極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

わが衣手は露にぬれつつ

2018年03月12日 | 環境工学システム論

 

      
                                        

    兵家 "戦略・戦術"の元祖 孫子 

  歴史的にも思想的にも、兵法のこ原流とぃうべきもの。二千四、五百年の生命をもつ。十三巻。

 まずは、「始計」。『孫子』冒頭のこの篇は総論ともいうべき「始計」とは計の基本。戦争は
 軽々しく始めるべきでないことから説きおこし、戦力の五要素、彼我の戦力を比較する基準、
 黄道の本質にふれる。

 ※ 戦力の基本「兵は国の大事なり」――戦争は、人民の生死、国家の存亡にかかわる重大事
   である。したがって戦争を始めるに当たっては、慎重細心な検討を加える必要がある。戦
   争に勝つためには、基本となる条件が五つある。すなわち「道」と「天」と「地」と「将」
   と「法」の五つである。「道」とは、人民の意志と為政者の意志とを一致させるものであ
   る。これがあってこそ、人民は、いかなる危険をも恐れず君主と生死をともにするのだ。
   「天」とは、天候、季節、時期などの時間的条件を指し、「地」とは、距離、険しさ、広
   さ、高さなどの地理的条件を指す。「将」とは、知謀、信義、仁愛、勇気、威厳などの徳
   性を具えるべきものである。「法」とは、軍隊の編成、規律、装備をととのえることであ
   る。この五つの基本的条件は、どれ一つとして見過ごすことのできないものである。将た
   るものは、この基本的条件をよく認識してこそ、勝利を収めることができる。これを認識
   しなければ、勝利はおぼつかない。

   では、これらの条件が充たされているか否かを具体的に判断するには、どうするか。彼我
   双方の優劣を比較し、自国の実力を把握することである。すなわち、次の点を比較すれば
   よい。

    一、彼我の君主は、どちらが「道」-正しい政治理念をもっているか。
    二、将の能力は、どちらが上回っているか。
    三、天の時と地の利は、どちらが有利であるか。
    四、法は、どちらがよく守られているか。
    五、兵士は、どちらが強いか。
    六、部隊の訓練は、どちらがゆきとどいているか。
    七、賞罰は、どちらが厳正に行なわれているか。

   わたしは、この七点を比較して戦争の見通しをつける。わたしの意見を聞きいれ、その見
   通しに従って武力を行使すれば、必ず勝利を収める。したがって、わたしは、軍師として
   留まろう。反対に、わたしの意見を問かず、その見通しに従わないで武力を行使すれば、
   かならず負ける。したがって、わたしは軍師として留まるつもりはない。さて、以上の七
   点を比較した結果、基本的条件においてこちらが有利だったとしよう。次に打つ手は、有
   利な態勢をつくって、基本的条件を補強することである。すなわち、基本的条件は、個々
   の場面に応じて、これに即応するさまざまな現われ方をし、その力を発揮する。

 

    No.168

【ソーラータイル篇:最新熱電併給技術】

● 太陽からエネルギーを取り出す屋根材、熱電併給も可能



建材や太陽電池セルの製造販売を手掛けるエフウエイブは、「スマートエネルギーWeek 2018」(20
18
2月28日~32日、東京ビッグサイト)で、フィルム型太陽電池を一体化した屋根材とこの建材
を使用した熱電併給システムを参考展示(スマートジャパン、2018.03.12)。同社の樹脂屋根材は、
新素材の難燃性高分子合成樹脂を採用し、従来の陶器平板瓦と比較して75%以上の重量を削減しつつ
も、強じんで柔軟である特徴をもつ。また、一般的な建材で用いられる樹脂素材と比較して、防水
性や紫外線による色あせ・割れの発生を防ぐ耐候性を兼ねそろえつ、樹脂素材が持つ高柔軟性を生か
し複雑な形状の屋根にも対応できる高い施工性、デザイン性を確保。この他、この屋根材と、同社が
2014年に富士電機より事業を取得したフィルム型アモルファス太陽電池「FWAVE太陽電池セル」と
の一体成型モジュールを展示。軽量で折り曲げ可能な太陽電池セルと屋根材を組み合わせることで、
屋根材の軽量性を損なうことなく、発電の付加価値を加えている。さらに、参考展示として太陽電池
付き樹脂屋根材と太陽熱収集器、熱交換器などによる屋根からの熱電併給システム「サーマルルーフ
を提案。この樹脂屋根材は現在、工場での量産準備段階にあるとし、まず米国市場に投入した後に日
本市場での販売を判断する。





尚、欧州ではこのような熱電併給の研究開発では先行しているよに見受けられる。ここでの競合は特
許取得段階ではなく「ラスト・ワンマイル」の総合的な企業技術力(Know-how)の優劣になるだろう。

 Via New Atlas

【節水篇:最新節水型食用作育成技術】

 

イリノイ大学なの研究グループは、作物中の単一のタンパク質を過剰発現させる単純な遺伝子調整で
通常収量生産量あたり最大25%の節水せきる品種改良に成功する。これにより干ばつや気候変動に
苦しむ地域で、より多くの食糧栽培ができ、水資源の有効利用できる。Photoshop II Subunit S(PsbS
と呼ばれる特定のタンパク質を増やして、植物が部分的に気孔を閉鎖できることを発見。気孔は、葉
の細かい細孔を開/閉で、二酸化炭素を酸素または酸素に放出させ、光合成過程を調節する。
最初の
仮説は、気孔の開口制限で、植物の蒸散で水分を失うことがなく、水分補給量を節約することにある。
仮説実証試験はタバコで行われ、PsbSの発現増加させることで、気孔の開口率が低下し、光合成によ
る水分排出率が25%向上。
これは過去60年間で作物収量が善したが、1トンの穀物生産に必要な
水量は変わらなかった。世界中の気候変動パターンが不安定で不規則となるなかで、
世界の淡水供給
の90%は農業用。2050年までに食糧生産が70%増産に向かうと予測されている。

 Mar. 6, 2018

タバコ作物の容易な改変と迅速なライフサイクルで、このプロセス開発が成功したが、次の段階は、
水分制限条件をシミュレーョン(模擬)での検証試験。この研究では、植物のPsbSの機能が普遍的な
ため、共通の食用作物への応用展開が見込まれている。


 

     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.17      

     ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『原発廃炉には、政府から会計上のサポートが必要』     

 Jan. 17, 2013

         小宮一慶(こみやかずよし) 株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役

1957年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、アメリカ・ダ
ートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA
取得。帰国後、同行で経営戦略情報システ
ムやM&Aに携わったのち、岡本
アソシエイツ取締役。この間、93年にはUNTAC(国連 カン
ボジア暫定統治
機構)選挙監視員として、総選挙を監視。94年には日本福祉サービス(現在セント
ケア)企画部長を経て、95年に小宮コンサルタンツを設立、現在に至る。著書に『財務諸表を読
む技術わかる技術』(朝日新書/2010)『問題解決の教
科書リーダーのための仕事力 向上講
座』(PHP研究所/ 2011『社長
の教科書』(ダイヤモンド社/2010)など多数。



   原発をなくすために

 鈴木 本日はよろしくお願いします。私たちがこの会議を立ち上げた一つの大きなきっかけな
 のですが、新聞、テレビなどで、いろいろ報道されるなかで、原発がないと電気
が足りなくて
 産業が空洞化してGDPが下がってしまう、ことあるごとに経済界からそ
ういう声が出てきて
 しまうということがあります。私は非常な違和感があるのですが、
小宮さんはいかがですか。

 小宮 正直に言いますとね、3月11日の震災まで、ぼくは原子力発電が日本の電力供給を担
 っていいんじゃないかと思っていたのです。それは、二酸化炭素排出の問題や、それから、ご
 存知のように日本は資源のない国だということがあるからでした。ただ、それには、大前提と
 して原発は安全だということが担保されている必要があるわけですが、3月11日以降、原発
 はしかるべきときに廃炉にするのが日本にとってもかというふうに思うようになってきました。
 あの事故で原発自体が非常に危険だということがわかったからです。これからも自然災害は起
 こりえるだろうし、もう一つはテロの脅威ですね。それと、日本は世界で唯一の被爆国ですか
 ら、そういう点からも新しいエネルギーを模索していくのがいいんじゃないかと私は思うわけ
 です。

 鈴木 私たちは経済人ですので、経済という観点から原発をみますと、一つは安全性に大きな
 疑問があるし、もう一つは原発というシステムにまとわりついている、あまりよわからないお
 金の流れというか、そこがよく見えないという問題があります。

 小宮 原発に絡んだ利権というものが結構あるでしょうし、それで成り立っている地域もある
 というのは事実なんですけれども、そのことについていえば、原発の立地によって成り立って
 いるからといって原発が欲しいわけじゃなくて、雇用だとか地域再生をしたいということで原
 発をおいておられるところが多いと思うんですね。ですから、そういうことを考えれば、私の
 意見としては、そういう地域で原発がなくなってしまうのはたいへんなんですけども、その代
 わりに再生可能エネルギーの発電などで地域雇用を守っていけばいいと思うのです。

 鈴木 いま、再稼働が議論されていますが、本当のところはどうなんでしょうか。
 小宮 正確にいうと、所在地で原発の立地によって経済を成り立たせている人たちは再稼働を
 主張する意見が強いと思いますが、必ずしもすべての人ではないと思います。繰り返しになり
 ますけども、そういう地域の方たちの雇用だとか、地域再生のための手段を守ることは大事だ
 と思います。でも、それが原発でなくてもいいんじゃないかな、と私は思っているんです。

 鈴木 たとえば、現在、原発をとめてもそれで終わらないわけです。庭炉という作業は20年、
 30年と続いていく。仕事があり、雇用があり、ある意味お金がまわっていく。
 小宮 再生可能子不ルギーを起こす発電設備をつくる、同じ場所に、そういうことをしていけ
 ば、雇用は守られるんじゃないか、ということなんです。



 鈴木 これまで原発による電気を使わせてもらってきた以上、私たちにも責任があると思いま
 す。知らん顔で放っておくわけにはいかないので、税金を投じていく必要がありますよね。
 小宮 それに関してもう少し言うと、私の専門の1つが会計なので、電力会社の立場もわかる
 んです。廃炉にすると決めたら、その瞬間に「減損会計」をしないといけない。減損会計とい
 うのは、資産の収益性が低下して想定した投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の
 帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きをいうのですが、電力会社によっては1000
 億円単位での損失が出るわけで、財務基盤が大きく損なわれてしまうわけです。

 これについては、原発自体が国の政策でやってきたので、ある程度、それによって国も恩恵を
 受けてきたのは間違いないわけです。だから、廃炉に関して補助金を電力会社にあげたらいい
 と思うんですよ。なおかつ、その廃炉とともに再生可能エネルギーをつくるための補助金をあ
 げる。すると、帳簿上の減損処理は、所有している資産の簿価が下がった分「評価損」になる
 わけです。その「評価損」に対してキャッシュでお金が入るわけですから、財務基盤がまった
 く傷まないうえに、逆に強くなります。だから、電力会社も廃炉にしても損はしないと思いま
 す。たとえば、1基当たり1000億円あげるとすると、いま、あるのは50基ほどですから、
 5年とか、10年に分けてあげていけばよいわけです。その間、廃炉処理を進めながら再生可能
 エネルギーをつくる手立てを得られる。それを原発のある地域でやれば雇用にもつながります。

       
 鈴木 だけど、いま、被災者への賠償問題や情報隠蔽など、電力会社への不信感みたいなもの
 があって、どうしても電力会社に直接補助金を渡すことに、抵抗があるような気がしますが。
 小宮 電力会社の財務基盤が弱くなること自体、あまりいいことではないと思いますし、私個
 人としては原発がなくなればよいわけで、電力会社そのものがなくなるのを望んでいるわけで
 はないんです。私が考えたのは電力会社もうまくいきながら、地域雇用もでき、エネルギーも
 確保しながら、原発をなくしていく。会計的な立場から、それがいいんじやないかと思うわけ
 です。



  日本全体の経済とエネルギーの関係

 鈴木 少し、話題を変えますが、大企業からすると、とにかく電気が足りないということなん
 ですが、日本全体の経済とエネルギーという観点からするとほんとうにそうなのか、その点ど
 うなのでしょうか。
 小宮 そうですね、優先順位の置き方だと思うんです。電力があることが大前提であるはずな
 のに、議論のまずい点は、原発はいらない、いや必要だという議論しかないということです。
 原発の役割はここまで、ここから先は再生可能エネルギーで置き換える、というふうにどこま
 でにするかという議論がされていない。そういう議論をしていけば、工夫してある程度は節電
 して、それで今度はエコにもつながるわけです。

 それから、もう一つは原発をなくすならなくしてしまう、私個人としては2年間ぐらい安全性
 が高い原発を10基ほど動かしてみて、その間に廃炉の方針を決めて、さっき申し上げたように
 再生可能エネルギーをどれだけつくるとか、そういうことを決めてやればいいと思うのですが、
 動かしたいという人は永久に動かすようなことを言うし、やめさせたい人は、いますぐにやめ
 るようなことを言っていて、落としどころというのが見えてこない。いけないのは、やめるん
 だか、やめないんだかわからないまま、ずるずるいこうとしていること。私としてはちょっと
 許せないところがあります。

 鈴木 電気が足りなくなると日本の産業がどんどん外へ出て行って空洞化してしまうとよくい
 われるのですが、本当のところはどうなんでしょうか。
 小宮 私は「日本の産業の空洞化」論の、現在の一番大きな原因は、「円高」だったと思いま
 すよ。一時韓国のウォンに対して40パーセントも円が上がったのです。それに高齢化の進展や
 高い法人税の問題もあります。



 鈴木 なるほど。
 小宮 日本がどんなに優秀な産業を持っていても、ハイテク産業は、設備投資を行なえばどこ
 でもやれるので、為替レートによっては勝てなくなってしまうわけです。半導体が一部でおか
 しくなったり、液晶事業がやれなくなったりというのは、けっして電力のせいではなくて、円
 高のせいだったと思います。電力が将来的に足りなくなるのではないかということも影響して
 いることは間違いないんですが、それは何とかなると考えられます。

 鈴木 昨日、今日の話じゃないわけですね。
 小宮 もう一つ言うと、大企業でも原発の機器をつくることによって成り立っているメーカー
 もあるわけですが、再生可能子不ルギー関連の機器をつくる会社に変わっていけばいいんじゃ
 ないかなと思います。

 鈴木 原発をつくっているメーカーにも、電力会社にも、別の部門でそういう技術を持ってい
 るというようなことを聞きますしね。
 小宮 そうです。それをきちんと進めることによって、それをまた輸出産業にするわけですよ。
 日本の地熱発電は世界で最先端の技術を持っているのに、売れているのは、ほとんど、日本以
 外の地域という現実があります。風力発電にしたって日本が取り組めば、いまよりもっとでき
 ると思います。太陽光でも同じことがいえます。そういうのを日本の産業の中核にしていく。
 日本は世界に訪れるエコの国ですから、再生可能エネルギーをつくり出す産業で勝負する国に
 すればいいんじゃないかと思います。

 鈴木 どこかで原発を使うのはやめようと決めて腹をくくりさえすれば、大企業もそうでしょ
 うし、われわれのような中小企業も、いろいろな知恵が出るし、いろんな技術革新が可能にな
 るわけですね。

                                                                         この項つづく
 

  

 ● 今夜の一曲

 

   夢ならばどれはどよかったでしょう
   未だにあなたのことを夢にみる
   忘れた物を取りに帰るように
   古びた思い出の埃を払う

   戻らない幸せがあることを
   最後にあなたが教えてくれた
   言えずに隠してた昏い過去も
   あなたがいなさや永遠に昏いまま

   きっともうこれ以上傷つくことなど
   ありはしないとわかっている

   あの日の悲しみさえあの日の苦しみさえ
   そのすべてを愛してたあなたとともに
   胸に残り離れない苦いレモンの匂い
   雨が降り止むまでは帰れない
   今でもあなたはわたしの光

   暗闇であなたの背中をなぞった
   その輪郭を鮮明に覚えている
   受け止めきれないものと出会うたび
   溢れてやまないのは涙だけ

   何をしていたの何を見ていたの
   わたしの知らない横顔で

   どこかであなたが今わたしと同じ様な
   涙にくれ淋しさの中にいるなら
   わたしのことなどどうか忘れてください
   そんなことを心から願うほどに
   今でもあなたはわたしの光

   自分が思うより
   恋をしていたあなたに
   あれから思うように
   息ができない
   あんなに側にいたのに
   まるで嘘みたい
   とても忘れられない
   それだけが確か

   あの日の悲しみさえあの日の苦しみさえ
   そのすべてを愛してたあなたとともに
   胸に残り離れない舌いレモンの匂い
   雨が降り止むまでは帰れない
   切り分けた果実の片方の様に

   今でもあなたはわたしの光

米津 玄師(よねづ けんし;1991年3月10日 - )は、日本のミュージシャン、シンガーソングラ
イター、イラストレーター、ビデオグラファーで、徳島県徳島市出身。身長188cm、O型。所属レ
ーベルはソニー・ミュージックレコーズ。第57回日本レコード大賞にて優秀アルバム賞を受賞。
Lemon」(レモン)は、米津玄師のメジャー8枚目のシングル。2018年3月14日にソニー・ミュ
ージックレコーズからリリースを予定。前作『ピースサイン』から約9か月ぶりのシングルリリ
ースとなる。表題曲「Lemon」は、2018年1月12日から放送開始、TBS系列テレビドラマ『アン
ナチュラル』の主題歌となっている。2017年11月1日から開始したワンマンライブツアー「米津
玄師 2017 TOUR / Fogbound」の、12月14日、神奈川県パシフィコ横浜国立大ホールでの公演内に
おいて、同ドラマへ楽曲提供のことを
また楽曲を制作中であることを公表していた。

 

Via 88th Geneva International Motor Show

【下の句トレッキング:わが衣手は 露にぬれつつ】

 

      秋の田の仮庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ

                              天智天皇 『後撰集』秋中


刈り取られた稲の見張り小屋で、ただひとりで夜を明かしていると、
葺いてある屋根の苫の編み目が粗いので、
私の着物はぐっしょりと夜露で濡れ続けていることよ

Waiting for morning in the lookout shed, I watch over the harvest alone.
The gaps in the weave of the roof are large,
and my kimono, wet from the night mist, never seems to dry.





