極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

百万人の「退陣の歌」

2016年11月14日 | デジタル革命渦論

 

 

             貧者が富者を嫉み、富者が貧者を怖れることは、永久に絶えないだろう。
             愛の福音というようなことは、それと無関係である。

                            ギュスターヴ・フローベール 『ジョルジュ・サンド書簡』    

                                                     
                                                      Gustave Flaubert
                                                  Dec. 12, 1821 - May 8, 1880

 

     



【塗るだけで製作できる省エネデバイス】


● 有機両極性半導体回路で低消費電力化を実現

今月8日、理化学研究所の能研究グループは、有機両極性半導体を用いたデジタル回路デバイスの基
板に
アルキル処理を施すことで、流れるキャリアの種類(電子、正孔)を制御し、消費電力を大幅に
低減する手法
を開発したことを発表する。

これまで、有機半導体は、材料の溶液を塗布することにより、容易に、かつ低エネルギーなプロセス
で半導体層を形成できる
。さらに、インクジェットや輪転機など既存の印刷プロセスを適用すること
で大面積化も可能、製作コストも無機半導体に比べ低いが、デジタル回路の製作には、正孔伝導型・
電子伝導型の2種類の有機半導体を用意し、それぞれの塗り分けをしなければならず、印刷による回
路製作は容易に実現できなかった。一方、両極性半導体は、正孔、電子の両方のキャリアを利用でき
るため、1つの材料でデジタル回路を製作可能で、有機半導体と両極性半導体の両方の特性を持つ有
機両極性半導体を用いれば、単一の材料を塗布するだけでデジタル回路を製作できる。

ならば、両極性半導体で製作すればと考えるのは当然としても、両極性半導体は、電子と正孔が無差

別に流れ消費電力が大きくなる、という致命的な欠点があるため敬遠されてきた。一方、2015年
に、基板上に製作した単分子膜が有機半導体中に電荷層を形成し、有機半導体の特性に影響を与える
ことが報告されてきた。研究チームは、両極性半導体のキャリアの種類を制御する方法として、この
電荷層に着目。マイナスに帯電したフッ化アルキルの単分子膜によって有機両極性半導体中にプラス
の電荷層を発生させ、電子キャリアを捕集し、正孔のみを伝導させることに成功。また、プラスに帯
電したアミノアルキル[3]の単分子膜を用いることで、電子のみを伝導させることも可能。このキャリ
ア制御法により、有機両極性半導体を用いながらも低消費電力なデジタル回路を実現する。

 【手法と成果】

15年、マックスプランク研究所のハーゲン・クラークらは、基板上に製作した単分子膜が有機半導
体中に電荷層を形成し、有機半導体の特性に影響を与えることを報告。そこで研究チームは、有機両
極性半導体のキャリアの種類を制御する方法として、この電荷層に着目する。有機両極性半導体デバ
イスのシリコン基板上に、マイナスに帯電したフッ化アルキルの単分子膜を製作したところ、半導体
中にプラスの電荷層が発生し、電子(マイナスのキャリア)が電荷層に捕集され動けなくなることが
分かった。

結果として、有機両極性半導体中を流れるキャリアを正孔(プラスのキャリア)のみに限定すること
に成功(図2b)。さらに、プラスに帯電したアミノアルキルの単分子膜を用いた場合にはマイナスの
電荷層が発生し、半導体中のキャリアが電子のみに限定されることを発見する(図2c)。このよ
うに
して、有機両極性半導体中のキャリア種を、正孔・電子のどちらかのみに制御が可能となる。

さらに、上記の手法を組み合わせ、基本的なデジタル回路であるCMOSインバータを製作し(図3a)、
有機両極性半導体を用いたデバイスでもキャリア種を適切に制御することで、消費電力を大幅に低減
できることを実証しました(図3b、図3c)。


