● シルクワームとスパイダーの融合繊維
クモの糸は「強く」て「伸びる」性質を併せ持つ繊維。クモは肉食で共食いをしてしまい、大量
飼育は不可能で、人工的に生産しようとする試みが世界中で行われてる。これまで微生物でクモ
糸タンパク質を大量に作らせることに成功しているが、産生されたものは繊維できず、繊維化操
作が必要だった。また、天然のクモ糸タンパク質が作ることが難しく、クモ糸タンパク質はカイ
コのシルクと構造が似ており、カイコに作らせることができれば、糸を吐くときにそのまま繊維
化できることから、カイコでクモ糸タンパク質を作らせる試みもなされていた。もっとも、これ
までに得られた繊維は非常に弱く紡績機などで機械加工することが困難であった。
そこで独立行政法人農業生物資源研究所は、機械加工にも耐えられる実用的なクモ糸タンパク質
をカイコに作らせて利用することを目的として、実際のシルク生産に用いられるカイコ品種にク
モの縦糸遺伝子を導入し、強くて切れにくいクモ糸の性質と、カイコ本来の光沢や柔らかさを合
わせもつ新しいシルク(クモ糸シルク)を生産することに成功した。細くても強く切れにくいク
モの縦糸を含んだクモ糸シルクは、通常のカイコのシルクの 1.5倍の切れにくさを持ち、鋼鉄の
約20倍の切れにくさを持つといわれる米国のアメリカジョロウグモの縦糸に匹敵するほど。また、
クモ糸シルクは、操糸から紡織までの全ての工程で、従来のシルクと同様の機械を用いて加工で
きる、クモ糸シルク百%のベストやスカーフを制作することに成功している。
上図のごとく、クモは獲物を捉えるベトベトした横糸と、巣を支える強靭な縦糸という別々の糸
を作る。このクモの縦糸を構成する遺伝子の配列は同定されており、このタンパク質だけを大腸
菌などの別種の細胞に発現させることが可能になる。(1)まず、この蜘蛛の縦糸タンパク質と
カイコのフィブロインタンパク質を融合させたタンパク質を設計。(2)次に、この新規融合タン
パク質を良質な絹糸を作り出すC515という品種に導入。(3)遺伝子を導入したカイコ (C515)
は、元々持っているカイコ糸タンパク質と融合タンパク質を両方作り出す。このためクモ糸タン
パク質の含有量は糸全体に対して0.37~0.61% (重量比)にとなる。
ところで、養蚕の歴史は非常に古く、5千~6千年前に中国の黄河や揚子江流域で野生のクワコ
を家畜化始まり、養蚕技術が日本に伝わったのは紀元前200年前、それから現在まで養蚕は続いて
いるが、同上研究所の遺伝子組換えカイコ研究開発ユニットではこれまでに、世界で初めて開発
したカイコの遺伝子組換え技術を活用して、基礎から応用まで幅広い研究開発を進めてきた。6
年前には、緑色蛍光タンパク質(GFP)によって光るシルクを作ることに成功している。
慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科の舘ススム教授らは、複数の人間が同時に触れられる裸
眼3Dディスプレーシステム「ハプトミラージュ」を開発。立体映像に直接触ったり、立体画を描い
て共有できる。裸眼投影のため、立体映像を見ながら隣の人と話しやすい。指先を検出して指で立体
画を描いたりジェスチャーを認識して立体像を動かすなどの操作も可能。立体像に触っている位置を
共有できるため、心臓を映し出して血管の施術ポイントを指したり、新車などの製品を映してデザイ
ンの変更を描くこともできる。今後、触り心地が分かる触覚提示機能を付けたり、双方向に触って話
せる裸眼3Dテレビ電話などに発展させる。まずは美術館の展示や業務用ゲーム機械などでの利用を
想定。5年内の実用化を目指すという。またこれで、第4次産業(イメージング-画図像形成-産業)
が着々と形成されている(参考『デジタル革命渦論』)。