昼は病みつきの「鴨だしそば」をほぼ毎日頂いている。そして、餅を1、2個、トースターオー
ブンで焼きそばを食べる直前に鉢に入れる。餅はできる限り焼いてよく乾燥させておくとそばと
の絡み緊張感が生じ焼きの香ばしさと七味の香り辛味が絶妙で"オンリーワンワールド"に包まれ
至福のひとときを楽しむ。ここから【iPhon習得記】に入る。今日はインターネット(YAHOO!
JAPAN)に入り、わたしが編集する、ホームページ、ブログ(2件)に接続する。なるほど、綺麗だが、レイ
アウトに工夫がいることに気づく。10年前では考えもしない世界が当たり前のようにヤンジェネを囲い込
み拡散しているのだ!と、感心しきり。都会では若者に「iPhon」
 がないなんて考えられないというわけだ
(井上陽水の「傘がない」の歌が頭の中で同時進行している)。いかなくちゃ、誰かに会いにいかなくちゃ
っつ、てと ・・・・・・。

   

 

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からくれなゐに水くくるとは

2018年03月10日 | 時事書評

 

                

                                 

  ”危険な”思想家 孟子 

 民は政治に従わせるだけでよろしい、知らせる必要はない。原文は「民可使由之、不可侵知之」
 であるが、朱子はこの「使」を「能」と解して、民は政治に従わせることはできるが、知らせ
 ることはむずかしい、という孔子のなげきの言葉だと解している。そうでなければ「聖人之心」
 ではないというのだが、孔子を「聖人」に祭り上げようとする学者の多くはこの朱子の説に従
 っている。

 民を大切にするということは、孔子において、民のためにではない。それは治者のためにであ
 った。民は富国強兵の素材なのである。民の多いことが、国を富ませ強くすることの必要な条
 件だったのである。民を多くするにはどうすればよいか。「用を節して人を愛し、’民を侵う
 に時を以てす」ることである。また、治者が礼を好み義を好み信を好むことである。そうすれ
 ば「君子の徳は風」であり「小人の徳は草」であるから、風に草のなびくように「四方の民そ
 の子を襁保(きょうほし)して至る」、すなわち民は多くなる、というのである。
 孟子の民本思想も、同じく民は富国強兵の大切な素材であるという思想から出て、それを昇華
 させ、民こそが国家の主体であると説いたものである。

   思想の命運

 孟子は民本主義を主張した。誰のために、といえば、孔子が民を愛せよといった場合と同じく、
 天子諸侯のためにであって、人民のためにではない。すなわち、孟子の説くところは民本主義
 ではあるけれども、民権主義ではないのである。――将(は)た君子あり、将た野人あり。君
 子な ければ野人を治むるなく、野人なければ君子を養うなし。(滕文公篇)
 君子とは治者、野人とは野耕をする者、すなわち民である。ここでは明らかに「君子なければ
 野人を冶ひるなし」と言っている。孔子の場合の治者階級と被治者階級とかわるところはない。
 では、なにゆえに「民を貴しとなす」というのか。「野人なければ君子を養うなし」だからで
 ある。民本主義がもっぱら治者のためのものであることはここに明らかである。

 つまり孟子の民本主義には、体制変革の思想はないのである。治者階級と被治者階級という明
 確な区別の中で治者階級にむかって民のための政治をしなさいと説いているのが「民を貴しと
 なす」なのである。それが孟子のいう王道なのである。
 
 『史記』の列伝にいう――孟帽は鄭の人なり。業を子息の門人に受く道既に通じ、斉の宝王に
 游事す。宝玉、用いることあたわず。梁にゆく。梁の恵王、言うところを果さず、則も見て以
 為(おも)えらく、迂遠にして事情に闊しと。この時に当り、秦は商君(法家の商鞅)を用い
 て、国を富まし兵を強くし、楚・魏は呉起(兵家)を用いて、戦い勝って、敵を弱め、斉の威
 王・宜王は孫子・田忌(兵家)を用いて、諸侯東面して斉に朝す。天下まさに合従連衡に勉め、
 攻伐を以て賢となす。而も孟徊はすなわち唐虞(宛・舜)三代(夏・殷・周)の徳を述ぶ。是
 を以て如く所のもの合わず。退いて万章の徒と詩書を序し、仲尼 の意を述べて、孟子七篇を
 作る――覇道に対して王道を主張したが、孟子の理想が諸侯にいれられなかったことは、法治
 に対して徳治を主張した孔子の理想が諸侯にいれられなかったのと軌を一にする。理想は、か
 くあるべき現実であって、思想としては成り立っても、現実に適用されないのは当惑であろう。
 しかもなおそれを主張するところに思想がある。それが今日なお『孟子』のある所以に他なら
 ない。

   狂なる者と似而非君子

 『論語』に――子いわく、郷原(きょうげん)は徳の賊なり。(陽貨篇)という言葉ある。ま
 た――子いわく、中行を得てこれと与にせずんば、必ずや狂狷(きょうけん:いちずに理想に
 走り、自分の意思をまげないこと)か。狂なる者は 進取す。猾なる者は為さざる所あるなり。
 (子路篇)――子、陳に在りていわく、帰らんか、帰らんか。吾が党の小子は狂簡(きょうか
 ん:志は大きいが、行いがそれに伴わず疎略なこと)なり。斐然(ひぜん)として章を成すも、
 これ を裁する所以を知らず。(公冶長篇)とある。『孟子』の尽心篇には、この『論語』の
 「郷原」と「狂狷」あるいは「狂簡」とが、かなりくわしく解説されている。それは弟子の万
 章との問答という形で語られる。

 郷原とは、似而非君子のことである。彼らは自らは自分を君子であると思い、世間も彼らを君
 子と認めている。それだけに、非君子よりも一層、始末におえない。郷原は今日の言葉でいえ
 ば、官僚御用の知識人代表、あるいは保守的隠健派というところであろう。孔子の道をはばん
 だのは、このような郷原の存在であった。それは孟子の場合も同じであったろう。「退いて万
 章の徒と詩書を序し、仲尼(孔子)の意を述べて、孟子七篇を作」った所以である。孟子に祖
 述された孔子の「郷原と狂狷」は、儒学が官学となるとともに、そのまま埋められてしまうの
 である。後にこれを掘りおこしたのが王陽明である。玉陽明は、自分も南京でくらすようにな
 るまではなお郷原的なところがあった、しかし今や良知だけを信じて、狂に徹しようと言った。
 この狂が陽明学左派に受けつがれて、辛亥革命にまでつながっていったということもできよう。
 清末の譚嗣同(たんしどう)はその『仁学』で、御用儒家を郷原といい、専制君主が郷原を利
 用し郷原は専制 君主に媚びへつらって、二千年来彼らは人民を苦しめてきたのだと論断して
 いる。かくあるべき現実が現実になることはついにないであろう。  

          駒田信二 『私の諸子百家―その10:孟子』(「中国の思想」徳間書店)


孟子を通して読んだのはこの歳ではじめて。とき同じくして中国共産党がハードスターリン主義に
(社会帝国主義)に回帰するかのようにあり、孟子の"二重の全否定性"感じ取り、ここに駒田信二
解説を掲載することでそれを裏付け肉付けフットラアイトを当ててる。孟子は今夜で終わり次回
は『孫子・呉子』へ移る。                    



 Source: Wikipedia


 

        千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは

                         在原業平朝臣) 『古今集』



【雫一滴:からくれなゐに水くくるとは】

昨夜、テレビをみていると映画『ちはやぶる 上の句』が放映されていたので作業しながらみてい
たが、来週も映画『ちはやぶる 下の句』も放映するといので録画することにしたが、何と翌日の
17日(土)には映画『ちはやぶる 結び』が劇場上映されるとか
。ところが、吉永小百合主演の
映画『北の桜守』も上映されるとかで、桜にするか、紅葉にするかで悩むこととなった。明日は東
日本大震災の7年目になるが、「高度消費資本主義社会」を楽しみつつも少し後ろめたさを引きず
る自分を体験する。



● 花粉症対策の新常識「じゃばら」 

インフル花粉症対策に効果がありそうな食材としてじゃばら果皮に含まれるスーパーフラボノイド
のナリルチンが良さそう
というので、早速、ジャムヨーグルトを試してみようかと考え中。今年は
早々と鼻炎に悩まされている。困りますねこの不快感。




     No.167

【蓄電池篇:最新陽子蓄電池技術】  

 May. 9, 2018

● カーボン電極と水で発電する充電式プロトン(陽子)電池登場!

3月2日、メルボルンのRMIT大学の研究者グループは世界初の充電式プロトン電池を開発たこと
を公表。この発明の特徴は、
リチウムの代わりに炭素と水で発電/充電できることにある。安価で
豊富な材料だけで再生エネルギーを電動移動体や家庭用蓄電池、あるいは中規模の電力網に提供で
きる画期的なもの。担当者は
リチウムイオン電池は素晴らしいものだが、最終的には希少で高価な
資源に依存、水素発電
も良いが適切な場所は限られ、コスト高。それにくらべプロトン電池は。
素系材料プロトンを貯蔵、電極材料は豊富で、水から
プロトンをることができる。バッテリ自体は
二酸化炭素排出を発生させずエ
ネルギー蓄電でき、5~10年以内に商用化できるだろうと語る。

 May. 8, 2018

❑関連論文:活性炭電極を用いたプロトン電池の技術的実現可能性
             Technical feasibility of a proton battery with an activated carbon electrode

 どこが違うのか

①炭素電極を有する「プロトン電池」は、技術的に実現可能である
②プロトン電池は、水素を分子状ではなく原子状に貯蔵
貯蔵電極は、酸に浸した活性炭から作製
実験用電池は、充電モードでほぼ1wt%の水素を貯蔵
⑤放電モードでは、0.8wt%の水素が放出され、高い可逆性を示す

【要約】

カーボンベースの電極を用いた小規模な「プロトン電池」の技術的実現可能性が初めて実証された。
陽子電池は、地球温暖化ゼロの温室効果ガス排出に伴って発生する電気エネルギー貯蔵の膨大な需
要に対応の多くの潜在的な1つの再生可能エネルギー源である。本質的には、プロトン電池は、外
部シリンダー内の分子状水素ではなく、原子形態で水素を貯蔵できる一体型固体電極を有する可逆
PEM燃料電池(固体高分子形燃料電)である。したがって、両方のシステムタイプの利点を組み合
わせた、水素燃料電池とバッテリベースのシステムとの間のハイブリッドである。原則として、プ
ロトン電池は、リチウムイオン電池に匹敵する充放電効率をもつ。
実験結果では、フェノール樹脂
および10
重量%PTFEインダから製造された多孔質の活性炭電極を有する小さなプロトン電池(
活性領域5.5cm 2)が、電気分解(電荷)モードでほぼ1重量%の水素を貯蔵することができ、燃料
電池(給電)モードでは0.8wt%の放電で放出する。
重要な設計の革新は、可逆的電池のナフィオ
ン膜との間でプロトン(ヒドロニウムとして)を伝導し、多孔質電極内に少量の液体酸を使用する。
活性炭電極の充電中の水素ガス発生は、約18Vの電圧に達するまで非常に低い。今後の展望とし
て、充放電中の電流密度の増加、複数回のサイクル試験、およびヒドロニウムと炭素表面との反応
への理解深耕。

キーワード:プロトン電池/電気化学的水素貯蔵/活性炭/電気エネルギー貯蔵

doi.org/10.1016/j.ijhydene.2018.01.153
 

   Feb. 28, 2018

 【エネルギータイリング事業篇:最新摩擦帯電発電技術】

● 従来の100倍以上の発電量 靴のインソールで0.6 mW/ステップ

2月28日、谷弘詞関西大学教授らのグループが、従来の百倍以上の発電量を有する摩擦発電機を
開発――ビーコン信号の発信に
よる位置情報やスマートフォンなどのバッテリー充電も可能――た
った1歩でLED10個以上が点灯、靴のインソールで0.6mW/ステップの発電量――しところを公表。

 どこが違うのか

①ゴム、フィルムをベースにした柔軟で軽量な摩擦発電機を開発し靴のインソールに組み込み評価
②摩擦発電機のサイズは50×50×6mm、重量15gで、インソールの踵部と指の付け根部分に組み込む
0.6mW/ステップの発電量で、10個以上のLED点灯やワイヤレス回路の駆動が可能

谷教授らのグループは、ゴム、帯電フィルム、電極からできた柔軟で軽量な摩擦発電機の開発に取
り組んできましたが、このたびゴム表面の粗さを工夫することで発電量を従来品より百倍以上向上
させることに成功。
そこで、靴のインソールに組み込み発電量を評価したところ1歩の着地で0.6m
W
(瞬間的には10mW)の発電が可能なことを確認。この発電量で、10個以上のLED の点灯やワイ
ヤレス回路の駆動が可能であり、環境発電デバイスとしてさまざまな所への応用が期待できる。

の歩行や車、機械の振動などで発電する環境発電は、IoT社会におけるセンサ用電源として注目さ
れているとのこと。同
グループは、摩擦で発生する静電気から発電する摩擦発電機の開発に数年前
から取り組む。開発当初は、歩行時の発電量が0.003mW/ステップと微弱でしたが、帯電フィルム
を保持するゴムの表面粗さを工夫することで、発電量が0.6mW/ステップへ飛躍的に向上することを
確認する。

この摩擦発電機は構造がシンプルでゴムがベースであるため、柔軟かつ低コストであり、さまざま
な応用が考えられます。例えば、靴に組み込めば歩くたびに発電しワイヤレス回路によってビーコ
ン信号を発信し位置を知らせることや、さらに発電量を上げることで蓄電回路と組み合わせてスマ
ートフォンなどのバッテリー充電も可能となる
今後は、更なる構造の改良によって0.1W/ステッ
プの発電を目指す。

 

     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.16      

    ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『3・11以降は、この国のありようを変えるチャンス』     

                              河野太郎 衆議院議員・現外務大臣  

 

自民党所属。1963年神奈川県生まれ。慶臆義塾大学経済学部中退。アメリカ・ジョージタウ
ン大学卒業。アメリカ滞在中、ワシントンで政治活
動にもかかわり、アメリカの大統領選挙に立
候補したアラン・クランスト
ン上院議員の遺財本部の財務部門でボランティアをしたり、リチャ
ード・
シェルビー下院議員の下でインタjンを務めた。帰国後、富士ゼロックスに入社。2年間
のシンガポール勤務などを経て、日本端子に入社。1996
年に衆議院選挙で初当選。核燃料サ
イクルには明確に反対しており「原子
力は経済採算性は合わない≒原子炉の新設はしないという
ことを政治主導
で決めるべき」と語っている。著書に『私が自民党を立て直す』(洋泉社新書/
2010)『原発と日本はこうなる南に向かうべきか、そこに
住み続けるべきか』(講談社/2
011)『「超日本」宣言わが政権構想』
(講談社/2012)、共著に『「原子カムラ」を超
てポスト福島のエネ
ルギー政策』(NHKブックス/2011)などがある。

  原発をとめても仕事はなくならない

 河野 廃炉にするのに30年ぐらいかかりますから、この間は、当然、仕事があります。だから、
 炭鉱を閉めたときに石炭六法をつくって何十年か支援したように原子力なんとか法という法律
 をつくって支援をしたり、廃炉技術を開発すれば、廃炉そのものが地域に雇用を生み出します。
 鈴木 そこのところをはっきりと言ってやれば、原発が立地する地域の人たちのうち100人
 が100人、原発が必要だと思っているわけではないでしょうから、もっと廃炉を前面に立て
 て議論を展開すれば理解の仕方、され方が一変するのでばないでしょう

