極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

農産物完全自給プロジェクト

2014年12月31日 | EMF安全保障

 

 

 

つい最近のことだったと記憶しているが、車の中で、彼女が突然、あなたは農業をやらないのと、尋ね
た。あ~
ぁ、そのことは考えていたこともあったが、再生可能エネルギーの事業を優先させてたから、
やる気はないよ。た
とえ、やるとしても、農業に工業や工学を取り入れた高度化した農業を考えている
から初期投資は従来とは比べ
ものにならないが、一旦、関連プロジェクトが軌道に乗れば生産コストを
逓減し、供給力を安定させる自信はあるよ。勿論、産出する農産物は千差万別だから、その費用効果

幅は大きい。工業製品もそうだけれど、農産物も百パーセント近く国内で生産可能だ。海外需要の消費
地への供給には、プラットフォームやシステムの輸出、贈与で対応できる。このプロジェクトでは、人
件費削減目的の委託生産は無用だ。それができないの
総合力のない経営(能力)の問題だと思ってい
る。というふうなことを返事した。

そのあと、酒の肴の焼きめざしを食べはじめてから?アレルギー発症(免疫機能の異常)の閾値が下がったことを
伝えると、それは中国製品だからよと言うので、ラベルを確認してもそれを否定する表示がない。そのような経過
から、 紀伊国屋書店の電子書籍をネット注文し、高橋五郎著の『日中食品汚染』を速読する。以下、書籍の紹介
と要約と感想を記載する。

 

● 本書は3つの骨格から成る。

危険な農薬、正体不明の加工品、杜撰な管理体制。日中同時に進む食品汚染の実態と業界のからくりに
現地事情に精通した研究者が迫り、
国籍・原材料不明の加工食品が増えている。中国産ホウレン草が野菜エ
キスとなって輸入され、他の食材や添加物と混ざり、冷凍食品として日本で売られる。断ち切れない汚染連鎖の
実態、日本の甘い検査体制に警鐘を鳴らす。解決策はあるのか?チキンエキス、カレールー、麻婆豆腐の素、
チョコレート、昆布粉末…「中国産」と表示されない恐怖を解き明かす(※上図/上の「がんマップ」参照)。

・目 次 

第一章 見えない食品の恐怖
第二章 中国の食品汚染地図
第三章 食品汚染のヒトへの影響
第四章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
第五章 重金属汚染という新たな難題
第六章 日本の食品は安全といえるか


● 増え続ける食品添加物



中国産食品には危険性がつきまとうがそれはなぜか。果たして日本産食品の安全性は確かなのか。今後
安全性を高めるにはどんな対策がありうるのか。
これらに取り組むため著者が、改めて中国現地調査を
3度、日本のスーパーマーケットの食品売り場調査、日本の食品メーカーの工場見学、段ボール箱約3
個分の中国語と日本語の資料収集、食品汚染に関する中国語と日本語による著書・論文の精査、日本の
食品行政を所管する官庁へ数度にわたる取材を行う。

この過程で最も困ったのは中国の食品加工工場調査だったという。中国産食品を研究する日本人に、工
場内部をさらけ出してくれるところはほぼなかった。許される範囲で情報をかき集め、中国の大中小、
グレード別のスーパーマーケットの食品売り場の様子を眺め、加工食品の包装袋記載の成分、食品添加
物賞味期限などの表示を読み、家で試食することもあった。それで分かったことは、中国で販売されて
いる加工食品の種類や品目数が日本に比べて数段に多いことだった。もともと著者は中国の農村や食料
調査が本業で、これまでに集めて来た資料や現地調査が今回ほど役立ったことはない。農村では農薬、
水質、土壌、肥培管理、都市では食品販売、食品添加物、味付けなどに関心を寄せてきた。


● 地上と地下から汚染される

中国語表記の農薬、食品添加物を和訳するのに数日を費やしたことも。中国では日本にない農薬、食品
添加物が沢山使われている。中には違法なもの、すでに製造が禁止されたのに流通している農薬や食品
添加物があり、ほとんどの中日辞典では頼りにならなかったという。

本著書は3つから構成されている。1つは中国産食品の危険性について。ただ、危険、汚ないと指摘す
るだけでなく、構造的な問題を正面から掘り起こした。根底には、中国に於ける農薬、食品添加物、遺
伝子組換え、重金属、土壌や水質汚染、農業生産現場や流通、食品加工メーカー、食品行政、人々の食
に対する意識などの問題がある。農薬や抗生物質の薬剤耐性や交叉耐性の懸念が高まるほど、逆にそれ
らが大量に使われ、より強い薬剤を求める悪循環が始まっているのだ。
次に、2つめは一見しただけで
は元の農畜林水産物が何であったのかわからない食品の品目数が増え続け、そのことが日本の食品輸入
先の分散と増加を誘発した。たとえば中国が北朝鮮から輸入したハマグリを加工して製造したエキスを
日本が輸入するような場合である。エキスに味噌、香料、食品添加物が加えられると元の姿は一層見え
なくなる。この仕組みを解明するため、著者が「食品モジュール」(下図/上)「食品アンブレラ」(}
下図/下などの表を独自に作成し、食品の原材料がたどる過程を目に見える形で示している。3つめは
金額で計ると日本の最大の食品輸入相手国はアメリカ。2番目は中国。金額ではアメリカに劣る中国だ
が、輸入品目数では世界トップで、2012年で700品目に達する。輸入加工食品が増えるほど、1つの食
品ができる間に超える国境の数も増える。生鮮食品は中国から直接来るが、中国が輸入した加工原材料を
現地で中間加工して輸出することも多く、それを繰り返えしている間に、残留農薬、食品添加物など身
体に害のあるものが混ざる危険性が高まると指摘する。

● 日本の検査体制は万全とはいえない

これをには、受け入れる側の日本の輸入食品検査制度にも問題があり、水際で厳重なフィルターを掛け
ているので安心だというのは本当だろうか? 日本産食品は安全だということも神話にすぎないのでは
ないか? 輸入検査制度、残留農薬基準の決め方には問題がないのか?、例えば、
残留農薬問題は200
6年以降、制度が変わり、厳しく取り締まられてきたが、残留農薬の発見自体が十分にできる制度でなけ
れば効果は薄かろう。はじめから農薬は安全ということを前提としているような制度のような気がして
ならないと危惧している。また、
被検対象の重金属はナマリ、ヒ素、カドミウム、同じく食品はトマト
キュウリ、コメなどに絞られていて、不安を払拭するには心もとない。日本産食品にも残留農薬、カド
ミウム汚染などの疑念が消えていない。

最後に、以上の考察を通じて浮かび上がった課題にどう対処したらいいのか、具体策を提案した。国レ
ベル、個人レベルの取り組み方があろう。前者は国際的なものでなければ意味が薄い。たとえば重金属
や食品添加物についてのポジティブリスト化、輸入加工食品工場の指定化など。個人レベルの取り組み
は家庭料理の見直し、加工食品摂取の頻度を下げるなど。
日本人の食をめぐる危険性がますます高まる
中、本書が視野を広げて冷静に、安全とは何か? を考える機会になれば幸いであると結ぶ。

 

 



● 全てはコストを下げるため

流通の一翼を担ういわゆる中間業者組織も複雑で、個人経常のブローカーや代理商が現危を持って買い
付けに飛び回
り、買い付けた農産物を自前の無蓋トラックで運ぶのが.一般的なスタイルになっている。
また、そういった簡素な装備で
数千キロ先の消費地に運ぶことも少なくない。たとえばウルムチのリン
ゴを広州巾に運ぶには、6000
キロを数日間かけて走り通さないと、鮮度が維持できない。中国の陸
上輸送業は競争が激しく、いかにコストを下げるか
が生き残りに関わってくる。結局は、運転手の待遇
節約でな
んとかしようということになる、炎天下、数日間も運転し続ける運転の中には、途中の町で逃
げ出す者も現れる始末だ
が、GPSによる運行管理が未発達の中国では、この方面の管理はほとんどで
きていない。
中国のスーパーに行くと、わたしは良品売り場をのぞくが、いつも思うのは、野菜、肉、
魚の鮮度の悪さだ。氷の上
に無造作に並べられた魚はどれもふやけたようにだらしなく寝ころび、カッ
されたものも包装されたものも、鮮度が明らかに悪い。果物や野菜も同じで、シヤキッとした商品は非常に限
られている。日系のスーパーはよいほうだが、鮮度維持策は小売業者がいくらがんばっても限界があり、やはり
日本の店舗に並ぶ商品と比べると落ちる。これは、産地から小売店舗までの物流システムに問題があるためだ。 

● 氾濫する遺伝子組み換え食品 

遺伝子組換え食品に関する中国政府の姿勢は、日本やアメリカ、EU委員会と同様に安全だというもの
だ。中国政府も遺伝子組換え農作物が農地の節約や農業コストの低下につながり、生産量の大幅な増加
をもたらす点を宣伝している。「農業遺伝子組み換え生物安全管理条例」など法的な規制もかけている
ので、国民は何ら心配することはないという立場をとりている。2012年、フランスの学者が遺伝子
組み換え飼料を2年間与え続けたモルモットにガンが生じたと報じたとき、EU委員会が「実験データ
数や仮説実証過程が限られているので信用きない」と否定的な見解を示したことを援用し、中国政府も
これに同調した。

だが、この報道は遺伝子組み換え食品の危険性を論じた研究を、容認派がフクロ叩きにしたと読み取る
べきである。日本でも同様に、容認派がこの実験を非科学的だと批判したことで注目された『しかし容
認派は、遺伝子組み換え食品批判派から出されている―一安全性を実証せよ」という要求には、まだ、
目をつむり通したままでいる。遺伝子組換え食品が安全だという科学的な実証をした例は皆無だが、そ
れでも多くの国の政府は安全性を強調する点で一
致している。これに反対する意見には、健康に対する
害、安全性が実証されていない未知の食品を摂ることへの心理的な抵抗などさまざまある。
 

● 中国が遺伝子組換え食品に熱心なわけ

ではなせ、中国政府は遺伝子組み替え食品を守ろうとするのか?その答えは比較的単純で、農産物生産
の危機があるゆる角度度から迫っていることを自覚しているからだ、土壌は化学肥料やa薬のまきすぎ
その能さまざまな理由から破壊され、農業を継ぐ片も激減。水も枯渇し汚れている。しかし人口は今後
も増え続けるから、農産物生産は.を減らすことはできない、中国政府にとって遺伝子組換え食品は、
そのための救世主なのだ。

しかし、中国政府は遺伝子組換え良品の危険性を甘く見ていると思う。輸入管理ひとつとっても、国内
で許可していない種類の組み換え大豆がアメリカから大量に輸入されていることが判明するなど、輸出
国から足元を見られている、それは、国内の遺伝子組換え食品の反対派を抑え込むなど露骨な擁護策を
とりすぎたことで、輸出国側の節度や自制心を損なっているからではないだろうか。

遺伝子組み替え食品が品種改良食品と決定的に異なるのは、次の点につきる,遺伝子組換え食品は、原
理的に、サルの遺伝子を人間の遺伝子と入れ替え、サルを人間のような生き物に変えることに等しい,
これに対して品腫改良とは、サルはサルのまま健康体力を豊かにすることだ,遺伝子組換え大豆は、大
豆の形をした大豆ではない「大豆的な植物」と考えた方が良い。と指摘する。

                                       この項つづく   

 

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いちごと異常気象

2014年12月29日 | EMF安全保障

 




 

● いちご鮮度3倍に伸ばすケース!

農工融合ベンチャー、工農技術研究所は、鮮度を従来比で3倍以上長く保つ大粒完熟イチゴ専用の容器
を2015年に発売する。イチゴを弾性体に置き、茎を底部より引っ張りながら上からキャップをして搬送
することで、果肉が手に触れず傷まない(下図参照)。今回開発した専用容器は重さ約25グラム、高
さ約
百ミリメートル、外径約70ミリメートル。ポリエチレンテレフタレート(PET)製キャップの
ほか、発泡ポリエチレン
製クッション、アウター、インナーで構成する。輸送中は窒素ガスなどは使わ
ず、約6度Cで冷蔵保存する。これま
でアジアや欧州に試験輸出し、損傷がなく、イチゴの品質上問題
がないとの結果を得た。容器は生産・流通販売
業者に百個以上購入の場合1個200円程度(消費税抜
き)で販売する予定だと伝えている。




● 磁気センサを使用した移動ロボットのナビゲーション

ここに関わったの企業や大学の保有技術は上の新規考案も驚くのだが、下図のように機械制御領域の技
術にも驚く。様々な場面で多種多様なロボットが活動しているが、移動中の自己位置を認識し自律移動
するロボットは、工場内やオフィス内、病院内などでの人間の手助として期待されている。自律移動さ
のための誘導方式の1つに、磁気マーカ法――典型的には、移動経路上に例えば磁気テープのマーカを
設置しロボットに磁気センサを設け、自己位置を認識するものがある。この方法では、事前に環境の磁
場分布を求め、磁気的なノイズの少ないところに磁気マーカを設置する必要があり、磁気マーカを設置
作業の負担が大きい。また、建屋の鉄骨や鉄筋、建屋内に設置される装置などの強磁性体は製造及び施
工の過程で不可避的に着磁され残留磁気を帯びる。この残留磁気は、時間の経過に対し強さが減衰しな
い。そこで、屋内外の環境の磁気を予め教示データ登録し、この教示データと移動時に計測される実測
データとを比較することで自己位置を認識して自律移動する手法もある。尚、この環境磁気は、地磁気
も含む。

図6の提案は、ステップ1:互いに反転して配置される第1センサ201及び第2センサ202で磁気、
方位を計測し、記録しておく。このデータを教示データ(第1教示データ、第2教示データ)という。
ステップ2:自律移動する際に、各々のセンサで磁気、方位を計測する。このデータを実測データと(
第1実測データ、第2実測データ)いう。ステップ3:実測データを教示データに照合して両データの
偏差が0になるように位置を制御する。この照合に際し、不安定な磁気要素を相殺することで、環境磁
場を利用する自律移動を屋外で行う場合でも、ロボットが自己位置を誤って認識するのを防ぐことがで
きるというもの。と、まぁ~これは蛇足だけれど面白い!

 




 

● 話題だと言う本 ピケティ箸『21世紀の資本』

資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生
み出
す。本書の唯一の目的は、過去からいくつか将来に対する慎ましい鍵を引き出すことだという。

目次

第1部 所得と資本(所得と産出;経済成長―幻想と現実)
第2部 資本/所得比率の動学(資本の変化;古いヨーロッパから新世界へ;長期的に見た資本/所得
    比率;21世紀における
資本と労働の分配)
第3部 格差の構造(格差と集中―予備的な見通し;二つの世界;労働所得の格差;資本所有の格差;
    長期的に見た能力と相続;21世紀における世界的な富の格差)

第4部 21世紀の資本規制(21世紀の社会国家;累進所得税再考;世界的な資本税;公的債務の問題)

ポール・クルーグマンは本書を「素晴らしい」「不均衡についての考え方を一新するもの、さらには「
今年、そしておそらくこの10年間で最も重要な経済書」と称している[15]。彼は本書を、ベストセラー
になった他の経済書と比較して、「重大で、これまでとは異なる研究方法」で成り立っている点が異な
るとしているとし、次のようにも述べている。


 富や収入が少数の人の手に集まっていることが中央政府の課題として再び問題視されるようになっ
 てきたとき、ピケティは、歴史的に見ていったいどんなおかしなことが起きているかについて、資
 料を出して教えてくれるだけではない。彼はまた、不均衡問題、すなわち平等な経済成長、資本家
 と労働者の所得の分配、個々人の間での富と収入の分配、といった問題の統一的な理論となるもの
 をも提示しているのだ。『21世紀の資本論』は、あらゆる面でとてつもなく重要である。ピケティ
 は我々の経済言説を変えてしまった。我々はもはや、かつてのような切り口で富や不均衡について
 語ることなど決してないであろう。


さらに、『アベノミクスの逆襲』の著者の高橋洋一は次のように要約する(「全く退屈しないデータ満
載の歴史書 ピケティの『21世紀の資本』を読む」ダイヤモンドオンライン「高橋洋一の俗論を撃つ!」
2014.12.25)。


 本書のエッセンスだけをいえば、おそろしく簡単だ。資本収益率(ほぼ4~5%)が所得成長率(ほ
 ぼ1%~2%)よりも高いことを、各国の歴史データで示している。これを高所得者と高資産保有者
 がますます富むことの理由に挙げ、多くの国での格差拡大を証明したのである。格差社会を好まな
 い彼はこの現状を打破するため、資本収益率を下げることが有効と考え、資本課税の強化を主張す
 る。それも国際協調のもとですべての国で課税強化策を採用すべしという政策提言になる。

                                          -中略- 

 さて、ピケティは日本に対してどのように見ているのだろうか。先日、日経新聞に興味深いインタ
 ビューが出ていたので、まずそれを紹介しよう。
それによれば、日本の現状をどう見ますかという
 質問に、
「財政面で歴史の教訓を言えば、1945年の仏独はGDP比2百%の公的債務を抱えていた
 が、50年には大幅に減った。もちろん債務を返済したわけではなく、物価上昇が要因だ。安倍政権
 と日銀が物価上昇を起こそうという姿勢は正しい。物価上昇なしに公的債務を減らすのは難しい。
 2~4%程度の物価上昇を恐れるべきではない。4月の消費増税はいい決断とはいえず、景気後退
 につながった」
と、アベノミクスには及第点をつけている。きわめてまっとうな答えだろう。

 日本のg(所得成長率)はここ二十数年間で世界の最低ランクだ。まずデフレ脱却して、2%程度
 の物価上昇にするのは、g(所得成長率)を高めることの第一歩である。g(所得成長率)が高ま
 れば、累進課税などによって、格差の問題を解決するのは、それほどたいした話でなくなるだろう。

 

ということだが、それでどうした!というとになる。国際的なデータは持ち合わせていないが基本的な
データでピ
ケティの結論と、わたし(たち)とは同じなのだ。"日本的財政規律主義"という"阿片"を撲
滅し、さっさとネクスト・ステージ
に移してもらえば良いことなのだから。

   


● 地球温暖禍 高度農林水産業の整備

昨夜の『地球温暖禍 多発顕在』の続き、「日本列島強靱化」や「分厚い中間層」政策の具体例として
これまで、「送電線・通信網地中化」や「融雪・除雪作業の自動化」などの防災・安全保障に関わる長
期的な財政出動(第二矢)として巻頭の記事の「いちご鮮度の外延」を提案している"工農技術研究所"
に刺激を受け、異常気象策と食糧安全保障(目標需給率達成)の「高度農林水産業整備の法」をイメー
ジ。これは「ソーラー・シュアリング」も深く絡むのだが、そのための「初期投資」を軽減
する法整備
であり、その運用は民営化を前提としているものの国家社会主義的政策が特徴(対極に、国
家資本主義
的政策が位置する)。そのスケルトンは(1)初期投資のゼロ金利融資支援、(2)同投資
金額の半額
政府支援※、(3)不動産及び設備の譲渡に関わる規制の強化(あるいは最適化)、(4)投
資支援と
して、"グリーン長期国債"による産助の4つである。その運用に現行の建築基準法ような法制
整備が必
要だろう。立法までの許容時間はそう長くない、言い換えれれば、まったなしであると考えて
いるが如
何に。^^;

※ あくまでも大胆な援助という例示としての数字

● 今夜の防災グッズ

 

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電動モビリティ工学

2014年11月23日 | EMF安全保障

 

 