【遺伝子組み換え作物論 28】
第7章 バイテク産業の汚れた策略 その2
③ 食品表示に対する妨害キャンペーン
2002年11月にはオレゴン州で、500~600万ドルというこれまでで最高の費用をかけ
たキャンペーンが実施された。「遺伝石組み換え食品の表示を義務化する住民投票]に対して、バ
イテク企業のロビー団体が活動を展開して否決に持ちこんだのである。このキャンペーンには、モ
ンサント杜だけでも150万ドルを拠出した。事前の世論調査によれば、オレゴン州では約60%
の人々が法案に賛成していた回全国的な調査でもハハ%の米国人が表示の義務化に賛成していた。
しかし、住民投票を提案した人々の活動資金がわずか五五〇〇ドルだったのに対して、バイテク
企業は巨額の資金を投じて非民主的な手段に訴え、住民投票を敗北させたのである。ロビー団体の
主要な手口は、誤った情報を流して人々を不安にさせることだった。第三者機関の調査によれば、
「表示が義務化されても、遺伝子組み換え原料の管理や表示に必要なコストは、一人あたり10ド
ル程度で済む」とのことだった。ところが、ロビー団体は、「表示をすればその管理のために食品
の価格が大幅に上糾し、一人あたり年閲550ドルもの負担増になる」という情報を流したのであ
る。
広告事業に関わるポール・ホームズは、「バイテク業界が食品の長示に反対すれば、消費者は
バイテク産業は何かを隠している」という印象をもつようになる。そのようなことはすべきでない」
と批判する。
しかし、バイテク企業のキャンペーンは、政治の中枢に対しても行なわれた。食品医薬品局(F
DA)は、オレゴン州の知事に対しても、住民投票の成立に強く反対する文書を送りつけたのであ
る。それに対抗して、1998年に訴訟を起こしたスティーブン・ドルカー弁護士も、オレゴン州
知事に手紙を送り、「遺伝子組み換え作物を承認した食品医薬品局の文言には、その安全性に関し
て不正確で嘘の情報が何カ所も記述されている」ことを指摘した。
このように、米国で遺伝で組み換え食品の表示が義務化されていないということは、消費者に遺
伝子組み換え食品を食べない」という選択肢を与えないことであり、驚くほど井民主的な状況にあ
る。著名な分子生物学者ジョン・フェイガン博士も次のように批判する。
「食品に表示されなければ、遺伝子組み換え食品が新たな疾病を起こしても、その原因を科学者が
突き止めることは非常に困難である」
英国ローウェット研究所の著名な主任研究員スーザン・バーダックも同様の指摘をする。
「" 米国人はすでに長年、遺伝子組み換え食品を食べてきたが、何の問題も起こっていな”とバ
イテク企業は主張する。しかし、食品表示がないのにどうして問題を確認できるだろう。もしも問
題が起きれば、バイテク企業が訴えられることになる。だからこそ彼らは表示に反対しているのだ」
NGO「コンシューマーーズ・インターナショナル(CI)」の事務局長ジュリアン・エドワー
ズも強く批判する。
「バイテク企業の主張はまったく矛盾している。彼らが特許料を要求する時には。遺伝子組み換
え作物は従来のものとはまったく毀なる゛と主張しておきながら、食品表示については。”従来の
食 品とまったく同等のものである”と主張しているのだ」
④ 偽装されたデモ行進
「バイテク企業のロビー団体が実施する策略には際限がない。人々に墟を信じこませるためには、
世界で最も貧しい人々をも利用する。遺伝子組み換え作物の素晴らしさをアピールするための道具
として、一般市民を装ったり、貧しい人々も利用する。二つの例を紹介しよう。
「地球サミット」での。"農民" デモ
2002年には南アフリカのヨハネスブルクで、「地球サミット」が開催された。貧しい人々、
農地から強制退去させられた人々、あるいは土地を持たない農民たちなど二万人が抗議に集まり、