 河野 そうです、そうです。私が六ケ所村に行ったときも、賛成・反対いろいろとあるなかで、
 「ようやくまとめて決まったのにやめるのか」という不満がありました。ぼくが言ったのは「
 国策でコミットしてくれた地域を犠牲にすることはありません。しかし、国策は変わる可能性
 があります。国策が変わるかどうかは一つの村がとめることはできないはずです。でも、国策
 が変わったとしても、国策にコミットしてくれた地域にした約束は必ず守ります」ということ
 でした。理解してもらえれば、「そうか、わかった」と言ってもらえるんです。だから、再稼
 働すればお金が出るけれども、再稼働しなかったらお金が出ないみたいな伝達をしちゃあダメ
 だというべきです。再稼働するかどうかは国が判断することですから、そこはちゃんとしない
 といけない。

 鈴木 ちょっと荒っぽいかもしれませんが、20年、30年、続くんであれば、その間に、次は何
 で食っていくのか、しっかり考えていくには十分な時間があります。そこのところを政治がき
 ちっと判断すれば……。
 河野 それなのに脅かしてきてしまった。原発ができれば金がくるぞっていうアメと、とめた
 ら食えなくなるぞというムチ、それでコミットしてくれというのだから乱暴極まりない
 鈴木 それから、さっきいった2つ目の国家安全保障上の問題ですが・・・・・・。
 河野 たとえば、それは中国が原発をつくりました、何かあったときに日本から行くといって
 原発に入れるかといったら、事故の処理であっても入れないと思うんですよ。日本がほんとう
 に廃炉の技術を開発すれば、440基ある原発のどこかが廃炉の時期を迎える。そのときに日
 本の技術でちゃんとアドバイスできれば大きなチャンスが生まれてくる。ちゃんとした技術を
 持っていたってロシアと中国がおいそれと圧力容器の中を見てくれなんていうわけないから、
 むしろ、大事なのは自分のところで何か起きたときにきちっと手当てができる、廃炉にするの
 にノウハウがあるということだと思います。

 鈴木 原発は動いている時の危険性だけでなく、現実に使わないと決めれば廃炉の問題に直面
 するわけですから、まったく無視してしまうわけにはいかないですね。むしろ、避けては通れ
 ない重要なテーマだと思います。
 河野 そうですね。まったくその通りです。
 鈴木 だからといって、廃炉の土俵に政治が乗ってくるかというとなかなか難しいところがあ
 ると思いますが、やはり政治が仕事としてきちっと位置づけをして、われわれ国民に投げかけ
 る仕組みをつくれば、世界に先駆けて再生可能エネルギーを担っていく動機づけになると思い
 ますね。安心・安全で自然を大事にして、それでいて経済がまわっていく、そういう地域がた
 くさん連なっているというかたちに持っていけたら、世界に誇れるモデルになると思います。
 そこでまた日本的なノウハウを駆使してチャンスが生まれます。
 河野 それができるんだったら、べつに利権の取り合いをしなくてもいいしね。

 鈴木 ましてや、これからは地球環境を守らなければならない時代です。資源が限られている
 ということもわかっているわけです。そういうなかで日本という国が世界に先駆けて持続可能
 なエネルギー政策で経済をまわしていく。その仕組みというか、知恵を生み出すことが求めら
 れるし、世界から尊敬される国になるチャンスだという気がします。
 河野 そういう意味の尊敬を勝ち取るというのはすごく大事で、これまでの日本はそういうと
 ころにあまり知恵を絞ってこなかったから。経済一本槍でもいけません。

 鈴木 世界から尊敬されるようになれば、日本という国は世界の中でなくてはならない国にな
 れると思います。めぐりめぐっていくと安全保障の問題もクリアできるのではないでしょうか。
 向こうも鉄砲を持っているからこっちも鉄砲を持たないといけない、そういう「カウボーイ的
 安保」はそろそろ卒業したいですね。河野 カウボーイ的安保だと、どうしても大きな鉄砲を
 持っていれば勝つという話に
なっちゃうからね。

 鈴木 そういう意味でも「3∴息をきっかけに問題を提起して、日本をよい方向に変えていく
 チヤンスですよね。
 河野 チヤンスにしなきやいけない。
 鈴木 次の時代の国のあるべき方向を、若い世代の人たちが考えられるような意味のある情報
 も提供していきたいですね。そうしていかないといけないなと思わされるようなことを、この
 間、若い人たちに言われたんです。ここのところ経済はきびしい、ここがふんばりどころだ、
 頑張ってくれ、必ずよくなるから、おじさんたちによくそう言われるんですけれど、よくなっ
 た経済がぼくたちにはイメージできない、そう言われたんです。結局、いまの大学生はバブル
 景気を知りませんし、景気のよいときを経験していないわけです。なおかつ彼らが言うのは、
 「いま、世の中がこんなふうになっちゃってるのは、おじさんたちが頑張ってきた結果でしょ。
 だから、同じことやれと言われたって返事のしようがありませんよ」ということなんです。

 河野 頑張ったらこうなるんなら、頑張らないほうがいいじゃねえかというわけね。
 鈴木 いまの若い人たちはけっしてやる気がないわけでもないし、いい加減なわけでもないし、
 私など学生のころは女の子とクルマぐらいしか興味なかったのに(笑)、いまの若い世代は環
 境問題や社会貢献などに関心が高い。世の中の役に立ちたいという願望は待っています。それ
 をどう後押しするか、そういうことも私たちは考えていかないといけないと思います。

 河野 より考えている世代ですよね。
 鈴木 きびしい時代だからこそ考えていると思うし、だから、頑張ろうと思えるような価値観
 というか、そういうものをつくっていきたいですね。
 河野 変わろうとするのを抑えてしまうのではなくて、変わったら、後押しして支えてあげる。
 鈴木 エネルギーのことが、若い人たちにもチャンスになるように、世代と世代をつなげてい
 く仕組みも考えたいですね。
                                2012年6月11日

                             平塚市の河野太郎事務所にて

                                    この項つづく

  ● 今夜の一曲

アリス『誰もいない』1973年 作詞/作曲 谷村新司

   忘れ去られたベンチの上に

   真赤な夕陽がのびてくる

   黄色く変わったポプラの枝を

   ただ秋風がなでてゆく

   愛の言葉を交わした人も

   うとうと昼寝をしていた人も

   誰もいない誰もいない

   忘れ去られたベンチの上に

   読み棄てられた新聞紙

   ただ何となく読む気もせすに

   見上げた空のいわし雲

   誰かを待っているようで

   流れてゆくのも悲しそう

   誰もいない誰もいない・・・
 

  

 

コメント
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全固体電池革命

2018年03月09日 | ネオコンバーテック

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

         ※ 心は活かして使え:伺かの機会に、ああ、かわいそうだと感じること
              がある。そのときの心を、ふだん平気で見すごしていた事がらにまで
              広めたもの、それが仁である。また、絶対によくないことだ、やるま
              いと決心することがある。そのときの心を、いままで平気で行なって
              きた事がらにまで広めたもの、それが義である。

       たとえば、他人を不幸にしたくないと思う心を拡大するなら、かぎり
       なく大きな仁となる。盗みははたらくまいと思う心を拡大するなら、
       かぎりなく大きな義となる。他人から名を呼び棄てにされたくないと
       いう気持を大切にし、自分にそれだけの実質を育ててゆくならば、行
       なうことすべて義の道に適うのである。

       盗みにもいろいろある。言うべきでないのに言い出すのは、何かを探
       り出す魂胆なのだ。言うべきことを言い出さないのも、やはり沈黙で
       何かを探り出す魂胆なのだ。これらも盗みのたぐいである。



     No.166

【蓄電池篇:最新全固体蓄電池技術】 

再生可能エネルギーこと自然エネルギーの世界的シフトの時代にあって、移動体用と定置用二次
電池の
大容量化の有力候補として、全固体蓄電池による革命がはじまっている。このブログでも
不定期に関連情報とその深掘りを行ってきたが、今夜も最新特許事例を掲載することでわたし(
たち)の(タイムライン上の)立ち位置を確認しておきたい。

周知の通り、
リチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極及び正極の間に挟まれた電解質
とを有し、両極間にリチウムイオンを往復移動させることにより充放電を可能とした蓄電池。リ
チウムイオン二次電池には、従来、電解質として有機電解液が用いられてきたが、有機電解液は
液漏れを生じやすく、また、過充電または過放電により電池内部で短絡が生じ発火するおそれも
あり、信頼性と安全性のさらなる向上が求められている。

このような状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されお
り、全固体二次電池は負極、電解質および正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電
池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になる
とされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすること
ができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べてエネルギー高密度化が可能となるの
で、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。

❑ 特開2018-037230  全固体二次電池用負極シートおよび全固体二次電池の製造方法

【概要】

次世代のリチウムイオン電池として全固体二次電池の開発計画が進められている。❶例えば(下
図、特開2001-102066 参照)、活物質を酸化物ガラスで結着して成る正極と負極との間に酸化
物系無機固体電解質を介在させた発電要素を、グラファイトシートから構成した集電体を介し、
直列に積層/極群させたリチウム電池が、高エネルギー密度で、安全性と信頼性に優れる技術が
公開されて、全固体二次電池の開発の進行とともに、容量密度の向上やサイクル特性の向上等、
全固体二次電池の高性能化に対する要求が高まっており、上記の記載事例は、集電体をグラファ
イトシートの単層で形成することにより、集電体の重量を低く抑え、また電極と集電体との接触
抵抗も低減しているものの、❷グラファイトシートは、高分子フィルムを高温(例えば、2400℃)
で熱処理するため、ヘテロ原子を多く含有し、グラファイト構造とは異なり、リチウムイオンの
吸蔵量(容量密度)が不十分である。❸また、負極活物質がランダムに配置されていることによ
り、活物質の体積変化もランダムに発生し、充放電を繰り返すと、活物質間に間隙が生じ、サイ
クル特性が十分でなく、容量密度の向上およびサイクル特性の向上に対する要求に十全な対応が
困難である。このように
、ヘテロ原子の含有量を特定量以下に抑えたグラファイトシートが、全
固体二次電池において、負極集電体として機能するだけでなく、負極活物質層としても機能する
こと、充放電に伴う体積変化の方向を膜厚方向に規制でき、電池の長寿命化にも寄与する。 



下図のように、全固体二次電池の負極として用いることにより、優れた容量密度およびサイクル
特性を実現できる全固体二次電池用負極シートおよび全固体二次電池を提供にあって、周期律表
第1族また第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)を含有する固体
電解質層を、ヘテロ原子 質量%以下のグラファイトシート(B)上に有する全固体二次電池用
負極シート及び全固体二次電池を提供する。



【符号の説明】

1 負極集電体兼負極活物質層(負極) 2 固体電解質層 3 正極活物質層 4 正極集電体 5 作動
部位 10 全固体二次電池 11 2032型コインケース 12 全固体二次電池用シート 13 イオン伝
導度測定用治具または全固体二次電池

 【表4 電池評価】



【特許請求範囲】

    1. 周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質
      (A)を含有する固体電解質層を、ヘテロ原子1質量%以下のグラファイトシート(
      B)上に有する全固体二次電池用負極シート。
    2. 前記固体電解質層が、分散剤(C)を含む請求項1に記載の全固体二次電池用負極シ
      ート。
    3. 前記分散剤(C)が下記一般式(1)で表される請求項2に記載の全固体二次電池用
      負極シート。 式中、αは環構造を示し、Rは環α構成原子と結合している置換基
      を示し、mは1以上の整数を示す。mが2以上の場合、複数のRは同じでも異なっ
      てもよい。隣接する環α構成原子に結合するR1同士は、互いに結合して環を形成し
      てもよい。
    4. 前記グラファイトシート(B)が複数の孔を有し、真密度(g/cm)>前記無機
      固体電解質(A)が硫化物系無機固体電解質である請求項1~4のいずれか1項に記
      載の全固体二次電池用負極シート。に対する見かけ密度(g/cm3)の割合が60
      ~98%である請求項1~3のいずれか1項に記載の全固体二次電池用負極シート。
    5. 前記無機固体電解質(A)が硫化物系無機固体電解質である請求項1~4のいずれか
      1項に記載の全固体二次電池用負極シート。
    6. 正極活物質層と、請求項1~5のいずれか1項に記載の全固体二次電池用負極シート
      とを具備する全固体二次電池。

❑ 特開2018-037341 全固体電池の製造方法

【概要】

下図のように金属アルコキシドを原料としたLAGP  が含まれる正極層と負極層を備えた全固体電
池の製造方法を提供にあって、一体的な焼結体からなる積層電極体を備えた全固体電池の製造方
法であって、非晶質のLAGPと正極用の電極活物質、および非晶質のLAGPと負極用の電極活物質
を混合した正極材料、および負極材料を作製するステップと、層状の正極材料と負極材料との間
に層状の固体電解質材料を挟持してなる積層体を焼成して積層電極体を作製するステップ(s6b)と
を含み、正極材料と負極材料の作製ステップでは、水系ストック溶液と金属アルコキシドを含ん
だ有機系ストック溶液との混合溶液に粉体状の電極活物質を混合し(s1a、s1b、s2、s10)、混合溶液
と電極活物質との混合物を不活性雰囲気で焼成よりも低い温度で熱処理し(s6a)、焼成ステップで
は、不活性雰囲気で650℃以下の焼成温度で積層体を焼結させる技術を提供する。

図2

【概説】

積層電極体の製造方法としては金型を用いて原料粉体を加圧して得た成形体を焼成する方法(以下、
圧縮成形法とも言う)や周知のグリーンシートを用いた方法(以下、グリーンシート法)などがある。
圧縮成形法では、金型内に正極層、固体電解質層、および負極層の各層の原料粉体を順次層状に
充填して一軸方向に加圧することによって得た成形体を焼成して積層電極体を得る。


グリーンシート法は、正極活物質と固体電解質を含むスラリー状の正極層材料、負極活物質と固
体電解質を含むスラリー状の負極層材料、および固体電解質を含むスラリー状の固体電解質層材
料をそれぞれシート状(グリーンシート)に成形するとともに、固体電解質層材料のグリーンシー
トを正極層材料と負極層材料のグリーンシートで挟持した積層体を焼成して焼結体にすることで
作製される。なお正極層および負極層(以下、電極層とも言う)に含まれている固体電解質は、粉
体状の正極活物質および負極活物質の表面に被膜されつつ、電極活物質の粒子間に介在すること
で電極層でのイオン伝導性を発現させる機能を担っている。

正極活物質や負極活物質(以下、総称して電極活物質とも言う)としては従来のリチウム二次電池
に使用されていた材料を使用することができる。また全固体電池では可燃性の電解液を用いない
ことから、より高い電位差が得られる電極活物質についても研究されている。固体電解質として
は、一般式LiaXbYcPdOeで表されるNASICON型酸化物系の固体電解質があり、このNASICON型酸
化物系の固体電解質としては、以下の特開2013?45738号公報に記載されているLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3
(以下、LAGPとも言う)がよく知られている。そしてLAGPの作製方法としては、金属アルコキシド
を原料とした周知のゾルゲル法があり、非特許文献1(Masashi Kotobuki, Keigo Hoshina, Yasuhiro-
Isshiki
, Kiyoshi Kanamura、「PREPARATION OF Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3 SOLID ELECTROLYTE BY
SOL-GEL METHOD」、Phosphorus Research Bulletin 、Vol.25(2011)、 pp.061-063
)にはゾルゲル法に
よるLAGPの作製方法について記載されている。また非特許文献2(大阪府立大学 無機化学研究グ
ループ、"全固体電池の概要"、[online]、[平成28年8月1日検索]、インターネット<URL:http://w

ww.chem.osakafu-u.ac.jp/ohka/ohka2/research/battery_li.pdf>
)には全固体電池の概要について記載さ
れている。