● 茅ヶ崎市民ソーラーシュアリング運動 初の収獲 

ソーラーシュアリングの市民運動が着々と実績をつくっているようである。 ソーラ
ーシュアリングとは、農機具メーカーに勤めていた川崎市の長島彬さん(71)が考
案し「ソーラーシェアリング」と命名した言葉であるが、エネルギー、食料の両方
の自給率に寄与し、神奈川県内にも多い都市部の農地保全の一助にもなるのではと
期待される。神奈川県内での実証実験の畑は10メートル四方。パネルは通常の太陽
光発電に用いられるものより細長く、地上2メートルの高さに間隔を置いて並ぶ。
日陰と日なたが太陽の動きとともにずれるので「半日陰」が続く。ここでは二種類
のイモ栽培、サツマイモは乾いた砂地でも育つ。里芋は水分が必要。半日陰がどう
影響するか比較試験するため。いずれもパネルがなかった前年と同様に育ち、サツ
マイモの収穫量はやや多いという。ただ、パネルから落ちる雨垂れで土に穴が開く
ことが分かり、葉ものは雨垂れが当たるとどうか同じ畑で違う野菜を育てる輪作の
可能性も重要でありソーラーシェアリング用の栽培技術(工学)も必要になる。

茅ケ崎市西久保では畑の上にパネルを並べ、太陽光を発電と農業で分け合う仕組み。
都市農業ではかさみがちな維持管理費に売電収入を充てられるのがメリットで、災
害時の非常用電力としても活用できるが、心配された農作物も順調に育っていた。
発電所があるのは、公有地を住民が管理して畑などに活用している公園「五郎兵衛
コミュニティー・パーク」。約10メートル四方の畑に高さ約2メートルの架台を
置き、縦158センチ、横29センチの太陽光パネルが72枚並べられている。自
然エネルギーの普及啓発に取り組むNPO法人「ちがさき自然エネルギーネットワ
ーク」が今年4月に設置。約130万円の設備費には寄付金などを充てた。発電を
開始した4月下旬から1カ月間の総発電量は、約640キロワット時。電力は畑に

併設された井戸水のくみ上げに使用する以外は東京電力に売電する。パネルは畑の
上部の3分の1ほどのため発電量は多いとはいえないが、年間収入は約16万円と
見込み、初期投資分は数年で回収できる。

※茅ケ崎市で、「市民立太陽光発電所」の拡大に取り組むNPO法人「ちがさき自
然エネルギーネットワーク」は、同市西久保の市所有地の畑に太陽光パネルを設置
し、地元住民グループ「駅と緑と絆の会」が作物を栽培し実験が四月に始まって半
年余り-。サツマイモと里芋が収穫。出来、収穫量とも上々で今後は日照量が減る
季節や他の野菜についても試したいという。

 

“Okinawans reject Abe’s base deal, but he won’t listen” 2011.11.23 The Japan Times ↑

● アベノミクス総選挙雑感 

各政党の討論をテレビで観て、経済政策で一番ストレートに耳に入ってきた順に、
生活の党」(二番目は「社民党」三番目は「次世代の党」の成長戦略)で決め手
は「内需拡大」。成長戦略では「次世代の党」、「維新の会」は新自由主義を踏襲。
自民党は麻生副総理に象徴される財政規律派と決別できず中途半端。公明党は軽減
税率派で、消費税解釈が曖昧――「薄く広く」から「重く広く」に変質し、「物品
税」に漸近。低所得者に配慮するなら「戻し税」の方が合理的、民主党は消費税「
凍結」だが具体的にどうしたいのか分からない。それ以外、自民党は沖縄の民意を
無視し
「ごり押し」、原発は「なし崩し」で話にならない。そんな感想だ。従って、
先回のコメント通り。

 

 

● 百メートル先のコンビニをあきらめない車椅子9月発売

日産自動車やソニーなど大手メーカー出身の若手技術者らが、デザインを一から手
がけた電動車椅子を製造するベンチャー企業WHILL(ウィル、東京都町田市)を
設立し、製品第1号のWHILL Type-Aを9月に発売。先行予約の限定50台は、
でに売約済みで、生産を委託している台湾メーカーに増産を依頼し、来年2月に

安定供給する。新商品の「Type−A」は、座った右手を置く部分にあるつまみを前

させ操作する。車椅子の内部構造を極力覆ってパッケージ内に収め、デザイン性

耐久性を高め、前輪にはロボット工学の分野で取り入れられているオムニホイー

を採用し、車輪を構成する24個のローラーが、真後ろへの動きや細やかな方向転

可能にしている。四輪駆動で連続20キロ走行、価格は95万円。2015年度までに300

台の生産を予定している。

開発のきっかけは、神奈川県総合リハビリテーションセンター研究部主任研究員の
紹介で
出会った車椅子ユーザーの20代男性に「百メートル先のコンビニを行くの
も諦めてしまう」
と言われたこのことが、2011年から新しいタイプの車椅子開発に
取り組むきっかけろなる。つまり、男性は、段差など物理的な要因のバリアーだけ
でなく、車椅子ユーザーとして周囲の関心を集めてしまう心理的な要因を負担に感
じて外出を控えてしまうということを聞き、イメージを払拭するようなものが作れ
ないかと考え、
メンバーの中には車椅子ユーザーはいないが、車椅子ユーザーから
聞き取りをしデザインしている。

開発資金は 広く賛同が得られるかを探ろうと、インターネット経由で資金調達す
クラウドファンディングを11年秋に実施し、目標の50万円を大きく上回る103
万円の支援を156人から受ける。今までの車椅子は、機能優先でデザイン的にい
まひとつのものが多かったが、WHILLにとても共感した、
先天的な疾病で車椅子生
活を余儀なくされているいとこと一緒に試乗会に参加したい。といった、支援金と
ともに寄せられた期待の声に力づけたと開発の経緯を話す。亡くなった母が車いす
生活でいやというほどお世話になったものだが、身障者に併せて様々のデザイン変
更要求が潜在的にあることを肌身で知る。細かな仕様変更も可能な電動車いすが開
発供給されることに期待したい(関連新規考案/下図↓)。
 

● 世界展開するスマートグラス 

グーグルが「Google Glass」を発表したときエプソンはすでに「MOVERIO BT-100
という同じような製品を発売していたが、販売の対象は大企業の人たちで、流行に
敏感なハイテク好きの人たちではなかった。
だが、Google Glassとともにウェアラブ
ル端末に対する関心が盛り上がるなか、エプソンはこの機会を利用して、自社の拡
張現実(AR)メガネをより多くの層にアピール。
エプソンが新しく発表した「MO
VERIO BT-200
」は、旧機種より60%軽くなったが、それでも重いメガネであること
は否定できない(ケーブルシェードを含まないヘッドセット部の重量は88g)。レン
ズは分厚いし、モトローラ・モビリティ製のスマートフォン「Moto X」をふたつ重
ね合わせたようなサイズのタッチパッドがケーブルで接続されているため、このメ
ガネを着用すれば目立つ。ただ、エプソンの狙いは、街を歩き回って珍しいハイテ
ク製品を見せびかすような人たちではなく、自宅でダラダラ過ごしながらゲームを
する人たちの市場。このエプソンの「BT-200」について「映像を楽しむ」「情報を
まとう」「仕
事が変わる」の3つがコンセプトだという。また、使用方法と市場展
開は、ユーザが決めていく可能性が大きく応用展開では大化けするかも知れないし、
期待ハズレになるかもしれない。

 


 

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金欲漬遺伝子組み換え作物

2014年08月08日 | EMF安全保障

 

 

● アンチエイジングの切り札 水素水は本物?

テレビを見ていると水素水のカマーシャルが流れていたので、健康グッズ販売のための擬似科学・造語
でお馴染みの"活性水素" なのかと疑問に思い引っかかっていたので、1日遅れでチョコ・ネット検索
する。この件は、2005年12月26日、公正取引委員会が東証1部上場の家庭用機器製造会社「シルバー精工
」(東京都新宿区)、「日本ホームクリエイト」(港区)、「エッチアールディ」(横浜市)の3社に
対し、誇大広告であるとして排除命令を出し一応結着しているが、これは正真正銘の水素ガス溶解水の
ことらしい。

ところで、水素水の溶解度は1気圧で0.8ミリモル程度で、活性酸素の中でも最も生体傷害性の強いヒド
ロキシラジカル(HO・)を選択的に消去。水素が水溶性でも脂溶性でもあち、細胞内のあらゆる場所で
抗酸化作用をすることができるという3つの特徴をもつ、2013年時点において臨床研究がはじめられて
いる。
また、別の例では東北大学医学部と整水器メーカー日本トリムは、血液透析用水に水素水を使用
することで透析患者の慢性炎症、酸化ストレスを抑制することを見出し、2010年4月に欧州腎臓透析移
植学会誌「Nephrology Dialysis Transplantation」に「慢性腎臓病・透析患者に対する新規治療法」(論文
)発表。現在臨床試用中だという(下図)



その効果?の根拠として、ランダム化された二重盲検法で、高LDL血症ないしは耐糖能異常の患者
30人に1日900mlの水素水を飲ませたところLDL値の顕著な減少がみられ、脂質代謝異常の改善や耐
糖能異常の予防に有益であるとする究者もいる。ストレスを与えたラットの脳細胞の増殖がストレスに
よって抑制された状態を改善したとする論文も提出されている。また、
山梨大学教育人間科学部とパナ
ソニック電工株式会社の共同研究で、二重盲検法によるランダム化比較試験で、水素を溶存させた水素
高溶存電解アルカリ水は、単に浄水を飲んだ場合と比較して活性酸素による生体内酸化ストレス値を
40%と有意に低下させることを報告。さらに 九州大学とパナソニック電工の研究グループは水素入
りの水がマウスの脳細胞の破壊を抑え、細胞を壊す原因とされる活性酸素も減ったことを確認し、パー
キンソン病などの予防の治療につながる可能性を報告している。

Supplementation of hydrogen-rich water improves lipid and glucose metabolism in patients with type 2 diabetes or
  impaired glucose tolerance,  Nutr Res. 2008 Mar;28(3):137-43. doi: 10.1016/j.nutres.2008.01.008
.
Consumption of molecular hydrogen prevents the stress-induced impairments in hippocampus-dependent learning
  tasks during chronic physical restraint in mice. Neuropsychopharmacology. 2009 Jan;34(2):501-8. doi: 10.1038/
    npp.2008.95. Epub 2008 Jun 18
. 
Hydrogen in Drinking Water Reduces Dopaminergic Neuronal Loss in the 1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydrop-
  yridine Mouse Model of Parkinson's Disease
DOI: 10.1371/journal.pone.0007247 PLoS ONE Sep 30. 2009
Effects of hydrogen-rich water on aging periodontal tissues in rats
 Scientifi Reports  olume:4,Articlenuber:5534
    DOI:doi:10.1038/srep05534
 02 july 2014.

 

「マイナス水素イオン、プラズマ水素、活性水素、水素吸蔵サンゴといった“非科学的な水素”ではな
く、また、ペ
ットボトルに入った水素水には、水素が入っていない(ただし、アルミパウチの容器が一
番水素が抜けにくい)」(第3回分子状水素医学シンポジウム」、太田成男日本医科大教授、2013.03.
12
)との発言や、静岡県の西島病院では、脳梗塞の患者に水素ガスを使い、病変に著しい改善が見られ
た。順天堂大学では、パーキンソン病患者に水素水を毎日1リットル、1年間飲んでもらったところ、
統計学上有意といえる差が出たという事例が示されており、"用法・要領"を知っておけば、以下の理由
から期待できるのではと、触手が動いた。これは面白い。


 生体が酸素を利用して生きている以上,活性酸素の
生成は避けられないことである.そのため,生
 体は活
性酸素を消去するシステムを備えているが,それでもやはり老化や疾病を完全に防ぐことは
 できない。活性
酸素を消去する天然抗酸化物質をサプリメントなどの形で摂取することは,現代人
 にとって珍しいことでは
ないが,それで本当に老化が抑えられたり,病気にかかりにくくなるかど
 うかについては疑問が残る。さま
ざまな疾病の要因として活性酸素があることは示されているもの
 の、抗酸化物質によって活性酸素を積極的
に消去することで治療につなげようとする試みはいま
 に成功していない.しかしながら,新しいタイプの
抗酸化物質の開発は続けられており,抗酸化物
 質が医
療に用いられる日が来ることが期待される。 

 

そんなことを考えていたら、アンチエイジングも「オールソーラーシステム」の事業領域に含めてしま
おうかと思い動いたのでこれは残件扱いに。

 

 

【遺伝子組み換え作物論 18】 

 

                                      第6章 バイテク産業の汚れた策略 そのⅠ

   さて、ここからが本書の核心である。ただしこれは全体像のごく一部にすぎない。要点しか伝え
 られないのは残念だが、すべてを紹介するとなると、本書は『ロード・オブ・ザ・リング』の長さ
 になってしまうだろう。

 (I) バイテク企業による政府の支配――その仕組み

  最初に、巨大企業が巨額の金を使って、選挙時には議員に賄賂を渡し、日常的には政府機関や規
 制当局にロビー活動を行なっている事実から説明しよう。彼らは金の力を使って、異常なまでに強
 い影響力を発揮している。米国政府と企業の間には「回転ドア」と呼ばれるシステムがある。時に
 は、業界の重要人物が政府の主要な役職に任命され、またある時には、重要な元政治家が企業にれ
  て高収入の役職を得られる仕組みだ。関係者の銀行口座には多額の企が振り込まれ、政活家たちの
  関心も企業活動に集中する。
 
    裁判官を操れば、企業にとって思い通りの判決が下される。モンサント社が、最高裁の裁判官を
 操って植物の特許権を取得したのもその典型鋼だ。EUでも、バイテク企業がロビー活動によっ
 て、誇大な宣伝活動を展開している。国際機関では、委員会に働きかけて不当な決定を促している。
 アルゼンチンでは、政府を脅してバイテク企業の命令に従わせた。とりわけ、国民が十分な情報を
 もっていない途上国では、バイテク企業による不当な干渉や怪しげな活動によって、遺伝子組み換
 え作物の商品化が早められた。 

  TEDxWindyCity -- Homaro Cantu & Ben Roche -- The Future of Food 

   ① バイテク企業に支配される米国政府 

  米国内だけでも、驚くほど巨額の資金が動いている。遺伝子組み換え作物を普及するためにハイ
 テク産業は、年間2億5千万ドルも使っている(アフリカで栄養不良の状態にある3百万人の子ど
 もたちに
毎年、食事を提供できる金額だ)。ここで疑問に思うのは、もしも遺伝子組み換え作物が
 それほど素晴
らしいものならば、なぜこれほど巨額の金が宣伝や普及活動に必要なのかという点な
 のである。
 

    政治家への政治献金 

  米国のバイテク企業は、1989年から2003年7月までに、1200万ドルを超える選挙資
 金を、政治家個人や「政治活動委員会(PAC)」に献金した。そのうち、77%は共和党議員に
 献金され、340万ドルは2002年の中回選挙時に使われた。同様に、バイテク医薬品会社や「
 バイオテクノロジー産業機構(BIO)」も、1989年以降万100万ドルを超える政治献金を
 行なっている。合計すれば2500万ドルもの額になる。

  モンサント社は、2000年の選挙でも多額の献金を行なっている。2番目に多額の献金を受け
 取ったのは、下院の農業委員会に強い影響力をもつラリー・コンベスト議員(テキサス州・共和党)
 だった。そして最高額の献金を受け取ったのが司法長官のジョン・アシユクロフト(モンタナ州・
 共
和党)であり、彼はバイテク企業が農家に特許料を請求できるよう、最高裁の判事に働きかけた
 人
物である。
 
  「保険社会福祉省」の長官だったトミー・トンプソンも、バイテク企業から50万ドルの選挙資
 金を受け取り、その見返りとして3億1700万ドルもの州予算を使って、ウィスコンシン州にバ
 イテク研究施設を設立した。
 「畜産、酪農、家禽に関する下院委員会(DLPC)」に所属するコー人の委員も、「政治活動委
 員会」を通して、酪農関連の企業から71万1000ドルを内密に受け取っていたが、そのうち、
 4人が受け取ったのはモンサント社からだった。1994年には、Tハー人の連邦議員が賛同して、
 「遺伝子組み換え食品の表示を義務化する法案」が下院に提出された。ところが、この委員たちが
 審議を引き延ばして廃案にさせたのだった。

   巨額のロビー活動資金

  ロビー活動には、さらに巨額の資金が動いている。BASF社、バイエル社、ダウ・ケミカル社、

 デュポン社、モンサント社、シンジェンタ社は、バイテク業界を規制する動きに圧力をかけるため
 厖大な金を使っている。1998年から2002年までの間に、こうした企業は5300万ドル以
 上も使って、米国連邦政府にロビー活動を展開した。そのうち、2100万ドルを支出したのがモ
 ンサント社であり、最大の資金提供者となっている。
 
  その他のバイテク産業も、下院議員、食品医薬品局、ホワイトハウスに対してロビー活動を展開

 し、8900万ドル以上を使っている。そのうち、1400万ドルは「バイオテクノロジー産業機
 構(BIO)」が拠出しており、バイテク業界全体の利益のためにロビー活動や宣伝を行なってい
 る。
こうして合計すれば、1998年から2002年の間に、1億4200万ドルが使われたこと
 にな
る。
  政治資金を監視する団体「責任ある政治センター(CRP)」が発行するニュースレター「キャ
 ピ
タル・アイ」は次のように報じている。
  
  「食品医薬品局が遺伝子組み換え問題に注意を払うようになった1999年には、30以上の食

 品や農業関連の貿易団体が。よりよい食品連合(ABFごを組織し、米国の議会と市民に遺伝子
 み換え食品を普及する活動を開始した。。米国保存食品製造業者協会(GMAごの広報責任者は、

 上院の委員会で、。食品企業、連邦議員、科学者、農民、規制当局は、共に協力して、政治的な反
 対連動家たちが、バイテク食品の未来を妨害するのを阻止しなければならないこと証言している」

  2000年に、モンサント社は200万ドル以上も使って米国政府の官僚や交渉担当者に接触し、
 「農業貿易政策諮問委員会(APACT」や「バイオテクノロジー諮問委員会(BAP)」の委員
 に就
任することに成功した。多国籍企業のロビー活動を監視するNGO「コーポレート・ヨーロッ
 パ・
オブザーバトリー(CEO)」のオリビエ・フーデマンは、「こうして、米国とEUは大企業
 の要求
を直接、受け入れるようになった」と指摘する。
  さらに2002年に、モンサント社は100万ドル以上も使ってオレゴン州で、「遺伝子組み換
 え食品の表示を義務化する法案」の制定を阻止するためのキャンペーンを展開した。
  ちなみに、モンサント社のロビーストだったリンダ・フィッシャーは後に「環境保護庁(EP
 」の副長官に就任し、長官候補にまでなっている。

  NGO「コーポレート・ウォッチ」は次のように指摘する。

  「バイエル社もまた、すべての主要な規制当局、基準を設定する機関、議会、さらには世界各国

 の政府機関に対して強い影響力を発揮している。同社は、各国政府、とりわけ米国政府の支援を頼
 りにできる。さらにまた、多くの企業が諮問委員会の委員に就任したり、政府高官や政治家との人
 脈を通じて、あるいは自ら法案を起草したり議題を提起する。こうして彼らは、公式・非公式に狙
 いを定めた政府機関に関与しているのだ」


  Future of Food: Africa's Complicated Food Puzzle 

 
   「回転ドア」

  政治家に対する寄付やロビー活動よりも、個人的な人脈をつくって政治的な後ろ盾を得れば、も
 っと強力な決定権を確保できる。モンサント社が政府機関における政策の立案者や貿易交渉の担当
 者と大い人脈を維持しているのもそのためである。政府が業界と深く関係しながら、公平かつ客観
 的に政策を決定することなどできないのは当然のことである。
 アン・クラーク博士(オンタリオ農業大学・植物農業学)は、バイテク企業と政府との間の「回転
 ド
ア」を往来する人々の存在を具体的に指摘する。