世界中のマスコミが報道した。ところがその一方では、「遺伝子組み換え作物と自由貿易に”賛成
"する」数百人の農民のデモがあった。彼らは貧しさゆえに、多くのNGOが主張する環境政策に
反対しているのだと、誰もが思った。推進派のロビー団体「バイオテクノロジー産業機構(BIO
)」の代表ヴァル・ギディングズも、「このデモこそ、途上国で遺伝子組み換え作物が広まる大き
な転換点になる」とうれしそうに語った。確かにデモに参加した「農民」たちは、「有機農業がイ
ンドで飢餓を引き起こしている]と訴え、遺伝子組み換え作物の必要性をアピールしていた。
しかし、事実は大きく異なっていた。いつものことだが、欧米の新聞社は何の疑問も抱かず調査
もせずに農民たちのデモを報道したが、彼らが伝えない真実があったのだ。それは以ドの点てある。
・集会を組織した人物は、ワシントンとロンドンで蝸いていた。ワシントンにある事務所は、巨
大企業のための強力なロビー団体「競争企業協会(CEI)」と同じ住所にあり、米国企業か
ら 数回カドルを受け取っていた。ダウ・ケミカル社もその一つだった。
・マスコミに向けてプレスリリースを行なった「ケンダ・オコンスキー」という人物は米国の水
材業者の娘であり、「競争企業協会(CEI)」など、数団体の極右的なNGOで仕事をして
いた。しかも、彼女の役割は、市民を装った抗議活動を組織して、企業のためのロビー活動を
支援することだった。
・「自分の現状を語った貧しい農民」と報道された人物は、それまで十年以上、インドでモンサ
ント社の宣伝活動に積極的に関わっていた。彼は、「農民組合連合会(FFA)」など、営利
目的の大組織のためにロビー活動を行なう右翼の政治家だった。しかも、彼自身は一度も農業
経験がなかった。
・「農民」と呼ばれた人々の大部分は英語を話せず、デモの組織者から渡されたTシャツに書か
れていた環境保護運動に反対するメッセージを読むこともできなかった。実際には、彼らは露
店商人であり、「営業の自由」を訴えるデモに参加していると思っていたのである。デモの組
識者が彼らに渡したチラシにも、バイオテクノロジーという言葉は書かれていなかった。
・「五つの大陸から貧しい農民が集結した」と報道されたが、そもそも言サドル以下しか稼げな
いはすの彼らが、どうやって南アフリカまで飛行機で来かのだろうか。
NGO「GMウオッチ」の創設者ジョナサン・マシユーはこうした手口を批判して次のように語
る。
「バイテク企業のロビー団体は、人の生死に関わる問題についても情報操作する。その手口は本
当に恥知らずだ。真実はどこにあるのか、正確に判断することが必要だ。第三世界の農民や人々が、
本当は何を望んでいるのか、本当の科学者や市民が何を発言しているのかを見分けることが重要な
のである」
ニューヨークの遺伝子組み換え"賛成"デモ
1999年にこ。ニューヨーク・タイムズ」紙は次のように報じた。
「食品医薬品局がワシントンで。遺伝子組み換えに関する公聴会・を開催し、遺伝子組み換え作
物に反対する人々が抗議活動を行なった。ところがその際、。バイテク技術が子どもたちの命を款
う。バイテク技術が仕事を増やすと訴えるプラカードを掲げたアフリカ系米国人が集まり、抗議活
動を妨害する事件が起きた]
ところが、この報道もまた真実とは異なっていた。後に「ニューヨーク・タイムズ」紙自身が調
査したところによれば、この事件には、モンサント社の広報を担当する大手広告会社「バーソン・
マーステラ社」が関わっていた。同社は、あるバプティスト教会に金を渡して、遺伝子組み換え作
物に賛成の教徒や労働組合員、老人たちを貧困地域から集めてバスに乗せ、会場に連れてきたの
だった。
それにしても、こうした策略を企む人々が、もっと社会的に意義ある分野で創造性を発揮したら、
どんなに素晴らしいことだろう。彼らはこんな悪だくみを行ないながら、夜もゆっくりと寝られる
のだろうか。そう思わずにはいられない現実である。
⑤ インターネットを使った攻撃
遺伝子組み換えに反対する科学者や運動家を攻撃する重要な手段として、インターネットがある。
パーソナルコンピュータのメーカー、フアル社]の最高経営責任者マイケルーデルも、奇妙な発言
をしたことがある。「インターネットがテーブルの上にある武器たと想像してみよう。あなたがや
らなくても、コンピュータで誰かを殺せるかもしれない」
ジョージ・モンビオが「ガーディアンに組(2005年5月29日に寄稿した記事では次のよう
に指摘している。
「バイテク企業は、遺伝子組み換えに関する議論について密かに影響を与えるため、ここ数年で
何百回も広告会社を活用してきた。モンサント社は、インターネットを使って批判者を中傷したり、
一流の科学者を攻撃するキャンペーンを行ない、いやがらせをくり返している」
こうした活動を中心的に拒っているのが、ワシントンにあるモンサント社の広告会社「ビビング
ス・グループ」である。同社は、ウェブサイトを用いて市民を装った活動を通して、環境保護運動
を批判するキャンペーンを展関してき加。彼らが組織した団体の一つ「食品農業研究センター(C
FAR)」は、インターネット上で活動している団体だが、科学的な嘘や歪曲、つくり話を駆使し
て、「モンサント社に対する批判は”暴力的なテロ行為”である」と人々に思いこませようとして
きた。
とくに、2002年に南部アフリカで飢餓が発生して緊急援助が実施され、それと同時期に南ア
フリカで「地球サミット」が開催された際には、モンサント社と「アグバイオ・ワールド財団」は
積極的にインターネットを利用した。たとえば、2002年9月には、インド・モンサント社のホ
ームページに、「緑の殺人音と偽りの科学」と題した論文のリンクが貼られた。この論文は、「地
球サミット」を紹介しながら、「遺伝子組み換え食品に反対する縁の原理主義者たちは、今、飢餓
に苦しむアフリカの人々を殺している。今後は、インドでも同様の事態が起こるだろう」と主張し
た。ちなみに、この「緑の殺人者」という表現は、「アグバイオ・ワールド財団」のプラカシュ会
長が好んで使う言葉であり、財団の姿勢がよくあらわれている。
さらに、翌10月に、モンサント社がEメールで配信したニュースレターには「”脅迫じみた運
動家の活動によってアフリカが飢餓に陥る”と研究者が批判」と題した記事が掲載された。しかし
実際には、この記事において「研究者」が批判した「運動家」とは、ザンビア国の農業学校の職員
とカトリック系の神学者だったのである。当時、食糧難に苦しむ南部アフリカのザンビア政府は、
米国から提供された遺伝子組み換えトウモロコシは危険だとして受け取りを拒否した。この事件を、
「アグバイオ・ワールド財団」のプラカシュ会長たち「研究者」が批判したことを伝えた記事だっ
たのである。
さらに同時期に、「アグバイオ・ワールド財団」は、「遺伝子組み換え食品の食糧援助を拒否し
たため、インド南東部のオリッサ州で数千人が死亡した模様」というプレスリリースをEメールで
配信した。しかし実際には、この死亡者はサイクロンが原因だった。そして、このEメールを発信
したのは、ベルギーにあるモンサント社だったことが判明している。
リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』
この項つづく
やったね!圭!ベスト4入りは、わたし(たち)アジアの念願でもあるが、これは少々、入れ込み過
ぎだろうね。
昨日は午後から所用で母親の件で実弟の事務所まで車を走らせたが、疲れもあり、朝から虚血性心疾
患のような状態に陥る。口にしたくないが<老化の進行>だろうと思いつつ、精神安定剤を服用する。