【特許請求の範囲

    1. 一体的な焼結体で、正極用の電極活物質と固体電解質を含む正極層、固体電解質を含
      む固体電解質層、および負極用の電極活物質と固体電解質を含む負極層がこの順に積
      層されてなる積層電極体を備えた全固体電池の製造方法であって 一般式Li1.5Al0.5
      Ge1.5(POで表されるLAGPを前記固体電解質として、非晶質状態の前記
      LAGPと前記正極用の電極活物質とを混合した正極材料と、非晶質状態の前記LA
      GP
      と前記負極用の電極活物質とを混合した負極材料を作製する電極材料作製ステッ
      プと、層状の前記正極材料と層状の前記負極材料との間に、前記LAGPを含んだ層
      状の固体電解質材料を挟持してなる積層体を焼成することで前記積層電極体を作製す
      る焼成ステップと、を含み、前記電極材料作製ステップでは、前記LAGPのリチウ
      ムとリンの起源となる原料を含んで水を溶媒とした水系ストック溶液と、前記LAG
      のゲルマニウムとアルミニウムの起源となる金属アルコキシドを含んでアルコール
      を溶媒とした有機系ストック溶液との混合溶液を用いたゾルゲル法によって前記LA
      GP
      を作製するLAGP作製ステップと、前記混合溶液に粉体状の電極活物質を混合
      する活物質混合ステップと、前記混合溶液と前記電極活物質との混合物を不活性雰囲
      気で前記焼成ステップにおける温度よりも低い温度で熱処理して非晶質の前記LAG
      を生成させるガラス化ステップと、を実行し、前記焼成ステップでは、不活性雰囲
      気で650℃以下の焼成温度で前記積層体を焼結させる、ことを特徴とする全固体電池
      の製造方法。
    2. 請求項1において、前記LAGP作製ステップでは、前記有機系ストック溶液を露点
      -40℃以下の乾燥雰囲気で調合することを特徴とする全固体電池の製造方法。
    3. 請求項1において、前記LAGP作製ステップでは、前記有機系ストック溶液を露点
      140℃以下の乾燥雰囲気で調合することを特徴とする全固体電池の製造方法。
    4. 請求項1または2において、前記焼成ステップでは、200℃/h以上の速度で前記
      焼成温度まで昇温させることを特徴とする全固体電池の製造方法。
    5. 請求項1~3のいずれかにおいて、前記LAGP作製ステップでは、前記水系ストッ
      ク溶液の溶媒である水のモル数を、前記有機系ストック溶液の溶媒であるアルコール
      のモル数で割った比が0.1以上5未満となるように前記混合溶液を調合することを
      特徴とする全固体電池の製造方法。
    6. 請求項4において、前記LAGP作製ステップでは、前記水系ストック溶液と前記有
      機系ストック溶液との混合溶液に、さらに前記アルコールを追加することで前記比が
      0.1以上5未満となるように当該混合溶液を調合することを特徴とする全固体電池
      の製造方法。
    7. 請求項1?5のいずれかにおいて、前記LAGP作製ステップでは、前記水系ストッ
      ク溶液の溶媒である水のモル数を、前記有機系ストック溶液中の前記ゲルマニウム
      の起源となる金属アルコキシドのモル数で割ったときの比が170以下で、前記水の
      モル数を、前記アルミニウムの起源となる金属アルコキシドのモル数で割ったときの
      比が523以下となるように前記混合溶液を調合することを特徴とする全固体電池の
      製造方法。

以上、今夜は2つの事例しか掲載しなかったが、要注目情報である。眠れぬ夜が続く。実に面白い
時代だが、健康管理が大事で「インフル花粉症」「虫歯」「膀胱炎」などなど対策もある。凄い
時代だね、だよねぇ。


     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.15   
  

    ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『3・11以降は、この国のありようを変えるチャンス』    

                              河野太郎 衆議院議員・現外務大臣  

 

自民党所属。1963年神奈川県生まれ。慶臆義塾大学経済学部中退。アメリカ・ジョージタウ
ン大学卒業。アメリカ滞在中、ワシントンで政治活
動にもかかわり、アメリカの大統領選挙に立
候補したアラン・クランスト
ン上院議員の遺財本部の財務部門でボランティアをしたり、リチャ
ード・
シェルビー下院議員の下でインタjンを務めた。帰国後、富士ゼロックスに入社。2年間
のシンガポール勤務などを経て、日本端子に入社。1996
年に衆議院選挙で初当選。核燃料サ
イクルには明確に反対しており「原子
力は経済採算性は合わない≒原子炉の新設はしないという
ことを政治主導
で決めるべき」と語っている。著書に『私が自民党を立て直す』(洋泉社新書/
2010)『原発と日本はこうなる南に向かうべきか、そこに
住み続けるべきか』(講談社/2
011)『「超日本」宣言わが政権構想』
(講談社/2012)、共著に『「原子カムラ」を超
てポスト福島のエネ
ルギー政策』(NHKブックス/2011)などがある。

  中小企業ができること、守りたいこと

 鈴木 私どもエネ経会議は地域の中小企業の経営者の集まりですが、いわゆる電気エネルギ
 ーを使わせてもらっている立場からすると、前もって15パーセントを数時間という
ことを
 言ってくれれば、いくらでも事前に手は打てるんですね。24時間ずうっと15パー
セント
 ということだとなかなか難しいかもしれませんが、ちゃんとした活か何ヵ月か前
に出てくれ
 ば十分に対策はできるんです。あとは総電力使用量を節電しながらどうやっ
て減らしていく
 かということをじっくり考えていくだけです。
 それにつけても、もったいないと思うこと
 があります。中小企業のオヤジというのは機械を買うと長く使うにはどうしたらよいか、耐
 用年数が10年のものでも15年、20年使うにはどうしたらよいかを考えるわけです。ところが、
 冷蔵庫や冷凍庫は技術革新が進んで、10年前に比べると電気の使用量が2割、3割少なくて
 済むわけですね。それなのに替えない。心のどこかにスケベ心があって、そのうち原発が動
 いてしまって電気代が下がってしまったら投資しただけ損してしまう、そういうソロバンを
 はじくためです。

 逆に考えれば、とりあえず原発なしでやってみようということがきちんとした方針として打
 ち出されれば、私たちは別のソロバンをはじいて、新しい設備に替えれば3年、5年で元が
 取れるなと思ってコ介に動くわけです。そうすると、結果的に新しいビジネスチャンスが生
 まれてきますし、技術革新が一層進むでしょうし、さらに電力使用量が減るという、よりよ
 い循環が生まれると思うんです。それなのに、このチャンスをなんで逃しちゃうのかな、何
 を言ってもダメなのかな、そう思えてしまうのが残念でなりません。

 ただ、純粋に考えてみれば、私たちに日本の国民の力を信じて、経営者のそういうたくまし
 さを信じて号令かけてくれれば、われわれがコ介に努力しますから、今年の夏を乗り切るの
 くらいわけなくできると思います。実際に2011年の夏はやりましたから。

 河野 やりましたねえ。あれを毎年やれと言われてもなかなか、きびしいけれども、ひと夏
 きちんと計画を立てて節電をやりましょうよといえば、かなりの節電ができると思う。去年、
 あれだけ節電してバブル時の電力使用量に戻りました。バブルのときから電力使用量が相当
 伸びていますから、抑えようと思ってやれば抑えられると思うし、税制をうまくするとか、
 規制緩和をやるとか、償却期回を変えるとか、後押しをすることは可能だと思います。

 鈴木 中小企業の経営者として、日々、売り上げをどう上げるかとか、今月の給料を社員に
 払えるかなど、切った、張ったに明け暮れているわけですが、心のどこかでふるさとをどう
 やって先へ渡していくか、そういうことを考えています。私たちは小田原でかまぼこをつく
 っておりますが、万がI、小田原でやれなくなってしまったとき、どこかへ行ってやろうと
 しても難しい。それを考えると、小田原というふるさとは未来から借りたものだから未来に
 どう返していくか、そういう思いが深まってきます。そうはいっても目の前のソロバンは犬
 切なので、両方が成り立つように考えていくと、いま、よりはるかにいいでしょう。そうい
 うやり方を選択するにはやっぱり分散型の再生可能エネルギーが向いています。地方の活性
 化の切り札にもなりえるでしょう。



  この国を変えていくターニングポイント

 鈴木 今回の原発の問題、エネルギーの問題は、それだけにとどまらず、地域のあり方、地
 域の独立、地域と国の関係ということもクローズアップされたように思います。
 河野 ありようを変えるチャンスですよ。

 鈴木 いい意昧での最後のチャンス、大震災の直後で難しいかもしれませんが、チャンスで
 あることは間違いないと思います。日本人は戦争をして原爆を経験してと、いままで何度も
 危機を乗り越えてきていますし、今度も乗り越えられると思います。鍵は私たち自身が腹を
 くくれるかどうかではないでしょうか。

 河野 政治家がビジョンをちゃんと見せて、向こうにはこういう日本があるよという具合に、
 具体的に示すことが大事だと思いますね。

 鈴木 ところが、なかなかそうなっていかない。カベはやはり利権の構造でしょうか。それ
 とも電力会社の問題もあるのでしょうか。たとえば、経営に変更が利かない何か特有の難問
 を抱えているとか。
 河野 でも、いまの総括原価方式だと、よっぽどヘマをしないかぎり赤字にはならないわけ
 ですから、こんな楽な経営方法はないと思いますよ。
 鈴木 結局、そこなんでしょうかね。だから、会社のトップに立つと俺の代で変えるような
 ことは言えないという……。

 河野 東京電力の荒木浩さんという社長、会長、相談役をやられた方は電力会社を普通の会
 社にしないといけない、電力業界を普通の業界にしないといけない、これが私の使命だとお
 っしやった。東京電力のスキャンダルで責任を取らされてしまったのが残念です。
 ところで、電力会社の中は原子力をやっている部局だけではないので、たとえば六ケ所村の
 再処理工場をどうするかというようなとき、たぶん、電力会社としては後ろ向きだったと思
 うんですよ。それなのに原子力をやっている部門がもう前のめりになっちやった。「産道に
 出てきた赤ん坊はとめられない」みたいな東電の南直哉元栓長の名言があって、実は、みん
 ながおかしいと思っているけど、とまらなかった。いまだに六ケ所村の再処理工場は問題だ
 らけで動かない。あれだって何月に竣工しますといって、直前になって延期を19回している
 わけだから、それも、ぎりぎりまで間に合うふりをしてです。



 鈴木 究極の責任の先送りという気がしますよね。よくダーウィンの進化論を持ち出してき
 て、生き残る者は大きいとか小さいとかに関係なく、いかに変化に対応するか、その術を心
 得ているからだといわれます。マネジメントの教科書にそれがよく出てきます。
 確かに現実に世の中がどのように変わっていくか、的確に早めに読んで、それに合わせてい
 くというこどが大切なんですが、どうも日本の企業を見ていると、特に大企業になればなる
 ほどそればかりやってきているような気がしてなりません。
 たとえば、原発をやってきた3栓は巨大企業じやないですか。世界的にも影響力のある企業
 でありながら、トップが「これからの世界の子不ルギーはこうあるべきだ。その中でわが栓
 はこういう役割を演じたいと思っています。だから、こうします」と、なんでそういう言い
 方が出てこないのかと不思議に思います。極論ですが、あれで会社の経営をやっていておも
 しろいのかなと思ってしまいます。

 河野 われわれが地方へ行くと、地方の経済界を背負っているのは必ずその地域の電力会社
 で、みんなそこを向いちゃっています。この地域の経済はこうやろうぜという前にもう最初
 から電力会社を筆頭に序列ができていて、そこがエスタブリッシュメントで、枠外みたいな
 のが騒いでいるというようなパターンをよく見受けます。それが中央へ行くと経団連があっ
 て、IT企業やら何やら新興企業が騒いでいる。そうじゃないと思うんですよね。やっぱり、
 会社だって寿命があって変わっていくなかで、どうやって老舗の地位を守っていくか。うち
 は社会にこういう貢献をしている、そこで利益をもらっている。老舗には老舗の行持がある
 と思います。

 鈴木 大きな上場会社というのは社会貢献という面でもものすごく能力が高いだろうと思い
 ます。だけどスタンスというのが、自分が社長の間はいかに株価をきちっとキープするか、
 そういうことが優先されてしまって、「もしかしたら直近の時点では会社にとってマイナス
 かもしれないけれども、近い将来のことを考えたらやるべきだ」という会社としての決断が
 なかなかしにくい。
 政治の世界も同じようなことではないかと思いますが、総理大臣になってもこの国は物事が
 決められない、変えられない。私たちはけっして政治をあきらめてはいけないと思いますが、
 それはそれとして自分たちにこれならできるというところから始めて、小さいことから動か
 していく。自分の会社とか、地域とかでやれるところで変えていく。
 小さいからできるということがあるはずなので、それを無数に連ねていけば、ゆくゆくは大
 きな力になるのではないかというのが私たちの考えです。
 とりあえず再生可能エネルギーに関しては、日本ではまだ数パーセントなので、あんなもの
 は頼みにならないという議論がありますが、「自分の会社は20パーセントやっている」「
 自分の地域はやっと5パーセント」とか、そういう規模であればできますよね。きなり30
 パーセント、50パーセントやろうとしてもできませんが、自分の影響力の及ぶ範囲で始め
 る、その仲間を無数に全国規模で連ねることができたら、おのずと20パーセント、30パ
 ーセントという規模に達するのではないかと思います。いまの経済界にいくら言っても変わ
 らなければ、自分たちでやれることから連やかに着手して新しい現実をつくっていこうとい
 うことなんです。



   市民が参加する政治ヘ

 河野 本当は政治がもう少しきちんと対応しないといけないんでしょうけど、大企業の取締
 役会が機能していないのと同じことで、政治も予定調和というか、表で議諭しないから、与
 野党で裏で協議して結論が出てから表に出てくるというかたちだから、なかなか真剣に議論
 できない。国民の前で本音で議論して決めるのが本当なのに、大企業も、国会も、オープン
 にして真剣な議論ができない。特に大企業は中から選ばれてきているから、どこを向いてい
 るかというと中を向いているような気がするんですよね。政治もそうやってなんとなく押し
 出された人がとりあえず中を見て、外を顧みない。それを変えないといけない。

 鈴木 日本人にそれがやれるんだろうかと、最近、私は懐疑的になりかけているんです。

 河野 それこそ学校から自治会から神社の総代会まで阿吽の呼吸が幅を利かせていることが
 確かに事実としてあって、そこで何か言うと「空気が読めないヤツだ」なんていうことにな
 っちゃう。みんながボランティアでやっている神社の総代なんかはみんなで気を遣いながら
 やらなきやいけないと思うけれども、世の中で選ばれて仕事でやっている政治は別物だと思
 うし、企業だって会社を背負って指揮命令系統で動いているわけだから、「仕事だろ」とい
 う部分がある。それがなんとなく混同されて一体化してしまっているところに問題の根があ
 るように思います。

 鈴木 いま、一つの政治のスタイルとして、いわゆるプロの政治家にお任せするのではなく
 て、自分たちの問題として街のことも考えて、自分たちの意見として直接いってやっていく
 という、そういう市民参加型の政治がこれからの姿だという見方もあると思うんです。日本
 にふさわしいのはどっちなんでしょうか。

 河野 もともと日本はみんなのことはみんなで決めてきたわけです。多少、空気を読みなが
 らというところはあるかもしれないけれども。ところが、最近、市役所なんかへ行くと「5
 番の番号杜をお持ちのお客様」と言う。市役所が市民を「お客様」と言っています。あなた
 はお客で、われわれは行政をやる、そりゃ違うだろと思います。みんなでやっていくことが
 大事なのに、それを「俺はお客様だから、これこれやってくれ」と言い、やっている側も「
 税金をもらっているんだからやりましょう」みたいなかたちにしてしまうと、その代わり税
 金もどんどん高くなりますよ。でも、それはお客様のニーズですからみたいな話にしてしま
 いかねない。

 鈴木 そのうち、言うこと聞かなくなってしまうわけですよね。勝手なことを言うヤツだか
 ら、ほっとけみたいな。
 河野 そうです、そうです。お客様の言ってることは信用できないから、とりあえず聞いて
 おけで済まされてしまう。

 鈴木 とりあえず聞きましたで、何も変わらない。
 河野 この情報を出すとお客様が騒ぐから「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネッ
 トワークシステム)」は隠しておきましょうみたいなことにだんだんなっていく。執行する
 側は役所かもしれないけれども、そこはみんなでいろんな議論をしたうえで決める、そうし
 ないといけない。

 鈴木 この間、地元の商工会議所でアメリカのオレゴン州ポートランドヘ視察旅行に行って
 きたんです。全米で一番住みたい街だといわれている都市で、毎週500人くらい人口が増
 えている。それほど人気のある都市なんです。地産地消も進んでいる。そこの市の仕組みを
 聞いてびっくりしました。人口が60万人くらいいるのに、市会議員が4人しかいないんで
 す。当然、4人では細かいことまで手がまわらないので、100とか、200とかの委員会
 があって、その全部に市民がメンバーになって参加して直接やっている。だから、街のこと
 を他人事ではなくて自分事として考えるということでした。ある意味、理想的だという気が
 しますが、日本ではどうかなとも思ったんです。市議会は機能しているのでしょうか。

 河野 市議会は大統領制みたいなものですから、一人ひとりが一つひとつの議案に関して「
 賛成しました」「反対しました」というのが出ないといけないわけですが、それなのに賛否
 を会派でしか出さないみたいなところがあったり、市議会の議事録が次の日に出ていないと
 いうところがたくさんあって、結局、どういう議論をしたのか見たくても見ることができな
 い。議事録は市議会が閉会してから掲載されますみたいなところがあって、そうやって市民
 をだんだん遠ざけていく。

 鈴木 遠ざけられてしまうから、市民も市会議員を垂く見なくなってしまって、市長に陳情
 ばかり集まってしまうわけですね。そういう意味で、今回、エネルギーのこと、特に原発を
 どうするのかとか、日本のこれからの行く末を決めていく大切なタイミングにさしかかって
 いる、そういう思いを強くしているんです。日本の問題点を一人ひとりが考えないといけな
 いと思います。
 あとはこの国の目指すべき姿として子不ルギー、原発を論じるうえで必ず出てくる言葉が、
 「そうはいっても原発をとめたらそこの人たちが食えないじやないか」というのと、「日本
 が原発から手を引いてしまうと、国家安全保障上、非常に危ない。だから、日本は原発をや
 っていかないといけない」というこの2つです。まず前者ですが、原発をとめても仕事はな
 くなりませんよね。