有機両極性半導体は「単一の材料を塗るだけで複雑な回路を実現できる」という魅力的な性質が認め
られて
いながらも、消費電力が大きいというデメリットによってその応用は現実的ではないとみなさ
れていた。この研
究では、この有機両極性半導体のデメリットを解消し、十分な低消費電力化が可能
であることを実証。今後、
有機両極性半導体を用いた、次世代に最適な軽量、柔軟、低コスト、省エ
ネルギーなエレクトロデバイスの実
現できそうだ。これは面白い。

※ Masahiro Nakano, Itaru Osaka, Kazuo Takimiya, "Control of major carriers in ambipolar polymer semicon-
   ductor by self-assembled monolayers", Advanced Materials, doi: 10.1002/adma.201602893

 Nov. 10, 2016

【表面を制するもの世界を製す:熱界面材料の熱抵抗】

● カーボンナノチューブとゴムで熱界面材料

10日、日本ゼオンは、スーパーグロース(SG)法を用いたカーボンナノチューブゴムを複合した
シート系熱界面材料(TIMの開発に成功したと発表した。現行のグリース系TIMより優れた熱抵
抗値、高い作業性と信頼性を実現し、サーバやパワーデバイスの課題とされている熱問題を解決する
部材での利用が期待されるという。
現在、主要顧客にサンプルを提供している段階。日本ゼオンの荒
川公平は、「ゼオン化成の茨城工場敷地内に数億円を投じて建設中のパイロットプラントが今年12
月5日に完成し、17年4月末までに設備立ち上げと安定生産技術を確立する見込み。

世界初 スーパーグロース・カーボンナノチューブの量産工場が稼働

カーボンナノチューブは91年に飯島澄男が発見後、軽量で高い熱伝導性、強度、電気伝導性といっ
た優れた特性を持つことから、技術開発が進められてきた。産業技術総合研究所(産総研)の畠賢治
SG法による単層CNTSGCNT)を04
年に発見。その後、量産に向けた技術開発が進められ、15
年11月に日本ゼオンがSGCNTの量産工場を立ち上げ本格的な生産が始まる。

SGCNTを用いたTIMの開発は、産総研と単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)が開発した事例
がこれまでにある。ゴムに炭素繊維と少量のSGCNTを添加したTIMで、面方向には高い熱伝導率を達
成したが、厚み方向の熱伝導率が低く実用化が難しかった。そう、日本ゼオンは、新エネルギー・産
業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて、独自の製造技術を用いて、SGCNTとフッ素系のゴム、
黒鉛を組み合わせた。これにより、厚み方向に高い熱伝導率を持ち、硬度が低く密着するTIMの開発
に成功する。

助成前の厚み方向熱伝導率は2W/m・K、アスカーC硬度は88だったのに対して、厚み方向熱伝導率38
W/m・K
アスカーC硬度59と2つの性能を両立できたという。荒川は、「ゴムより柔らかく、鉄より
熱伝導性が良いシート系に熱界面材料」と語る。日本ゼオンによると、サーバやパワーデバイスに求
められる熱抵抗値は0.2℃/W以下である。今回開発したTIMは、0.2℃/W以下を実現するために求めら
れる厚み方向熱伝導率とアスカーC硬度を達成。0.1MPa以下の低圧力下でも良好な密着性を実現し、
グリース系TIM0.10℃/Wより優れた0.05℃/W以下という熱抵抗を実現したとしている。ちなみに、
現在あるシート系のTIM95%以上は、0.4℃/W以上である。

また、グリース系TIMは塗りにくく液垂れもあるため作業性に課題があったが、今回日本ゼオンが発
表したのは、シート系TIMのため「貼るだけ」で済む。
TIMの価格見通しについて日本ゼオンは、現
行のTIMで性能が良い製品の価格は1平方メートル
当たり8~10万円。いよいよ『黒の革命』が世
界を接見する。

     

