触媒粒子3、触
媒粒子3の表面に陽イオン交換膜5を被覆するとともに固着された多
孔質粒子10、陽イオン交換膜5で覆うことで触媒粒子3が固着され
た集電体6、で構成される。
図8Aから図8Cは、実施の形態3に係る酸性ガス還元電極の製造方
法を説明するための断面図
【0053】次に、本願の実施の形態3に係る酸性ガス還元電極触媒
の製造方法について、図8Aおよび図8Bを用いて説明する。図6A
および図6Bは、実施の形態2に係る酸性ガス還元電極触媒の製造方
法を説明するための断面図である。【0054】
まず最初に、活性金属1が含まれた金属塩の溶液に導電性微粒子2を
入れて撹拌しながら、還元剤を入れることで、図8Aに示すような、
活性金属1を付着させた導電性微粒子2を得ることができる。金属塩
は水和物か否かにより、水またはアルコールを溶媒に用いる。活性金
属1は、導電性微粒子2に対して金属質量換算で0.1~50wt%
の範囲で付着させる。望ましくは、1~10wt%の範囲で付着させ
る。付着量が0.1%未満であると、ファラデー効率が悪くなるため、
産業利用の面で課題となる。付着量が50wt%よりも多くなるとシ
ンタリング現象により活性金属1のサイズが大きくなり、触媒反応が
乏しくなる。【0055】
続いて、陽イオン交換膜5の成分であるナフィオンを5wt%~10
wt%の割合でアルコール単体またはアルコールと水の混合溶液に溶
解させ、その溶液の中に、触媒粒子3および図8Bに示す多孔質粒子
10を入れて十分撹拌する。
【0056】 なお、多孔質粒子10は二酸化炭素を吸着できる材料
であればよく、活性炭、ゼオライトのような材料であり、触媒粒子3
と同程度からそれ以下の直径を有していることが望ましい。特に、多
孔質体粒子10としては、金属有機構造体を用いることが望ましく、
耐熱性と耐水性を有するものであればよい。例えば、HKUST-1、
ZIF-8、ZIF-67、UiO-66、MIL-100、MIL
-101、MOF-74が挙げられる。ZIF-8を一例として挙げ
ると、実施の形態1で示した試薬を用いて、加熱・加圧により粒状の
ZIF-8を合成しても良い。また、市販品を用いても良く、BAS
F社(独)で製造されているBasoliteZ1200(商標登録)
を用いても良い。【0057】
最後に、触媒粒子3と多孔質粒子10を入れて十分撹拌させた溶液を
集電体6に塗布した後、乾燥させることで、図7に示す電極触媒102
が得られる。このようにして形成された電極触媒102は、図3およ
び図4に示すような酸性ガス還元装置のカソード電極として使用され
る。【0058】
均一に塗布する方法としては、ロール状塗布、スピン塗布、スプレー
塗布、ディップ塗布、ディスペンス塗布などの方法が望ましい。乾燥
時の温度は、室温または50℃以下の加温をしても良い。【0059】
電極触媒102を図3の還元装置200のカソード電極12として使
用する場合は、二酸化炭素導入管16から出てくる二酸化炭素17が
カソード電極12の全体と接するように配置する必要がある。
【0060】 電極触媒102を図4の還元装置200のカソード電
極22として使用する場合は、気体として導入される二酸化炭素27
は集電体6と接するようにする。この場合、集電体6の二酸化炭素27
と接する面は、陽イオン交換膜5で覆われていない方が望ましい。陽
イオン交換膜5が全面に厚く覆われていると、気体である二酸化炭素
27が透過しないためである。
【0061】実施の形態3による電極触媒102のその他の構成およ
び製造方法については、実施の形態1の電極触媒100と同様であり、
対応する部分には同符号を付してその説明を省略する。また、実施の
形態3による電極触媒102を用いた酸性ガス還元装置の構成につい
ても、実施の形態1の電極触媒100を用いた還元装置200と同様
であり、対応する部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0062】以上のように、本実施の形態3に係る酸性ガス還元電極
触媒によれば、電極触媒102は、導電性微粒子2の表面に活性金属
1を付着させた触媒粒子3と、酸性ガスを吸着する多孔質粒子10と、
プロトンを透過する陽イオン交換膜5と、表面に多孔質粒子10およ
び陽イオン交換膜5が共存する触媒粒子3を、固着させた多孔質の集