今回も、特に異論はない、次回は「原発をとめても仕事はなくならい」に移る。

                                   この項つづく

 ● 今夜の一曲

 

「スマイル」(原題:Smile)は、1936年のチャールズ・チャップリンの映画『モダン・タイムス』
で使用されたインストゥメンタルのテーマ曲で、チャップリンが作曲した曲。数多くの音楽家に
よりカバーされているが、ナット・キング・コールが1954年にリリースしたカバー版が追憶の歌
として今も色褪せることはない
1954年にジョン・ターナーとジェフリー・パーソンズが歌詞と
タイトルを加えた。歌詞では、歌手が聴衆に対して笑っている限りは明るい明日が常にあると元
気付けている。「スマイル」はチャップリンの映画で使用されて以来、スタンダードとなる。


  

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湖底に大量核廃棄物

2018年03月08日 | デジタル革命渦論

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

         ※ 悪口:貉稽(はくけい)がこう言って訴えた。「わたしは何かにつけ
       人から中傷されて困ります」

       孟子は言った。
「そんなことを気に病むことはない。俗物どもに悪口
       のひとつも言われぬようでは、むしろ士ではな
いのだ。。悩みはたえ
       ず 小人どもの悪口にかかるゆえと詩経にうたわれている。孔子のば
       あいが
これだった。また、俗衆の非難はたえず されど誉れはとこし
       えにともうたわれている。文王ののばあいがこれだったのだ。

      ※ 少ないほどよいもの:徴税には、織物税、年貢、労役の三種がある。
       君子はそのうち一つだけを徴収し、あとの二つはごく軽くする。二つ
       を徴収すれば餓死者がでる。三つともとりたてれば一家離散だ。

     ※ 三つの宝:諸侯には宝が三つある。土地と人民と政務とである。宝石
       だけを宝と思ってい災難がぶりかかる。

      ※ 来たる者は拒まず:孟子が滕の国へ出向き、迎賓館に泊まったときの
       ことである。館の人が作りかけのわらじを窓ぎわに置きっぱなしにし
       ておいた。それが不意になくなり、探してもみつからなかった。「お
       見事です。あなたのお伴の方もやりますな」
       ある男がこう言うと、孟子は、「連中がわらじを盗むために、わたし
       について来たと思っているのですか。あるいはそうかも知れません。
       わたしは弟子をとるとき、去る者は追わず、来たる者は拒まず、とい
       うことにしています。学ぶ意志さえあれば、だれでも弟子にしていま
       す」
 

 

 

     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.14   
 

    ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『3・11以降は、この国のありようを変えるチャンス』   

                              河野太郎 衆議院議員・現外務大臣 

自民党所属。1963年神奈川県生まれ。慶臆義塾大学経済学部中退。アメリカ・ジョージタウ
ン大学卒業。アメリカ滞在中、ワシントンで政治活
動にもかかわり、アメリカの大統領選挙に立
候補したアラン・クランスト
ン上院議員の遺財本部の財務部門でボランティアをしたり、リチャ
ード・
シェルビー下院議員の下でインタjンを務めた。帰国後、富士ゼロックスに入社。2年間
のシンガポール勤務などを経て、日本端子に入社。1996
年に衆議院選挙で初当選。核燃料サ
イクルには明確に反対しており「原子
力は経済採算性は合わない≒原子炉の新設はしないという
ことを政治主導
で決めるべき」と語っている。著書に『私が自民党を立て直す』(洋泉社新書/
2010)『原発と日本はこうなる南に向かうべきか、そこに
住み続けるべきか』(講談社/2
011)『「超日本」宣言わが政権構想』
(講談社/2012)、共著に『「原子カムラ」を超
てポスト福島のエネ
ルギー政策』(NHKブックス/2011)などがある。

  使用済み核燃料問題から考える

 鈴木 今日はお忙しいなか、お時間をいただきましてありがとうございます。
 河野 とんでもない、こちらこそ、よろしくお願いします。

 鈴木 河野さんは「3・11]」以前から原発の危険性、いろいろな問題点について指摘を
 されてきたわけですが、恐れていたことが「3・11」に続く福島第コ原発事故というか
 たちで実際に起きてしまいました。いま、どのようにお感じになっておられますか。

 河野 もともと日本の原子力は石油を補完するということでスタートしました。ウランは全
 量輸入ですし、石油と同じで年数にかぎりがありますから、ウランを燃やした使用済み核燃
 料を再処理してプルトニウムを取り出して、高速増殖炉をつくって、プルトニウムを増やし
 ながら発電するのだから、電力は2000年は大丈夫という絵を描きました。
 ところが、50年の歳月と2兆円以上の全をつぎ込んだ高速増殖炉は政府の一番楽観的な見通
 しでも2050年まではできません。最初から高速増殖炉でプルトニウムを増やすんだとい
 っておりましたから、使用済み核燃料はイギリスとフランスヘ持っていって再処理をして、
 プルトニウムをどんどん取り出していて、日本が持っているプルトニウムはトータルで45ト
 ン、アメリカの核弾頭に積んであるプルトニウムが38トンですから、それより多いプルトニ
 ウムを持っています。でも、「もんじゅ」はとまっていて、高速増殖炉は早くても2050
 年まではできません。じやあ、45トンものプルトニウムはどうするのか。それから、プルト
 ニウムを取った残りのゴミは最終処分地が決まりません。

 これは何万年という長い期間にわたって人類から隔絶しないといけないというくらい放射能
 が強いものです。さらに原発から出てくる使用済み核燃料もプールに入れて冷やしているわ
 けですが、プールがいっぱいになりつつあります。3月10日の時点で「あと10年くらいしか
  持たない」「あと10年で原子炉はとまるよ」という状態でした。つまり、全部のステージで
 問題です。だからコ院、立ちどまって考え直さないと行き詰まりますよ。
 そういうことをずっと申し上げてきたところに「3・11」が起きました。安全だといわれ
 た原子炉が事故を起こして、爆発までして、それで、みんな目が覚めたというか、お金を握
 らされて黙っていたマスコミも、もはや、黙っていられなくなって報道するようになって、
 世の中にこの問題がインプットされるようになりました。特に核のゴミは使い始めたときか
 ら何万年も「この放射能どうするの」という問題があるけれど、技術が進歩したら何とかな
 るさと思っていて、いまだにこれがどうにもならない。何とかなるではなくて、何とかなら
 ないかもしれないから、いま、打てる最善の手は何だろうということをきちっと考えなけれ
 ばならなくなりました。

 鈴木 何とかしないといけないと思いますが、いまだにどうにもならないことを認めていま
 せんね。「もんじゅ」にしても、高速増殖炉にしても、勤きますということを前提にしてい
  ます。
 河野 そうですね。核のゴミも処分地は何年に決めますという目標はありますけれども、も
 はや、それには問に合わないというタイミングになっていますし、余っているプルトニウム
 もどうしていいかわからない、高速増殖炉は目標では2050年までにと言ってますが、そ
 れまでにできるとはだれも思っていない。ぎりぎりまで「できます、できます」と言ってお
 いて、いざ、ぎりぎりになったら「ごめんなさい」という「できない体質」みたいなものが
 ある。

 鈴木 世の中の常識としてできないことを「できるかもしれない」と言って放っておいて、
 将来の世代に先送りしてしまう。責任ある大人のやることではありません。
 河野 そうですね。特に核のゴミの処理には何万年もかかるものですが、10万年前といった
 ら人類もいなかったわけですし、10万年後も日本列島が今のかたちをしていることは、たぶ
 ん、ない。それなのに、何万年という気の遠くなるような長さの話を普通にしているという
 こと自体、ちょっと大丈夫かなと思ってしまう。

 鈴木 フィンランドのオンカロという原子力廃棄物処理施設を取り上げたドキュメンタリー
 映画『100、000年後の安全』では廃棄物が埋められていることを10万年先の人類にど
 うやって伝えていくか、科学者が一生懸命説明しようとしている、笑えないブラックユーモ
 アというか、観ていて背筋が寒くなりましたね。
 河野 フィンランドはそこへ哲学者や宗教家、いろんな人を入れて、「ほんとにどうする?」
 という議論をかなりオープンにやっています。ところが、日本の場合は専門家といわれる、
 いわゆる「原子カムラ」と鄭楡される住民ばかり集めて「なんとかなります」という結論だ
 けを外に出してやってきました。




  なぜ原発を続けていく必要があるのか

 鈴木 どうして、それまでして原発を続けていかなければならないのでしょうか。
 河野 スタートは石油ショックなんです。石油一本足では不安だというので原子力をスター
 トさせたんです。そこは問違っていなかったと思います。
 あのころ、太陽光とか、風力といってもサイエンス・フィクションみたいなものでしたから。
 ただ、高速増殖炉が20年後にできるはずだったのが、いつまでたってもできない。計画がど
 んどん後ろへ押していく。その一方、原子力の発電所をつくらなければいけなくて、そこに
 どんどんお金が流れ込んで、利権化してしまいました。つまり、スタートはよかったんだけ
 れども、だんだん状況が変わってきて、状況の変化に合わせて政策を変えるべきなのに、ま
 ったく変えられなかった。
 今度はその利権を守るために、「原子カムラ」と呼ばれる構造体ができて、外の人間にはわ
 からないようないろんな文書をつくって、自分たちの既得権を強引に守ろうとしたのが現実
 で、そこに手を入れるはずの専門家もムラの一員、経産省も天下りでムラの一員、マスコミ
 も広告宣伝費でムラの一員になりました。こういう構造になってしまったんです。

 鈴木 本来なら、そういう原子カムラがあったとしたなら、いろんな利害関係が存在するわ
 けですから、政治がそこにきちっとしたメスを入れて判断をしないといけないわけですね。
 河野 中曽根さんの強いりIダーシップでやろうよということで始まった。ところが、途中
 でおかしくなって「どうする」となったとき、実は政治も電力業界からお金をもらっており
 ました。当時の野党は電力の労働組合からも票をもらっていました。結局、関係の深い議員
 ぱ原子カムラのなかにいて、むしろ、政治が原子カムラを護送船団で守ってしまった。そう
 いう体制を与党としてつくってきたのは自民党ですから、自民党として真摯に反省しないと 
 いけないし、なんでそうなったかを点検しないといけないと思います。政治が見ていて「こ
 の選択はズレてきた」と思ったときにとめて点検をするという機能が働かなかったのが現実
 であり、残念です。

 鈴木 自民党時代もそうであったように政権が民主党に代わってからも、私たちからは見え
  ないことが多い。スタートで働いたりーダーシップが、「どうする」となったとき働かない
 のはなぜでしょうか。
 河野 自民党時代は利権構造というか、当時、与野党双方にお金と票がばらまかれていたわ
 けですが、実はマスコミもその構造のなかに絡め取られていたわけですね。実はいろんな方
 が声をあげていらっしゃったんです。当時の佐藤栄佐久・福島県知事ですとか、学者でいえ
 ば石橋克彦さんのように浜岡原発が地震で危ないとか、あるいは坂本龍一さんのように再処
 理工場はこれでいいのかとか、いろんな方々が警鐘を鳴らしておられたんですが、利権の構
 造が堅くて、たとえば芸能人が「反原発」を言おうものなら干されるといった状況すらあっ
 たわけです。

 鈴木 そのような経験を文化人からもよく聞きますよね。
 河野 原子カムラから「批判をしろ」みたいな指示が出て、コ介に攻撃されてしまう。

 鈴木 いま、国民の間には、いろんな認識レベルがあると思いますが、河野さんが言われた
 ようなことを知るにつけて、原発を使うのか使わないのかの問題を含めて、国民的議論がな
 された形跡がないように思います。国民的議論は可能なんでしょうか。

                                   この項つづく

 

【湖底に大量核廃棄物の時限爆弾】

毎年、ユタ州とアリゾナ州の国境をまたぐ巨大な人工水域であるパウエル湖には、300万人も
の人々が訪れる。輝く赤い岩崖の下では、貯水池はジェットスキー、モーターボート、ウイニバ
ーゴ族のボートハウスがひしめく観光の湖だが、これは
表面上話、夢のような南西部の4千万人
の人々に飲料水を提供するパウエル湖だが、暗い湖の下には不吉な遺産――推定2万6千トンも
の放射性廃棄物
――が潜んでいる。

 Lake Powell

 Mar. 6, 2018

  Lake Powell

  White Mesa Uranium Mill

1940年代から1950年代にかけて西部からのウラン流入時には、コロラド川のほとりに巨大な鉱床
が隆起している。例えば、1949年、米国のバナジウム社が建設したホワイト・キャニオン選鉱所
は、米国情報の自由法( Freedom of Information Act request)に準拠し、1日あたり20トンの鉱
石を粉砕し、硫酸、リン酸トリブチルなどで処理。失われた魂の川の著者であるジョナサン・ト
ンプソンによれば、1トンの鉱石で約2.3~2.7キログラムのウランを生産すると、河川周辺
日に1万7,690キログラムの尾鉱が堆積する。 1953年の工場閉鎖にともない、バナジウム
社が廃業したにもかかわらず残鉱は置き去りにされていた。約10年後にグレンキャニオンダム
に貯水し始め残鉱が浸水する。

● 2000年~2005年の干ばつで平均水深の約5分の1のほぼ30メートルまで低下

パウエル湖を楽しむ観光客を汚染しなかったとユタ州環境省ウラン工場及び放射性物質部門の管
理責任者は話す。
ウランの掘削は、放射性物質の重金属とラジウム226/228を含む土砂の老廃物
を堆積するが、これらの尾鉱は1950年頃から湖底堆積する。1~2メートルの
堆積し、水は減速
材あるいは遮蔽材として機能すると説明されている。環境
保護庁はパウエル湖から直接水を汲み
取る2つの公共水道――ナバホー発電所とアリゾナ州ページ市――があると付け加える。第9
EPA
地区の広報官は、すべての地域の水道システムは、総アルファ線、複合ラジウム226/228、ウラ
ンの放射性核種群の飲料水基準の監視し求められており、
ページ市の水道水、放射性核種の飲料
水基準を満たすことが定められており、ウランやラジウムなどの放射性元素が人の肺の内面に入
り込むと、貧血、歯牙破折、白内障、がんなどのリスクを喚起するが、湖底の放射性廃棄物がた
だちに
憂鬱されるレベルにないと関係者は説明する。 

それは影響を受ける可能性のある発電所と小さなアリゾナ都市だけでなく、パウエルは「貯蓄口
座」のようなもので、4つの上流域州(コロラド、
ワイオミング、ユタ、ニューメキシコ)は、
1922年のコロラド川コンパクト(Colorado River Compact)のもと、下流域の州とメキシコに年間
給水義務を果たせる。
パウエルに到着する前にた上流域水の使用制限し、下流域の要求に合わせ
水を貯め供給することで、4千万人全員へのサービスを提供すると、コロラド川地域管理責任者
がこう説明する。
 

しかしながら、状況は現在制御されているが、現状を揺るがすシナリオがある。パウエル湖が非
常に低い水位になったり、湖が流出したりすると当然、尾鉱が問題となり、尾鉱
が露出する。
の場合、誰かが掘り起こしたり、強風による外乱、オフロード車で荒らしたりすると健康被害が
生じるとの考えは専門家らにより否定されているが、
湖の排水や土砂を盛り上げる浚渫作業など
でそれは変わる可能性があるとされる。
湖の排水は馬鹿げたように思えるかもしれないが、貯水
量は1990年代後半から減水し、2000年から2005年にかけての過度の荒廃と干ばつは、水深は30
メートル近く下がり平均水深の約5分の1までになる。研究者たちの中には、気候変動が西部干
ばつのサイクルを激化させ、長期に渡るものと予測する(下図参照)。もしそれが起こり、パウ
エル湖がもう一度赤岩峡谷になれば、汚染堆積層を取り除かなければしれない。

※ Source:Does a Ticking Time Bomb Lurk Beneath Lake Powell? | Acumen | OZY, Mar. 6, 2018

 Feb. 12, 2015




※ Report Titol:Unprecedented 21st century drought risk in the American Southwest and Central Plains

※  米国は米国はウランの3/4を輸入しており、ロシアは最大のサプライヤーの1つ。2016年の
  生産は725,747キログラムで、1979年のスリーマイル島事故以来、米国では原子力プロ
  ジェクトが完了しておらず、ウランの製造コストが海外生産品よりも高くなっている。昨年、
  韓国の文新大統領は、原子力発電量世界5位にランクされた国で原子力発電やめることを誓
  い、エネルギーの4分の3をまかなうフランスは、2025年までに原子力エネルギーを半減さ
  せる計画を策定している。
 

     No.165

【蓄電池篇:最新リチウムイオン電池技術】 



● 
金属シリコン電極開発によるリチウムイオン電池の高エネルギー密度化

ニンニクをインドアーで安く生産できないか調査をはじめ、このブログテーマの1である「植物
3月6日、株式会社 GSユアサは、大型電池での実用化に課題の多い金属シリコンを主体とする
負極の高エネルギー密度化長寿命化の両立を実現しました。これにより、電気自動車に実際に
搭載されるサイズの電池において、従来のリチウムイオン電池に対して約3倍となる高エネルギ
ー密度化技術の改良の成功を公表。