【我が家の焚書顛末記 19:中国思想 管子】      

   重  令    ――法令尊重――

 --------------------------------------------------------------------------------------

 「古代氏族社会」の名残りをとどめる春秋時代、血縁による政治がまだ幅をきかしていた。これ
 にたいし、
管子は、"近代化"を主張する。それは法令尊重であり、秩序整然とした基礎づくりで
 あった。
 

 こ と ば ---------------------------------------------------------------------

 「およそ国に君たるの重器は、令より重きはなし。令重きときはすなわち君尊し」
 「国は虚しく重からず、兵は虚しく勝たず、民は虚しく用いられず、令は虚しく行なわれず」
 「地大に国富み、人おおく衆く兵彊きは、これ覇王の本なり。然るに危亡と隣をなすは、天道の
 数、人心の変なり」

 「およそ先王、国を治ひるの器三つあり。三器とは何ぞや。曰く、号令なり、斧鉞なり、禄賞な
 り」

 --------------------------------------------------------------------------------------

  「令重きときは下恐る」 

  一国の君主にとって、法令ほど宦視すべきものはない。法令を重視すれば、君主の尊厳は保た

 れる。
 君主の尊厳が保たれろことは、つまり国の安泰を意味する。反対に法令を軽視すれば、君主の尊
 厳は
そこなわれ、したがって国は危殆にひんする。
  したがって、国の安泰をはかるには、法令を厳格に施行して、君主の尊厳を保つことである。
 法令
を厳格に施行するには、刑罰をきびしくすることだ。
  刑罰をきびしくし、法令を厳格に施行すれば、役人は処分をおそれてしごとに励む。刑荊をゆ
 るめ、
法令の施行をおこたれば、それをよいことに役人はしごとを怠ける。
  明君は、政治の根本が法令にあることを認識している。そのため、つぎの者は死刑に処す。
  一、法令の条文をかってにけずりとった者。
  ー、法令の条文をかってにつけ足した者。
  一、法令どおりに実行しなかった音。
  一、法令の強行を遅らせた者。
  一、法令に従わなかった者。
  明君はなによりも法令を重視するから、この五者にたいしては、決して容赦しない。したがっ
 て
「君主が法令を宗祖すれば、臣下は処分をおそれてしごとに励む」のである。

 
--------------------------------------------------------------------------------------

  しかし、君志みずから法令を定めても、暗君のもとでは、実際の副斑柘が臣下の手ににぎられ
 る。
臣下が、君主の定めようとする法令に口をはさんで、内容を左右できるとすれば、臣下は自
 分に都合
のよいように中身を変えるだろう。これこそ臣下の思うツボである。
  つまり、君主が法令を定めても、臣下が自分の意見で中身を左右できるなら、それは君主の権
 力を
臣下にあたえたのと同じである。これでは、国の安泰は望めない。
  法令の施行を遅らせた者が罪に問われないとすれば、それは、人民に「主君を敬うな」と教え
 るよ
うなものである。
  法令どおりに実行して罪に問われる、あるいは逆に、法令どおりに実行しなくても罪に問われ
 ない
とすれば、それは、人民に「主君のいうことを聞くな」と教えるのとかわらない。
  法令を定めても、匝下がかってそれを左右できるなら、それは、君主の権力を臣下にあたえた
 の
と同じである。
  法令の条文をかってにつけ足したり、けずり取ったりしても罪に閥われないとすれば、それは、
 人
民に涵の遊を敢えるようなものである。その結果はどうなるか。
  一、賢い人間は、私利をはかる。
  二、悪事をたくらむ人間は、徒党を組む。
  三、欲の深い人間は、私財をふやすことにふける。 
  四、追従をいとわぬ人間は高官におもねり、金持にとりいる。
  五、虚栄心の強い人間は、虚名を得ようとする。
  法令を公布しても、右にあげた五つの悪がはびこるとすれば、国の安泰は望めない。
  食糧が不足しているにもかかわらず、農業の発展をはからずに商工業を伸びるにまかせるとす
 れば人民は飢えに苦しむ。こんなときに彫物師が彫物のでき映えを自慢し合うのは、固にたいす
 る叛逆である。
  布が不足し、衣服にこと欠くとすれば、人民は寒さに屎える。こんなときに女が美しい装いを
 自慢し合うのは、国にたいする叛逆である。
  大国が軍隊を撞していながら、敵の不意討ちを防ぎきれないとすれば、その国は危殆にひんす
 る。こんなときに将兵が勤務のないことを自慢し合うのは、国にたいする叛逆である。
  爵禄を各人の能力と功絹に応じて与えるのでなければ、軍紀を守り忠節をつくす軍人はいなく
 なる。こんなときに臣下が外国と通じ、賄賂をとり、自己の栄利栄達をはかるのは.国にたいす
 る叛逆である。