  「バイテク産業と米国農務省、食品医薬品局、環境保護庁などの政府機関の問を行き来している 
 例としては、近年だけでも次のような人物がいる。リンダ・フィッシヤー(環境保護庁からモンサ
 ント
社へ)、ヴァル・ギディングズ(農務省からバイオテクノロジー産業機構へ)、テレンス・ハ
 ー‘ヴィー(食
品医薬品局からモンサント社へ)、マーガレット・ミラー(モンサント社から食品
 医薬品局へ)、キース・レ
ディング(農務省からモンサント社へ)、マイケル・テイラー(モンサ
 ント社の顧問弁護士から農務省へ)、サ
リー・ヅァン・ウェルト(農務省からアグレボ社へ)。こ
 うして彼らは、自分がバイテク企業の中で開
発に携わった製品を、今度は規制を担当する政府機関
 に所属して許可する側に回るのだ」
 
  NGO「ピュア・フード」のロバート・コーエンは、とくにブッシュ大統領とモンサント社との

 深い癒着について指摘する。


 
  「そもそもモンサント社の弁護士だったクラレンス・トーマスを最高裁の判事に指名したのは、

 ブッシュ大統領(父)たった」
  2000年の大統領選挙では、民主党のゴア候補と共和党のブッシュ候補(子)との大接戦にな
 り、フロリダ州では州の最高裁が無効票とされた票の再集計を命令する事態になった。ところがそ
 の際、クラレンス・トーマスを含む連邦最高裁の判事5人が、再集計の停止を命じたために、ブッ
 シュ候補(子)の当選が決定することになったのである。
  さらに、モンサント社が買収した製薬会社「サール社」の会長だったドナルド・ラムズフェルド
 は、ブッシュ大統領(子)によって国防長官に任命され、イラク戦争を主導した。
  同様に、製薬会社「イーライリリー社」の副社長だったミッチ・ダニエルズは、ブッシュ大統領
 (子)によって連邦政府の行政管理予算局長に任命された。そしてモンサント社と共同で、「遺伝
 子組み換え・牛成長ホルモン(rBST)を聞発したのが、この「イーライリリー社」だったので
 ある。「イーライリリー社」は欧州における牛成長ホルモンの販売権を取得しており、連邦政府に
 おけるミッチ・ダニエルズの存在によって、EUもいつの日にか、牛成長ホルモンを承認するだろ
 と言われた。
  ジョージ・モンビオが指摘するように、「こうした癒着によって、バイテク企業は異常なまでに
 深く米国政府の中に入りこんだのである」。


                    リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』

                                      この項つづく
 
 

 

 

 

 

  ● 今夜の一曲

ピョートル・チャイコフスキーが1878年の3月から5月にかけ作曲。ヴァイオリンとピアノのための
小品集。3
つの作品――瞑想曲 Méditation (ニ短調)、スケルツォ Scherzo (ハ短調)、メロディ
 Mélodie (あるいは「無言歌(仏:chant sans paroles)とも」。変ホ長調)――全曲を演奏すると17分
かかるとか。1840年、チャイコフスキーはウラル地方ヴォトキンスクで、鉱山技師の次男として生ま
れる。叙情的で流麗・メランコリックな旋律や、絢爛豪華なオーケストレーションで人気を博す。特
にリズムの天才と言われ、1フレーズを発展連結したり、半音階上昇させまたは下降させるなどの特
徴やメルヘンチックな曲想、ロマン濃厚な表現が特徴。1893年、交響曲第6番『悲愴』初演から9日
後の11月6日に肺水腫急死。享年53。 

 

 

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すっかり包囲された世界

2014年07月29日 | EMF安全保障

 

 

 

   

 

【遺伝子組み換え作物論 Ⅹ】 

さて今夜からいよいよ第4章から第5章に入ることになり「遺伝子組み換え作物の安全性」について科
学のメスを入れることになるが、「遺伝子組み換え作物にすっかり包囲された世界」を考えることは、
ここ当分睡眠不足な日々となるは必至かも?いざ、吾一騎にて、中央突破せんってか、 ^^;。

                            第4章 バイテク産業のずさんな論理

  (11) 遺伝子組み換え作物は、環境に優しい?

  遺伝子組み換え作物の開発に取り組む「スコットランド作物研究所(SCRI)」のマイケル・
 ウィルソン教授は、1997年に次のように語っている。

  「2050年には百億人を超えると予測される世界の人口を養うためには、手つかずの森林、荒
 野辺境の土地を3900万ヘクタールも開墾して、農薬を利用した耕作地に変えなければならない。
 これから増える50億人分もの食料を確保しつつ環境問題を解決するためには、遺伝子組み換え作
 物が最も重要となる。 
  
  ところが、遺伝子組み換え作物を導入したアルゼンチンでは、彼の主張とは正反対の事件が起き
 ている。動植物の生息地は、遺伝子組み換え大兄の畑になってしまった。広大な大草原と教十万ヘ
 クタールの森林が消滅し、かつてない規模で洪水が起きている。しかもアルゼンチンでは、遺伝子
 組み換え作物が導入される前と比べて、10倍もの量のグリホサートを主成分とする除草剤が使用
 されるようになった。
 
  ジユールズ・プレティ教授(英国エセックス大学・環境社会学部)は次のように指摘する。
  「途上国で農業経験がある人々にとっては、遺伝子組み換え作物が環境に優しいという主張がば
 かげていることは明らかだ。農家が畑を上手に管理して持続可能な農法に切り替え、経費を節約し
 て収穫量を増加させるのを、私たちは何度も見てきた。たとえばメキシコの小規模なコーヒー生産
 農家10万戸は、完全に有機農業へと切り替えたことで、収穫量を50%も増加させたのだ」
 途上国に遺伝子組み換え作物を導入することは、先進国よりも、もっと大きな問題を引き起こす。

  「英国王立野鳥保護協会(RSPB)」の事務局長グラハム・ウィンは次のように指摘する。
  「強力な除草剤を使用して、すべての雑草を畑から駆除してしまえば、農地から野生生物がいな
 くなり、すでに滅少している鳥や植物までも絶滅させてしまう」

 

   英国政府の環境諮問団体「イングリッシュ・ネイチャー」が2003年に発表した研究では、遺
 伝子組み換えナタネや甜菜を導入すれば、ヒバリなどの野鳥は20年で絶滅するだろうと指摘する。
  それでもバイテク産業は、「遺伝子組み換え作物を導入すれば、不耕起栽培を広めるので環境に
 よい」と主張するが、これも都合のいい主張である。「米国農務省(USDA)」の報告書でも、
 「除草剤耐性の種子を導入したことによって、さほど不耕起栽培は増加していない」と伝えている
 のだ。不耕起栽培は、畑をほとんど耕さないまま種をまき、農作物を栽培する農法なので、土壌の
 流出を防ぐと言われ、米国中西部のコーンベルト地帯を中心に広がっている。確かに、畑を耕せば
 雑草をすき込むことで除草効果はあるが、土壌が流出しやすくなる。だからといって、遺伝子組み
 換え作物を導入して除草剤を使うことが、環境に優しいとは決して言えないはずだ。

 

 

  「遺伝子組み換え作物によって、農民は痩せた土地も利用できるようになるため、森林や貴重な 
 生態系を守ることができる」という主張も根拠がない。現在、栽培されている遺伝子組み換え作物
 の70%は除草剤耐性であり、その他、30%が害虫抵抗性である。いずれも、農民が痩せた土地
 を活用するためには役立だない。そもそも、干ばつ耐性作物をつくりだすためには多数の遺伝子が
 関係しているので、非常に困難であると多くの研究者は考えている。

  その一方で、遺伝子組み換え技術を用いなくても数多くの解決策が存在する。洪水や干ばつ、塩
 分に耐性をもつ在来種のイネは何百種もあるのだ。
  痩せた土地を再生させる、有機農法や持続可能な農法も数多く存在する。ジュールズ・プレティ
 教授は次のように指摘する。

 「持続可能な農法とは、土壌を流出させずに、土壌の物理性(硬度、排水性、通気性など)、有機
 物含
有量、保水性、養分バランスを改良することから始まるのだ」
  途上国の有機農家は、土壌を安定させるために、樹木、流木、豆科植物を使う。土壌の養分を補
 うために糞や堆肥を与え、土壌流出を防いで地下水を保全するために土止めをしたり、ごく小さな
 ダムをつくる。中米に位置するホンジュラスでは、成長が早いため雑草の育成を抑える「ムクナ豆
 (八升豆)」を植えることで、急角度の斜面にある劣化した土壌を2~3年で肥沃で耕作可能な土
 地
に変えた。マメ科の植物は、空気中に存在する窒素を固定して土中に排出するため土地を肥沃に
 す
る。豆を採った後には、ムクナ豆の業で覆われた土地にトウモロコシを植える。やがては、両方
 の
作物が一緒に成長するため、穀物の収穫量はすぐに2倍から3倍に増加する。

  そもそも、痩せた土地を利用することは、バイテク産業が頭の中で考えているより、もっと複雑
 な問題を抱えている。ところが、土地を大規模に開拓すれば、結局、その地に位む多くの農民を都
 市に移住させ、代わりに土地を購入した多国籍企業が、換金作物を栽培することになる。すでにブ
 ラジルでは、自給自足的な農業を営む農家のすべての土地より広大な面積の土地を、多国籍企業が
 所有しているのである。



  (13)「ゴールデンライス」は、ビタミンA欠乏症を解決する?

  「ゴールデンライス」(ビタミンA強化米)は欧州で開発されてアジアで登場した。フィリピン
 のマニラにある「国際稲研究所(IRRI)」Tンンジェンタ社」「ロックフェラー財団」が、最
 初の研究用サンプルを発表したのは2001年1月だった。「ゴールデンライス」は遺伝子組み換
 えによってベータカロチンの含有量を増やしているため、体内で分解されてビタミンAになる。そ
 こで、バイテク産業のロビー団体は、「ゴールデンライス」によってビタミンA欠乏症を解決する
 とアピールしてきた。ビタミンA欠乏症は、おもに途上国にいる1位2400万人の子どもたちに
 起きており、年間百万人が死亡し、さらに50万人が回復不可能な失明状態にある。しかし、本来
 ならもっと別な方法で解決できる問題なのである。

  しかも、バイテク産業によるこの誇大広告は、滑稽である。なぜならゴールデンライスは、わず
 かしかビタミンAを含んでいなかったからだ。成人が必要量を摂取するためには、調理した米を毎
 日9キロも食べなければならないのである。もっと現実的な選択をするのなら、果実、野菜、葉物
 野菜の方が「ゴールデンライス」の数百倍のビタミンAを含んでいるし、自分の裏庭で育てること
 もできる。コリアンダー、ナンバンサイカチ、カレーリーフなら、百グラムにつき14000マイ
 クログラムのベータカロチンを含んでいる。ところが「ゴールデンライス」に含まれているべータ
 カロチンは、百グラムにつき30マイクログラムしかないのである。一般のコメである「赤米」で
 さえ、もっと多くのベータカロチンを含んでいる。

 「この計画は、意図的に提遺された誇大広告である」と、国際環境NGO「グリーンピース」の
 国際コーディネーターだったベネディクト・ヘーリンは批判する。「ゴールデンライス」計画の創
 始者の一人である「ロックフェラー財団」の理事長でさえ、「ゴールデンライスをめぐる宣伝は行
 
き過ぎだった。私たちは、ゴールデンライスがビタミンA欠乏症の解決策とは考えていない」と語
 っている。
  国際環境NGO「グリーンピース」のマイケル・クーも次のように批判する。
  「ゴールデンライスによって、子どもの失明問題は解決できない。これはバイテク企業の印象を
 よくして、遺伝子組み換え作物を消費者に受け入れさせるための宣伝材料なのである」
 「貧困層に食料化供給する」とか「やせた土地の活用サなどといった宣伝広告と同様、「ビタミン
 A欠乏症」も、魔法のような食品を発明すれば解決できる問題ではないのだ。そもそも魔法の食品
 などありえないし、問題はもっと複雑である。微量栄養素欠乏症の原因は、貧困、不衛生、劣悪な
 環境・社会的不平等にあるのだ」

 
 結局、「ゴールデンライス」は厖大な金の無駄遣いでしかない。もっと低価格で改善できる方法
 があるからだ。たとえば、失明の危険性がある子どもたちに、有効な錠剤を年2回与える方法があ
 る。一錠の価格は0.05ドルで、50万人に与えても総額2万5千ドルにしかならない。ところが「
 ゴールデンライス」の開発には、これまで1億ドルが投じられてきた。それでもまだ商品
化されて
 ないのは、もっと儲かる商品をバイテク産業が探しているためなのだ。



  (14) 遺伝子組み換えジャガイモは、タンパク質の不足を解決する?

  遺伝子組み換えによってタンパク質の含有量を埋やしたジャガイモも商品化されており、これは
 インドの就学児の栄養を改河することを名目としている。ところが一般のジャガイモは6%のタン
 パク貿を含有しているのに、このジャカイモには2.5%しか含まれていない。小麦でさえ8~9%
 
もの含有率である。遺伝子組み換え作物の熱心な支持者であるカメスワ・ラオ教授も、「なぜこん
 
なにお粗末な作物か、大きな注目を集めるのかわからない」と述べている。

 

 


                            弟5章 遺伝子組み換え作物の危険性

  (1)遺伝子組み換え作物を生産する問題点

  バイテク産業は、遺伝子組み換え技術こそが、世界の問題を解決する「科学」だと主張するが、

 そこには様々なリスクがある、以下にその問題を検証する。

   ①混入する遺伝子組み換え作物

 
  「英国L壌協会」が2002年に発表した報告書『疑惑の種』は、次のように指摘する。

  「北米で遺伝子組み換え作物がもたらした最大の問題は、尨犬な量の遺伝子組み換え作物が、一
 般
の穀物や食品に混入したことである。商業栽培が始まってからわずか数年で、種子や作物だけで
 なく食品の製造過程に至るまで、すべての流通段階で混入が起きた。
 問題を起こしたのはバイテク産業であり、彼らはばく大な利益を獲碍したにも関わらず、混入を防
  ぐために巨額の対策費を負担したのは食品産業の側なのである。


   混入のメカニズム

  ・遺伝予の「水平」転位


  遺伝子操作によって、生物の生殖上は無禄であり、相容れない生物の間で、遺じrが移動する練、
 属、界といった生物分類の境界を超えて、遺伝分か移動する.まるで、病原菌による感染のように、
 一つの生物から別の生物へと遺伝子が移動するのだ。一般的な生殖過程では、肉親から子孫へと「
 垂直」に遺伝子が継承されるが、それとはまったく異なる.こうした遺伝子の「水平」転位
は、栄
 養素が豊富な腸や植物の根で、もっとも起こりやすい。そこで通常、遺伝子の水平転位は、細菌

 との微生物を介して行なうことになる。

  遺伝子組み換え作物は、遺伝子の水平転位により問題が起きる.可能性がある潜在的に砿険な遺
 伝子が、他の生物に転位するかもしれないからである、転位した遺伝子が、その生物の健康状態や
 農産物の栽培に影響を及ぼす可能性もある。
  具体的に想定されるのは、次のような問題である。

 (1)遺伝子組み換えの目印として使用される「抗生物質に耐性をもつ遺伝子」が、遺伝子組み換
    え食品
から腸内細菌に転位して、新たな「抗生物質耐性菌」を生みだす。
 (2)遺伝子組み換え作物の「除草剤耐性」の形質が雑草に転位して、新たな「除草剤耐性雑草」
    を生みだす。
 (3)遺伝子組み換え作物に導入したウィルスの遺伝子が別のウィルスに感染して、伝染力の強い
    ウィルスを生みだす。



  ・近親種との交雑


  とくに、近親種の作物の場合には、遺伝子組み換え作物と一般種の作物との間で交雑が生じ、自
 然交配によって遺伝情報が容易に拡散する。
  それに対して、推進派の企業は、「緩衝地帯を設ければ、交雑はほとんど起きない」と主張する。
 ところが、英国で実施されたナタネの試験栽培において、緩衝地帯の距離は200メートルしかな
 かった。さらに、「アグレボ社(AgrEvo)」(現在のバイエル社)のジユディス・ジョーダンは、
 「50メートル以上の距離をおけば交雑は起こらない」と法廷でも証言した。しかし、ナタネの花
 粉は26キロメートルも移動することが確認されている。トウモロコシなら5キロ、牧草の花粉な
 ら21キロも移動するのだ

  そこでバイテク産業は、「遺伝子組み換え種と交雑しても、その作物はすぐに枯れてしまう」と
 主張する。しかし、必ず枯れるとは限らない。除草剤耐性の遺伝子組み換え「カラシ」(ナタネと
 同じアブラナ科)は、一般種に比べて20倍も近親種と交雑しやすいという研究報告があるのだ。





    種子の混入

  
種子の品種改良や種子を生産する際にも、偶発的に種子が混入したり、汚れた機械を使用するこ
 とで遺伝子汚染が起こる。もはや、北米国では遺伝子組み換え作物の交雑は避けられない状態に
 っており、オーガニックのトウモロコシ、大豆、ナタネを生産することはできなくなると有機認

 機関は考えている。「カナダ種子輸出協会」は、「遺伝子組み換え作物が商業栽培されている場合

 一般の種子でも平均1%に混入が起きている」と指摘する。

   作物の中への混入

  種子と同様、作物の中にも遺伝子組み換えが混入する。輸送途中や、風や雨、あるいは鳥や動物
 の移動など、自然の働きによっても混入が起こる。
  カナダで最も有機農業が盛んなサチュカチュワン州では、ほとんどの有機農家がナタネの有機栽
 培をあきらめた。遺伝子組み換えナタネの栽培面積の比率が多くなり、交雑が避けられなくなった
 ためであり、有機農家は裁判所に提訴した。米国では、大豆やトウモロコシなどの遺伝子組み換え
 作物が、一般の小麦にも混ざっている。同様の問題はオーストラリアでも起きている。
  2004四年には、ハワイでも大量の伝子組み換えパパイヤが一般種に混入していることが発
 見
された。ハワイ島の全域で検査したところ、50%の種子に混入しており、有機農家の種子には
 80%も混ざっていた。
  遺伝子組み換え作物が一般種に混入することは、商業栽培が行なわれている国では日常的に起き
 ている。しかもさらに問題なのは、遺伝子組み換え作物を栽培していない国々でも混入が起きてい 
 ることである。ギリシャでは、政府が遺伝子組み換え作物の栽培を禁止しているが、2003年に
 収穫された綿を独立機関が調査したところ、多量の遺伝子組み換え綿が発見された。



                     リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』

                                      この項つづく
 

 




【百名山 2014 sum :甲武信ヶ岳】

  

さて八月に入れば今年の踏破計画の第2弾の実行だ。腕が鳴る?じゃなくで、脚が騒ぐか?