それによると、極材に用いる金属シリコンは、理論容量が非常に高く(4200 mAh/g)、また、資
源量が豊富であることから、リチウムイオン電池の新規材料として多くの研究が行なわれてきた
が。金属シリコンは充放電にともなう体積変化が約400%と非常に大きく、充放電を繰り返す
過程において微粉化および孤立化といった劣化が生じる。その結果、充放電効率およびサイクル
寿命特性が乏しく、特に長期での使用が前提となる電動化車両用の大型電池では、金属シリコン
電極の実用化は困難とされてきた。これに対して同社は金属シリコンを用いた電極の好適な粒子
径および電極組成などを見出し、それらの特性を改善、従来の約3倍となる高エネルギー密度化
技術の改良に成功。
なお、この金属シリコン電極は今後の技術革新と普及が見込まれる全固体電池へも適用可能な技
術である。
また、今後の展開として、金属シリコン電極のサイクル寿命特性をさらに改良し、2025年頃の電
動化車両への適用を目指す。
 



 どこが違うのか

金属シリコンの好適な粒子径の選択による初期充電効率の向上およびサイクル寿命特性の改善

➲粒子径が小さい場合は初期充電効率が低く、また、大きい場合には微粉化が顕著となるためサ
イクル寿命特性が低いという問題があり、最適な粒子径の金属シリコンを適用することにより、
これらの2つの特性が改善する。

種々の導電助剤を組み合わせることによる放電特性の向上

➲通常、電極には1種類の導電助剤を用いますが、金属シリコン電極においては、導電助剤を複数
用いることにより、電極成型性が向上。さらには、電極の導電率改善による放電特性の向上。

③水溶性結着剤の適用による量産性の向上

➲金属シリコン電極を作製するためには、不活性雰囲気下で高温の熱処理を加えるなど量産に
は不向きな工程が生じる場合があるが、水溶性結着剤を適用することで、その工程の簡略化が可
能になり、その結果、高い結着力を維持しつつも量産性に優れる電極組成化に成功。

 

 

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エネルギーと屋内農園

2018年03月07日 | デジタル革命渦論

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

         ※ コツは教えられない:大工や車大工が弟子を敦えるとき、指し金の使
              い方を
教えることはできる。だが微妙なコツは、教えることができない。

         ※ 不仁にして国を得る者:なるほど不仁な人間が一国の君主になること
              はある。
だが、不仁な人間が天下を治めることはあり得ない

          ※ 民を貴しとなし、君を軽しとなす:人民がいちばん貴い。次が社稜(
       国家の守護神)、君主はその下である。人民の信頼を受ければ天子にな
       れるが、天子の信頼を受けても諸侯にしかなれない。諸侯の信頼を受け
       てもせいぜい大臣だ。社稜をないがしろにする諸侯はとりかえてもよい。
       肥えた犠牲(いけにえ)や清浄な五穀を供え、時節をたがえず祭っても、
       干ばつや洪水を起こすような社稜なら、社稜もとりかえてかまわない。
 
      【解説】 孟子の王道論には、民本思想が多分にあるが、「民を貴しとな
       し、君を軽しとなす」のことばは、それを端的に表わしたものとして有
       名である。君主専制時代には、湯武放伐の章とともに、とかく非難の的

       になった。

従来から、光半導体の一種である酸化チタンは様々な化粧料――基礎化粧品、洗浄料、頭髪用化
粧品、育毛剤、デオドラント化粧品、制汗剤、ファンデーション、白粉、化粧下地、ほほ紅、ア
イシャドー、アイブロウ、口紅、さらには固形石鹸、日焼け止め等に用いることができる化粧料
および医薬部外品
――の添加剤に用いられている。例えば、
雲母や合成マイカに酸化チタンを被
覆した雲母チタン(いわゆるパール顔料)は干渉光をも
つが、化粧料に適当な発色と光沢とを付
与したい場合に好適に用いられている。一方で、酸化チ
タンは、光が照射される等の所定の条件
が整うことにより有機物の分解性や超親水性を発揮する「
光触媒」としても近年脚光を浴びて、
光触媒作用を利用れている。しかし、化粧料の添加剤として用いられている酸化チタンは、その
光触媒作用は必ずしも充分なものではなく、優れた有機物分解能、特に細菌やウィルスを分解す
る作用を有した化粧料の開発が期待されていた。

この背景には、アトピー性皮膚疾患やハウスダストに代表される粉塵に起因する皮膚疾患に悩ま
される患者が多くなっていることが背景としてある。上図のDR.C医薬株式会社の「花粉を水に変
えるマスク」はこの期待に応えるようにして登場しテレビでCMビデオが頻繁に流れるている。
このブログでも掲載していきたが対象物の補足・飛散防止機能に注目し、光触媒による殺菌・分
岐機能には断念ながら注目せず、マスクによる眼鏡の曇り防止に注目してきた。このように「化
粧品」に特化した機能性ファウンデーションから衛生マスクの商品開発に応用展開するパターン
DR.C医薬株式会社ではならずのものである。どの程度効果あるのか、自己検証はこれからであ
るが今夜は、同社の保有特許/知財の理解に努めた。
 



❑ 特開2007-137808  化粧料 岡崎 成実

【概説】

この化粧料によれば、少なくとも光半導体粒子と金属粒子とを構成要素とする光触媒機能体を含
有すること、により解決される。また、この化粧料にあっては、前記光触媒機能体が、前記光半
導体粒子と前記金属粒子のみならず、物質を吸着する性質をもつ吸着剤も構成要素とできる。ま
た、この化粧料は、光触媒機能体を構成する光触媒粒子が、アナターゼ型の酸化チタンとルチル
型の酸化チタンで、金属粒子がで、この化粧料にあって、光触媒機能体の添加量が、化粧料全
体に対し、0.01~50質量%であるり、レハロース――キノコ類、海藻類等広く自然界に存
在する非還元性の二糖類であり、高い保湿効果を有することが知られている。医療用としては、
臓器の保存や角膜の乾燥防止等に使用されており、高い細胞保護効果をもつ――を含有し、その
ため、この化粧料に含有させた場合には、光触媒機能体の有する酸化作用から肌を保護すること
ができ、また、脂肪酸の酸化やアミノ酸の分解を抑制する作用もと、光触媒機能体の酸化作用
ら化粧料中の成分を保護して品質の劣化を防ぎ、化粧料の
香気を安定に保つ。肌に適用した際に
は、人の皮脂の酸化を抑制して2-ノネナール等の悪臭成分の発生を防止するため、光触媒機能
体による悪臭成分の分解作用に加えてさらに高い消臭効果を発揮でき、トレハロースの保水機能
により、化粧料を肌等に適用し光触媒機能体が肌に付着した細菌や粉塵中の有機物成分を酸化分
解によって生じた水分を保持し、外部から水分を補給することなく、肌をしっとりと保もてる。

なお、トレハロースの含有量は特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましい、
他の化粧料成分との比率やトレハロースによる粘度の上昇を考慮して、化粧料全体に対し20質
量%以下であることが好ましい。従来の化粧料と異なり、単に酸化チタンの発色や光沢を利用す
るのではなく、酸化チタンに体表される光半導体粒子と、当該光半導体の機能を向上させる金属
粒子で、優れた光触媒作用を発揮、また、アトピー性皮膚疾患や様々な細菌に起因する皮膚疾患、
粉塵に起因する肌荒れ、汗による悪臭等を効果的に防止できる。


【符号の説明】


 1 光触媒機能体  1a  光半導体粒子  1b  金属粒子  2   吸着剤

     No.164

【省エネ篇:閉鎖生態系工学】 

● ニンニクの屋内農園でわかったこと

ニンニクをインドアーで安く生産できないか調査をはじめ、このブログテーマの1である「植物
工場」の応用展開の現況を僅か1日で知ることができた。結論から言ってしまえば、❶省エネで、
❷ゼロ廃棄物で、❸気候変動に左右されず、❹自然エネルギーを使って(=エネルギーフリー社
会の実現)、❺ハーブ、緑青野菜、根菜類などの栽培が、❻手軽に、新鮮に、安く手収穫できる
時代に突入していると。まず、ニンニクの栽培には、太陽光が要10時間/日で、猛暑・多湿回
避での環境下であれば、屋内水耕及び土壌の両栽培は誰でも行える(上図参照)。

    

今夜の調査で注目したことは2つある。その1つが、併載系生態工学――宇宙開発、とくに有人
宇宙活動におけるさまざまな生態工学的な取り組み、地球環境問題の解決のための陸域環境や水
圏環境での取り組み、農業やエネルギー問題についての生態工学的なアプローチ、センシングや
光と生物の問題など、生態工学の基礎となる学問分野――の研究がこの日本で30年間なされて
きたことを体系的に知ることができたということである。もう1つは、スプラウト養育を別にし
露地栽培、必要太陽光(=日照)時間についてである。発光ダイオード照明を前提して、ニンニ
クの場合、❶有用波長領域(例えば光合成吸収)の確定と、❷生育エネルギー源としての波長領
域の確定であり、❸例えば、波長変換フィルムとの併用(多層化)で無駄なエネルギーの有効利
用に転換する技術とはなにかという命題である。そのほか、❸との絡み意匠性を校了した、育成
ボックスの透視部あるいは内壁部位の光反射機能化及びマジックミラー化などである。このいず
れも特許地代との直結する。以上、これで実践のみをサスペンドする段階に到達した考えている。
いや、面白い「エネルギーフリー社会と屋内農園」の融合だ。

     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.13   

    ● 対談2 新しい現実をつくる  

   『エネルギーは集中型か分散型かではなく、ミックスでいく』  

                         藻谷浩介 日本政策投資銀行特任顧問 

 

1964年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。アメリカ・コロンビア大学経営大学院修了。M
BA取得。88年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)人行後、2012年から現職。特定非営利
活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク理事長,2011年度内閣官房「東日本大震災
復興構想会議専門委員会」委員、内閣府・財務・経産・国交・総務二厚生労働・文科省等の委員
を務める。海外59カ国を巡歴(米国についでは50州すべてを訪問)している。人口成熟問題、中
心市街地、産業振興、市町村合併、地域金融、観光振興、地域再生などをテーマにしている。著
書に『里山資本主義」一(角川書店/2013)『デフレの正体』(角川書店/2010)『実
測!ニッポンの・地域力』(日本経済新聞出版社 2007)など多数。
 

 
   原発再稼働を唱える声の背後にあるもの

 鈴木 原発の仕組みをつくっている巨大企業、そういう会社は日本だけでなく世界的に影響
 力を持つ仕事をしているわけですが、そういう会社のトップから「うちは日本でこ
ういうエ
 ネルギーをやりたいと思います」「自分の会社はこういう方針でいきます」と、
そういうコ
 メントがなぜ聞けないのかと疑問を感じます。

 藻谷 オーナー企業ならばいえると思いますが、サラリーマン経営者は、先輩だの現場だの
 いろんなところにおもんぱかって、既定路線をなかなか崩せません。既存のシステ
ムのなか
 で勝ち上がってきた人ですから、そもそもシステムを変える必要性を感じてい
ない場合も多
 いでしょう。

 鈴木 残念ですね。原発そのものをつくっている会吐も同じですか。
 
藻谷 日立、東芝、三菱重工ですね。この3社はいずれも素靖らしい省エネ技術を持つ会社
 でもあるんですね。
鈴木 そうですよね。再生可能子不ルギー関連の技術も持ってますよね。
 藻谷 原発は彼らの社内では一部門でしかないわけです。とはいえ、手がけてきた以上はも
 っと儲けたいでしょうから、当然再稼働に賛成でしょう。ですが、原発が再稼働し
くても、
 廃炉にしても、すでにある使用済み核燃料の処理にしても、これから莫大な
お金のかかる世
 界があるのですから、本当はそっちに絞ればいい。他方で、新子エネルギー
関連の部門を伸
 ばすチャンスが増えるわけですし、万が一の事故の場合の訴訟リスクも
減りますし、もっと
 も、今回はGE製の古い炉が原因だったので、彼らは責めを負わず
に済んでいるわけですが。

 鈴木 あの人たちがコ介に日本の将来を考えて、再生可能エネルギーに舵を切ることを考え
 るべきだと思います。

 藻谷 少々心配なのは、先はどから述べている第4の考え方、日本は核武装能力を持ってお
 くべきであると考える勢力の影響ですね。特に三菱垂工は白身が兵器メーカーでも
あります
 から、なおのこと再稼働反対などとは言いにくいでしょう。ですが、言う、言
わないに関係
 なく、社内では省エネルギー技術、再生可能エネルギー技術にシフトしていって
ほしいです
 ね。アジアマーケットで考えても、アジアに原発を売って儲けるよりも省エ
ネ技術を輸出す
 るほうがはるかに市場は大きい。わかりきったことなのに、なんとなく
何やかやにおもんぱ
 かって踏み切れない。

 鈴木 そういういろんなことがあって、なおかつ、今度の原発事故で電気料金が上がったり
 すると、もっときびしい。だから、とりあえず電気だけは安定してこのままでいき
たい、原
  発を動かしてくれ、そういう経営者が多いわけです。

  藻谷 電気料金の値上がりは化石燃料価格の上昇が原因で、これは少々原発が稼働したくら
 いでは解消に向かいません。再稼働で使用済み核燃料が増えれば、さらに将来の負
担が増え
 ることになります。それから関東地方の場合、そもそもどこの原発が稼働して
電気を送って
 くるのでしょうか。東北電力エリアである福島や新潟の原発が、東京のた
めといって、そう
 そう簡単に動くとは思えません。つまり省エネをすすめ、地域独自のエネルギー
を生む努力
 をしていくしか、具体的な対処策はないのです。
電気料金が高いと、海外への工場移転が加
 速するという懸念の声も聞きます。ですが
中国でも韓国でも子不ルギーを化石燃料輸入に頼
 っているという事情は同じです。そも
そも、コストが安いというだけで移転すれば、その後
 は年々コストアップに悩まされる
ことになってしまいます

   本当の国際競争力、本当の豊かさとは

 鈴木 日本企業がかつて多数中国に進出したのは人件費が安いからだということですが、逆
 に中国の労働者の立場で考えたら「なんであなたたちがきたか知ってるよ。私た
ちの給料が
 安いからでしょ」ということですから、やることは決まってますよね。賃上
げ交渉が始まり、
 労働 争議が頻発し、結果的に人件費が上がります。

 藻谷 中国も少子化で労働力も足りなくなってきていますからです。

 鈴木 そうですね。結果的に商売ができないから、またよその国に行く。どこまで繰り返す
 のでしょうか。

 藻谷 そもそも最近の工場海外進出は、低コストを求めていくのではなく将来の市場にあ
 らかじめくさびを打ちにいくのです。インドネシアが典型で、6億人の東南アジア
市場開拓
 のために行くわけです。ところが中国では、13億人対応の分か飽和してしまっ
たので、工
 場の新規進出はぐっと少なくなりました。6他人しかいない東南アジアも、
このままではも
 っと早く飽和します。

 その次は周辺合わせて16植人いるインドですが、インドはインフラの整備状況一つとっても、
 中国よりもずっと難しいところですね。それはともかく、中国というメイン
ディッシュをい
 ただいてしまった後は、デザートやつまみしか残っていないのです。
このように資源が枯渇
 していき、市場が飽和していくなかで、生き残るのはだれかと
いうと、欧州の一部企業のよ
 うにブランドを確立して商品を高く売っているころなん
です。安いものを安く売っていると
 ころは業界全体がおかしくなってしまう。その典型
が、汎用半導体とかカラー液晶パネルと
 か、「全社赤字ですよ」という分野です。
そういう事実を知らずに、「日本はサムスンに負
 けた」と騒いでいる人が大量にいる
わけです。

 鈴木 サムスンの話が出ましたが、サムスンは韓国の会社だから「韓国に負けているんだ」
 という論調があります。ところが、国際収支統計では日本が黒字です。なおかつ、
サムスン
 の中身を見ていくと、サムスンをだれが持っているのかというと、株主はほと
んどが世界資
 本であるわけです。サムスンは韓国の会社じゃないと思うわけですが、そ
のへんはどうです
 か。
 藻谷 サムスンは韓国内にはあまりお金を落としていません。ごく一部の人を雇っているだ
 けで、工場は海外にありますし、韓国の実際の豊かさの向上には貢献していないわけです。
 業界構造として利益が出にくく、そういうやり方をしないと生きていけない会杜なんです。
 日本の電機メーカーにも同じことがいえます。結局、国際競争力というのは、どれだけ輸出 
 できるかではなくて、どれだけ人件費を払えるかということなんだと思います。

 鈴木 なるほど、人件費が払える国こそ競争力の高い国ということですね。
 藻谷 スイスのビジネススクールTIMDが作成している国際競争力指数で、日本がトップ
 クラスだったバブルのころは人件費が高かったのですが、いまは人件費を削り倒して輸出を
 増やす国になってしまいました
 バブルのころは42兆円だった輸出が、2011年は63兆円と、1・5倍に増えたわけです。
 輸出がI・5倍になったから指数が上がったかというと、1位から23位に落ちてしまった。