電体6と、を備え、触媒粒子3は、陽イオン交換膜5で覆われること
により、表面に多孔質粒子10を固着させるとともに、集電体6の表
面に固着されるようにしたので、また、本実施の形態3に係る酸性ガ
ス還元装置によれば、還元装置200は、電解液18(28)で満た
された電解槽11(21)と、電界層11(21)の中でイオン交換
膜14(24)を介して対置されたカソード電極12(22)および
アノード電極13(23)と、カソード電極12(22)とアノード
電極13(23)に接続する電源15(25)と、カソード電極12
(22)に接するように酸性ガスである二酸化炭素17(27)を導
入する二酸化炭素導入管16(26)と、を備え、カソード電極12
(22)は、電極触媒102を用いるようにしたので、酸性ガスであ
る二酸化炭素を吸着する多孔質粒子と、プロトンを透過する陽イオン
交換膜と、が触媒上に共存することで、二酸化炭素とプロトンが両側
から供給され、集電体上で還元反応が起こり、効率的に二酸化炭素を
還元することができる。【0063】
図9 実施の形態に係る酸性ガス還元装置を用いた還元反応の実験デ
ータを示す図
図9は、本願の実施の形態1から実施の形態3に係る酸性ガス還元
電極触媒を用いた酸性ガス還元装置を用いた場合の還元反応における
実験結果となる。Iは実施の形態1に係る酸性ガス還元電極触媒、II
は実施の形態2に係る酸性ガス還元電極触媒、およびIIIは実施の
形態3に係る酸性ガス還元電極触媒をそれぞれ用いたカソード電極で
の実験結果である。比較として、IVは従来の酸性ガス還元電極触媒
を用いたカソード電極での実験結果である。還元反応はマイナス側の
値が大きいほど良い。従来の多孔質体を付けない電極触媒と比較して、
本願の電極触媒は、マイナス側に大きな電流値が得られており、優れ
た性能を有している。【0064】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが
、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及
び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、ま
たは様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示
されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内
において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する
場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つ
の構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合
が含まれるものとする。
【符号の説明】【0065】
1 活性金属、2 導電性微粒子、3 触媒粒子、4 多孔質膜、5
陽イオン交換膜、6 集電体、100、101、102 電極触媒。
この項了
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🌠 最新特許事例
特開2025-28573 電池用材料、電池用材料製造方法および電池用材料
製造システム 株式会社日本製鋼所(審査請求前)⓶
前回よりの続き
【発明の詳細な説明】【0039】
反応炉110Aは、筒状の炉であって、一端側に供給される原料であ
る金属前駆体M1を受け入れる供給口111Aを有し、他端側に反応
生成物である無担持触媒M10を送出する送出口112Aを有する。
また反応炉110Aは、供給口111Aと送出口112Aとの間に中
間部113Aを有する。また、ホッパ90は、金属前駆体M1を貯留
し、フィーダ91を介して供給口111Aに金属前駆体M1を供給す
る。【0040】
反応炉110Aは、第1の処理を行う第1処理部101を中間部11
3Aの上流側に有している。第1処理部101は、第1の処理に用い
る第1流体F11を供給するための第1流体供給口161を1以上有
している。また、第1処理部101は、第1の処理で発生した分解ガ
スF12や第1流体F11を排出するための第1流体排出口163を
1以上さらに有している。第1流体供給口161は、所定の流量や圧
力に調整された第1流体F11を、第1流体供給バルブ162を介し
て受け入れる。第1流体排出口163は、所定の流量や圧力に調整さ
れた分解ガスF12や第1流体F11等の1以上の種類の流体を、第
1流体排出バルブ164を介して排出する。【0041】
なお、反応システム100Aは、第1流体供給口161が受け入れ
る第1流体F11の流量や圧力を補助するための圧送装置160をさ
らに有してもよい。圧送装置160は例えばポンプである。また反応
システム100Aは、第1流体排出口163が排出する流体の流量や
圧力を補助するために吸引装置165をさらに有していてもよい。吸
引装置165は例えばポンプやエジェクタである。第1流体供給口
161から第1処理部101に供給される流体と第1処理部101から
第1流体排出口に排出される流体の流量や圧力は特に限定されない。
ただし、第1流体排出口163に排出される流体の圧力の方が、第1
流体供給口161から供給される流体の圧力に比べて同じかより高い
状態であることが好ましい。
【0042】
反応炉110Aは、第2の処理を行う第2処理部102を中間部の
下流側に有している。第2処理部102は、第2の処理に用いる第2
流体F21を供給するための第2流体供給口171を1以上有してい
る。また、第2処理部102は、第2の処理で発生した分解ガスF22
や第2流体F21を排出するための第2流体排出口173を1以上さ
らに有している。第2流体供給口171は、第2流体供給バルブ172
を介して所定の流量や圧力に調整された第2流体F21を受け入れる。
第2流体排出口173は、第2流体排出バルブ174を介して所定の
流量や圧力に調整された分解ガスF22や第2流体F21等の1以上
の種類の流体を排出する。【0043】
なお、反応システム100Aは、第2流体供給口171が受け入れる
第2流体F21の流量や圧力を補助するために圧送装置170をさら
に有してもよい。圧送装置170は例えばポンプである。また、反応
システム100Aは、第2流体排出口173が排出する流体の流量や
圧力を補助するために吸引装置175をさらに有していてもよい。吸
引装置175は例えばポンプやエジェクタである。第2流体供給口171
から第2処理部102に供給される流体の流量および圧力と、第2処
理部102から第2流体排出口173に排出される流体の流量および
圧力は特に限定されない。ただし、第2流体排出口173に排出され
る流体の圧力の方が、第2流体供給口171から供給される流体の圧
力に比べて同じかより高い状態であることが好ましい。【0044】
また反応炉110Aは、第1処理部101の温度を制御するための
第1温度制御部121を有している。第1温度制御部121は温度制
御装置、すなわち加熱装置または冷却装置を含み、第1処理部101
における所定の位置の反応炉110Aの温度を制御する。さらに、反
応炉110Aは、第2処理部102の温度を制御するための第2温度
制御部122を有している。第2温度制御部122は温度制御装置、
すなわち加熱装置または冷却装置を含み、第2処理部102における
所定の位置の反応炉110Aの温度を制御する。【0045】
第1温度制御部121および第2温度制御部122は、中間部113
Aにおいて筒状の反応炉110Aの周囲を囲むように温度制御装置を
有している。温度制御装置は例えばシースヒータ、コイルヒータまた
はセラミックヒータなどの温度制御可能な任意のヒータを含む。冷却
装置は、例えば冷却した流体を循環させるチラーユニットであっても
よいし、放熱を促進するための冷却フィンや冷却ファンであってもよ
い。第1温度制御部121および第2温度制御部122は例えば常温
から1000度程度の範囲の加熱を行う。また第1温度制御部121
および第2温度制御部122は、加熱装置または冷却装置を制御する
ための制御装置を含み得る。第1温度制御部121および第2温度制
御部122は、反応炉110Aの所定の位置に温度を監視するための
温度計を有していてもよい。また反応炉110Aは、例えば加熱装置
が電流を流すことにより加熱する原理を有する場合には、電流値を監
視することにより温度制御を行ってもよい。なお、加熱装置は、加熱
した流体を循環する熱媒ヒータであってもよい。【0046】
さらに反応炉110Aの内部は、筒部の延伸方向に沿ってスクリュ1
40Aが回転可能に設置されている。これにより反応炉110Aは、
第1処理部101において、供給口111Aから受け入れた金属前駆
体M1と第1流体供給口161から受け入れた第1流体F11を下流
側へ搬送しながら反応させる。また反応炉110Aは、第2処理部
102において、第1処理部101を通過した処理対象と第2流体F
21とを送出口112Aの方へ搬送しながら反応させる。【0047】
駆動部130Aは、スクリュ140Aを駆動させるためのモータを含
む。駆動部130Aは、スクリュ140Aの回転数を変速可能に設定
されたものであってもよい。スクリュ140Aは、反応炉110Aの
両端部においてそれぞれ軸支されており、供給口111Aの側におい
て駆動部130Aに接続している。スクリュ140Aは例えば、ニッ
ケルやクロムを主成分とした合金やアルミナを含むセラミックスによ
り形成され得る。【0048】
反応炉110Aは、炉内において反応生成物を製造する際に生じる
温度変化や、炉内に供給される物質との接触を許容可能な材質により
形成される。例えば反応炉110Aは、ニッケルやクロムを主成分と
した合金やアルミナを含むセラミックスにより形成され得る。
【0049】
次に、反応システム100Bについて説明する。反応システム100
Bは、上述の第2工程ブロック20における第3の処理および第4の
処理を実行する。すなわち、反応システム100Bは、無担持触媒と
低級炭化水素とを反応システムに供給し、低級炭化水素の熱分解を行
い、無担持触媒に接触させる。これにより反応システム100Bは、
導体M13を生成する。反応システム100Bは理解容易のために一
部を切り取った状態で示している。反応システム100Bは、連続的
に反応を継続することにより導体M13を生成する。反応システム
100Bは主な構成として、反応炉110B、第3温度制御部123、
第4温度制御部124、駆動部130Bおよびスクリュ140Bを有
している。【0050】
反応炉110Bは、筒状の炉であって、反応システム100Aから一
端側に供給される無担持触媒M10を受け入れる供給口111Bを有
し、他端側に反応生成物である導体M13を送出する送出口112B
を有する。また反応炉110Bは、供給口111Bと送出口112B
との間に中間部113Bを有する。【0051】
反応炉110Bは、第3の処理を行う第3処理部103を中間部113
Bの上流側に有している。第3処理部103は、第3の処理に用いる
第3流体F31を供給するための第3流体供給口181を1以上有し
ている。また、第3処理部103は、第3の処理で発生した分解ガス
F32や第3流体F31を排出するための第3流体排出口183を1
以上有している。第3流体供給口181は、第3流体供給バルブ182
を介して所定の流量や圧力に調整された第3流体F31を受け入れる。
第3流体排出口183は、第3流体排出バルブ184を介して所定の
流量や圧力に調整された分解ガスF32や第3流体F31等の1以上
の種類の流体を排出する。
【0052】
なお、反応システム100Bは、第3流体供給口181が受け入れる
第3流体F31の流量や圧力を補助するために圧送装置180をさら
に有してもよい。圧送装置180は例えばポンプである。また反応シ
ステム100Bは、第3流体排出口183が排出する流体の流量や圧
力を補助するために吸引装置185をさらに有していてもよい。吸引
装置185は例えばポンプやエジェクタである。第3流体供給口181
から第3処理部103に供給される流体の流量および圧力と、第3処
理部103から第3流体排出口183に排出される流体の流量および
圧力は特に限定されない。ただし、第3流体排出口183に排出され
る流体の圧力の方が、第3流体供給口から供給される流体の圧力に比
べて同じかより高い状態であることが好ましい。【0053】
反応炉110Bは、第4の処理を行う第4処理部104を中間部
113Bの下流側に有している。第4処理部104は、第4の処理に
用いる第4流体F41を供給するための第4流体供給口191を1以
上有している。また、第4処理部104は、第4の処理で発生した分
解ガスF42や第4流体F41を排出するための第4流体排出口193
を1以上有している。第4流体供給口191は、第4流体供給バルブ
192を介して所定の流量や圧力に調整された第4流体F41を受け
入れる。第4流体排出口193は、第4流体排出バルブ194を介し