 

 

 

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世界初の大規模蓄電システム

2014年03月14日 | EMF安全保障

 

 

【安全・低コスト大規模蓄電システム】 

 

鉄道総合技術研究所と古河電気工業は、古河電工の子会社のスーパーパワー社が製造した第2世代高温
超電導線材を用いた大型フライホイール用の高強度な高温超電導マグネットの開発に世界で初めて成功。
これにより、メガソーラーや風力発電など、出力の不安定な再生可能エネルギー向けの大容量蓄電シス
テムへの利用も期待されという。今後、このマグネットを2012年から2014年度にかけて開発を進めてい
る大容量超電導フライホイール蓄電システムの中に組み込み、2015年に山梨県米倉山において新たに建
設するメガソーラーとの連系試験を開始する予定だという。


図 超電導磁気軸受付きフライホイール蓄電装置

●フライホイール蓄電システム

電力で装置の内部にある大型の円盤(フライホイール)を回転させ、必要な際に回転する物理的なエネ
ルギーを電力として取り出すシステム。「フライホイール・バッテリー」としても知られる。劣化のな
い電池として使えるため、用途は幅広く、鉄道システムの電力有効利用(回生失効対策)などにも役立
つ。太陽光発電等の電力を蓄電し、曇天により発電量が減少した際に、その減少分を補填するように発
電することができる。

●次世代フライホイール蓄電システム

鉄道総研が考案した超電導バルク体と超電導マグネットを組み合わせた超電導磁気軸受を適用したもの
で、回転する円盤を非接触で浮上させ、軸受の摩擦損失をゼロとすることで運転効率の向上を図ってい
る。また、定期的に交換が必要だった軸受の寿命を半永久とすることが可能だ。現在開発中の「超電導
磁気軸受」は、超電導バルク体と超電導マグネットで構成され、超電導マグネットで発生する磁場に対
する超電導バルク体の反磁性効果により、1組の軸受で約4トンの円盤を浮上させることを目指す。


図 電気メッキされた安定化層含有量を低減する構造



このような大きな重量を浮上させるには、(1)高強度な超電導マグネットに高磁場を発生させる必要
(2)また、効率の良い運用に冷却温度を上げる必要がある。今回、この超電導マグネットに使用する
コイルに、古河電工が2012年に買収したスーパーパワー社の第2世代高温超電導線材を用いて、中部電
力が開発した「よろい」コイル構造の、内径120mm、外径260mmのダブル・パンケーキコイル(テープ状
の超電導線を薄く切ったバウムクーヘンのように巻いた、2枚で1対の扁平なコイル)としている。製
作したコイルを、小型冷凍機を用いた液体窒素を使わない熱伝導による冷却で、51K(マイナス222℃)
に保持して、運転電流である110Aでの通電と磁場を確認し、さらに線材の性能限界の163Aの通電に成功。
また、超電導バルク体との組み合わせ試験を実施し、2トンを超える所期の浮上力が出ていること、強
度的にも問題が無いことを確認している。

●よろいコイル

中部電力株式会社殿が開発した高温超電導マグネットの磁場を飛躍的に向上させる技術です。超電導線
材に作用する電磁力を、超電導線材に接するコイル側板で支える方法で、液状樹脂を用いた絶縁被覆技
術と組み合わせることによって、従来のイットリウム系超電導コイルの2倍、金属系超電導コイルの6
倍という、世界最高強度の電磁力に耐える超電導コイルを実現。

 
図 超電導パンケーキコイル及びその製造方法

 



●第2世代高温超電導線材

この線材は、これまでの「第1世代高温超電導線材」では、高磁場を発生させるために20K(マイナス25
3℃)以下まで冷やさなければならなかったが、50K(マイナス223℃)の温度で運転することが可能と
なり、冷却コストを低減するめどが立った。今後は、さらにコイルを追加して、実規模のフライホイー
ルの浮上試験を行う。この線材組成は、クロム・ニッケル基合金などのテープ状金属基板上に中間層を
成膜し、希土類元素(イットリウムなど)、バリウム、銅等からなる酸化物超電導材料を結晶合成させ
ながら成膜した超電導線材。
 

 
図 電力貯蔵装置の制振構造

●山梨県米倉山メガソーラー

全国有数の日射量を有する山梨県では、地球温暖化対策実行計画の中核として、山梨県甲府市に東京電
力殿と共同で「米倉山太陽光発電所」を建設。44.7haの広大な用地の中、高台に約8万枚の太陽光パネ
ルが設置され、一般家庭約3,400軒分の電力量に相当する年間1,200万kWhを発電している。山梨県では、
超電導フライホイールとの組み合わせる系統連系試験用に、1,000kWの太陽光発電所を建設中。運転開
始後は、実証試験に向けた基礎データの取得を開始する予定だ。ところで、米倉山太陽光発電所に採用
した太陽電池モジュールはCIS薄膜太陽電池であり、影には強いが、発電効率を保つためには植物の影
をなるべく小さくする必要があり、太陽電池モジュールを設置する土地に草が生えにくくする防草特
性と、太
陽電池モジュール表面に付着するチリやホコリを抑える防塵(ぼうじん)特性を高めた。具体
的にはスギやヒノ
キの未使用間伐材から作った材料を土壌に混ぜる『有機質土壌改良工法』を取り入れ
さらに、太陽電池モジュールの設置角度も工夫した。太陽電池を設置するときに最適な角度は、設置場
所の緯度に等しい。山梨県であれば約35度であるが、米倉山太陽光発電所では設置角度を10度とし、

頂の強風が、設置角の大きさと太陽電池モジュールなどにかかり、太陽電池モジュールや基礎、架台強化との
最適化(トレード・オフ)を行っている。

山梨県は再生可能エネルギーへの布石として、例えば、2011年6月には、鉄道総合技術研究所と「超電
導等を用いた電力貯蔵技術の研究の推進に関する協定」を結んでいる。再生可能エネルギーは自然条件
によって大きく発電量が増減し、電力貯蔵装置を使って平準化を試みる動きが進んでいる。例えば鉛蓄
電池やリチウムイオン2次電池だが、電池だけでは大容量化が難しいという意見もある。そこで、国は
2013年度から新しい電力貯蔵技術に関する実証試験を開始、
鉄道総合技術研究所と山梨県は、超電導フラ
イホイールに着眼する。超電導を利用して重量物(回転体)を真空中で浮上させた後、外部から電力エ
ネルギーを与えて回転数を増やしていく。「鉄道でブレーキをかけるとモーターが発電機として働く。
近くの区間に別の電車があれば回生エネルギーをそのまま受け渡せるが、そうでない場合は、熱に変わ
りて無駄になる。鉄道の回生エネルギーをフライホイールを使って回収しているがその原理を使った蓄
電システムの評価を来年度から開始する。
 

※ 参考データ

・「フライホイール電力貯蔵用超電導軸受技術研究開発」中間評価報告書、2003.8、新エネルギー・産
 業技術総合開発機構

超電導磁気軸受を用いた鉄道用フライホイール蓄電装置の研究・開発、鉄道総合技術研究所
第98回「バルク超電導磁石とその応用」の巻、TDK
Bearing Loads in a Vehicular Flywheel Battery, SAE Special Publications, v 1243, Feb, 1997
・「超電導電力ネットワーク制御技術開発」基本計画、新エネルギー技術開発部2007.07.10

以上、急いで俯瞰してきたが、容量、耐久性、コストなど不明確で終えた。これは残件扱いにして今
夜はこの
辺で切り上げよう。


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マー君の契約金にびっくり。

2014年01月24日 | EMF安全保障

 

 

  

 

【フード・ファントム・メナス(12)】 

  オレンジ

 ●ポストハーベスト農薬が果皮から果肉ヘ

  輸入オレンジを常温で置いておくと、傷まないまま、数ヵ月たってしまうことがあ
 る。こんなに長持ちするのは、何種類もの防カビ剤が使用されているからである。

  防カビ剤の使用は、収穫後に行われる。オレンジをローラーの上でコロコロと転が
 しながら、上からスプレーしたり、豪快にシャワーをかけたりする。時には、防カビ
 剤を入れたプールにオレンジを漬け込むこともある。

  日本のオレンジ輸入量の7割を占めるアメリカの場合、防カビ剤は農薬として登録
 され、収穫後のオレンジにも使用できることになっているのだ。

  このように、収穫後に使われる農薬を、「ポストハーベスト農薬」という。オレン
 ジの防カビに用いたポストハーベスト農薬は、果皮から果肉に移行する。

  防カビ剤のイマザリルは、オレンジ全体に残留している平均濃度と比較すると、果
 肉はその2%くらいになる。TBZ(チアベンダゾール)は5%、OPP(オルトフ
 ェニルフェノール)は1%くらいだ。したがって、果皮より果肉の濃度はかなり低い
 が、それでも食べると、ポストハーベスト農薬を取り込んでしまうのである。 
  
カビ菌を殺す防カビ剤は、毒性が強い上に、イマザリルは発ガン性と遺伝毒性、T
 BZは値奇形性、OPPは発ガン性があり、嫌な毒性を持っている。
  東京都健康安全研究センターが2007年度から2010年度に検査したデータに

 よると、オレンジのTBZで最大値だったのはアメリカ産で、2.1ppmだった。
  ところが、イマザリルの最大値を記録したのは、シェアが二割強のオーストラリア
 産で2.9ppm
。OPPの最大値は、輸入量が少ないイスラエル産で0.98ppmだった。
  つまり、アメリカ産以外の輸入かんきつ類にも防カビ剤が使われているのである。
  ヘタ落ち防止に用いる2・4‐D(ジクロロフェノキシ酢酸)の最大値は0.07ppm
 で、産地はオーストラリアだった。

  2・4-Dは、植物ホルモンの除草剤で、ベトナム戦争で使われた枯薬剤の主成分
 として、市民団体からは忌み嫌われている。奇形児を多発させたのは、混合量が少な
 い2・4・5-Tといわれているが、枯薬剤は、元は除草剤で、その後はヘタ落ち防
 止剤にもなって、アメリカ以外の産地でも使われるようになっているのだ。
  他にも、チリ産、南アフリカ産オレンジからも複数のポストハーベスト農薬が検出
 されている。防カビ剤を使わないと腐りやすくなり、市場競争に負けてしまうため
 どの輸出国でも、複数のポストハーベスト農薬を使うようになっているのである。

 
 グレープフルーツ

 ●ポストハーベスト農薬を食べることになる

  果物の中で、輸入量が二番目に多いのは、グレープフルーツだ。
  グレープフルーツの関税は10%と安い。その理由は、日本のミカンやネーブルと
 競合しないとされたからで、明らかに競合するオレンジには、季節によって16%か
 32%のどちらかの関税がかかるようになっている。
  グレープフルーツにも、やはりポストハーベスト農薬が使われている。
  東京都の検査データでは、検出されたイマザリルの最大値は1.9ppm、TBZは、
 2.0ppm、OPPは1.4ppmで、これらはすべてアメリカ産だった。
  また、2・41Dの最大値は0.17ppmで、これは南アフリカ産だ。
  グレープフルーツもシーズンが後半になるとヘタが落ちて、そこから腐ってしまう。
 2・4‐Dで成長を止めれば、グレープフルーツが長持ちするのだ。
  グレープフルーツの果肉に含まれる農薬の濃度は、果実全体に比べて、イマザリル
 が10%、TBZは7%、OPPは1%ほどになる。
  少し安くても、農薬を食べることになるので、できるだけ食べない方がいい。

 




 オレンジジュース・マーマレード

 ●防ガビ剤をかけ貯蔵し、その後に搾っている

  オレンジジュースやグレープフルーツジュースからも、農薬がよく検出されている。

 日本で、収穫後に農薬をかけ、その果物でジュースを搾るということは考えられない。
  しかし、工場でかんきつ類に防カビ剤の農薬をかけてから貯蔵し、それを搾れば、
 効率良くジュースを製造することができる。
  農薬をかけて長期貯蔵したオレンジを、倉庫から出して、選別するとき、青果に回
 せないものを「ジュース」と書いた箱に入れるところを、私はアメリカで見た。だか
 ら、オレンジジュースから農薬が検出されるのは、当然のことだ。
  防カビ剤の濃度が高いのは、かんきつ類の果皮である。その果皮を入れて作るのが、
  マーマレードだから、ときどきビックリするほど高い値のデータが出てくる。
  それを90年代に見てから、マーマレード好きの私は、国産原料か、輸入の有機
 マーマレードしか食べなくなった。
  ただし、普通の国産マーマレードは、外国産のかんきつ類を原料に使ったものがほ
 とんどなので、よく注意して選んでいただきたい。



 レモン

 ●レモンは7割がアメリカ産、2割強がチリ産だ。

  ポストハーベスト農薬は、アメリカ産の濃度が高い。東京都の検査データで最大値
 を見ると、イマザリルは3.1ppm、TBZは3.3ppm、OPPは0.02ppm、2・4
 -Dは0.08ppmで、すべてアメリカ産だった。
  主産地のカリフォルニアでは、10月から収穫し始めて、7月に終わる。だが、出
 荷は一年中行っているので、冷蔵庫で長期間、貯蔵し、端境期ができないようにしな
 がら、出荷されている。時期によっては6ヵ月以上貯蔵できるように、高い濃度で
 ポストハーベスト農薬を使用しているのである。
  果汁の農薬濃度は、イマザリルが全果の13%、TBZが5%、OPPがI%ほど
 だ。
他にも、チリ産、南アフリカ産、ニュージーランド産のレモンからも、複数のポ
 ストハーベスト農薬が検出さ
れていた。濃度は低くても、おすすめすることはできな
 。価格は高くても、国産レモンがいい。 

                 小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.100-105 

 



【回生電力利用の省エネ技術】

JR東日本は電車が停止する時に発生する回生電力を有効活用し、リチウムイオン電池式
電力貯蔵装置を設置する変電所を増やすと発表。高崎線の桶川変電所(埼玉県桶川市)に
同装置を設けて3月に稼働させる。設置は青梅線の拝島変電所(東京都昭島市)に続き2
カ所目。回生電力を変電所の蓄電設備に充電→時間をずらして電車の加速時に放電する。
今後も都心から50キロメートル程度離れた場所を中心に設置候補地の検討や選定を行い、
設置台数を拡大して回生電力の有効利用に努めるとのことだ。

尚、リチウムイオン電池式電力貯蔵装置は日立製作所が開発し、2013年2月に拝島変
電所に設置している。ブレーキの回生電力は停車した電車の近くに走行する電車がいれば、
その電車が消費する。しかし、走行する電車がいない場合、これまで活用できなかった。
変電所に電力貯蔵装置を置くことで回生電力を蓄電し、必要な時に放電することが可能に
なる。
回生電力の取り組みでは川崎重工業と共同で青梅線の古里変電所(東京都奥多摩町)に
ニッケル水素電池を利用した蓄電システムを設置し、13年2月まで実証試験を行っている。 

上図(特開2010-058565「電力変換装置及び電気鉄道システム」)のシステムは 電気車両
の回生電力の吸収、貯蔵、き電線への再出力が効率的に行われ、電力の節約、電気車両の
運転コストの低減を可能とする電力変換装置及び電気鉄道システムを提供することができ
る。また、特高電圧の送電系統に接続され、装置費用が高額な変電装置の設置間隔を長く
して、変電装置の数を減らすことができるので、電気鉄道システムの設備費用を低額にす
ることができ、さらに、電気車両の回生運転時のき電線電圧の上昇、及び、電気車両の力
行運転時のき電線電圧の下降を抑制して、電気車両の安定した運行を実現することができ
るというが、どの程度の節電ができるのか目標値を聞いてみたいと思った。



【成熟に向かう新弥生時代(3)】

蛍光タンパク質プローブで細胞内レドックス状態を可視化計測

レドックス(酸化還元)反応は、遺伝子発現や細胞内シグナル伝達をはじめとする様々な細
胞機
能の制御を担っている。レドックス状態の維持は、細胞の恒常性を保つ上で必須であ
り、その
破綻は疾患の原因となる。roGFP(酸化還元感受性緑色蛍光タンパク質)やレ
ドックスフロールなどのレドックス感受性な蛍光タンパク質プローブの登場により、細胞

内の特定のオルガネラ(細胞内小器官)におけるレドックス状態を非侵襲的にかつ計時的に
可視化し、計測できるようになった。オルガネラレベルでのレドックス状態の可視化計測
による新たな細胞内レドックス制御機構の解明や疾患モデルにおけるレドックス異常を回
復させる化合物の同定が可能になるという。

 



ところで、レドックス(酸化還元)反応は、細胞内における最も基本的な反応であり、様々
な細胞機能を制御している。その根幹が、タンパク質やグルタチオンにおけるシステイン
残基のチオール基の可造なレドックス。システインは反応性の高いアミノ酸であり、酵素
の活性中心として機能する。システイン同士が共有結合したジスルフィド結合は、タンパ
ク質の構造形成や機能調節に必須であり、システイン残基と活性酸素種や活性窒素種の反
応は、遺伝子発現や細胞内シグナル伝達などの細胞内制御において重要な役割を果たす。
細胞内のレドックス状態が遺切に維持されることは、細胞の恒常性維持において必須であ
り、その破綻は、細胞死ひいては心筋梗塞、糖尿病、パーキンソン病をはじめとする様々
な疾患の原因となる。したがって、細胞内レドックス状態は、細胞ひいては生体の健康状
態を知るバロメーターとなり得る。

従来、細胞のレドックス状態は、細胞から抽出したグルタチオン等のレドックス関連物質
の酸化型と還元型の量を定量し、その比率をもって表されてきた。細胞内のレドックス状
態は、主として還元的であるが、システインのチオール基は、抽出試料を調製している間
に空気中の酸素により酸化される恐れがあり、そのため、この手法で得られた結果は正確
でないという問題があり、また、時間的、空間的な分解能を求めることも困難であった。








詳細は、上図、表や添付技報(クリック!)を参考に細胞に発現させることでオルガネラ
レベルのレドックス状態をしかも長期にわたり追跡
観察できるroGFPやレドックスフロー
ルは、食品、医薬品成分が細脳内の局所レドックス
状態に短期・長期にわたり、どのよう
な影響を与えるか、あるいは病的な細胞内レドックス状態をより正常に戻す新規のレドッ
クス調節化合物(レドックスモジュレーター)を探索する研究に貢献すると期待されてい
る。哺乳類培養細胞をはじめとする実験系を用いて新規レドックスモジュレーターの探索
を行なわれている。レドックスセンサーとして、roGFPとレドックスフロールでは、その
反応特性に違いがあり、概していえばレドックスフロールの方が多様なレドックス規定因
子(活性酸素種、グルタチオン、チオレドキシン)に直接反応するという。このことは同
一の細胞、環境条件であっても2つのセンサータンパク質が異なったシグナルを与える可
能性を示し、グルタチオンのレドックス状態は変化しないが活性酸素種、チオレドキシン
量のみが変動するような場合には、その変化はレドックスフロールのみで検知されると考
えられている。


※レドックスフロール

細胞外からの刺激やストレスあるいは疾患などによって、細胞内の酸化還元状態(レドッ
クス)は変動する。このような細胞内のレドックス変化について、酵母がもつレドックス
センサータンパク質Yap1のセンシング部位の構造変化を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET
)を用いて可視化するセンサータンパク質レドックスフロールの開発に成功した。レドッ
クスフロールと同様に、レドックスを検知するプローブroGFPが報告されていたが、疾
患モデル細胞と正常細胞との間のような、微妙なレドックス状態の差異を区別することは
できていない。レドックスフロールを動物・酵母細胞内で発現させることにより、細胞内
のレドックス変化が顕微鏡下のスペクトル変化として簡単に追跡できるようになった。例
えば、重篤な遺伝的神経疾患に、オルガネラの一つであるペルオキシソームが形成できな
いZellweger症候群が知られている。ペルオキシソームは、活性酸素を生産する代謝を担う
オルガネラである。ペルオキシソームを持たないマウス培養細胞では、予想に反して、正
常細胞に比較して細胞質が還元的になっていた。さらに、レドックスフロールを発現する
マウス培養細胞を用いて、薬剤スクリーングを行った結果、TSAという薬剤が有効なことが
わかった。


今夜は、ポストハーベスト農薬使用のリスク、回生電力利用技術、蛍光タンパク質プロー
ブの3つを考えてみた。ところで、東北楽天ゴールデンイーグルスから新ポスティングシ
ステム(入札制度)でのメジャー移籍を目指していた田中将大投手が現地22日、ニューヨ
ーク・ヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約161億8000万円)で正式契約を結んだとい
うニュースが飛び込んできた。1年の契約額が23億円となり、エイジェントの取り分が
わからないが、日本のサラリーマンが40年間、懸命に働いて稼げる賃金は4億円がやっ
とということになるだろうか(実際にはこの額を稼げるサラリーマンは極一部に限られる
だろう(それも、民間企業の重役や高級官僚を除いた上での話だが)。それと比較すると
マー君の額たるや、超生活感覚の世界、嫉妬や悪意で言うのではないが、これは、"あぶ
く銭"だろ。サウナでテレビの記者会見を観ていてそんなことを考えていた。
 

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森の魚工場のケインズ

2013年03月28日 | EMF安全保障

 

 

 炭素繊維時代の自転車?!