     近代化略路線 春秋戦国時代は、集中合併の歴史である。春秋初期に百以上あった諸国
    は春秋末期に四十国となり、やがて七国となり、ついに、秦によって統一される。時代の
    発展方向に即応するものが生き残り、古い体制にしがみつくものは滅ぴていく。春秋時代
    の古い体制とは、君主の血縁的支配である。管子は、君主や重臣の血縁関係による支配体
    制を打破し、国を"近代化"ようとしだ。当時における。近代化’は、つまり制度化であり、
        法令化であったわけだ。今日のわれわれが、この章を読むと、いかにもガリガリの法治主
        であるかのように思いがちだが、以上のような時代的背景を考えると、そこに。前向き
        の姿勢をくみとることができろ。

 --------------------------------------------------------------------------------------

 凡君國之重器莫重於令,令重則君尊;君尊則國安。令輕則君卑,君卑則國危;故安國在乎尊君,
 尊君在乎行令,行令在乎嚴罰;罰嚴令行,則百吏皆恐;罰不嚴,令不行,則百吏皆喜。故明君察
 於治民之本,本莫要於令,故曰:「虧令者死,益令者死,不行令者死,留令者死,不從令者死」,
 五者死而無赦,惟令是視;故曰:「令重而下恐」。
 

 為上者不明,令出雖自上,而論可與不可者在下。夫倍上令以為威,則行恣於己以為私,百吏奚不
 喜之有。且夫令出雖自上,而論可與不可者在下,是威下繫於民也。威下繫於民,而求上之毋危,
 不可得也。令出而留者無罪,則是教民不敬也。令出而不行者毋罪,行之者有罪,是皆教民不聽也。
 令出而論可與不可者在官,是威下分也。益損者毋罪,則是教民邪途也。如此,則巧佞之人,將以
 此成私為交,比周之人,將以此阿黨取與。貪利之人,將以此收貨聚財。懦弱之人,將以此阿貴事
 富。便辟伐矜之人,將以此買譽成名。故令一出,示民邪途五衢,而求上之毋危,下之毋亂,不可
 得也。

 菽粟不足,末生不禁,民必有飢餓之色,而工以雕文刻鏤相稚也,謂之逆。布帛不足,衣服毋度,
 民必有凍寒之傷,而女以美衣錦繡綦組相稚也,謂之逆。萬乘藏兵之國,卒不能野戰應敵,社稷必
 有危亡之患,而士以毋分役相稚也謂之逆。爵人不論能,祿人不論功,則士無為行制死節。而群臣
 必通外請謁,取權道,行事便辟,以貴富為榮華以相稚也,謂之逆。  

 --------------------------------------------------------------------------------------

                                      この項つづく

   ● 今夜の一枚

100만 촛불의 함성,퇴진  百万のキャンドルの歓声、退陣 퇴진(退陣)を口々に『퇴진(退陣)
の歌』合唱しキャンドルを手に大統領退陣のデモをする韓国民衆(上写真ダブクリ)。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする