ここは休息がいる...か。
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん 」
【男子厨房に立ちて環境リスクを考える:アサリ偽装篇】
熊本産アサリ出荷停止、異例の“即断”の背景
8日から大量の外国産輸入アサリが「熊本県産」に偽装されている問
題県産アサリの出荷が停止される。蒲島郁夫知事が流通を止めるとい
う異例の対応に踏み切った背景には「水俣病の教訓」があった。生活
の根幹を支える「食」。行政の初期対応の遅れで被害拡大を招いた
“失態”を繰り返さないため即断したという(➲熊本産アサリ出荷
停止、異例の“即断”の背景にあった教訓、西日本新聞、2022.2.7)。
また、これに先だつ、3日には、テレビ朝日系では「熊本産アサリ”
偽装は『かなり前から…』業者が告白」との情報が公開、水俣病の公
式確認は1956年。当時、国は「全ての魚介が有毒化しているとは認め
られない」として、漁獲禁止の措置を見送った。蒲島氏も度々「魚を
取ることを禁止しておけば多くの方が苦しまなかった」などと語る。
大量の外国産アサリが「熊本県産」に偽装されていた問題の背景の一
つに、海の異変がある。最盛期には全国のアサリの4割を占める一大
産地だった有明海・八代海に、当時の面影はなく、2020年の漁獲量は
わずか21トン。「本当は違法行為なんてしたくない」。偽装根絶で、
再び生活の糧を失う漁協や漁民は、声にならない悲鳴を上げる。アサ
リの産地偽装はたびたび発覚。国や県が指導し、警察が摘発しても根
絶には至らなかった。中国や韓国から輸入された生鮮アサリは一定期
間、蓄養され海で蓄養するには漁業権が必要で、漁民でつくる組合が
請け負う。組合側は漁協に「漁場代」を支払う。ここまでは合法だ。
蓄養されたアサリは業者が市場に卸す。この養殖場と市場をつなぐ業
者の段階で産地がすり替わる。これが消費者の信頼を裏切る違法行為
に当たる。食品表示法には、原産国表示を原則とする一方、2カ所以
上で成育した場合は期間が長い方を原産地と表示できるルールがある。
県北部の漁協の男性組合長は「アサリの生育期間は1年半。ここで1
年蓄養すれば県産を名乗れるが、そのペースでは利益が出ない」と明
かす。蒲島郁夫知事は、この表示ルールそのものの見直しを国に要請
する。偽装横行の背景には、貝の成育環境の悪化も影響している。県
によると、県内のアサリの漁獲量の最盛期は1977年の6万5732トン。だ
が、近年のピークは2011年の1922トン。19年は339トン、20年には21ト
ンに下落した。県内の組合長は「業界は変わるべき時に、変われなか
った」と悔やむ。別の漁業関係者は問い掛ける。「気候変動の大雨で
大量の淡水やヘドロが流れ込み、大型公共工事や事業所が海を汚す。
私たちからアサリを奪った責任はないのか」と話す。
図 シジミ類ミトコンドリアDNA分析(ヤマトシジミ)
畜養場と市場をつなぐブローカーとは
ここで、畜養と市場をつなぐ業者(ブローカー)とはにどんなもの少
し考えてみよう。介在する独立した第三者として他人間の商行為の媒
介を業とする者で、仲立人ともよばれ、特定の商人に従属していない
点で代理商と異なる。自由に市場を往来し、買い手のために売り手を
探し、売り手のために買い手を探すところに特色がある。媒介が成立
したときには、ブローカレージ(brokerage)とよばれる仲立手数料を受
け取る。法律上は売り手と買い手の双方が受益者であり、均分して仲
立手数料を負担することにしているが、実際には、売却もしくは購入
を先に依頼した側が取引金額の一定歩合を支払うのが普通。
しかし、元請け、下請け、孫請け、それぞれの企業に管理部門が存
在しており、その分だけ人件費が余計にかかる。各企業は利益を上げ
る必要があることから、再委託されるたびに業務の付加価値は減って
いく。例えば、システム開発を(1人のシステムエンジニアが1カ月で
行う作業量の対価として)150万円で顧客が発注しても、元請け企業が
40万円を中抜きすれば下請け企業には110万円しか渡らない。さらに
下請け企業が30万円を中抜きすると孫請け企業は80万円で仕事を受け
ることになるため、最終的には単価が半分近くになってしまう。
流通でも似たような現象が起きている。日本の流通コストは諸外国