 

 

【森の魚工場時代へ】

一次産業の高次化、言い換えれば、工業化はもはや避けられない。それは地球環境からの反作用
として、または慢性的な資源枯渇・食糧不足という側面からやって来る。前者に対しては「レジ
リエンス
」(強靱性)強化という国内法整備の急務を迫る。あるいは、急速な少子高齢化や農林
水産物の国際競争に対する「レジリエンス」という二側面からやってくる。そして、それを実現
する条件、特に技術的側面からもかなり整備されてきている。具体的にいうと、デジタル革命に
象徴され科学技術工学の飛躍的な進歩により、各産業における土地不動産の空間的な価値は急速
に逓減し、その逆に土地不動産に付加された情報価値(=付加価値)のみが意味をなす時代にな
り、かっての
不動産バブルの例や直近のニュースでは南鳥島の超高濃度レアアースの分布発見に
象徴される時代となっている。端的に言えば、一定の面積に収穫する自動車は年間当たりの投入
リソース量に比例するが稲作であれば年間1回、多くて2回の収穫しかなく、それも自然災害や
天候不順のリスクが普遍的に存在するというわけだ。農産物で言えば、農協が「レジリエンス」
を高めるための農地を買収・賃貸集約する民営会社を設立し加速的に進め、植物工場あるいは穀
物工場、果実工場の初期投資例えば長期減価償却期間下での低金利・無金利融資支援などの法整
備を行なえば早期に実現が可能だ。林業も『その後のへーリオス 』の‘オールバイオマスシステ
ム’の延長線上で考えればよいだろう。そこで、今夜は水産業の森のなかの魚工場について考え
てみた。

好適環境水とは、魚類の代謝に最低限必要な物質を含んだ水。魚の浸透圧調整に深く関わるナト
リウムやカリウムを含む一部の電解質を特定(ナトリウム・カルシウム・カリウムの三種類)。
わずかな濃度の電解質を真水に加えるだけで魚類の代謝に最低限必要な物質を含む水「好適環境
水」を岡山理科大学山本俊政准教授らは開発。その動機とは、彼らの研究室が海から35キロも離
れていて、ディズニー映画「ファインディング・ニモ」で一躍脚光を浴びたカクレクマノミの大
量繁殖に2005年、日本で初めて成功した際、汚れた海水を浄化・再生などは常に悩みの種で、あ
る学生が「海産のプランクトンを純淡水で育てたい」と大まじめな顔で相談に来たのがはじまり。
できないことを証明する体験をしてもらおうとゴーサインを出すが、その一週間後、彼が笑顔で
「できました」と報告に来る。その後の実験で再現できなかった。原因は海水タンクの洗い方が
不完全で、ごく微量の海水が残っていたためと判明。この時に「プランクトンは超低濃度の水で
も、ある一定のミネラルが支配していれば生きられるのでは」と気づき、「海水不足で苦労して
いる専門学校での魚類の飼育にも応用できるかもしれない」とひらめいたという。天然海水は60
種以上の成分を含み、人工海水にも20種以上の成分が必要とされるが、他社との差別化を図るた
め成分を増やすのではなく、必要成分は強化し、不必要成分は徹底して減らし、濃度や組成間の
モル比をダイナミックに変え実験を続ける。海水魚を飼育する上で必須とされる主要成分さえも
削った「究極の好適環境水」へと進化を遂げる。従来の海水の養殖より、好適環境水で飼育した
魚の方が代謝が良く、短期間で成長する。さらに、海での養殖には魚病や寄生虫に対応した抗生
物質やワクチンが欠かせないが、好適環境水ではこうしたリスクが皆無で抗菌剤や薬の類は一切
使わない養殖を実現しエサが100%管理できる。好適環境水は人工海水に比べて60分の1の低コス
トで済む
という効果がある。



2012年12月8日には、岡山理科大生命動物教育センタ(岡山市北区)で好適環境水で養殖されたク
ロマグロの解体作業が報道関係者らに公開。試食会も行われ、専門業者は「養殖独特の臭みもな
く、脂が乗り、赤身の発色もいい」と太鼓判を押す。試行を重ね、これまでトラフグ、ヒラメ、
シマアジが出荷された。解体されたクロマグロは一昨年8月、愛媛県沖で捕獲された1匹。 当初
30センチ程度だったが、同センターの140トンの大型水槽(直径8メートル、深さ3メート
ル)で養殖され、 体長87センチ、重さ13.5キロまで育った。総合水産物元卸「岡山県水」
の長船宗員社長は 「岡山では赤身の魚を好む消費者が多い。十分、商品価値がある」と話す。
山本准教授は「内陸部での養殖産業の創出というイノベーションにつながる研究。今後、マグロ
の行動を24時間体制で観察し、夢の魚工場を完成させたい」と手応えを感じていると話している。


前もってデータを掴んでおけば、食餌による好適環境水の汚染状態をコントロールできるので、
高価な測定装置は不要となる。汚染物の除去は独自に個別開発するしかなく課題となる。将来は
ヒラメは青森、トラフグは秋田、シマアジは島根、滋賀県は?イワシがいいね。アンチョビ、ド
コサヘキサンとエイコサペンタエンの抽出、肥料、大形魚の食餌とレパートリーが広い。何より
もイワシの刺身は安くて上手い。それにしてもイワシの物流専用の空港はイワシだけでなく欲し
いね。

 

 

【新たな飛躍に向けて-新自由主義からデジタル・ケイジアンへの道】

 

1.タブーと経路依存性
2.複雑系と経路依存性
3.複雑系と計量経済学
4.ケインズ経済学の現在化
5.新自由主義からデジタル・ケイジアン

 

【ケインズ経済学の現在化】

 

 

【将来を「知る」ために過去のデータに頼ること-資本主義システム】


今回は、ポール・デヴィッドソンのケインズの考え方と古典派理論の相違について考察していく。 


 今日の古典派の効率的市場モデルはすべて、将来の成り行きは知られているというこの想定
 を、何らかの形で基礎においている。古典派理論の主張するところによれば、将来の結果の
 価値を知るという問題を解決済みと想定しているので、唯一重要な経済問題は、今日の経済
 的意思決定が、将来生じたときに最も高い評価が得られるような結果を生み出せる資源配分
 を確実にもたらすようにすることとなる。もしわれわれが、私利をはかる意思決定者は将来
 の成り行きについて確実に「知っている」という想定を受け入れるならば、自由で競争的な
 市場でなされるかれらの意思決定は、可能な限り最善の、資源配分をもたらすことになるで
 あろう。経済学者たちは、効率的市場の働きに関する理論モデルを作り出すことに多くの歳
 月を費やしてきた。それぞれのモデルは、今日の経済的意思決定者が将来の結果をどのよう
 にして知ることになるのかを記述するための少しばかり異なったメカニズムを持っていると
 いえるかもしれない。例えば、アロー=デブリューの一般均衡モデル(ケネス・アロー(Ke-
   nneth Arrow)とジェラール・デブリュー(Gerard Debreu)は、ともにノーベル賞受賞者で
 ある)は、ワルラスの一般均衡モデルといわれた19世紀の効率的市場モデルを精緻化したも
 のである。これらの一般均衡分析モデルは,経済諮問委員会や連邦準備制度のような最も権
 威のある機関で用いられている、現代の複雑・精緻で数学とコンピューターを駆使した経済
 モデルの基礎となっている。

 この一般均衡分析が想定していることは、将来の各時点で引き渡される予定のすべての財お
 よびサーヴィスを売買することを市場参加者に可能にするような市場が、今日存在するとい
 うことである。したがって、検討の対象となっている期首に、すべての市場参加者は、今日
 の引き渡しのみならず期末に至るまでの将来の各時点での引き渡し予定のすべての財・サー
 ビースおよび金融資産の売買取引についての意思決定をすることができると想定されている。
 この複雑な数学的モデルは、極端に概念化を椎し進めた結果、次のようなことを意味するよ
 うになっている。すなわち、今日のすべての意思決定者は、自分がどういう財やサーヴィス
 を、今日、明日、そして自分の生涯の残りの期間のあらゆる時点で、市場において需要ある
 いは供給しようとしているかを知っているばかりでなく、自分の孫やひ孫やすべての将来の
 後継者が将来への数十年や数世紀にわたってなにを売買したいと考えているのかを、「知っ
 ている」ということである。したがって、かれらはまた、これらの将来の世代のために、将
 来のすべての時点での販売あるいは購入の契約を今日締結することであろう。


                  ポール・デヴィッドソン著 小山庄三・渡辺良夫訳
                『ケインズ・ソリューション-グローバル経済繁栄の途』


ごく平凡な勤労庶民感覚にとってこのような前提は“希望的観測”であることは百も承知で、ポ
ール・デヴィッドソンは、この古典派理論モデルが高度に数学化され抽象化されているため、古
典派の理論家たちは、その基礎をなしている信じがたいような公理、すなわち今日の意思決定者
が世の終末までの将来の成り行きについて知っているという公理を忘れさせることに成功してい
ると表現し、今日の主流派の古典派経済学者の多くは、世の終末までのあらゆる将来の時点向け
のすべての考えられる財やサービスのための1組の完全な市場が存在するという、アロー=デブ
リューの想定
は、不可能であることを承知している。にもかかわらず、かれらは、現実の世界に

おいて、将来のすべての時点に対応する1組の完全な市場など存在するはずがないと認めつつも、
依然として自由市場の効率性を信じているのであるとし、自分たちの効率的市場の結論を守るた
めに、これらの経済学者たちは代わりに、今日の市場参加者は、今日なされた意思決定が将来に
もたらすと考えられるすべての結果に関して「合理的期待」をもっていると想定し、ともかくも
今日の意思決定者は、すべての考えられる将来の結果を支配する確率に関する統計的に信頼でき
る情報を所有しているということを前提としていると指摘し、統計学における外延の危うさ
摘する。


 もし市場が効率的でわずらわしい恒久的な政府の規制や介入によって抑制されていないなら
 ば、政府の施策によって引き起こされたどのような外的ショックに対するこれら効率的市場
 の参加者の反応も、ちょうど重力の法則が小石が当たるという外的ショックの後振り子の振
 動を元の状態に復元させるように、経済をあらかじめ決定された効率的経路に復帰させるで
 あろう。言い換えれば、政府の施策が経済システムにショックを与えるときはいつでも、自
 由市場への合理的参加者による行動が、(メロン財務長官の格調高い言葉遣いを用いれば)
 「この体制から不健全なものを」一掃することによって、ある期間(長期間)の経過後、シ
 ステムをあらかじめ決定された効率的経路に引き戻すであろう。 したがって、例えば、政
 府が、すべての労働者に少なくとも最低限の賃金を保証する法律を制定し、たとえ失業労働
 者が飢え死にするくらいなら最低限より低い賃金ででも働きたいと思ったとしても法定最低
 賃金以下での雇用を認めないとき、民間部門における失業を創り出していることになるとは
 しばしば主張されるところである。同様に、もし政府が労働組合の結成を保護し奨励する法
 律を承認するならば、その効果は、賃金をあまりにも高い水準にまで押し上げるので、最終
 的に利潤機会が失われ労働者の失業が確実に増えるであろうといわれる。したがって、古典
 派理論によれば、政府ではなく市場こそが、どのような賃金水準が労働者の受け取るべき最
 低額であるかを決めるべきであるとされる。その結果、論理の一貫性を尊ぶのならば、政府
 は企業の最高幹部の報酬に制約を加えるべきではなく、経営者の価値の決定を市場に任せる
 べきであると主張する必要があるであろう。

                  ポール・デヴィッドソン著 小山庄三・渡辺良夫訳
                『ケインズ・ソリューション-グローバル経済繁栄の途』


信仰という言葉は、これら現代の有能な評論家たちによって、今日の[金融危機]破局をもたら
した、多次元のピラミッド・ゲームの核心に位置する数学にふさわしい言葉であると信じられて
いる。盲目的信仰は、数学的モデルにおける質の堕落やリスク概念の濫用と相挨って、貪欲と無


責任がその破壊的なやり方を存分に発揮するのを可能にした。第3番目の毒物混合体を形作って
いる。・・・数学は最初、技術にコンピューターの使用を可能にした。それから、制御が利かない
ほどの投機を正当化するもっともらしい定理を提供し、最後に、価値とリスクと質に関するモデ
ルによって、架空の産物を数量的に明確化するやり方を考案した。それによって、数学は、著名
な投資家のウオーレン・バフェット(Warren Buffet)が「大量破壊兵器」と呼ぶ、比類なく毒性
のあるものとなった。とのオックスフォードの数学者であるジェローム・ラヴィッツ(Jerome
Ravitz
が、『オックスフォード・マガジン』誌2008年春季号に掲載した「金融危機にかかわっ
た数学に対する信仰と理性」と題する論文を引用し「想定の現実昧に関する古典派理論家とケイ
ンズのちがい」を次のように指摘する。


 もしケインズが今日生きていたら、この効率的市場理論を、大量破壊兵器の一例と呼んだか
 も知れない。これほど害悪をまき散らかしたにもかかわらず、経済学者ルーカスは、古典派
 経済学の根底にある公理が「不自然で、抽象的、かつ明らかに非現実的」であることを、むし
 ろ誇りに思っている。またルーカスは、サムエルソンと同じく、そのような非現実的な想定
 こそが、経済学を研究する際の唯一の科学的方法であると力説している。ルーカスは、「経
 済学的思考における進歩とは、現実世界についての観察結果を言葉によってよりよく表現す
 ることではなく、抽象的でアナログ方式のより良いモデルを得ることを意味する」と主張し
 ている。この主張の背後にある根本的理由は、これらの非現実的想定が問題をより扱い易く
 するということである。そのため、分析者は、コンピューターの助けを借りて将来を予測す
 ることができるとされるのである。その予測が悲惨なほどに誤っていることがあるかもしれ
 ないが、そんなことは気にかける必要がない、というわけである。

 何千もの変数と各変数当たりそれぞれ1本の方程式を含む、コンピューターを駆使した古典
 派の効率的市場理論の数学的改良版は、われわれの経済システムについてのハードな科学と
 しての叙述として公表されており、そこでは経済システムで取引されるすべての品目の価格
 と生産量をある時点で一斉に決定することができるとされている。多くの経済学者にとって
 は、こわれた数学的な破片の下に埋もれている基本的公理を確認することすら不可能な作業
 となっている。さらに、コンピューターはすべての数学的計算を処理することができるとい
 う事実が、その結果にあたかも科学的真理であるかのごとき雰囲気をかもし出している。コ
 ンピューターから打ち出された結果にどうして誤っている可能性があるだろうかというわけ
 である。

                     -中略-

 過去30年の間ウオール街の陰謀を支配してきた。これら「経済的宇宙の精通者たち」によっ
 て設計されたすべてのモデルが現に失敗したという事実は、少なくとも古典派理論を、その
 数量化と数学化の装いにもかかわらず、われわれの経済世界に適用できることに関して疑問
 を生み出しているものと思われる。グリーンスパンでさえ、なお自分の見解を完全に変えて
 しまっているわけではないが、考えを改めつつあるように見える。

 ケインズの考えは、意思決定を主観的な信念に基づかせる。バーンスタインのいう後者のグ
 ループの人びとを支持している。とくにケインズは、経済的将来の不確実性が過去の統計パ
 ターンに注目することによっては解決され得ないと主張した。ケインズは、支出と貯蓄に関
 する今日の経済的意思決定が、将来起こりうる事象についての人びとの主観的な信念の度合
 いに左右されると信じたのである。次の章でわたくしは、古典派の効率的市場理論という思
 考様式に取って代わりうるものを提供する。ケインズの考えについて論じるつもりである。
 わたくしの狙いは、ケインズの考えの方が現代の資本主義経済により当てはまるものである
 ことを、読者に納得してもらうことである。そうなれば、現代の経済問題に封するケインズ・
 ソリューションーわれわれの子供やすべての将来の世代のために真に文明化された経済社会
 を作り出そうという、政府と民間企業との間の連携の合意を必要とするひとつの解決策-を
 展開することが可能となるであろう。

                  ポール・デヴィッドソン著 小山庄三・渡辺良夫訳
                『ケインズ・ソリューション-グローバル経済繁栄の途』

 


【1ペニーの支出は1ペニーの所得になる-資本主義経済と貨幣の役割に関するケインズの考え】

ケインズは、『一般理論』において、「古典派の経済学者たちは、非ユークリッド的な世界にあ
って、一見したところ平行な直線が 経験上しばしば交わることを発見して、現に起こっている
不幸な矛盾を解決する唯一の救済策として、まっすぐになっていないことの責任は線にあると非
難するユークリッド幾何学者に似ている。しかし、本当は、平行の公理を放棄して、非ユークリ
ッド幾何学を構築するよりほかに救済策はないのである。これと同じようなことが今日経済学に
おいて要求されている」と述べ、ケインズは、こうした比喩を用いて、将来の成り行きが知られ
ている古典派の分析においては、自由な市場が完全雇用(上記引用文の「平行な直線」に対応す
る)を生み出すから効率的であるとされているという事実をさりげなく説いていたのである。し
かし現実の世界においては、かなりの永続的な失業(「不幸な矛盾」に対応する)が発生してい
る。したがって、まっすぐになっていないことの責任は線(「賃金」を意味する)にあると非難
する古典派の経済学者たちは、労働者の失業問題の責任は、より低い賃金を受け入れないかれら
自身にあると非難しているのに等しいのであると説明し、ケインズは、なぜこれらの失業という
「矛盾」が現実の世界において発生するのかを説明できる非ユークリッド経済学を創り出すため
に、いくつかの古典派の公理が現実世界の理解にとって適切であることを否定し、公理を放棄し
なければならなかったのであり、これこそが、将来の成り行きが知られており過去の統計的投影
として算出できると想定する古典派のエルゴード性の公理を拒否したケインズの主張のひとつで
あったとポール・デヴィッドソンは解説する。


                                                      この項つづく


北陸新幹線が米原に接続とか。あとは日本海経済圏構想が実現すること。これには朝鮮半島の政
治体制のチェ
ンジが最大の課題。もうひとつ、多賀-伊勢高速道路(トンネル)建設による日本
海と太平洋をむすぶ構想の早期実現。これで決まり。
それにしても、時間が経つのがはやいね~ぇ。

 

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2つの昆虫食と1の経済命題

2013年01月29日 | EMF安全保障

 

 

 