て所定の流量や圧力に調整された分解ガスF42や第4流体F41等
の1以上の種類の流体を排出する。【0054】
なお、反応システム100Bは、第4流体供給口191が受け入れ
る第4流体F41の流量や圧力を補助するために圧送装置190をさ
らに有してもよい。圧送装置190は例えばポンプである。また、
反応システム100Bは、第4流体排出口193が排出する流体の流
量や圧力を補助するために吸引装置195をさらに有していてもよい。
吸引装置195は例えばポンプやエジェクタである。第4流体供給口
191から第4処理部104に供給される流体の流量および圧力と、
第4処理部104から第4流体排出口193に排出される流体の流量
および圧力は特に限定されない。ただし、第4流体排出口193に排
出される流体の圧力の方が、第4流体供給口191から供給される流
体の圧力に比べて同じかより高い状態であることが好ましい。
【0055】 反応炉110Bは、第3処理部103の温度を制御す
るための第3温度制御部123を有している。第3温度制御部123
は温度制御装置、すなわち加熱装置または冷却装置を含み、第3処
理部103における所定の位置の反応炉110Bの温度を制御する。
さらに、反応炉110Bは、第4処理部104の温度を制御するため
の第4温度制御部124を有している。第4温度制御部124は温度
制御装置、すなわち加熱装置または冷却装置を含み、第4処理部10
4における所定の位置の反応炉110Bの温度を制御する。
【0056】 第3温度制御部123および第4温度制御部124は、
中間部113Bにおいて筒状の反応炉110Bの周囲を囲むように加
熱装置を有している。加熱装置は例えばシースヒータ、コイルヒータ
またはセラミックヒータなどの温度制御可能な任意のヒータを含む
加熱装置は例えば常温から1000度程度の範囲の加熱を行う。また
第3温度制御部123および第4温度制御部124は、加熱装置また
は冷却装置を制御するための制御装置を含み得る。第3温度制御部
123および第4温度制御部124は、反応炉110Bの所定の位置
に温度を監視するための温度計を有していてもよい。また反応炉110B
は、例えば加熱装置が電流を流すことにより加熱する原理を有する場
合には、電流値を監視することにより温度制御を行ってもよい。なお、
加熱装置は、加熱した流体を循環する熱媒ヒータであってもよい。
【0057】 さらに反応炉110Bの内部は、筒部の延伸方向に沿
ってスクリュ140Bが回転可能に設置されている。スクリュ140
Bが回転することにより、反応炉110Bに供給された無担持触媒M
10は送出口112Bの方へ搬送される。すなわち、反応炉110B
は、供給口111Bから受け入れた無担持触媒M10と第3流体供給
口181から受け入れた第3流体F31および第4流体F41とを送
出口112Bの方(下流側)へ搬送しながら段階的に反応させる。
【0058】 駆動部130Bはスクリュ140Bを駆動させるため
のモータを含む。駆動部130Bは、スクリュ140Bの回転数を変
速可能に設定されたものであってもよい。スクリュ140Bは、反応
炉110Bの両端部においてそれぞれ軸支されており、供給口111
Bの側において駆動部130Bに接続している。スクリュ140Bは
例えば、ニッケルやクロムを主成分とした合金やアルミナを含むセラ
ミックスにより形成され得る。【0059】
送出口112Bは、反応炉110Bにおいて生成された導体M13
を反応炉110Bの外に送出する。送出口112Bから導体M13が
送出されると、容器199がこれを回収する。【0060】
図5 接続ブロックの断面図
次に、図5を参照して接続ブロックについて説明する。図5は、接
続ブロック15の断面図である。反応システム100は、反応炉110A
と反応炉110Bとの間に接続ブロック15を有している。接続ブロ
ック15は、上流側の第1工程を実行する反応システム100Aが有
する送出口112Aから下流側の第2工程を実行する反応システム
100Bが有する供給口111Bまでの空間を外気から遮断する。接
続ブロック15は主な構成として、第1工程ブロック10および第2
工程ブロック20のそれぞれに面する環状の接続部152と、この接
続部152から立設する筒状のカバー部151と、を有している。
【0061】
カバー部151は、送出口112Aと供給口111Bとを覆うように
構成された筒状の部材である。カバー部151は、反応炉110Aの
送出口112Aと反応炉110Bの供給口111Bとの相対的な位置
の変化に追従可能な柔軟性を有する。またカバー部151は、例えば、
シリコン樹脂、ニトリル系素材またはフッ素を含む樹脂素材により形
成されていてもよい。あるいはカバー部151は、重量パーセントに
おいてクロムを10%~30%含有し、かつモリブデンを含有しない
合金により形成されていてもよい。またこの場合に、カバー部151
は、延伸方向に沿って蛇腹状に形成された部分を含むものであっても
よい。これによりカバー部は反応炉110Aの送出口112Aと反応
炉110Bの供給口111Bとの相対的な位置の変化に好適に追従で
きる。【0062】
接続部152は、カバー部151の端部に形成された環状の部材で
あり、好ましくはカバー部151と一体的に成形されたものである。
反応炉110Aと接続ブロック15とは、接続部152において、接
続部材155により接続されている。接続部材155は、シール材
157とボルト156とを含む。シール材157は、接続部に沿って
配置された環状の部材であって、ボルト締結時に変形する特性を有す
る。シール材157は例えばシリコン、ニトリルまたはフッ素を含む
ゴムにより形成され得る。あるいは、シール材157は鉄やニッケル
を含む金属板により形成され得る。なお、接続ブロック15と反応炉
110Bとの間においても、上述の構成が採用され得る。【0063】
上述の構成により、反応炉110Aは、無担持触媒M10を送出口1
12Aから送出する。そして反応炉110Bは供給口111Bにおい
て無担持触媒M10を受け入れる。反応炉110Aおよび反応炉110
Bは高温に加熱されるため、特に水平方向(図面の左右方向)に沿っ
て位置が変化する傾向を有する。このとき接続ブロック15は、反応
炉110Aの送出口112Aと反応炉110Bの供給口111Bとの
間を外気から遮断しつつ、両者の相対的な位置の変化に対して好適に
追従する。なお、接続ブロック15は温度を所定の温度に保つために、
加熱装置や断熱部材を備えていてもよい。【0064】
以上、第1工程ブロック10および第2工程ブロック20における反
応システム100の構成を説明した。上述の構成により、反応システ
ム100は、金属前駆体M1を連続的に反応炉110Aに供給する。
これにより反応システム100は、反応炉110Aに受け入れた金属
前駆体M1を反応させながら搬送し無担持触媒M10を連続的に送出
する。さらに反応システム100は、接続ブロック15を介して無担
持触媒M10を反応炉110Bに連続的に供給する。これにより反応
システム100は、反応炉110Bに受け入れた無担持触媒M10を
反応させながら搬送し導体M13を連続的に送出する。
【0065】 次に、図6を参照して第1工程ブロック10および第
2工程ブロック20において反応システム100が実行する処理につ
いて説明する。図6は、第1工程ブロック10および第2工程ブロッ
ク20が実行する電池用材料製造方法を示すフローチャートである。
【0066】 第1工程ブロック10および第2工程ブロック20を
操作する操作者はまず、反応炉110Aおよび反応炉110Bの温度
を制御し(ステップS11)、さらに駆動部130Aおよび駆動部
130Bを起動させてスクリュ140Aおよびスクリュ140Bを駆
動する(ステップS12)。
【0067】 次に、操作者は、第1流体F11、第2流体F21、
金属前駆体M1を反応炉110Aにそれぞれ供給し、第3流体F31
、第4流体F41を反応炉110Bにぞれぞれ供給する(ステップS
13)。これにより、操作者は、反応炉110Aにおいて触媒である
金属前駆体M1に第1流体F11と第2流体F21とを接触させ、反
応炉110Bにおいて無担持触媒M10に第3流体F31と第4流体
F41とを接触させる(ステップS14)。換言すると、反応システ
ム100は、金属前駆体M1と、第1流体F11、第2流体F21、
第3流体F31、および第4流体F41をそれぞれ受け入れ、これら
を設定された温度環境下において接触させつつ、下流へ搬送する。こ
の間、反応システム100において、金属前駆体M1は無担持触媒M
10へ変化する。、さらに無担持触媒M10は、その表面に繊維状ナ
ノ炭素M15が成長して導体M13へ変化する。【0068】
次に、操作者は、送出口112から導体M13を送出させる(ステ
ップS15)。送出された導体M13は回収され、一連の処理は終了
する。【0069】
以上、第1工程ブロック10および第2工程ブロック20にかかる
電池用材料製造方法は、金属前駆体M1と、第1流体F11、第2流
体F21、第3流体F31、および第4流体F41とを反応システム
100に供給する処理を含む。また電池用材料製造方法は、反応炉
110Aにおいて金属前駆体M1に第1流体F11と第2流体F21
とを接触させることにより無担持触媒M10を生成する処理を含む。
また電池用材料製造方法は、反応炉110Bにおいて無担持触媒M10
に第3流体F31と第4流体F41とを接触させることにより導体M
13を生成する処理を含む。これにより、電池用材料製造方法は、触
媒担体を含まない導体を効率的に生成できる。【0070】
次に、図7を参照して第3工程ブロック30について説明する。図7
は、第3工程ブロック30にかかる混練システム200の概要構成図
である。第3工程ブロック30は、第3工程を実行する混練システム
200を有している。混練システム200は、樹脂M20と反応シス
テム100が製造した導体M13をそれぞれ受け入れ、導電性樹脂M
21を製造する。【0071】
混練システム200は主な構成として、樹脂貯留部210、導体貯留
部220、混練機230、駆動装置240、ギヤポンプ245、造粒
機250および容器260を有している。【0072】
樹脂貯留部210は導電性樹脂M21を構成する樹脂M20を混練機
230に供給可能に貯留する容器である。樹脂貯留部210はホッパ
と称される容器であってもよい。樹脂貯留部210は、樹脂供給口
231を介して混練機230に樹脂M20を連続的に供給する。
【0073】 導体貯留部220は、反応システム100が製造した
導体M13を混練機230に供給可能に貯留する容器である。導体貯
留部220はホッパと称される容器であってもよい。導体貯留部220
は、導体供給口232を介して混練機230に導体M13を5~90
重量パーセントの割合になるように連続的に供給する。【0074】
駆動装置240は、混練機230に設けられた混練スクリュ241
を回転させるモータを含む駆動装置である。混練スクリュ241は混
練機230において樹脂供給口231から供給される樹脂M20と導
体供給口232から供給される導体M13とを混練しながら搬送し、
混練物をギヤポンプ245に供給する。混練スクリュ241は具体的に
は2軸のスクリュであることが好ましい。混練スクリュ241により
樹脂M20と導体M13とは好適に混ざり合う。このとき混練スクリ
ュ241は、導体M13が有する繊維状のナノ炭素の組成が混練によ
り破壊されるのを抑制しつつ、樹脂M20と導体M13とを均等に混
ぜ合わせる。【0075】
ギヤポンプ245は樹脂M20と導体M13の混練物を受け入れ、
受け入れた混練物を送出する際の圧力が所定の範囲になるようにギヤ
の回転を制御する。ギヤポンプ245は、受け入れた混練物を下流側
の造粒機250へ送出する。
【0076】造粒機250は、混練機230が生成した混練物をギヤ
ポンプ245を介して受け入れ、受け入れた混練物から所定の大きさ
の粒状物を生成する。造粒機250は、受け取った混練物を粒状に造
粒することにより、導電性樹脂M21を製造する。造粒機250は製
造した導電性樹脂M21を混練物送出口251から送出して容器260
に回収させる。容器260は混練物送出口251から吐出される導電
性樹脂M21を収容する容器である。上述の構成により、混練物送出
口251は、体積抵抗が1.0×106Ω・m未満の混練物である導電
性樹脂M21を送出する。あるいは混練物送出口251は、体積抵抗
が1.0×103Ω・m未満の混練物である導電性樹脂M21を送出す
る。また混練物送出口251は、長さが0.5マイクロメートル以上
のカーボンナノチューブを、5体積パーセント以上含む導電性樹脂M
21を送出する。 この項つづく
● 今日の言葉:失われし40年
問題・課題山積するなか、自律・共助する他なし。
春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
春だというのに自然は沈黙している。
レイチェル・カーソン 『沈黙の春』