よりも高いとされるが、その理由は販売会社の数が多過ぎ、多くのム
ダが発生しているからである。中抜きを排除するなど産業構造をシン
プルにするだけで賃金は大幅に上昇し、余剰となった労働力が他の生
産に従事すれば、GDPの絶対値も増える。
図 中国産アサリの迅速判別法
こうした産業の合理化は失業を増やしたり、中小企業の経営を圧迫
するとの見方があるがそうではない。確かにアメリカは日本よりも人
口当たりの企業数が少ないが、アメリカと同レベルの生産性を誇るド
イツは日本並みの企業数で、中小企業の比率も高い。だがドイツの中
小企業の利益率は大企業と同等か、むしろ高くなっており、中小企業
=低付加価値にはなっていない。日本の問題は付加価値の低い中小企
業が多いことであり、その原因の1つがこうした産業構造にあると考
えられる。政府の事業はもちろんのこと、民間でも再委託の慣習は可
能な限り排除していく必要があると指摘されている(➲日本人を貧
しくする商習慣「中抜き」がヤバい訳、ニューズウィーク日本版、2020.
8.4)。
このように違法はヤバイが、儲けも多い。だから「シロアリ」のご
とく業者が集まり、「産地偽装犯罪」が蔓延り、根本的な問題解決の
本筋から外れていくのだろう。
書籍:大豆と人間の歴史
著者:クリスティン・デュボワ
【内容概説】
人類が初めて手にした戦略作物・大豆。その始まりは、日本が支配し
た満州大豆帝国だった。サラダ油から工業用インク、肥料・飼料、食
品・産業素材として広く使われ、南北アメリカからアフリカまで、世
界中で膨大な量が栽培・取引される大豆。大豆が人間社会に投げかけ
る光と影、グローバル・ビジネスと社会・環境被害の実態をあますと
ころなく描く。
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序章 隠された宝
第1節 大豆と競争
南米と大豆
大豆は飼料、食物、土壌改良としての役割の他に、南米では農村開発
と輸出収入の収要な原動力であると同時に、問題の多い作物だ。おか
しな話だと思うかもしれないが、そのダイナミズムに拍車をかけだの
は、ペルーのカタクチイワシの大量死たった。1973年から翌年にかけ
て、太平洋の温かい海水の帯、エル・ニーニョが、例年なら深い海か
らくる冷たい海流の循環を弱めた。カタクチイワシは海面に近いとこ
ろで上昇流の豊富な栄養分を頼りに生息している。この年、カタクチ
イワシは生命の危機に瀕することになったのだ。ペルーの漁師たちは
捕獲量の調整をせず、残った健康な魚をほとんど捕りつくしてしまっ
た。天候と漁民によって荒らされ、漁業は崩壊し、10年間漁獲量がも
とどおりになることはなかった。
ペルーのカタクチイワシは1960年代から1973年まで、粉砕されて動
物の飼料として売られ、利益を上げていた。突然魚粉が国際市場から
消えると、ニクソン大統領の政権では不安が高まった。当局者はカタ
クチイワシに代わって大豆粉への需要が間違いなく拡大するだろうと
推測した。大豆価格の急騰はアメリカの農家に利益をもたらすだろう
が、食肉生産者にはダメージとなるだろうという。食肉産業は収益が
下がり、鶏、豚、牛の価格を上げることで、実質的には消費者に上が
った分のコストを払わせることになるだろう。物価はすでに跳ね上が
っていた。食肉価格の上昇はそれに拍車をかけるだろう。と、そう考
えられた。政府が号えた解決策は、当面の間大豆の輸出を禁止するこ
とだった。
完全な禁止は数日だけのことで、その後輸出を削減するという制度
に取って代わられた。そしてそれも数か月継続されただけで、通常の
貿易にもどった。しかし、国外の大豆価格を暴騰させるには十分な期
間だったし、それまで飼料としても人間の食料としてもアメリカ産大
豆に深く依存していたある国には大きな衝撃を与えた。その国という
のは日本である。
日本人は将来有望な国をすぐに見つけだし、自ら手をかけて未熟な
大豆栽培を育てていこうとした。二度と単一の供給国に依存すること
がないようにと胆に銘じて、ブラジルの農家を地道に支援し、温帯性
の南東部から広大な赤道にも近い中西部へと大豆栽培を拡大していっ
た。21年間にわたって、日本は病虫害管理の研究と、中西部の土壌と
日照時間に適合する大豆品種の開発に資金援助した。また能力の高い
農家の経営拡大を支援した。日本からの投資は、ブラジル政府、そし
てその国民の投資とともに成果を上げた。40年間でブラジルは生産を
15倍に仲ばし、大豆市場での目立だない存在から、アメリカと首位
を争う丸吉見輸出国へと成長を遂げたのである。
他の南米諸国も時流に遅れまいと一斉に勣いた。1973年の大豆価格
の急騰だけでなく、1970年代にはEU諸国で飼料用の火吋消費が急増
したことに勢いを得て、アルゼンチンが大豆栽培への投資を始めた。
産業力強化を目指す中央政府は、主に輸出のために火吹をげ搾するこ
とに多額の奨励金を提供した。その結果、わずか10年の間に匪辱の大
豆油貿易をリードjるまてになり、1997年には大豆粉でも最大輸出国
となった。このような修々しい成功を目の当たりにし、パラグアイと
ボリビアがあとに続いた。新規咎人の国々には大豆がさらに明るい末
末を約敗していると思われた。ところが不運にも、大豆生産に付随し
て南米のすべての国で深刻な環境問題が発生したのだ。特に在来生物
の生息地の成功である。
いずれにしても、21世紀に大豆は世界人口の大半の運命に関わる
ことになるだろう。大豆は肉を生産するために、そしておそらく安価
なたんぱく質源として肉の代替品としても車要な役割を果たすだろう。
小規模農家で、環境面で持続可能であり、地産地消であること、そし
て発展遂上国であるという4つの条件のもとで栽培されるなら、大豆
は8億1,500万人を苦しめる慢性的な栄養不足の問題を軽減する有効な
一手となるに違いない。栄養不足の人々を款うために大豆の可能性を
最大限に活用することは、それほど単純な話ではないだろう。
第2節 さまざまな工業製品への利用
今世紀において大豆の工業製品への利用は多岐にわたっている。ア
メリカではすでに梱包材業界や新聞が大豆油から製造された大豆イン
キを推奨している。
1980年代にアメリカで発明された大豆インキは今や韓国や日本、台
湾で人気上昇中だ。大豆油は世界中でさまざまなものに利用されてい
る。隙間をふさぐコーキング剤、消毒剤、粉塵防止剤、絶縁材、エポ
キシ樹脂、殺菌剤、リノリウムの裏張り、抗腐食性、静電気防止剤、
ペンキ、可塑剤、保護コーティング、パテ、石鹸、シャンプー、清掃
剤、ビニール、防水セメントや壁板だ。金属鋳造の過程にも使用され
ている。
大豆のレシチンはモータの潤滑油の沈段物防止剤として利用された
り、ガソリンの中にガム状の粘着物や、さまざまな製品の中にかたま
りを発生させないように溶剤として使用されている。レシチンは化粧
品や石油掘削用の液体を乳化させる。皮革を柔軟化する。製紙、アル
コールやイーストを製造する際の消泡剤にもなる。
大豆たんぱく質は多種多様の工業製品にも利用されている。接着剤、
抗生物質、屋根や浄化水塗装、皮革の代替品、ペンキ、パーティクル
ボードや合板、プラスチック、ポリエステルなどの繊維類だ。使い捨
ての食品容器に使われる生分解性のプラスチックも大豆たんぱく質か
ら形成され、ごみの埋め立て地の負荷を削減している。それは、他の
プラスチックよりも少ないエネルギーで製造できるため、使い捨て用
品を作るためのエネルギーを削減できる。
技術者たちは大豆の利川法を次々に増やしている。最近の革新新的
技術としては、大豆油の油圧作勅諭をエレベーターに利用したり----
これは他の油圧を利用した製品よりも環境に優しい----、大豆油から製造し
た低反発クッションがフォード車に任用されている。大豆繊維を利用したお
むつの研究も進歩を続けている。イギリスの研究チームは大豆から作る消
傷被覆材を開発中だ。
多様な衣料製品の製造でも、大豆は石油製品に取って代わりつつある。
燃料として直接使用する八‥大豆油は特に魅力的だ。そうしたバイオディー
ゼル燃料は、現在はまだ通常の燃料よりも高価だ。しかし従来の燃料より
クリーンで、肺や心臓に有害な粒子状物質の排出も少ない。農業によって
生産されるため、バイオディーゼル燃料は再生可能である。燃焼時にも旧
来のディーゼル燃料よりにおいも良い。大豆由来のバイオディーゼル燃料
は現代のライフスタイルに必要なエネルギーの大部分を供給するまでには
至らないだろうが、それでも世界全体がよりクリーンなエネルギーに関心を
寄せるにつれて重要性は高まっている。
このように、大豆は可能性に満ちている。
序章では、あまり注目されていない大豆の重要性について、わずかに表
面をなぞったにすぎない。のちほど、諸大陸での大豆生産の隆盛、第二次
世界大戦中の大豆の利用、家畜の「工場式畜産経営」、生態学および栄養
学上の影響力、大豆の遺伝子組み換え、世界貿易上の役割、そして燃料
への転換について、順次見ていく。
この項つづく
✔ ここは、コロナ・パンダミック、次世代大豆増産に対する日本政府の「環
境リスク戦略」は大変だ。「技術は一流、経営は二流、政治は三流」と蔑称
されぬようにと叱咤しておこう。
【ポストエネルギー革命序論 403: アフターコロナ時代 213】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
✺ スペインのPV駆動ヒートポンプの短い回収期間
スペインの全国設置業者連盟は、屋上太陽光発電とヒートポンプを結合
することの利点に関する技術論文を発表。太陽光発電ヒートポンプの
回収期間は2年から5年の範囲で。
✺グリッドスケールの溶融水酸化物による太陽光発電の貯蔵
2月8日、デンマークの溶融塩原子炉メーカーであるSeaborgTe-
chno-logies社は、もともと原子力発電用に開発された技術を、
風力および太陽光用の大規模な貯蔵ソリューションに変えた。集
光型太陽光発電所向けに開発された2タンクの溶融塩貯蔵設計に
基づいて、再生可能エネルギーを使用して電気ヒーターで塩を加
熱する貯蔵システムを開発したことを公表。
✺ 太陽光発電プラント監視用ロボット犬
スペインの再生可能エネルギー会社であるアクシオナ社は、チリ北部
のアタカマ砂漠で稼働している実用規模の太陽光発電所の性能を監視
するためにロボット犬を使用している。スポットと呼ばれるこのロボ
ットは、ドローンの代わりに使用されていると同社は説明する。ドロ
ーンの最大ペイロードは約5kg、スポットは約15 kgを運べると、アク
シオナのロボット工学および人工知能グループの責任者であるカルロ
スクレスポは述べる。また、ドローンはスポットよりも速く動けるが、
ロボット犬は最大90分間動作できるのに対し、ドローンのバッテリー
は通常最大30分間の自律動作しかできない。このデバイスには、プロ
グラムされたルートに従ってパネルの列の間を移動するときに、さま
ざまなPVプラントコンポーネントのステータスに関するサーモグラフ
ィレポートを生成するサーマルビジョンシステムが組み込まれている。
ロボット開発者(米国を拠点とするボストンダイナミクス)によると、
ロボットの脚の大きな利点は、地形に依存しないと話す。
✔ しかし、ロボット犬とドローンの連携システムと両者専用のワイ
ヤレス給電システムの付加も構想すべきだろうと考える。
【今夜の注目技術:リチウム硫黄電池製造技術 】
❏ 高性能リチウム硫黄電池用の効率的なポリサルファイド媒介
層としてのプラズマ工学有機染料; Plasma-engineered organic dyes as
efficient polysulfide-mediating layers for high performance lithium-sulfur
batteries, Chemical Engineering Journal DOI:10.1016/j.cej.2021.132679
【要点】
1.ミクロポーラスN、Sドープ炭素材料は、プラズマ処理によってメ
チレンブルーから調製され。
2.PPMB中間層は、多硫化リチウムのシャトルを効果的に軽減し、レ
ドックス反応速度を促進しました。
3.PPMB中間層を備えたLi-Sバッテリーは、改善されたレート能力と
サイクリング安定性を示した。
【概要】
リチウム硫黄(Li-S)電池は、理論容量とエネルギー密度が高く、コ
スト効率が高いため、有望なエネルギー貯蔵技術として大きな注目を
集めている。これらの利点にもかかわらず、Li-S電池は、可溶性リチ
ウム多硫化物のシャトル挙動と硫黄の電気的絶縁性の問題に依然とし
て直面しており、電気化学的性能を改善するための導電性ナノ材料の
開発に向けてかなりの努力を動機付けている。この研究では、塩基性
染料化合物であるメチレンブルーをベースにしたミクロポーラスN、S
デュアルドープカーボン材料を、プラズマ工学と炭化プロセスにより
調製。実験的および理論的調査により、Li-SバッテリーにPPMB中間層
と呼ばれるカーボンコーティングされたセパレーターを導入すると、
セルの分極が減少し、リチウムポリサルファイドのシャトル動作が効
果的に緩和され、1,329 mAhg-1の高い比容量が得られることが判明。
0.3Cで100サイクル後、669 mAhg-1の比容量を維持した。この作業は、
Li-S電池でのこのヘテロ原子ドープ炭素材料の潜在的な用途、および
エネルギー貯蔵デバイスでの色素化合物由来の炭素材料の実行可能性
を強調している。
⛨ 塩野義の飲み薬 今春にも実用化か -
▶2022.1.6 Yahoo!ニュース
塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルスの軽症者向け飲み薬
について、政府は最終段階の治験完了前の実用化を可能とする
「条件付き早期承認制度」の適用の検討に入った。現在、最終
段階の治験が約2000人の患者参加を目標に進められているが、
政府は数百人規模の中間解析で顕著な有効性が確認されること
などを条件に適用することを想定。治療薬は買い上げる方向で
調整しており、条件が整えば今春中にも実用化される可能性が
ある。
⛨ 世界のコロナ累計感染者4億人突破、1か月で1億人増加
Wikipedia
Mette Frederiksen (1977.11.19) メッテ・フレデリクセン首相
⛨ デンマークでコロナの規制を全て撤廃 国民が落ち着いている訳
▶2022.2.3 buzzFeed Japan Medical
2月1日、北欧・デンマークでは新型コロナウイルスが「社会的に重大
な病気ではない」という位置づけに変わり、マスクの着用や、レスト
ランや映画館などに入る際などに必要だった「コロナパス」提示の義
務付けといった規制がすべて撤廃。デンマークで最初にオミクロンが
確認されたのは昨年12月3日。この時は1日の新規感染者数は18件だっ
たのだが、2日後には183件となり、そこからは指数関数的に増加して
いった。 今年1月には、ロックダウンをした昨年の冬の10倍以上の水
準に達し、この原稿を書いている2月1日の段階でも、1日の新規感染
者数が4万5000人超となっている。これは、日本の人口に換算すると、
1日の新規感染者数が100万人近い感覚だ。その特徴はつぎのようにな
る。
1.デンマークでは昨年の春から、「コロナパス」というデジタルの
ツールを使い、検査で陰性の人とワクチン接種済みの人とで社会活動
を再開する、という方針を取ってきた。大量の検査をさばくための大
規模な検査態勢を敷いているが、デンマークは検査数の多さとともに、
ゲノム解析にも優れている。
2.このため、オミクロンの中でも、従来主流だったBA.1とBA.2がい
つ、どのような割合で入れ替わったのか、その実態がデータによって
詳細に示された。(下図参照)
図 従来主流だったBA.1は青、BA.2は薄緑
この図を見ると、12月半ばから検知されはじめたBA.2が、1月の第2週
目にはBA.1の数を逆転し、さらにその翌週には65.37%に達したことが
わかる。BA.1とBA.2を合わせて、デンマークではいま、コロナ感染の
99%以上がオミクロン。
--------------------------------------------------------------
2.一方でBA.2は、ワクチン接種をしている人に対しては、BA.1と同
じように症状がマイルドで済むこともわかってきた。この特性が、規
制の全撤廃につながった理由の1つ。
3.集中治療室に入る人の昨年との比較。同時期で比較した場合、昨
年の数(オレンジ)よりも今年(青)の方が少なく、さらに減少に転
じたことがわかる。つまり、新規感染者数は昨年の10倍以上であるに
もかかわらず、重症化する人は減少しており、この2つの数字には相
関がなくなった(デカップリング)ことが分かってきた。 下具参照)
☈
集中治療室に入院した人数を昨年と比較グラフ
☈
4.65歳以上の94%が3回目接種済みというコロナワクチンの3回目(
ブースター)接種を進めたことによる「高い免疫」である。
5.実は、デンマーク政府が新型コロナウイルスを「社会的に重大な
病気ではない」という位置付けて規制を解除するのは、今回で2回目。
1回目に規制解除となったのは昨年9月。ところが、気温が下がり始
めてからコロナの感染者が増え始め、さらにはオミクロンが席巻した
ため、行動規制が次々と復活。また、規制をすべて撤廃したといって
も、特にコロナ感染により重症化しやすい人を守るため、病院や高齢
者施設などでは引き続きマスクやコロナパスを使う。
2月3日のフレデリクセン首相も新たな変異株が登場する可能性に触
れ、この先1年の見通しを、次の3のフェーズに分けて示している。
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フェーズ1:現在。特に脆弱な層に対して、ワクチンの4回目のワクチ
ン接種を進める
フェーズ2:春から秋の始まり。フェスティバルなどイベントを通常
通り行う
フェーズ3:秋から冬。新たな変異株が登場する可能性があり、場合に
よっては全ての人がワクチンの4回目を接種することにな
っている。
--------------------------------------------------------------
これは新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来感じていた
ことだが、デンマーク政府は、これから先何が起きるかの見通しを伝
え、それに対して対策を取っていることを国民に示していると好評。
✔ 何かと学べる事例である。参考になる。
【3つの最新医療及び生命科学技術】
⛨ 剛性で強い歯のエナメル質の人工類似物、ついに登場
ラメットペアの根がアンモニウムの十分な条件と不十分な条件にさら
されたとき、アンモニウムの取り込みは十分な側の根で代償的に増強
されました。
▶2022.2.3 EurekAlert!
【概要】
製造が非常に難しかったものが開発された。研究者らが歯のエナメル
質――生体模倣材料の設計には理想的なモデル ―― の人工類似物を
発表。これは、組成と構造が生物の歯の石灰化した硬い外層のものと
ほぼ同じになるように作られている。北京航空航天大の研究グループ
によると、それは並外れた機械的性質を有していると言う。天然歯の
エナメル質――歯の薄い外層――は人体の中で最も硬い生物材料で、
わずか数ミリという薄さにもかかわらず、その剛性・硬度・粘弾性・
強度・靱性が高いことはよく知られており、損傷抵抗もずば抜けてい
る。歯のエナメル質の性質の他では見られないような組み合わせはそ
の階層構造の産物であり、その複雑な構造は大部分が、非晶質マグネ
シウム置換リン酸カルシウムから成る非晶質粒間相(AIP)で相互接
続されたハイドロキシアパタイトナノワイヤーでできている。しかし、
この種の階層組織を機能拡張可能な非生物合成材料で正確に再現する
のは依然として難しい。今回、多重のスケールで不可欠な階層構造を
持つ人工エナメル質を提示。その人工歯エナメル質(ATE)は、ポリ
ビニルアルコール存在下で二方向凍結を用いて並べられたAIPコーティ
ングハイドロキシアパタイトナノワイヤーを使って作られた。著者
らによると、これによってこの人工構造物に天然エナメル質のような
原子、ナノおよびマイクロスケールの構造を持たせることができたと
言う。一連のテストで、そのATEナノ複合材料が高い剛性、硬度、強
度、粘弾性、靱性を併せ持ち、エナメル質とこれまでに作られた材料
両者の特性を上回っていることを実証した。
At Last: New Synthetic Tooth Enamel Is Harder and Stronger Than the Real
Thing ,TOPICS:American Association for the Advancement of Scien-
eBiochemistryDentistryMaterials SciencePopular ,American Associ-
tion for the Advancement of Science (AAAS) February 6, 2022
植物の地下での情報のやりとりを発見
2月4日、名古屋大学などの研究グループは、地下茎で繁殖するイネ
科植物が、地下茎を介した情報のやりとりにより、不均一な窒素栄養
環境に巧みに応答して成長する仕組みを新たに発見した。植物の中に
は種子による繁殖ではなく、竹や芝のように地下茎の分枝・伸長によ
り繁殖する種が存在。このような植物の群落では、成長する幾本もの
株(ラメットは、地下の地下茎で繋がっているが、このラメット間の
地下茎を介した情報のやりとりの実体は不詳であった。
【概要】
ワイルドライスであるOryzalongistaminataは、根茎によって接続され
たラメットからなるネットワーク化されたクローンコロニーを栄養繁
殖させて形成します。水、栄養素、およびその他の分子は根茎を介し
てラメット間で移動できるが、空間的に不均一な窒素の利用可能性に
応じたラメット間の通信はよく理解されていない。各ラメットの根を
異なる条件にさらすことを可能にする分割水耕栽培システムを使用し
て、不均一な窒素の利用可能性に対するラメットペアの応答を研究。
ラメットペアの根がアンモニウムの十分な条件と不十分な条件にさら
されたとき、アンモニウムの取り込みは十分な側の根で代償的に増強
された。
この項つづく
河出書房新社(2021/09発売)
サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
商品コード 9784309228303 NDC分類 345.1 Cコード C0022
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第9章 戦争、借金、インフレ、飢饉、そして所得税
ナポレオン打倒のための課税
ナポレオンとの戦争の際に「イギリスによって」集め
られた一人当たりの税金額は、ヒトラーとの戦争のと
きよりも多かった。
アンドリュー・ランバート、歴史家(2005年)
Andrew McKelvey (Oct 13, 1934 – Nov 27, 2008)
ウイリアム・ビット(小ビット)が政権を掌握したのは1783年で、
この年の税収は約1300万ポンドだった。国の借金は2億3,400万ポンド、
その利息は800万ポンドにのぼった。
その十年後フランスとに戦争に突入すると、闘いの規模はだんだん
と拡大していった。小ビットは理想上、フランスの革命運動には反対
の立場だった。暴動がイギリスにまで波及することを恐れ、そうはさ
せまいと心に決めていた。彼は、ヨーロッパ諸国の革命政府との戦い
を支援するため、大陸に資金を投入した。これは「聖ゲオルギウスの
黄金の騎兵隊」と呼ばれた。イギリスから送ったギニー金貨に聖ゲオ
ルギウスの肖像が刻まれていたからである。
1793年から1798年までの五年間における小ピット政権の支出のほと
んどは、借入金を財源にしていた。1798年、国の借金はすでに4億
1,300万ポンドに達し、年間の支払利息は2倍以上になっていた。イ
ギリスに融資した人びとのなかには、のちに世界一の大富豪になるネ
イサン・メイヤー・ロスチャイルドも含まれていた。
事態は差し追っていた。
イングランド銀行は、初めのうちは利息を四半期ごとに金銀で支払
っていたが、毎年の返済額が増えたため、手形を用いるようになった。
やがて、額面金額の少ない手形をたくさん発行するようになった。
トマス・ペインによれば、イングランド銀行は「実際のところ、一ポ
ンドにつき半クラウン(八分の一ポンド〕の利息を支払いきれなかっ
た……。そして、この弱々しい小枝には、資金調達という重荷がそっ
くりぶら下がっていた」。貴金属は通貨としての額面価格よりも地金
としての価値のほうが高くなっており、貨幣を溶かして塊にし、地金
として大陸に持っていく人びとは多かった。金銀の蓄えが不足してき
たことを認識していたイングランド銀行は、手形の返済に金銀を用い
ずにすむよう、新たな法律を制定してほしいと小ピットに訴えた。小
ピットはこれを受け入れた。通貨の交換性が失われたイギリスは、事
実上、金本校訓を廃削したのだった。結果、戦争が進むにつれてイン
フレも進み、物価上昇率は『英国市民の人生において先例を見なかっ
たほどだ」たった。パン、食肉、ビールの価格は50%以上、乳製品は
75%、塩はなんと270%の上昇となった。家賃は76%上昇した。だが、
賃金はおおむね変わりがなかった。つまり、一般市民が貨幣の価値低
下のつけを払わされたわけだった。1801年から1802年にかけての凶作
もあいまってインフレが加速すると、やがて暴動が発生するようにな
った。
負債、それに通貨発行を背景にする財政の逼迫に対して打った手が、
1799年の所得税導入だった。
海車は反乱を起こし、陸軍は飢えに苦しんでいた。小ピットは「戦争
遂行のための援助金および献金」を必要としていた。
当時のイギリス政府については、「なんであれ目についた物品があ
れば、それに税金をかける」などといわれていた。四輪馬車、四輪荷
馬車、二幅荷馬車、大型荷車に税金がかけられていた。男性使用人に
税金がかけられていた。レンガ、ガラス、窓、壁紙、馬車馬、乗馬馬、
競走馬、それに狩猟にも税金がかけられていた。1795年、小ピットは
髪粉に税金をかけた。1796年、犬の飼い土に税金をかけた。1797年、
置時計と腕時計に税金をかけた。1798年、馬車、印章、印章つき指輪
などについている紋章、あるいは身につけている紋章にも税金をかけた。
さらには、トリプル・アセスメントという税を創設した。それによ
り、国民はそれまでの財産の評価額から算出された税額の三倍から五
倍を支払うことになった。それまでの税額20ポンドだった場合60ポン
ドを支払うわけである。だがもう一つ選択肢があって、年間所得を申
告し、その10%を納付することもできた。この税で、年間 1,000万ポ
ンドの税収が見込まれていた。だが実際はそれより40%少なかった。
小ビットは「恥ずべき税逃れ」「けしからぬ不正」を嘆いたが、実は
この税の設計にこそ問題があった。
税をうまく機能させるには----源泉徴収
1802年に講和条約が結ばれると、小ピットのあと首相に就任したヘ
ンリー・アディントンは所得税を廃眼しか。ところが、その一年後に
またもフランスと敵対関係におちいると、まもなく所得税を再導人し
た。だが、アディントンはその根本的な部分のいくつかを改正した。
ビットの所得税にあったおもな難点は、国民の私生活に踏みこまざ
るを得ないところだった。アディントンはこの税制の全体を一新した
が、そのおもな目的は二つあった。立ち入った訓告を避けること、そ
して不正行為を防ぐことである。彼は所得を5つのシェジュールと呼
ばれる種別に分類した。この分類は、今日もある程度存続している。
アディントンは優れた新機軸を打ち出した。源泉徴収である。ピッ
トの税制では、納税者は税金を支払う責任を負っていた。だが、アデ
ィントンの改正により、所得発生時に税金を納めることが可能になっ
た。銀行は、公債保打者に利子を支払うとき、利子にかかる税金分を
あらかじめ差し引いた。また、企業の株主に配当金を支払うときにも、
配当金にかかる税金分を差し引いてからそうした。公的機関から支払
われる俸給と年金も、同じように源泉徴収された----この源泉徴収方
式は二十世紀後半、より広い雇用に導入されるようになり、今日では
匪界の大半の国で採用されている。
アディントンが再導入した所得税は、国民の不評を買いはしたもの
の、ピットが失敗したところをうまく修正していた。税率は最大5%
(当初)たったが、最大10%たったピットのときと比較して、税収は
50%増㈲した。新しい制度がずっとうまく賎能したことを考えれば、
さまざまな意味で、現代の所得税の創始者と呼ぶべきなのはビットで
ではなくアディントンたろう.>ただし、方針を定めるうえで参考にな
ったという点で、ビットの失敗はは必要たったのかもしれない。ワー
テロの戟いの翌年にあたる1816年、すでにフランスとの戦争が終結し
ていたころに、所得税についての嘆願はおよそ379件にのぼっていた。
財務大臣にそのまま継続したいと考えていたが、庶民院はそうではな
く、再度の廃止が決議されていた----このとき「雷鳴のような拍手」
が「数分続いた」という所得税導入によるプライバシー侵害が国民の
不評をかっていたことから、すべての記録は細かく切り刻まれ、煮溶
かされた その一部は財務大臣の手で、公衆の面前で燃やされた。
しかし、それらの写しはすでにに王室収入徴収官に提出され、理由
は今後も明らかにならないたろうが、破棄されずに保管されていたも
っと重要なことに、所得税が政府の収入を増やす有効な手段灯である
ことは証明済みとなった。政府はこういう経験をけっして忘れていな
いのである。
この項つづく
風蕭々と碧い時代