【養魚の昆虫食】

疑問だった養殖用昆虫について調べてみた。ところで、水産養殖は食料供給の手段としは勿論、
日本が誇るべき産業の1つだ。2008年の日本の水産養殖の生産量は約120万トン、生産額は約
千億円におよぶ。世界的には(1)漁獲低減・人口増加による食料の安定供給の必要性(2)
健康志向に基づく魚食の普及(3)BSE・鳥インフルエンザなどの疾病の流行による畜産の
限界などを理由に水産養殖の意義が注目されているというのだが、日本の水産養殖は衰退の危
機にあり、世界的にはこの30年で養殖生産は8倍近くに激増し、ノルウェーやチリ、中国・ベ
トナムなどのアジア諸国を中心に増加あいているのとは対照的に、日本の養殖生産高は1990年
代をピークに減少傾向しているのだ(上図)。日本の水産養殖業が直面する課題の1つに「飼
料価格の高騰」があり、養殖用飼料に必須の動物性たんぱく質は、カタクチイワシやアジなど
の小魚を粉末化した魚粉など賄われ、そのほとんどを輸入に頼っており、近年の水産資源の減
少や燃料費の高騰、さらに他国での需要の急増を背景に、魚粉価格は2倍以上に跳ね上がって
いる。その対策として大豆かすなどの植物性たんぱく質を利用し飼料中の魚粉含有量を低減す
る試みが行われ、愛媛大学 南予水産研究センターの三浦猛教授らは、魚粉の低減化や飼料価
の安定化の目的に研究開発を行ってきた。

 

そこで、ハエなどの昆虫はほかの生物に比べて生活環が非常に短く、人工的な安定生産が可能
なこ
とに注目し、ハエのサナギを養殖魚の餌に混ぜて、効果を検証した結果、ハエのサナギを
含有する飼
料(下図)で、(1)イエバエサナギを少量含有させ、魚粉含有量の大幅に低減、
また、マダ
イの海面養殖での実証試験では、魚粉30%+サナギ2.5%を含有する飼料に、体色・
成長性や酸化ストレスの面で、魚粉40%を含有する飼料を上回る結果が得られ、サナギ2.5%
により、魚粉10%の代替が可能と判断。
(2)イエバエサナギには、養殖魚の摂餌性を高め、
誘引する効果(摂餌促進)が認められ、ハマチ稚魚やウナギ稚魚での実験で、嗜好性が格段に
高いことを確認。
(3)さらに、イエバエサナギを含有する飼料を摂取した養殖魚は免疫が活
性化し、魚類の病原細菌に対する耐病性が得られことを確認(免疫活性化)、他種のハエサナ
ギには、イエバエよりも顕著に高い免疫活性化能を持つことが分かったという。



このような研究開発の究極的なイメージは、昆虫類の必須アミノ酸+アルファの効果の解明に
より薬学的、栄養衛生学的、工学・工業的な複合的な側面からの深耕により世界の水産業のト
ップランナーとして世界貢献していることであろう。そのことは同時に、家畜の食餌や人間を
対象としたの昆虫食科学の進行とあいまって持続可能な社会の実現に結びついていくだろう。


 


【シルクパワー全開】

滋賀県 近江町特産フルフルらーめん(特定非営利活動法人いきいきおうみ)が日本テレビ『
シューイチ』の
番組放送(2013.1.27)で第三位に選ばれた。道の駅『近江母の郷』で販売さ
れていた『フルフルらーめん』だが、
「フルフル」とはフランス語で衣ずれの音を意味し、め
んにシルクパウダーが練り込まれている。「めんは、生めんに近い食感。スープは肉のうまみ
が出た本格的な醤
油味で、昔ながらの中華そばの感じ」。シルクパウダーに含まれるアミノ酸
が体にいいと紹介されている。ところで、
シルクパウダーは、蚕の繭をそのまま粉末にしたも
ので、その成分であるセリシンは繭の繊維から抽出された18種類のアミノ酸を含む天然タンパ
ク質です。パウダー状に分解してあるので、小腸での吸収もよく、他の食品の5倍以上とも言
われている。 人間の身体は主に20種類のアミノ酸からできており、筋肉・骨・脳・内蔵・中
枢神経・血液・皮膚・髪の毛など人体を構成するものは、すべてアミノ酸からつくられている
化合物です。つまり、アミノ酸は生命活動そのものをを支える重要な物質です。シルクパウダ
ーを食べることにより、上質アミノ酸が体内に効率よく摂取できて肌本来の自然治癒で、失わ
れたコラーゲンを再生し、うるおいのある美肌を保ちます。シルクの食用の歴史は以外に古く、
漢方生薬としても使われている。

 

蚕由来のシルク(絹)タンパク質は、フィブロインとセリシンという2種類のタンパク質から
構成されている。その中で、セリシンは、保湿、抗酸化、紫外線吸収作用等の特徴が注目され、
化粧品等に幅広く利用されている。その際、効率よくセリシンを抽出するために、シルクパウ
ダーの状態で処理することも多い。また、シルクフィブロインは製糸、製織工程において大量
に排出されている。従来、シルクタンパク質からセリシンを抽出した後のフィブロインは、十
分な利用法が見い出されていなかった
。近年、その廃棄物としてのフィブロインを有効利用
する方法が求められている。例えば、シルクフィブロインを粉末化したものは、化粧品、食品、
医薬品等に用いることができる。ここで、シルクフィブロインは、特定の中性塩水溶液に溶解
させることが可能であり、塩を除去後に凍結乾燥で脱水することにより、フィブロイン粉末が
得られ、水分とともに加熱圧縮することにより、板状の材料となる。また、シルクフィブロイ
ンをハロゲン化アルカリ金属塩/低級アルコール/水の3成分を特定の比率で混合した溶媒に
溶解することで高粘度の紡糸原液とし、該紡糸原液を乾湿式紡糸した後、次いで溶媒抽出と延
伸および洗浄することにより、シルクフィブロインからなる材料を得ることができる。



一方、繊維強化プラスチック材料の分野において、環境負荷の低減や廃棄処分のしやすさを目
的としたグリーンコンポジットの研究開発が進められている。生物由来の繊維や樹脂は、石油
由来の繊維や樹脂とは異なり、再生可能な資源である。また、生物由来の繊維や樹脂は、ガラ
ス強化繊維を用いた材料と比べて、燃焼、分解等が容易である。これに対して、ガラス繊維強
化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等は、高い強度を示すものであるが、廃棄時に粉
砕および焼却し難い。従来、マトリクス材料に強化繊維材料を加えて強度の向上を図った繊維
強化複合材料の技術が存在している。例えば、マトリクス材料として生分解性樹脂を用いて廃
棄時の環境負荷を少なくする技術、強化繊維材料としてセルロース繊維材料を用いた技術、強
化繊維材料としてシルク繊維材料を用いた技術等が開発されている(例、熱可塑性樹脂とシル
ク繊維材料(絹織物)とからなる繊維強化複合材料が示されている。

しかし近年、シルクの主成分であるフィブロインが10数種類のアミノ酸で構成されているタン
パク質であることから、その特性を活かして非衣料分野での応用が増え、
食べるシルクが顕著
となっている。パウダー状のものから錠剤まで、さまざまなフィブロインの栄養補助食品が開
発され。フィブロインの成分で最も多いグリシンは、コラーゲンや天然保湿因子の原料になる
他、神経を静める作用、目覚めがよくなる作用、あるいはコレステロール値の抑制や免疫力の
向上などの働きがあることが知られている。また、アラニンは、グリシン同様、コラーゲンや
天然保湿因子の原料になる他、体内でエネルギーに変わるとともに、疲れにくく、肝機能をサ
ポートする働き、体脂肪を分解する働きも認められている。さらに、セリンは表皮や爪、髪を
つくるシステインの基でもある。こうしたフィブロインに含まれるアミノ酸に着目し、美容と
健康のサポートを目的とした栄養補助食品の実用化が進んでいる。
食品化については、かねて
からフィブロインの分子量が大きいことから消化吸収に課題があるといわれてきたが、酵素分
解法など、より安全にアミノ酸やオリゴペプチドという低分子化することが可能な技術も確立
され、消化吸収という課題も克服されている。
さらに、生体に馴染みやすく、細胞が再生しや
すいことから、生体適合性に優れたフィブロイン膜を使った人工皮膚なども研究されており、
実用化も近いといわれている。 2010年4月には、岩手大学との共同研究により、「カイコシル
クパウダーペプチドにおけるLC-MS/MSならびにアンチエイジング機能の解析」という論文が
発表(上写真)されており、フィブロインにおける今後の可能性が広がっている。

 

そうか、シルクラーメンか、昆虫も奥が深いんだ!いま嫌われているスズメバチも強精剤として抽出液
やサプリメントとして販売されるかもしれないし、ロイヤルゼリーは貴重な体質改善剤として販売される
日もちかい。蚕は、衣料品と見直され、医療品として、あるいは幼虫は食餌として百パーセント役立つ
てくれるかもしれない。そう考えると未来は明るいじゃないかと腑に落ちた。

 

【現代金融政策論】 


日銀は29日、平成14年7~12月に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。当時は不良債
権処理が懸案だったが、デフレ克服も課題となっており、日銀は金融緩和策の一環として物価
目標をめぐり議論。同年12月17日の決定会合で、当時の速水優総裁が物価目標について「経済
を無謀な賭けにさらすということ。政策として適当でない」と導入に否定的な見解を述べてい
たことがわかったと報じられた。それによると、この決定会合で、速水総裁は「インフレ予想
ではなくて、成長予想を高めることが重要で、それこそが経済再生に向けた政策の王道」と強
調。他の出席者からも「なかなかインフレにならないところから無理矢理やっていくので、か
なりの確率で(目標幅を)オーバーシュート(上振れ)してしまう」(当時の植田和男審議委
員)などと、物価目標の導入には慎重な意見が相次いでいた。それから約10年後、日銀は今月
22日の決定会合で安倍晋三首相の要請を受け入れる形で2%の物価目標の導入を決断。金融政
策のあり方は大きく転換した。当時はゼロ金利状態で利下げ余地はなく、日銀は当座預金残高
を目標とする量的金融緩和政策を実施していた。日銀は、開催から10年がたった決定会合の議
事録を半年ごとに公開していという。




このニュースの前、麻生太郎財務相は28日、臨時閣議後の記者会見で、日本政府の経済政策は
「円
安誘導が目的」との批判が海外から出ていることに対し「ドルやユーロを下げても、俺た
ちは文句を言
わなかった。(円相場が)10円か15円戻したら(欧米が)文句を言うのは筋
としておかしい」と反論した。
最近の円安傾向は「日本はデフレ不況からの脱却が優先順位の
一番。円が結果として安くなるのは付
随的に起きている話だ」と指摘し、また財務相は2013年
度の実質成長率を2・5%とする経済見通し
に関して「世界経済は下振れリスクの懸念が前よ
り薄らいでいる。株価も上がっている」と話し、見通し
を達成する可能性は高いとの見方を示
した。ただ「生活で感じるほどの景気の良さはもう少し先になら
ないと出てこない」とも指摘
したことが報道されている。

さて、10年前と言えば、半導体と液晶パネルの活況は最高潮に達していて、職場の後輩たちに
このような経験は二度とないよと話してあげたた記憶がある。この時分に既に日銀と政府との
デフレ対策で激し議論されていたことはある意味、少し安堵させるものではあるが、輸出競合
国の追い上げは、自国通貨切り下げ”強かに組み込まれていたこと(該当政府は否定するだろ
うが)を、あるいはその可能性を自覚していたのか疑問だ。さて、『抗癌最終観戦記』の続き
を。


  また日銀のなかには、「良いデフレ」と「悪いデフレ」を分けて考える者もいるという。
 良いデフレとは、物価の下落が景気の悪化をともなわないもの。悪いデフレとは、物価下
 落が景気の悪化をともなうものだ。「物価の下落」と「景気の停滞」を分けて考えるよう
 になったが、今度はそれを「良い」「悪い」というモノサシで測るようになったのである。
 良いデフレの例とされるのが、パソコンである。パソコンは現在、数年前では考えられな
 いほどに安価になっている。家電量販店に行けば、五万円以下で手に入る場合もあるほど
 だ。かつては10万円以上が当たり前、その前ならさらに高かったのだが、飛躍的に購入し
 やすくなっている。だが、それは景気とは関係のないこと。需要収縮が価格低下の原因で
 はない。パソコンが安くなった理由、それはまず第一に、技術革新と生産性の向上である
 日銀の「良いデフレ」「悪いデフレ」論は、一つひとつのものの価格と、経済全体の価格
 とを、混同している。パソコンの値段が下がったからといって、それが物価全体の下落に
 つながるというわけではない。デフレとは、物価全体が継続的に下がる状態のことをいう
 からだ。日本には、このようにデフレを容認する者が数多くいる。日銀にも、政治の世界
 にも。 他の国では、後述するリフレ政策までしてデフレを止めても無駄だという学者が、
 10人のうち一人か二人はいるだろう。だが、デフレが良いものだという議論は間いたこと
  がない。一方、日本では、ほとんどの学者は日銀の政策を擁護することが多く、10人のう
  ち一人か二人だけが「デフレは困る、デフレを止めて緩やかなインフレ気味に経済を導け」
  と正しいことをいっている状態。金融政策は効かないものだと信じている人間が数年前ま
  で多勢を占めていた。



                浜田宏一著『アメリカは日本経済の復活を知っている』

 

同上著書の「第一章 経済学二〇〇年の常識を無視する国」からの抜粋部分(背景カラーはわたし
が加筆)は、浜田宏一と見解を異にする箇所である。勿論、日銀のデフレ善悪論とは無関係では
あるが、『デフレギャップとギリシャ国債』で記載した“ソロー残差”を取り上げたが、「技術
と経済成長」の話。米国の経済学者のロバート・ソローは、古典派経済学の成長モデルの研究と
ソローモデルでよく知られているが、ソロー残差とは、生産力をあげるには、労働やその他材料
を増やすか、投入する資本 (機械) を増やすか、あるいは技術革新によって効率をあげるかだ。
このうち技術革新は直接は計測できないけれど、ほかのものの増分を生産量の増分から差し引け
ば、残ったのが技術革新の分だとするロバート・ソローのアイデアで、この考え方をもとに、
後アメリカの産業力はほとんど (87.5%) が、技術革新によるものだと主張したのだが、「2006年
第一四半期において、PCのプロセッサは90nmで製造されており、65nmのチップはIntel(Pentium D
およびIntel Core)からのみ出荷されていた。10年前では、チップは500nmで製造されていた。各
企業は45nmや30nm、さらにそれ以下の細かさのチップを製造するために起こる複雑な技術的課題
を解決するため、ナノテクノロジーを用いて開発を行っている。これらのプロセス技術は半導体
産業が直面するムーアの法則の限界を延命させる方向にある。
最近のコンピュータ業界の技術ロ
ードマップ(2001年)は、ムーアの法則はチップ数世代にわたって継続するであろう、と予測し
ている。この技術ロードマップでの計算によると、この10年間でチップ上のトランジスタ数は2
の100乗個にまで増加するだろう。半導体産業の技術ロードマップではマイクロプロセッサのトラ
ンジスタ数は3年で2倍になるとしているので、それに従うと10年で2の9乗個になる」(「個人
史としてのデジタル革命」-「5.コンピュータと半導体
」)と喩えられる『デジタル革命』の
基本法則がすさまじ勢いで貫徹波及していく時代であり、そのことの影響がどの程度寄与してい
るのかの計量経済学の新しい命題を強く意識させるが故、無視できないと考えている。そして、
ソロー・モデルは長期モデルで、rが均衡点から乖離した場合に均衡点r*に収束しても、収束に10
年やさらに半世紀もかかれば現実に意味しないとの弱点があり、技術進歩と貯蓄率の
外生性を改
善するためにラムゼイ・カス・クープマンズモデル(単一部門の成長モデル)、フォン・ノイマ
ンの多部門成長モデル、内生的成長モデル(経済現象を外生的要因によってではなく、体系内の
内生変数によって説明する考え方。内生的成長論では、外生的に与えられた技術進歩ではなく、
広義の資本ストックの充実といった内生的要因を経済成長の源泉とみなす)を派生→内生的成長
論は、ポール・マイケル・ローマーはR&Dなどで生み出される知識やアイディアが最終財の生産
に投入される中間財の種類を増加させ、その増加が最終財の生産性を向上させる過程-アイディ
アが非競合財であり規模に対して収穫逓増する特性を持ち、
例えばアイディアの投入を2倍にす
れば産出量は2倍以上になる。すなわち、
アイディアを生産するには最初に固定費用がかかるも
のの限界費用がゼ
ロであるという点で、アイディア(知識)を生み出す際にはコストがかかるが、
一度生み出されたア
イディアをコピーしてもう1単位つくるにはコストはほとんどかからない(
1→N型生産)であり、このような
性質を持つ財は完全競争市場では最適に供給されず、最終財
市場で完全競争の仮定を維持する一
方、アイディアを投入要素とする中間財市場を独占的競争市
場としてモデル化するという特性を帯びているという現在的な意味付けとその計量評価が-ノー
ベル経済賞級課題が残されているというわけだ(これは少し難しかったかな?)。それが彼とわ
たしの差だと考えている。


とはいえ、「量的緩和政策―2001年から2006年にかけての日本の経験に基づく実証分析―、財務
省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」平成22年第1号(通巻第99号)2010年2月

下図)のように‘インパルス法統関数’などの高等数学、線形(または非線形)はもとより離散
系数理手法を多用しこの複雑な経済現象の解明をエネルギッシュになされていることもまた現実
なのだ。


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ダブルインカムスリーキッド

2012年12月20日 | EMF安全保障

 

 

 

【専守防衛に流れる墨子の思想】

先秦時代の思想家の中で、かれほど行動的な人はいない。それは、すましかえった。‘君子’の眼に
は「役夫の道(ドレイのやり方)」(荀子)と映じた。しかしそういわれることはむしろ墨子の本望
だったのではないか。ひたすら形式を守り、もっともらしい道徳を説きながら、富者貴人に寄生して
その日を送るえせ君子はかれの最も唾棄するところであった。「愛すれば、必ず愛される」-それは
まことに単純な論理だ。しかしそれを支える重みは無限である。それなればこそ、かれの思想は、儒
家の思想を圧倒して戦国の人々の心をとらえ、動かすことができたのである。その重みとは何か。そ
れを解明することは、同時に、秦帝国以来、二千年間、墨子思想が“絶学”と化した理由を知ること
にもなろう(中国思想シリーズⅤ『墨子』徳間書店第二版の「解題」より)。

 


 【盗癖】


            子墨子見王曰、今有人於此、舎其
            文軒、隣有敞輿、而欲窃之。舎其錦
            繍、隣有?褐、而欲窃之。舎其梁肉、
            隣有糠糟、而欲窃之。此為伺若人。
            王曰、必為有窃疾矣。子墨子日、則
            之地方五千里、宋之地方五百里、此
            猶交軒之与敞輿也。荊雲有夢、犀□
            鹿麋満之、江漢之魚□□、為天下
            富。宋所為無堆屯鮒魚片也。此哨巣
            肉之与糠糟也。荊有長松文梓、□□
            予章。宋無長木。此猶錦繍之与□褐
            也。臣以三吏之攻宋也為与此同類。
            臣見大王之感傷義而不得。王日、善
            哉。雖然公輸盤為桟為雲梯、必取宋。
            於是見公輸盤。子墨子解帯為城、
            以牒為械。公輪盤九設攻城之機変、
            子墨子九距之。公輸盤之攻械尽、子
            墨子之守禦有余。公輸盤?。而目、
            召知所以距子矣、召不百。子墨子亦
            日、召知子之所以距我、召不言。楚
            王問其故。子墨子日、公柚子之意、
            不遇絞殺臣。殺臣末莫能守、可攻也。
            然臣之弟子禽滑餓等三百人、已侍臣
            守禦之器、在末叙上、面持楚寇矣。
            雖殺臣、不能絶也。楚王日、善哉。
            召請無攻末矣。
            子墨子帰週末。天雨。庇其間中。
            守間者不円也。故旧、治於神者、衆
            人不知其功、争於明者、衆人知之。


子墨子、王に見えて曰く、「今ここに人あり、その文軒を舎て、隣に敞輿(へいよ)ありて、これを窃
(ぬす)まんと欲す。その錦繍(きんしゅう)を舎(す)て、隣に□褐(じゃかつ)ありて、これを窃
まんと欲す。その嚇肉を舎て、隣に糠糟ありて、これを窃まんと欲す。これをいかなる人となす」。
王曰く、「必ず窃吹ありとなさん」。子墨子曰く、「別の地、方五千里、宋の地、方五百里、これ文
軒の敞輿におけるがごとし。荊に霊夢あり、犀?鹿麋(さいじびろく)これに満ち、江南の魚□□□(
ぎょべつげんだ)は、天下の富たり。宋はいわゆる雉兎鮒魚(ちとふぎょ)もなきものなり。これ梁
肉の糠糟におけるがごとし。別に長松・文梓・梗梢・予章あり。末に長木なし。これ錦繍の□褐(じ
ゃつかつ)におけるがごとし。臣、三吏の宋を攻むるをもってこれと類を同じくすとなす。臣、大王
の必ず義を傷いて得ざるを見る」。王曰く、「善いかな。然りといえども公輸盤わがために雲梯をな
り必ず宋を取らんとす」。ここにおいて公仙盤を見る。子墨子、帯を解きて城となし、牒をもって械
となす。公輸盤九たび城を攻むるの機変を設け、子墨子九たびこれを距(ふせ)ぐ。公輸盤の攻械尽
きて、子墨子の守禦余りあり。公輸盤詣す。而して曰く、「われ子を距ぐゆえんを知れども、われ言
わず」。子墨子また曰く、「われ子のわれを距ぐゆえんを知れども、われ言わず」。楚王その故を問
う。子墨子曰く、「公祐子の意は、臣を殺さんと故するに過ぎず。臣を殺さば宋よく守ることなし、
攻ひべきなり、と。然れども臣の弟子禽滑董ら三百人、すでに臣の守禦の器を持し、宋城の上に在り
て楚の寇を待てり。臣を殺すといえども、絶つこと能わず」。楚王曰く、「善いかな。われ語う宋を
攻むるなからん」。 子墨子帰りて宋を過ぎる。天雨ふる。その?(りょ)中に庇せんとす。?を守る
者、内(い)れず。故に曰く、「神に冶むる者は、衆人その功を知らず、明に争う者は、衆人これを
知る」。

※□は当用漢字外で、このページでは表示されない箇所(表示できても虫眼鏡がいります)。

 【解説】

 墨子は王の前に進み出ると、こうきりだした。

「ここにある男がいます。立派な車をもちながら、隣家のぼろ車を盗もうとします。豪華な衣装をも
ちながら、隣家の粗末な着物を盗もうとします。穀物や肉があるのに、隣家の糠や糟を盗もうとしま
す。この男をどう思いますか」
「盗癖があるにちがいない」
「お国の領土は五千里四方もあるのに、宋国の領土は五百里四方しかありません。これは、立派な車
をぼろ車とくらべるようなもの。お国には、雲夢の沢に犀や鹿が満ち、江漢の川には魚や貝類がとれ
て、天下一の豊かさを誇っているのに、宋国では、雉子(きじ)、兎、鮒などのごくありふれたもの
ですら、手に入りません。これは、穀物や肉を抑や糟とくらべるようなもの。お国には、また、松、
梓、楠などの大木が生えているのに、宋国にはそういう大木けありません。これは、豪華な衣装を粗
末な着物とくらべるようなもの。王の将軍たちが宋を攻めるのは、ちょうど、盗癖のある男と同じで
はないでしょうか。王の義'に傷がつくだけで、なんらうるところはありません」
「たしかにお説のとおりだ。だが、公輸盤の立場もある、わざわざわしのために雲梯までつくって、
宋を攻めとるという以上、いまさらやめるわけにいかぬ」

墨子は、公輸盤のほうに向き直った。そして、革帯を解くと、これを城郭にみたて、小さな木札を手
にして、これを兵器になぞらえ、公輸盤に攻めさせることにした。
公輸盤は、機をみてくりかえし攻撃に出たが、墨子はそのたびに防いだ。ついに公輸盤のほうは、攻
撃用の木札が尽きてしまった。一方、墨子の手中にはまだ防禦用の札が残っていた。

「わたしの負けです」と公輸盤がいった、
「しかし、わたしは、どうすればあなたに勝つかを知っている。だが、それはいわずにおきましょう」  
「わたしも、どうすればあなたがわたしに勝つかを知っている。だが、それはいわずにおきましょう」

帰路、墨子は宋を通りすぎた。
途中、大雨にあって、村里のなかで雨宿りしようとしたが、村人に追い立てをくってしまった。
-「人知れず危機を救ったときには、人々はその功績に気づかない。これみよがしに騒げば、その功
績は知られるのだが・・・」

〈禽滑釐〉 禽子ともいわれる。はじめ儒家の子夏の門に学んだが、のち墨子に師事した。墨子の高
弟である。墨子に兵法を学び、守城の法を修得した。


    
 

墨子の生涯や行動を示す記録は論敵によって抹殺され、今日ほとんど伝わっていない。この編は、墨
子の足跡と人間像を知る数少ない手掛りのひとつである。墨子はたんなる観念的な平和論者ではなか
った。弱小国を侵略の危険から守るためには、身を挺して行動に立ち上がる「行動家」であった。公
輸盤との問答、楚王とに、科学技術の役割という今日的な問題をなげかける。公輸盤も墨子も、とも
に当時第一級の技術者、しかも武器の設計に長じていた。二人のちがい-それは前述にみられるとお
りである。ちなみに、春秋時代には、戦争の規模はそれほど大きくはなかった。動員される兵力はせ
いぜい二、三万であった。戦車で整然たる密集隊形を組んで交戦し、一、二日で勝負のケリがついた。
ところが墨子の生きた戦国時代になると、戦争の方式は一変する。動員される兵力は十万単位になり、
秦と趙との間で戦われた長平の戦いでは百万近い大軍が動員された。戦争規模を拡大させた要因のひ
とつとして、武器の発達をあげることができる。春秋時代の武器は、戈、矛、剣、弓矢などが主で、
銅製品であったが、戦国時代にかけて冶金術が発達し、これらの武器は鉄製のものに変り、破壊力が
いちじるしく増大した。新型兵器として、遠方まで射ることのできる弩機が発明されたほか、雲梯や、
「鉤拒」(こうきょ)といわれる舟戦の兵器が登場した。密集隊形で戦う戦闘形式は、これら新兵器
の登場で不利となり、歩兵を主力とする野戦・包囲戦が支配的となった。そのため戦争の性格も持久
戦、長期戦の様相を呈するようになった。大量の兵員を必要とするようになったため、各国は徴兵制
度を布いて、兵力の増強につとめた。泰代になって確立された「郡県」制度のねらいは、ひとつには
この徴兵義務をスムーズに行なうためであった
。この徴兵制度の制定で多くの農民が戦争にかりたて
られた。こういう大規模な戦争は、ばく大な軍事上の支出をともなうから、当然、国家の財政負担を
増大させる。そして、その負担は、民衆にしわ寄せられた。春秋から戦国にかけて、大規模な農民暴
動がいくつか起きているが、これは農民に対する苛酷な収奪を示すものである。墨子の「非攻」論は、
こういう背景のもとに生まれた。 

 

【日清のラーメン屋さん】 

即席ラーメンの麺が美味くなっている。これは、強力粉よりタンパク質含量が少なく10〜12%のもの
準強力粉をα化処理した麺を包装体に包装した後、95℃以下で加熱殺菌し、麺原料に炭酸ナトリウム
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムや酸化カルシウム及び又は水酸化カルシウムを添加し、さらに、
食塩、塩化カリウム、塩化カルシウムを対原料粉合計に対して最適重量比で添加し、加熱殺菌後の麺
のpH(水素イオン濃度)を最適化するなどの組成素材分の工夫の上に、下写真図のように麺表面に茹
で上げ時間短縮のための形状加工を施して、生麺のようなもちもちとした食感を生み出すことに成功
している。その加工方法はメーカにより異なるものの基本的にはよく似た製造方法よりつくられてい
るようだ。

   特開2012-130291



つまり、即席麺の改良段階はほぼ考えられる問題解決の最終段階に各メーカはある。裏返せば日本の
独壇場にあり、我が国の美味・安全・健康という品質アイテムもってしてなる加工食品立国のブラン
ドという高付加価値は当面揺るぎがない。そこで提案というわけで、先進諸国や新興国で稼いだ利潤
で食糧難の極貧諸国の人々に無償販売する、そこで、日本でいう農業普及委員制度のような運動をメ
ーカを中心とした民間ボランティアを常住させ現地ニーズに合わせた食料援助の贈与経済を行うとい
うもの。ならば、日本のメーカが世界に打って出ようという提案でした。

 

【ダブルインカム、スリーキッドという公共事業】

総選挙が終わり、嘉田未来の党代表、滋賀県知事が袋叩きにあっているが、叩く方の気持ちは分から
ないことはないが、やり過ぎは政治の品位が疑われる。これって政権与党民主党への国民の偽らざる
気持ちが投影されているのだから、お門違いもいいところだと思っている。マニフェスト選挙・二大
政党制=小選挙区比例代表制が試された絶好の社会実験だったと冷静に考えればこの程度の混乱はや
もう得ないのではと冷静にみている。裏返せば、政権の交代ルールが明確になった上は今後もスパイ
ラル・アップしていくことは約束されている。あの松下幸之助が天国で「転んだら、起きなはれ」と
声を掛けくれているぞ!と、話はそのことでは、なく安倍政権は日銀にインフレターゲット設定を申
し入れ日銀が同調した。貨幣的裏書き(金融)が得られたからには、表の仕事の産所。これを公共事
業いうが、1に復興、2に防災・減災、3に人口増加ターゲット設定、つまり嘉田代表が掲げる「ダ
ブルインカム、スリーキッズ」の最優先政策ということだ。この方面は麻生前首相の手腕に期待した
いところだが、精緻な運用は日本の官僚力にも期待がかかる。

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メタンハイドレートの行方

2012年10月11日 | EMF安全保障

 

 



独立総合研究所の青山繁晴がテレビでメタンハイドレートの開発促進を熱く語っていたので、
これはちょっと真剣に考えてみないとだめなのかと思い、採取処理方法についてワンポイン
トで下調べしてみた。例えば、メタンハイドレートからメタンガスを採取する場合、回収す
るまではガスが発生する環境を維持しなければ、再びメタンハイドレートが生成し、海底で
加熱した場合、発生したメタンガスを地上に移送中、高温状態を維持し圧力を制御しなけれ
ばならずコストやエネルギー効率の面で問題となる。

 特開2012-072029
【符号の説明】

1:メタンハイドレート処理装置、3:電極ユニット、32:プラズマ用電極、5:パイプ
ライン、6:ガス回
収配管、7:同軸ケーブル、8:高周波発生装置、9:水素貯蔵装置

そこで考えたのが電子レンジでメタンハイドレートを解凍?しようとする方法で、愛媛大学の液中プ
ラズマプロセスの研究グループが提案している(下図参照)。なお、このグループの研究は半導体製
造プロセスにも応用可能だとしてわたしも注目していたものだった。

簡単に言うと、プラズマ用電極に高周波を供給→プラズマ用電極によりメタンハイドレート
に電磁波
を照射→プラズマ発生させる。そして、プラズマでメタンハイドレートを分解→水
素発生させるという
二段工程方式。この方法で、プラズマ用電極から照射される電磁波で、
メタンハイドレートのプラズ
マ化し、メタンハイドレートは、主に水素と炭化物に分解する。
つまり、メタン
ハイドレートから水素を取り出すことができ水素燃料電池に用いられるなど、
二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーとして活用できるというのだがそれは本当だろう
か?それが下図のメタンハイドレートと見立ててテーブルテストを模式図だ。それによると

【符号の説明】

30:プラズマ用電極、4:容器、 A:電子レンジ

メタンハイドレートは入手が容易でないため、実験としては同じ性質を有するシクロペンタ
ンハイドレ
ートを代替使用。シクロペンタンハイドレートは、常圧下(約1atm)で固体で
存在。両者は、共にCとHの結合を有し結合エネルギーは同程度。理論上、シクロペンタン
ハイドレートが分解されれば、メタンハイドレートも同方法で分解されるとして実験。なお、
シクロペンタンハイドレートはシクロペンタン(C10)と純水(HO)を界面活性
剤(ノイゲン)を用いて混合、シクロペンタンと水のエマルジョンを生成。シクロペンタン
ハイドレート(液体)を冷却し凝固し、この冷却中のシクロペンタン系内の温度分布状態を
均一化(撹拌器)。冷却が進んでいくと、シクロペンタンハイドレートは徐々に固体状にな
る。シクロペンタンハイドレートのシクロペンタン(C10)と純水(HO)とノイ
ゲンの質量比は、およそ32:66:2。


それではテスト方法。まず、電子レンジAと、プラズマ用電極30と、容器4である。電子
レンジAは、上部にガスの給排気用の配管a1、a2が設けられており、その他の構成は、
市販されている汎用のものと同様である。電子レンジAは、750Wで駆動し、マグネトロ
ンa3からマイクロ波(2.45GHz)を発生させる。プラズマ用電極30は、台座310
と複数のアンテナ320とを有し、電子レンジA内に配置する。台座310は、テフロン製
円板状の台座本体上面に、銅薄板が配置されて構成。アンテナ320は、棒状の導体(銅線
)。複数のアンテナは、台座310の銅薄板上に、等間隔にほぼ垂直に立たせて配置。アン
テナは、マイクロ波を補足。なお、実験において、アンテナの直径は1.5mmで、アンテナの
長さ及び配置間隔は、約20mm。プラズマ用電極30は、複数の同軸ケーブル7を海底に挿
入し、複数のプラズマ用電極32がメタンハードレート層に配置されていることに相当。

ンテナの長さは、マイクロ波が有機溶媒であるn-ドデカン中を伝播する場合のマイクロ波
の波長(λ)の1/4に相当。

            

アンテナの配置は、下図に示すように、台座310の中心に1本固定され、台座の中心から
等間隔で周上に6本が等間隔で垂直に固定されている。なお、アンテナの長さは、伝播する
マイクロ波の波長の1/4又は1/4の整数倍が好ましく、実験例1の場合、空気中を伝播
るマイクロ波の波長の1/4(約30mm)が理想。アンテナは、マイクロ波が捕捉可能
であ
ればよく、約20mmから40mmであれば十分プラズマが発生する。この場合マイク
ロ波が
導波管の1つである同軸ケーブル7内を伝播し、直接プラズマ用電極32に伝わるた
め、電極の
長さはプラズマ発生に対して大きな影響を与えないという。プラズマ用電極は、
アンテナが下
方となるように、支持部材4bにより蓋4aに支持され、後述する容器4内に
配置されてい
る。なお、支持部材4bは、蓋4aの下面に吊り下げられており、長さ調節が
可能となって
いる。これにより、プラズマ電極の高さ調節可能。また、容器は、耐熱性があ
りマイク
ロ波を透過し液体を収容する。容器は、耐熱ガラスで、蓋4aにより上部開口を塞
がれてい
る。この蓋は、配管a1、a2が配置される貫通孔を有している。容器内には、プ
ラズマ用
電極と円板状のシクロペンタンハイドレートCP(直径30mm、厚さ2mm)が
配置。容
器は、電子レンジA内のプラットホーム上に配置。実験開始にあたり、配管a1を
介して容
器内に窒素を供給し、配管a2を介して容器内のガスを排出。電子レンジを作動さ
せて、マ
グネトロンa3からマイクロ波が容器に照射。液中において、プラズマ用電極のア
ンテ
ナ先端部でプラズマを発生させた上、ガスクロマトグラフ分析装置でガスを分析すると
いう。
その結果は下表となる。


これによると、排出ガスには水素が38%含まれ、シクロペンタンハイドレートがプラズマ
により分解され水素が発生している。その他、CO、O2、不活性ガス等が含まれていた。
また、特定できないガスも含まれ、気化したガスの一部がプラズマ内部を通過せずに上昇し
たものと考えられている。

尚、シクロペンタンハイドレートCPの代わりに、シクロペンタン(液体)を入れて実験を
行っていて、排出ガスには水素が19.7%含まれて、この比較実験例では酸素が含まれて
いないため、COやCO
が発生しなかったという。

以上の実験結果より、メタンハイドレートを分解させ、水素を取り出すことが可能で、メタ
ンハイドレートを有効利用することができる。また、プラズマの発生においては、マイクロ
波(周波数およそ0.5~20GHz)以外の高周波(周波数およそ百kHz以上)であっ
てもよいが、マイクロ波のほうが、パワーが大きく、マグネトロン等により作成が容易であ
るため、より効率的で効果的である。プラズマ発生及び水素発生原理は、アンテナがマイク
ロ波を捕捉すると、アンテナの先端部において電場が強くなり、シクロペンタンハイドレー
トに電磁波が照射→アンテナの先端部でプラズマが発生。マイクロ波を連続的に供給→プラ
ズマを継続的発生→対向配置されたシクロペンタンハイドレートは、高温・高エネルギーの
プラズマにより分解される。さらに、まず、マイクロ波を受けたアンテナが電磁波を照射す
ると共に高温となり、シクロペンタンハイドレートが溶解する。その後、アンテナの先端で
プラズマが発生し、シクロペンタンハイドレートは、液体から気体に気化していく。気化し
た気体は、プラズマにより分解される。シクロペンタンハイドレートが分解されると、水素
及び炭化物等が発生する。この原理は、海底のメタンハイドレートであっても同様である。
発生した水素は、給排気用の配管から排出され貯蔵される。容器内に残った炭化物は、フラ
ーレン・ナノチューブなどのニューカーボンや活性炭として利用可能である。海底のメタン
ハイドレート層に存在するメタンハイドレートを分解し、燃料ガスである水素を回収するこ
とができ、燃料ガスである水素を地上に運搬する際に温度・圧力調整をする必要がなく、設
備・コスト面で有利である。また、メタンハイドレートの分解により生じる炭素成分は、海
中で固形化(ハイドレート化)する。この固形化した炭素成分を回収し、ナノテクノロジー
材料とすることも可能であるという。



このように考えていくと、電子レンジを使い、メタンハイドレートを回収すれば原理的に、
水素と炭化物を得ることになるから温暖化ガスの排出はなくなる。青山繁晴が言うようにシ
ェールガスの回収より環境破壊のリスクが逓減されるので日本の資源大国は実現できる。そ
う考えると『海洋海底立国構想』をこのブログ掲載してきた甲斐があったというもので、青
山らの構想は法螺話ではなく限りなく現実的なものとなる。「鉄は熱いうち打て」とそう思
えてきた。後は、原発開発促進事業に投じられる予算をメタンハイドレート開発促進事業に
転換すれば良いという道筋に光明が開ける。今回はすこし無理をしてこの考察をタイピング
してきた。そうして、心の高揚を感じている。


 

 

 

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防災農業ハウス考

2012年05月13日 | EMF安全保障

 








はやく向日葵のガンガン咲き誇るようにならないかと、時折作業の手をとめ休憩がてら、日照不足のた
め、小さな裏庭に植えた胡瓜の苗に、仕掛けた反射ミラーの照射角度調節を行っている。


【耐防災農業ハウスのスケッチ】

書こうと思っていたが書けずにきた「温暖化対策用農業用ハウス仕様」だが、この間のつくば竜巻事件
あるいは、つくば竜巻事変を目のあたりにして急遽ブログすることに(いろいろ、ありますなぁ~)。
そこで、雹の影響についてネットで下調べする。雹は激しい上昇気流をもつ積乱雲内で生成されるので
雷とともに起こることが多い。発達した積乱雲の中で形成された大きな氷晶は、落下途中で表面が融解
するが、強い上昇気流に再び吹き上げられ、再び凍結する。この過程をくり返すうちに、小氷晶や過冷
却の水滴が付着して霜に成長する。このため、電の断面は、融解後に凍結した透明な層と付着した氷晶
による、不透明な層が交互に形成されて同心円状の層状構造をすることが多い。(『図解|環境百科事
』)



雹は成長するにつれてその重さを増す。その重さを気流が支えきれなくなると地上に落下。雹は激しい
積乱雲の発生が多い夏季に発生することが多いが、夏は地表の気温が高く、雪が融解し雨粒になる。こ
のため、雪は5~6月に起こりやすい。日本海側では、冬季の季節風の吹き出し時に積乱雲が発達しそ
のときに降雪がある。一般に雹の大きさは数mmのものが多い圧時に数cmに成長し、ゴルフボール大と
なる。アメU力海洋大気庁による公式記録では、2003年6月22日にアメリカのネブラスカ州に降った直
径17.8cm,周囲47.6cmの雪を世界最大としている。




また、降雹による被害を雹害だ。小さな雹が大量に降った場合、積雪のように堆積してビニールハウス
などを破損させたり、植物の葉を落としたりする。直径が5cm以上もあるような巨大な雹は落下速度が、
100 km/hを超え、単独でも甚大な被害を出す。自動車のボンネットや窓ガラス、家屋を破損させたり、
農作物に大きな被害を与えたりする。大きな雹が人間や動物に当たると怪我をして、頭部に直撃した場
合には脳震盪を起こしたり、死の危険性さえある。英語圏などでは激しい降雹を"hail storm(雹嵐)"
と呼ぶ。

・1888年4月30日、インドのムラーダーバードでオレンジ大の雹が降り、230人が死亡した。
・1959年、アメリカカンザス州北西部で1時間半にわたり雹が降り続き18インチ(約45cm)も積もった。
・1986年4月14日、バングラデシュのゴパルガンジで、2.25ポンド(約1kg)の雹が降り、92人が死亡。

それでは、雹の衝撃力はどのぐらいなのか?  衝突速度が、時速百キロメートル、粒径を5センチメー
トルとして
想定してみよう。衝撃力の計算は次式で求める。



ここで、m:雹の質量(ここでは、便宜上比重を1として求める)、v:落下速度、l:衝撃吸収距離
(ここでも、便宜上1メートルとして計算)。そうすると、F≒1.8×105[N]=1.8×104[kgf]とな
り、質量の単位で18トン程度の衝撃力となる(あくまでもざっくりとして計算上での話)。これが農業
用ハウスの被覆材、多くはガラス、硬質フィル、透明塩化ビニルなどでできているが破壊されないかど
うかだが、竜巻や突風が伴うと雹だけでなく飛来物(デブリなど)が衝突するため、1度被災すれば全
面的な改修が必要となるだろう(参考に屋根構造について記載)。

耐衝撃力でいえば、ガラスの200倍のポリカーボネイト(帝人化成、商品名:パンライト)が硬質プラス
チック系が最適だが、耐候性や耐熱性、耐薬品性はガラスより劣る。それでは、耐候性、耐薬品性、耐
擦傷性に優れ、透明で採光性に優れるガラス板に透明樹脂材料を積層した商品が市販されている(例え
ば、ガラス/ポリビニルブチラール/ポリカーボネート/ポリビニルブチラール/ガラス)。しかし、
ガラスは、密度が約2.2~2.6g/cm3で、重量が大きく、農業用温室被覆材等に使用される場合、耐震性
の観点から、柱や梁、胴ぶち、もやの材料としてランクの高いものを使用することを要し、コストが高
くなる。しかしこのような複合材、すなわち合わせガラスの厚みは厚く、軽量化が図れない。そこで、
下記の新規考案が提案されているガラスフィルム積層体1は、ガラスフィルム2で構成される層と、透
明樹脂層3で構成される層とを含み、少なくとも3層以上の積層構造で、厚みが3百μm以下のガラス
フィルム2で構成され、透明樹脂層3の厚みはガラスフィルム2の厚みよりも大きいも合わせガラスが
提案されている。
 

    

  物性比較表

 

【符号の説明】

1 ガラスフィルム積層体 2 ガラスフィルム 3 透明樹脂層 4 ガラスフィルム

 極薄板ガラスのダウンフロー式製造工程の概説図

これは、大規模気候変動時代に対応するための、食料安全保障政策のほんの一部に過ぎない。また、これは第
六次産業化の工業化的側面の一面に過ぎない。しかし、初期投資が大きくなる、ならば「TPP」などで対応
すれば良いか? 答えは「ノー」だ。自国民の食糧確保で手一杯なときに、誰も手を差しのばし供給し
てくれるはずもない。そこで「未来国債」の出動というわけだ(「未来国債の創造」)。簡単にいうと、
大規模気象変動対応、第六次産業化促進農業への移行ということなのだが。

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NMBインパクト

2012年05月09日 | EMF安全保障

 

 

 

    妹に逢わずあらば 爲方無み 岩根踏む 生駒の山を 越えてそ吾が来る / 遣新羅使人

        たらちねの 親のかふ蚕の 繭ごもり いぶせくもあるか 妹に逢はずて / 柿本人麿

 

 

 

限られたエネルギー資源を効率良く利用するため電気自動車や余剰電力を有効的に使うことを目的に電力スマー
トグリッドシステムなどの技術開発が日夜展開されて、太陽光、風力など自然エネルギーの有効利用に、高度な
蓄電技術に期待がかかる昨今。電気自動車や自然エネルギーの積極利用の根幹技術である「蓄電池」。現在、蓄
電池としてリチウムイオン蓄電池が広く利用されている。電子機器用の小型電源 (~10 Wh) 、電気自動車用の
大型電源 (~20,000 Wh)に利用されている。リチウムイオン蓄電池はエネルギー密度から有力な方式だが、リチ
ウムイオン電池のリチウムは地球の地殻中にわずか 20 ppm (0.002 %) 程度しか存在しない元素=レアメタルで
リチウム資源で、コバルト、ニッケル、銅などのレアメタルも輸入に依存しているという問題を抱えている。結
果として、余剰電力や自然エネルギーの蓄電目的 (~1,000 kWh クラス) のリチウムイオン蓄電池は、コスト、
資源においても制約を受ける。

東京理科大学・総合研究機構 藪内直明講師、同理学部第一部応用化学科 駒場慎一准教授らの研究グループは、
ナトリウムイオン電池用電極材料としてレアメタルを必要としない新規鉄系層状酸化物の合成に成功しという。
それによると現在高性能電池に広く用いられているリチウムの代わりとして、資源が豊富なナトリウムを電気エ
ネルギー貯蔵に利用するという基礎研究を2005年から進めており、これまでに炭素材料と層状酸化物を用いるこ
とにより、リチウムを全く用いずに常温で作動する新しいエネルギーデバイス「ナトリウムイオン電池」の立証
に世界ではじめて成功したという。なお、今回の研究成果は、東京理科大学と株式会社GSユアサの共同開発。

今回の発明の何がインパクトなのか? リチウムやコバルト、ニッケルといったレアメタルを一切必要としない
鉄、マンガン、ナトリウムという資源豊富な元素を組み合わせ(NMB:ノーマルメタルバッテリー=レアメタ
ルフリーバッテリー)で実現したこと。それだけではなく、さらに、これまでの材料と比較して電池のエネルギ
ー密度を向上させる可能性があることだ。この実験に大型放射光施設SPring-8 (ビームライン: BL02B2) のフォ
トンファクトリー (ビームライン: BL-7C) の設備が貢献していることも見逃せない。 

上の図はナトリウムイオン電池の動作概説図と試作品(右/左はリチウム)の写真だが、それではどのようにし
て発明されたのか? これまでは、鉄系の層状酸化物としてアルファ型のナトリウム含有鉄酸化物(NaFeO2)が
知られていたが、エネルギー密度は低く、一般的なリチウム電池用の正極材料と比較して6割程度のエネルギー
密度しかなく、電池寿命も十分でなかった。今回の研究では、鉄を50%ほどマンガンで置換することで、従来型
の層状酸化物(下図左)と 今回発見された新規Fe系層状材料(右)の比較概説図のナトリウムイオンの酸素の配
位環境が異なり、P2型呼ばれる分類可能な層状材料の合成に成功する。 この新規鉄系材料(Nax[Fe1/2Mn1/2]O2
のナトリウム電池のエネルギー密度(正極重量ベース)を評価したところ、電気自動車用のリチウム電池で広く
用いられているスピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)やリン酸鉄リチウム(LiFePO4)に匹敵するか、
それ以上のエネルギー密度である500mWh/gのエネルギー密度が得られることがわかったという。

 

 





このことで、これまでに報告されているナトリウムイオン電池用の正極材料として最も高い値で、さらに、電池
に求められる繰り返し特性にも優れ
ることがわかっているという。これらの研究成果は将来的にはリチウムやコ
バルト、ニッケルといったレアメタルを一切用いることなく、現状のリチ
ウム電池に匹敵する高エネルギー密度
の蓄電池が実現可能であることを示す。レアメタルフリーと高エネルギー密度が両立可能なナトリウムイ
オン蓄
電池は、将来的には自然エネルギーの有効利用、スマートグリッド用の定置用大型電池、さらには電気自動車用
の電源としての実用化が
期待されている。



 

 



今後どのような展開をみせるのか、わからないものの「レアメタル代替電池」という対立(対抗)概念を止揚す
る概念・理論の誕生の一翼を担うことは確かなんだろうと思わせる発明事例-話題のネオジウムを新概念・理論
で人工的につくることができる時代-のように思えるから不思議で面白い。

話は飛躍。自然界では存在しないと思われる合成物質を生み出す探求のエネルギーは、この膨大な宇宙のそれに
比して微塵は優に満たぬ。さりとて、そのパッションもアクションも凄いものではないかと感心し、だからこそ、
遊び心は忘れず探求のエネルギーを燃やし続けるねばと、万葉の色恋に例えて二首を選じた。

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キャメロン監督の海底採掘

2012年03月29日 | EMF安全保障

 

 



【キャメロン監督の海底採掘】

世界で初めてマリアナ海溝チャレンジャー海淵への単独潜航に成功した映画監督で探検家のジェームズ・キャメ
ロン氏が、帰還から数時間後に会見を行い、世界で最も深い海底は月の表面のように荒涼としていたと語ったと
いうニュースに興味があり後日それをブログする予定でいた(「梅咲きパスタを紐解く」)。もっとも、彼は、
『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』(ジェームズ・キャメロンのタイタニックのひみつ、原題:
Ghosts of the Abyss)は、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ社とウォールデン・メディア社とによって
2003年に公開されたドキュメンタリー映画を撮影している。原題は『 Ghosts of the Abyss / ゴーストズ・オ
ブ・ジ・アビス 』で、「深海の幽霊(達)」を意味するという。 ディズニー初の3D映画で、監督はジェームズ・
キャメロン。キャメロンは映画『タイタニック』でアカデミー賞でオスカーを受賞した後に、この映画を撮り、
沈没したタイタニック号の残骸に向けて、キャメロンと科学者のグループが潜航し、かつてないほど接近した。
特別に作製されたカメラ(ニックネームはジェイクとエルウッド)でタイタニック号の内部を撮影、またCGI加
工により、当時のタイタニック号がどのような様子だったかを観客に分かりやすく見せている。なぜ、それほど
まで海底にご執心なのかわたしにはわからないが、プロジェクトの一員であるレビン氏はナショナルジオグラフ
ィック ニュースの以前のインタビューで、「海溝探査についてキャメロン氏が行う仕事は、数十年前にジャッ
ク・クストー氏が海洋探査に残した業績に匹敵すると思う」と高く評価しているし、カリフォルニア州サンディ
エゴにあるスクリップス海洋研究所の生物海洋学者リサ・レビン(Lisa Levin)氏は、「DEEPSEA CHALLENGE」
プロジェクトが深海科学に対する一般の関心を呼び起こす力は、キャメロン氏が発見したであろう何よりも重要
だとも言っている。





Image: DEEPSEACHALLENGER sub diagram

我が国は資源がないとよく言われる話だが、「資源」というものは「開発」と同様に、「人類の積極的な自然征
服のアプローチ」の別称だと考えている。いや、そのように考えようとしている。  レアアース、レアメタルの
埋蔵・生産量は中国が一番だといわれるが、それは陸上部のことだけの話で、海底や海底の地盤中には、マン

ン団塊、マンガンクラスト、海底熱水鉱床などの鉱物資源が開発を待っている状態なのだ。もっとも、これら

採掘には大電力・エネルギーを必要とし、これまで、軽油を使ったディーゼル発電で賄なわれていた。しかも、
深海底までの送電ロスは大きく、採算が合わないと言う理由が開発計画が遅れてきたといわれている。一方、わ
が国の有人深海調査船、潜行深度6,000メートル、乗員3名、0.7m/秒の速度で、2時間かけて6,500メートル潜
行する「しんかい6000」が活躍している。また、無人探査機として「かいこう」や「うらしま」など5艇があり、
潜行深度は「かいこう」が7,000メートル、これに積み込んだ子機「ランチャー」で11,000メートルを記録。外
国でもアメリカの4,500メートル調査艇「アルピン」などがあるがいずれも調査のみであって、深海鉱物資源の
採掘艇は皆無だ。





海底鉱物資源の採掘に関して「海洋資源エネルギー抽出・生産海洋工場」において風力発電や潮流発電などの流
体エ
ネルギーから得られた電力により、マンガンクラストあるいは海底熱水鉱床中の泥状硫化物を採鉱し港に輸
送する総合工場構想について、特開2007-331681号公報に開示されている。また、採掘した海底鉱物資源の海上
への輸送は、科学技術振興事業団の笹井らが「深海底鉱物資源の揚鉱方法及び揚鉱装置」で、両端開口部で液面
が同じ高さに維持されるU字管の中の海水が循環流動する特性を利用し、深海底から鉱物資源を海面に浮上させ
る方法を特開2003-26907号公報などがで開示されているが、総合的な科学技術工学と人間力を結集すれば、それ
ほど遠くない未来には内陸部とことなり極めて高純度の鉱床を世界に先駆けて日本が採掘している可能性が大き
い。そのことを裏付けるかのように、昨年7月に太平洋の海底でレアアースの巨大鉱床を加藤康浩准教授らが発
見している(推定埋蔵量は陸上部の千倍の1千億トン)。

※「鹿児島湾奥部海底にレアメタル鉱床を確認
※「熱水鉱床と粘土鉱物


 




海底にあるものを採掘するには、より詳しく鉱床の存在と分布実態の調査・測定に関わる技術工学の進展も必要
としている。従来から超音波探査装置で測定しているが、水深が約500m~3000mである深海底の未開発鉱物資源の
一つである海底熱水鉱床(SMS:Seafloor Massive Sulfides)が存在する。このSMSは、金、銀、銅、亜鉛、
鉛、レアメタル等を多数含み、ある程度の大きさを持つ塊状体となって存在する硫化物鉱床を三次元的に調査する
方法として紫外線照射し蛍光線を発生させ鉱物に含有する重金属類を効率よく測定できる方法も発明されている。
上図および写真のように無人ロボットを使い三次元的にその分布を測定することで極めて安全に調査ができるだ
ろう。



また、発見された鉱石を海洋環境の汚染や悪化を抑制しながら安全に採掘する方法の開発も重要なテーマだ。幸
いシームレス鋼は世界一の技術力を誇っているし、U字管法などで連続揚鉱することで簡単に取り出すことも可
能だろう。さて、まとめよう。「資源」とは「高付加価値を生み出す人間力の別称」に他ならないと、ジェーム
ズ・キャメロンはそのようにメッセージを発信しているのではと、わたしには思えるのだが、これは誇大妄想だ
ろうか? ^^; 


                                               

 

 

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ポストバブルなアルテミス

2011年08月04日 | EMF安全保障





【ふたりとひとりのワインとチーズ】

乳に酵素や菌を加えて固めただけの、熟成をさせないチーズ。モチモチ
とした柔らかなおモチのような形やペースト状をしていて、豊富な水分
とクセの無い風味が特徴です。お料理の材料や、サラダなどにもよく使
われる。代表的なチーズには、マスカルポーネ、モッツァレラなどのフ
レッシュチーズ。これに合うのがフルーティーで果実味豊かな白(リー
スリング・ソーヴィニヨンブラン)、フルーティーで軽めの赤(ガメイ)
だとか。これならベストマッチのふたりにはぴったりだ。

 

チーズの形を作る際に青カビを埋め込んで熟成させる青カビチーズ。ピ
リッとした風味、濃厚で強い塩味と独特の香りが特徴だ。生クリームで
のばしてペンネなどのソースにも利用できるという。ゴルゴンゾーラ、
ロックフォールなどで甘口で濃厚な味わいの白(ソーテルヌ)などいい
といわれるが、強烈な個性なわたしにはこれがぴった。ひとりで楽しむ
には最高だ。

  

今夜は特に刺激が欲しい二人には、ハードタイプがおすすめ。熟成期間
が長くその長さが濃厚な味に仕上げる。ミモレット、パルメザン、エメ
ンタールなどだが、タンニンが豊富な赤(サンジョベーゼ・メルロー)、
フルーティで軽口な白(シャルドネ)が似合う。それでは今宵はハード
に行くとしよう。もっとも、いやきみは往くのだがね。^^;

 

 アルテミスのアバター

【原子力電池と宇宙船】

原子力電池の専門家のアルテミスは浮かぬ顔をしている。アポローンは
どうしたのだとたずねると、原子力推進方法の宇宙移動の研究が暗礁に
乗り上げているのだという。放射性物質拡散による汚染の制御と巨大な
出力の制御がないのだと。ダイダロス計画の核融合推進では、減速制御
方法が確立していないという。無人観測機では電磁気推進が有利で、イ
カロスのように非反動質量系の太陽帆やマグネティックセイルの開発研
究が先行する情勢だ。実際に2008年まで、天体の万有引力を利用するス
イングバイを使ったユリシーズが運用されていたが、これには、搭載機
器は粒子や塵を計測する装置で、電力はプルトニウム238の放射壊変によ
る熱で発電する原子力電池 (RTG) で供給されている。

File:Cutdrawing of an GPHS-RTG.jpg

ファイル:Daedalusschip1.png 

ファイル:Tether-satellite-NASA.jpg

 

もっとも、レーザ核融合ロケットなどは出力が制御ができ有力な推進機
構には変わりがないがと気を取り直し、アルテミスは付け加えた。しば
らく沈黙が続き、アポローンは、ベゴニアも同じようにこのガイヤでの
利用研究を行っているので相談に乗ってあげて欲しいと言った。放射能
物質の終末処理が決まらないと商用ベースなシステム展開は無理だし、
いま現存する原子力発電の保有数をミニマムにして研究開発を続けるし
かないと、小さな声で付け加えると、アルテミスはすかさず、つまり、
原発バブル’がはじけたのよねと言って両手を挙げ肩を竦めた。 

 アポローン
 

 


神とは、高度な自然のメカニズムの実体のことである  野沢重雄

 

 

 

 



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