 鈴木 実感としての豊かさがないですしね。今日は意義深いお話をたくさんありがとうござ
 いました1た。おうかがいしたいことがまだたくさんあります。今後ともよろしくお
願いし
 ます。


                       2012年6月29日
 鈴廣蒲鉾本店にて

結局のところ、テーマの「エネルギーは集中型か分敢型かでぱなく、ミックスでいく」の詳細な
ことは触れずに、「脱原発/自然エネルギー転換」の基調背景が主として経済的側面から語られ
るにとどまる。次回は、河野太郎衆議院議員との『3・11以後は、この国のありようを変える
チャンス』に移る。



● 今夜の一枚

  

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エネルギー地産地消

2018年03月05日 | 新自給自足時代

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

           ※ 経典も全部は信用しない:言経』の記録をすべて信じこむなら、
         『書経』など読まぬほうがよい。武成篇にしろ、わたしはその中
         からごく一部を学ぶにすぎない。仁者には天下に敵がないはずだ。
         最高の仁治者が極悪人を討伐したのだ。楯が血で洗われるほどの
         激戦があろうはずがない。

        〈書経〉 夏殷周の治世を述べたもの。百篇からなる儒家の経典の
             一つ。
        〈武成篇〉『書縁』の中の一篇。武正が訂正を討伐したときの血み
             どろの戦闘が書かれている。
ただし今日伝わっているの
             は偽作とされている。

       ※ 戦わずして勝つ「わだしは作戦に自信がある。獄叩得意だ」と
         いう人は、大罪に値する。仁徳のある君主なら、天下
に敵はない
         はずである。南へ征伐に行けば北の蛮族から、東へ征伐に行けば
         西の蛮族から「なぜ先に
来てくださらないのか」と怨まれる。
         武王が殷の討王を征伐し仁とき、兵車は三百台、戦士は三千人に
         すぎなかったが、殷の人民に向っ
て「安心せよ、救いに来たのだ。
         危害は加えない」と呼ばわったとたん、殷の人民はひとり残らず
         ひ
れ伏した。征伐の征とは正すという意味である。自分の国を正
         してもらいたいと望まぬものはない。正すこと
を心がけさえすれ
         ば、戦をしかける必要はないのだ。

     No.163

【蓄電池篇:最新水性ハイブリッドキャパシタ技術

● わずか20秒で充電 画期的な新エネルギー貯蔵装置

昨夜の、韓国先端科学技術院の特許事例を理解を深めるために下記に掲載。

❑ 特開2013-165267 薄膜型スーパーキャパシタおよびその製造方法

【概要】

本件は、薄膜型スーパーキャパシタおよびその製造方法に関するものであって、グラフェンある
はグラフェン酸化物を使用して電極フィルムを製造する方法、グラフェンあるいはグラフェン
酸化物電
極フィルムをパターニング技法によって独立した二つの電極に分離して、二次元電極を
形成する方法、
二次元電極が有するインプレーン(in-plane)構造、集電体(current collecorを電極に
形成する方法、
および二次元電極に電解質を供給してマイクロメートル規模の厚さのスーパーキ
ャパシタを製造する
方法を含む。小型化が依然として進行中である携帯電子機器は、超小型モデ
ルに次第に発展しつつあり、厚さが薄くなった機器の性能を極大化するために、携帯電子機器に
バッテリーが内蔵される傾向にある。今後、紙のように薄い携帯電子機器への進化は約束された
も同様で、これに歩調を合わせて電源供給手段(バッテリー)も非常に薄くならなければならな
いが、現在使用されているリチウムバッテリーの構造では、超薄型電子機器に適用するのは困難
である。

これを克服するために開発されたリチウム薄膜電池があるが、単位体積当たり充電能力が一般の
リチウムバッテリーより低く、製造原価は3倍も高く、リチウムを含む特性上、先天的な危険性
を含んでいる。そのため、主要応用分野である人工臓器およびマイクロロボットなどのバイオア
プリケーション分野に適用が困難である。リチウム電池に代替される未来のエネルギー保存手段
として急浮上しているスーパーキャパシタは、数秒で急速充放電が可能であり2次電池より10
倍ほど高出力で、50万サイクル以上の半永久的な寿命を示す次世代エネルギー保存装置である。
スーパーキャパシタの重量当たりエネルギー保存レベルは、従来のバッテリーの1/10レベル
であるが、体積当たりエネルギー保存レベルは、リチウム電池と類似して、最近の報告によれば、
体積当たりエネルギー密度および出力密度の両面において、むしろより優れた結果を示している。
絶対的重量が小さい超小型電子機器には、重量より体積当たりエネルギー保存レベルがより重要
であるので、薄膜型マイクロスーパーキャパシタは、超小型電子機器に非常に適した電源供給手
段である。また、希土類および重金属を全く含まないので、安価で環境に優しく、酸化還元反応
を伴わないので、爆発性の全くない安全な未来型エネルギー保存手段である。薄膜型マイクロス
ーパーキャパシタは、紙のように薄くて、アクセサリー形態の携帯電話はもちろん、マイクロロ
ボット、人工臓器、スマートカード、マイクロ電子機械システムMEMS、電子ペーパーなどの非
常に小さい電源供給装置を必要とする超小型電子機器分野において、既存のバッテリーに代替され
て使用されるものと期待されている。

スーパーキャパシタは、リチウムを全く含まないので、安全性確保の側面で最も優れた電源供給
装置として評価されている。しかし、既存のスーパーキャパシタは、一般的なバッテリーと同一
な構造を有するので、超小型化するのが容易でない。言い換えると、従来のスーパーキャパシタ
は、二つの電極、電流集電体、分離膜がサンドイッチ状に積層されるスタック構造であるので、
MEMSに使用されるように、非常に小さくて薄い形態に製造するのが困難である。特に、スー
パーキャパシタとしてグラフェンを使用する場合、スタック構造では、イオンの移動が難しく、
効率が大きく低下することもある。

上記の課題を解決するために、本発明は、基板に付着された電極フィルムの両側に集電体を形成
する段階、および前記電極フィルムをインプレーン構造にパターニングして、分離された2つの
電極を形成する段階を含む薄膜型スーパーキャパシタの製造方法を一様態として提案。また、本
件は、電極フィルムの両側に集電体が形成されていて、電極フィルムは、インプレーン構造にパ
ターニングされて、分離された二つの電極を形成している薄膜型スーパーキャパシタを他の一様
態として提案。この実施例の薄膜型マイクロスーパーキャパシタは、マイクロ電子機械システム、
電子ペーパー、スマートカードなどの非常に小さい電源供給装置が必要な超小型電子機器分野で、
バッテリーを代替または補完でき、超小型電子機器のためのマイクロエネルギー保存装置への応
用される。

図 スーパーキャパシタの構造図
【符号の説明】

10 基板  12 電極フィルム  14 スパッタリングされた金  16 電気メッキされた金


     

 なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.12   

    ● 対談2 新しい現実をつくる  

   『エネルギーは集中型か分散型かではなく、ミックスでいく』 

                         藻谷浩介 日本政策投資銀行特任顧問

1964年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。アメリカ・コロンビア大学経営大学院修了。M
BA取得。88年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)人行後、2012年から現職。特定非営利
活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク理事長,2011年度内閣官房「東日本大震災
復興構想会議専門委員会」委員、内閣府・財務・経産・国交・総務二厚生労働・文科省等の委員
を務める。海外59カ国を巡歴(米国についでは50州すべてを訪問)している。人口成熟問題、中
心市街地、産業振興、市町村合併、地域金融、観光振興、地域再生などをテーマにしている。著
書に『里山資本主義」一(角川書店/2013)『デフレの正体』(角川書店/2010)『実
測!ニッポンの・地域力』(日本経済新聞出版社 2007)など多数。
 

 小田原箱根エネルギーコンソーシアム

   日本の国際収支改善は省エネと自然エネルギーから

 鈴木 エネルギーに関して、地域でできることの可能性もすごく大きいということがわかり
 ましたし、それによって地域の自立にもつながっていく。

 それで、ちょっとここで地域の話から国全体の話に視点を変えると、一つの議論が「石炭、
 石油を買うから日本は貿易が赤字になって厳しくなる。だから、原子力でいくんだ」
という
 ものですが、かなりマクロ的にグローバル経済のなかで財政収支を切り口にした
ときに、わ
 が国のエネルギー政策はどういう方向になるのでしょうか。

 藻谷 まず事実を確認しておかないといけないんですが、現時点で最新の2014年4月ま
 での国際収支データを見る限り、日本の輸出は震災直後の2カ丹を除いて、それ以
前と比べ
 まったく減っておりません。ちなみに今年の3月の輸出はリーマンマンショック以
降では最
 高を記録しました。それなのに震災以降貿易収支は赤字になっています。なぜ
かというと、
 化石燃料の輸入が増えたためです。震災後には1ドル70円台の超円高に
なりましたから、
 その分輸入額が下がったはずなのですが、それを打ち消すくらい化石
 燃料の価格高騰が大
 きかったのです。

 よく、原発をとめたせいで化石燃料輸入が増えたといわれますが、正確には「原発事故によ
 り世界中の化石燃料価格が上がった」ことが最大の要因です。さらには、緊急に
LNG(液
 化天然ガス)を調達しなければならなかった電力会社が、非常に高い単価で
契約を余儀なく
 されたことも大きく響いています。

 鈴木 量の増加以前に価格が相当上がったわけですね。

 藻谷 そうです。世界的な上昇に、いわゆるジャパンプレミアムが加わっています。そもそ
 も日本が輸入しているLNGの価格は、「原油価格に連動する」というおかしな契
約になっ
 ている。その結果、一説には国際相場より十数倍も高い価格でLNGを買わさ
れているとい
 われます。

 そこで、早く原発を再稼働しようという意見が出るわけですが、確かに手持ちの核燃料を使
 えばその分、化石燃料の輸入は減りますし、足元の貿易赤字にも若干の改善効果
はあるでし
 ょう。ですが、発電用は化石燃料輸入の一部です。そもそも重油も軽油もガ
ソリンも灯油も
 値上がりしているわけで、赤字そのものを何とかしたければ、日本全体のエネルギー消費を
 見直すしかありません。ましてや、いま、極端に円高に振れているのが円安に戻っていくこ
 とにでもなれば、ますます、電力関係以外での化石燃料輸入額も増えることになります。

 加えて原子力発電は、それ自体が高くつくものです。仮に手持ちの核燃料を使う分石油輸入
 が減って足元の国際収支にプラスでも、国内のエネルギーコスト全体に関してはマイナスで
 す。実際問題、アメリカでは、原発はコスト高なので多年新設がなされていません。そのう
 え今回の福島の事故で保険料が上がり、しかも技術革新でシェールガスが採取できるように
 なって、ますます原発はペイしなくなりました。使用済み核燃料の再処理で無限にエネルギ
 ーを取り出すという話も、日本ではプラントの故障の連続で実現の気配がなく、実用化まで
 いっていた英国では一部で撤退が決まっています。

 さらには、日本では核廃棄物の最終処分方法がまったく固まっておりません。各原発の構内
 で使用済み核燃料を冷やして一時的に保存しているわけですが、今回の福島第一原発4号機
 をみてもわかるとおり、これはたいへん危ない状態です。さらにこれからは、廃炉関連の廃
 棄物もどんどん出てきます。それらの最終処分場はどうかというと、どこも引き受けてくれ
 ない。金を払うからだれか引き受けませんかと言えば言うほど、危なそうだからだれも手を
 挙げない。この使用済み燃料や廃炉に関する費用まで織り込めば、原発のコストは非常に高
 いわけです。これにさらに、実際に起きてしまった福島の事故のコストを織り込めば、天文
 学的なことになるわけですが、仮に事故がなかったとしても、あるいは今後二度と事故が起
 きなくても結論は同じで、再稼働をすれば、さらに日本人の将来の負担が増え続けます。原
 発が金部とまっているのはいい機会ですので、将来の世代へのツケ回しは、ここでやめてお
 くべきです。

 そもそも電力会社の購入しているLNGはなんでそこまで高いのか。しかも、なぜ近隣のロ
 シアや東南アジアではなく、中東屋が多いのか。総括原価方式で電力料金に転嫁できるから、
 一説に国際市場価格の18倍とも聞く契約をしてきたのかもしれませんが、いずれにせよ、そ
 の水準の高さ自体が、「原発は安い」といってそちらに誘導しようとしてきた政府にとって
 も、都合のいいものだったわけです。

 鈴木 原発というのはコスト計算をきちんとするとまったく安くないわけですよね。それな
 のに国際収支を安定させるためには化石燃料よりも原発だと、国内で将来発生するコストに
 触れずに誘導が行なわれているということですか。

 藻谷 政府も一枚岩ではありません。この間、経済産業省の石油資源課長に偶然お会いしま
 したので、「この状況でさらに円安になったらどうするんですか」と聞いたんです。国際収
 支が大赤字になっちやいますからね。すると彼は「まったくご懸念の通り」と言うわけです。
 「われわれぱ不眠不休で必死にやってます。あの手この手を使って、わけのわからない石油
 連動価格のLNG調達契約を変えるために全力を尽くしています」と話していました。まっ
 たく正しい行動だと思いますが、彼らをここまで苦労させている石油連動価格などというも
 のが存在してきたこと自体、原発に誘導したい向きには好都合だったわけです。

 鈴木 驚きますね。
 藻谷 いずれにしても再稼働をすれば10年以内に各原発の構内の使用済み核燃料プールが
 満杯になります。しかも、福島の事故で一時的に下がっているウラン価格も、今後はまた上
 がっていきます。日本がこうなっても、中国もインドも経済成長には石油依存だけでは無理
 で、原発をやめられませんから。

 幸い、米国内でのシェールガス採掘の本格化で、米国の化石燃料輸入は減っていき、中東産
 やロシア産はだぶつきます。玉突きで日本の輸入するLNGも安くできるチャン
スですから、
 この際調達先を多様化してバーゲニングパワーを得なければなりません。

 とはいえ、現在の極端な円高が円安方向に戻るようなことがあれば、少々の価格低下は打ち
 消されてしまいます。だから、鈴廣さんがやったように電力使用量を総量として下
げるとい
 うようなドラスティックな技術革新という方向へ、日本の産業全体が行かざる
を得ないと思
 います。

 鈴木 まだまだ賢いエネルギーの使い方があるはずです。前よりもっとドラスティックに舵
 を切っていくことによって、省エネルギー化も進むでしょうし、技術革新も捗るで
しょうし、
 結果として電気の使用量が何割か下がれば、「原発はいらないよね」という
話になります。

 藻谷 事態は石油ショックのときとよく似ています。当時も石油がドラスティックに値上が
 りしましたが、それを機会に日本中の企業が省エネ技術の開発に走ったから、日本
の産業が
 その後30年以上も競争力を保ったのですブこれに対していま、原発再稼働に
に一人当たりG
 DPが世界最高だったのが、最近は17位と多くの国に抜き返されていま
す。ですが、GD
 Pが縮小したわけではなく、ゆとりや便利さが失われているわけでは
ないのですがこの間に
 15から64歳の現役世代は6パーセント減り、65歳以上の高齢者は
2倍以上に増えてい
 ますから日本経済はダメでも何でもないどころか、大健闘していま
す。

 そもそも、日本のように急速に人口成熟の進む国の経済が、若者ばかりだったころのような
 成長に戻るというのは非現実的です。それでもへたに成長を狙えば、労働力不足
を袖うべく
 機械を増やし、化石燃料輸入でどんどん貿易赤字になるかもしれない。いま
日本は中国だと
 か、韓国だとか、インドだとか、アジアの新興国すべてに対して貿易黒
字です。もちろんア
 メリカに対しても黒字、ヨーロッパに対してもトータルで黒字。で
はどこに対して赤字かと
 いうと、アラブの産油国をはじめとする資源国です。結局、日
本は欧米アジアからお金を集
 めてアラブに貢ぐ、真空掃除機のホースのようなことに
なってしまっているわけです。

 だから、活路は明らかです。省エネと自然エネルギー活用を進めれば、豊かさが国内に残る
 ようになります。GDPの総額を増やすより先に、子不ルギー購入を減らすこと
を考えるべ
 きなのです。日本にはたいへんな省エネ技術があるのだから、スマートグリッ
ドを含めて、
 各地域ごとにエネルギー効率を上げるようにしていけばいい。単に目先の
金勘定だけ考えて
 いるのではダメで、バックアップシステムもちやんと持つことですよ。

 鈴木 今度の事故でわかったことで、原発そのものが不安定なもの、危ないものなんだ、
 つか何かあったら大変だ、それをわれわれは知ってしまったわけですね。それを知り
ながら
 知らんぷりをして安心・安全な暮らしはないと思うし、豊かさがあるんだろうか
と思うわけ
 です。

 藻谷 ありえません。これは、国債を発行しながら景気対策ばかりやっているのとまったく
 同じ構造です。将来に大きなツケが発生していることを内心わかっていて、それで
も目先の
 利益に走っていると、人間だんだん刹那的で虚無的な気分になってくるもので、
心の平安も
 失われていきます。極端な成長を追い求めるという建前をそろそろおろして、
ほどはどの安
 定、ほどはどの成長を目指すという本音で語ってはどうなのでしょうか。横
ばいでいいから
 豊かさが昧わえる社会にする。そうして消費者が安心すると必ず消費
が伸びます。

 鈴木 そう思いますね。安心・安全な暮らしがあって、いろんな物を買おうとか、何か食べ
 に行こうということになるわけですね。そういう意味でも地域でエネルギーを見直
していく
 必要がありIます……。

 藻谷 経済人がそういうことを言うのは極めて垂要で、現実にエネ経会議の人たちがこれを
 言うのは非常に価値がありますね。金融界をも含めて金勘定の立場からもどんどん
本音を言
 っていいんだぞ、という流れをつくりたいですね。

 鈴木 そうありたいと思います。

-小田原箱根コンソーシアム | 湘南電力

   原発再稼働を唱える声の背後にあるもの

 鈴木 ところで、歴史を振り返ってみると、どこから原発が発達したか、まず、そこに目が
 いくわけですが、やはりオイルショックですか。


 藻谷 オイルショックで加速したんです


 鈴木 そうすると、スタートはもっと前ですか。

 藻谷 前です。日本も原子力を扱う一等国になるぞというところからスタートしているわけ
 です。被爆国として、敗戦国として、おまえらは原子力を扱うなといわれかねなかった時期
 に、そんなこといわないで人並みに原子力を扱わせてくれという、戦後復興をやった人たち
 の血の叫びから始まっていることなのです。あの世代の人たちはいまだに敗戦のショックを
 引きずって生きていますから、ここで日本が原発を放棄するのは大きな後退だ、と受け止め
 る人もいるでしょうね。さらには、使用済み核燃料の再処理で精製されるプルトニウムを待
 っていることが、日本に潜在的な核武装力を付与しているわけで、
 日本も核兵器を待つべきだという認識の人にすれば原発は重要な存在なのです。最初に原発
 を推進した顔ぶれのなかにも、そういう層の人たちがいます。

 鈴木 原発の裏には、戦後日本の方向を巡る思惑があったわけですね。

 藻谷 いま、原発の再稼働を唱える向きには4種類あると思います

 第1は、足元の経済成長のためには原発が必要だと、マクロ経済掌上の機械的な計算から単
 純に信じ込んでいる人。財界などの大多数はこれでしょう。とはいえ、現役世代の人口がど
 んどん減少している日本で仮に今後経済成長が加速したとしても、一人当たり電力需要がよ
 ほど増えない限り、電力の総需要は増えないわけです。ですが、それはありえないでしょう。
 日本でこれから資源多消費型の製造業がどんどん伸びるというのは非現実的ですし、他方で
 省エネ技術が進展しますから、経済成長と発電能力を結びつけて論じるのは、マクロ経済学
 を中途半端に理解している人が陥る短絡です。

 第2は、私かお話ししてきたような日本の国際収支の現実、アラブに治代を貢ぐために経済
 活動しているような状態を理解し、あるいは日本のCOご排出量を真剣に憂慮し、化石燃料
 依存を減らさねばならないと思っている人。これは論理的な考え方ですが、だからといって
 原発を継続し、輸入ウランヘの依存を高め、使用済み核燃料間速などの後年度負担を増やす
 というのは、経済的にはやはりナンセンスです。お金は省エネと自然エネルギーにまわすべ
 きなのです。

 鈴木 なるほど。私たちの方向性は、経済的にも間違っていないのですね。

 藻谷 そうです。そして第3が、戦後復興の経緯を踏まえて、世界の一等国としてせめて核
 技術の平和利用は続けたいと願っている層。第4がさらに進んで、核武装能力を保持したい、
 あるいはいずれ核武装したいと願っている層。高齢の財界人の場合には、感情としてこのい
 ずれかにとらわれている人も多いでしょうね。ですが、この第3、第4の層はいかがなもの
 か。同じく敗戦国ですが欧州の柱石としてプレゼンスを高めているドイツは、脱原発の方向
 に連んでいます。しかし、それで彼らのプライドが傷ついているという話は聞きません。

 そもそも、今回の福島原発の事故で国土が損なわれたことに、国のプライドにこだわるよう
 な連中があまり・にも鈍感ではないかと、ぼくは情っているんです。中国が相手の尖聞問題
 ではあんなに怒っている連中です。仮に福島原発の事故原因が北朝鮮のテロだったりしたら、
 頭が沸騰しかねないでしょう。ところが、今回は日本人自身の失敗だったために、連中はだ
 れも怒っていない。先祖が営々と耕してきたあれだけの面積が損なわれていることに対して
 だれも怒りをぶつけない。だれも責任を取っていないし、裁かれてもいない、そこに暮らし
 ていた人たちのことにまで考え及ばない、国益といった抽象的なものしか考えない人であっ
 たとしても、子孫の幸せよりいまの繁栄が大事という人であったとしても、ここまで国上が
 損なわれたことについて、せめて国土や先祖に対して申し訳ないという感情が湧いてこない
 ものなのでしょうか。抽象的な国というものだけを愛していて、具体的な国土は愛していな
 いというのは奇妙です。

  小田原箱根エネルギーコンソーシアム

 ちなみに戦争のときにも同じことが繰り返されました。戦災で日本国中の主な町がみんな丸
 焼けになって、先祖から伝わったものすごい数の文化財を焼失してしまったのに、ほとんど
 の日本人がそのことについてまったく痛みを覚えていません。仮に、日本を含むアジア中で
 尊い人命が失われたことについては痛みを覚えないような冷血な人だったとしても、仮にも
 国を愛するというのであれば、文化財の喪失くらいは惜しんでほしいものです。そのような
 事態を招いた責任者は日本人自らの手で裁くべきだったでしょう。

 ところが、われわれには責任はなかった、東京裁判はけしからん、そんなことばかりしか言
 わない。やられたのが悔しい、そんな思いしかない。これは子どもの論理で、大人とはいえ
 ません。

 鈴木 それは政権の中枢にいる政治家にもいえることではありませんか。

 藻谷 中枢から路地裏まで日本中に、戦争やら事故やら不景気やら、「悪いことは何でも、
 自分のせいではなく他人のせいだ」と考えるこの子どもの論理は蔓延しています。「他国並
 みにならないと侮られる」と思って必死に背伸びするのも、同じく子どもの論理ですね。

 鈴木 そうした論理に支えられた、原発は何かあっても持ち続けたいという、大きな圧力が
 あるということですね。

 藻谷 圧力は直接はないけれど、そういう思いがあるであろうということに、お互いにおも
 んぱかって行動しているわけです。

 鈴木 何か見えないものにみんながみんなおびえている気がしますね。

 藻谷 だれからも指示は出ていない。だけど、こういうふうに指示がくるに違いない、とい
 う読みで動いている人が多い。結果としてだれかの。指示に従ったのと同じことになってし
 まう。権力を行使している奴は実はいないのに、皆が同じ方向に動く。そういう怪談話めい
 た現実があるのは確かです。

 鈴木 お互いにおもんぱかっているとおっしゃいましたが、だれかの意思というのがその根
 底にあるということではないんですか。藻谷 ずっと捜しているんですが、発見できない。
 つまり、ないのでしょう。

 鈴木 ないんですか?
 藻谷 私は最近、日本人というのはイワシの群れに似ていると感じています。水族館の太水
 槽で見ていますと、リーダーはいないのに瞬時に群れ全体が方向を変える,それぞれが自分
 の横のイワシについていく習性を持っている結果、先頭あたりの個体の些細な動きが、群れ
 全体の動きとして増幅されてしまうのです。太平洋戦争もそうだったのでしょう。日本人全
 員が死を覚悟するところまで追い詰められたのに、終わったときに「これは俺の責任だ、腹
 を切らなければ」と思った人が中枢にはだれもいなかった。実はだれも全体を誘導したわけ
 ではないのです。東条英機はなぜ自分の責任だとは思わなかったのか。彼の認識では、彼の
 意思で戦争を始めろと指示を出したわけではないからです。だれかがそう指示するであろう
 とおもんぱかっただけなんです。

 鈴木 実は、この間、上智大学でシンポジウムがありまして、政府がこれからのエネルギー
 をどうするか、エネルギー・環境会議が去年の7月から20回ぐらい議論をしてから20な
 いし25パーセントの範囲で選択肢を出すことになっていたんですが、本当は2012年春
 の3月くらいに笞申しないといけなかった。最終的に決めるのは8月ですが、8月までの間
 に国民的議論をしますというシナリオで勤いていたのが、いまだに選択肢が決まらずに、6
 月29日に、ようやく ……。

 藻谷 国民的議論なんか全然されていないですよね

 鈴木 ええ。8月に決めるということは7月からの1カ月で国民的議論をするという話にな
 っていて、実はこのシンポジウムというのは25人くらいの委員のうち4人が参加して、委員
 会でどのような議論がなされたか、どのような議論が足りないと思っているのか、そういう
 ことを話してもらったんです。私も第2部でパネリストに呼ばれたんですが、委員会に入っ
 ていない人から委員の人たちに質問をしました。そのとき、強く感じたのが、こういうふう
 に日本の将来に関係する犬切なことが決められていくのか、これはえらいことだ、というも
 のでした。国民的議論をこれからやるとおっしゃっているんですが、1カ月でどうやってや
 るのか、委員の人たちが何十回も議論してまとまらないのに。

 藻谷 そりゃ、まとまらないでしょうね。

 鈴木 これまでパブリックコメントやりました、タウンミーティング何回かやりました。一
 応、これで国民の皆さんの意見を聞きました。これが原発にかぎらず、すべてのテーマにつ
 いてのこれまでの国民的議論だったようですが、そうすると目本には民主主義があるのかと
 疑問を感じてしまうし、だれが委員会をコントロールしているのか、だれがどういう意思で
 どういう方向に持って行こうとしているのかまったく見えないわけです。

 藻谷 多くの委員は、お互いにおもんぱかっているだけで、確たる意思はないのです。先ほ
 ど4種類の思惑を挙げましたが、経済成長のために、あるいは貿易赤字脱出のために原発は
 必要という程度の抽象論では、原発にはコストがかかりすぎるという具体論すらはね返せな
 い。一等国として原子力を持ち続けたいと思う人も、所詮「他国に侮られたくない」という
 感情にとらわれているだけで、「原子力を続けてくれ、何かあったら俺が全責任を取る」と
 いうような、大人としての意思までは示さない。

 他方で経団連も何を考えているかまったくわからない。原発を再稼働するよりも、国全体と
 して省子不機器とか省子不建築、自然子不ルギー開発のほうヘシフトしかほうが、絶対に儲
 かる会社が多い。原発を推進しても、ごく一部の会社しか儲からない。なのに、なんとなく
 おもんぱかって、経済成長のためには原発は必要というような抽象的な文句だけを唱えてい
 ます。

 鈴木 電力会社はどうですか。

 藻谷 彼らの本音は「すでにある原発に関する責任だけ押しつけられて、経済産業省からハ
 イ、サヨウナラされてはかなわない」ではないでしょうか。それから東電以外の各社には「
 東電と一緒にされてはかなわない」という思いもあるんです。確かに閃電以下、東電以外の
 各社は、東電よりはずっと慎重に原子力を取り扱ってきていて、これまでの事故件数も少な
 いのです。だから、ひたすら既定の方針の維持を主張する。

 神奈川新聞 Dec. 19, 2016

 鈴木 まっとう.という言い方が適当かどうかわかりませんが、私たちが電力会社に期待し
 ているのは、まっとうな考え方です。「わが社ってこういうふうになりたいね」とか、もっ
 といってしまうと、将来、自分の子どもに対して「われわれの世代の努力でこういう世の中
 にしてきました」とか、理想と現実にはギャップがあるけれども、自分の会社は理想へ向か
 って努力してきた、といいたいと考えるのがまっとうな経営者だと思うわけですが、電力会
 社はどうなんでしょうか。

 藻谷 高品質の電力を大量に安定的に供給する、という理想に向かって努力してきたと考え
 ているのです。確かに料金は高いが、諸外国にあるような大規模停電はないし、災害時の復
 旧も早い。応対もサービスも丁寧です。ですが、これまではそれで十分たったけれども、こ
 れからもその延長でやっているだけでは、日本はエネルギーのコストで沈んでしまう。化石
 燃料輸入継続、原発再稼働、いずれもコストアップの地雷原です。そこにきて人口は減って
 いるし、最初にお話ししたように、そろそろ集中型システムに分散型システムをミックスし
 ていったほうが、長期的な利益にかなう情勢になってきている。高度成長期のままのやり方
 は改めるべき時期なのです。

 ところが電力会社がそうした新たな時代認識の下に、新たな理念を持ってやっているかとい
 うと、経営幹部は「自分が辞めるまでは既定路線のままでいてほしい」という意識です。職
 員も、個人個人は地域を愛する、意欲もある人が多いんですが、組織全体としては銀行と似
 ていて、自分たちが仕事をすることによって地域が大きく発展するとか、そういうことは念
 頭にありません。何とか売り上げを増やして目先のコストを下げようとばかり考えているん
 です。

累積国債発行数と累積核リスクを同次元で喩えることには首をかしげたが対談内容に異論はない。


                                    この項つづく

 ● 今夜の一曲

ポロネーズ第11番ト短調、フレデリック・ショパンの1817年の作曲したピアノ独奏曲、作曲者が
わずか7歳(8歳)の作品

 

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世界最大海洋風力発電

2018年03月04日 | 環境工学システム論

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

           ※ 人材を引き留めるには:人材を招いても、こちらに愛情がなけれ
         
ば、豚を飼うのと同じである。愛するだけで敬う気持がなければ、
         犬や猫を飼うのと同じである。肢うということは、贈り物をする
         ことではない。それ以前の心の問題だ。形だけ敬っても、心がこ
         もらなければ、人材を引き留めることはできない。

       ※ 教育の厳しさ:公孫丑が孟子に言った。「先生の説かれる道は、
         高遠すぎます。あれでは天に登れというようなもの、とても実践
         できるとは思えません。だれでも、よしこれならできる、と勇み
         立つように、もう少し一般向きに易しくできませんか」「大工の
         親方は、いくら弟子が下手でも、そのために縄墨を変えはしない。
         羿(弓の名人)も未熟な弟子のために、弓の引き具合を千加威は
         しなかった。弓を引きしぼり、矢を放つ寸前、的中を念じる心が
         躍如としている、これが真の教育者の心だ。道の中ほどで、待っ
         ていればよいのだ。やる気のある者はきっとついて来る」

       ※ せっかちは、やめるのも早い:やめてはならないときにやめる人
         は、なにをやっても中途半端だ。念を入れてやらねばならないと
         きに手を抜く人は、なにをやってもいいかげんだ。せっかちに進
         む人は退くのもまた早い。

       ※ 春秋に義戦なし:『春秋』に記録されているような乱世に、正義
         の戦いはない。甲が乙より比較的正しい、というだけだ。本来、
         征伐とは、天命に揃った天子が諸侯を討伐することである。対等
         な諸侯どうしが征伐しあうということはありえない

        【解説】 弱肉強食の時代における。”正義”とは相対的なものに
             すぎない。

       ※ ここでは、”二重の全否定”が表れている。これを実践できるの
         は究極の弁証への無窮の努力(=自立思想を獲得)をしなければ
         ならないと言ってのけているに等しい。

     No.162

 Mar. 2, 2018

【スマートグリッド篇:世界最大の海洋風力発電計画】 

3月2日、GE社は、2021年に世界最大の海洋風力発電――同社の6メガワットタービン製品よ
りエネルギー変換が45%上回る12
メガワットのハリアード(Haliade-X)、21年に導入する
ことを公表。
野心的な大規模化のタイムラインは、業界リーダーのMHI ヴェスタ社(MHI Vestas)
ガメサ社(Siemens Gamesa Renewable Energy)の2社を凌×駕するとを意味する。同社
は、今後3~
5年間を投資し、新しいハリアード(Haliade-X)――260メートルのタワーと107メートル
のブレードを装備――開発展開する予定である。海洋
風力発電会社の最高経営責任者のジョン・
ラヴェル(
John Lavelle)は、新製品の容積係数が63%を達成(経済効果として7百万ドルに相
当)すると述べている。

 

  Source: Hitachi, Ltd.

 

      

Mar. 1, 2018


【蓄電池篇:グラフェン電子素子工学Ⅲ

● わずか20秒で充電 画期的な新エネルギー貯蔵装置

2月28日、韓国は先端科学技術院らの研究グループは、リチウムイオン電池より安価で安全で環
境に優しく、携帯用電子機器に適した、わずか20秒で完全に充電することができデバイスを開
発したことを公表している。この水性貯蔵デバイス (毒性または可燃性の有機ペーストではなく
水ベースの溶液を含有)は、安全で信頼性の高い選択肢として重大な注目を集めていたが、 リチ
ウム電池より低可燃性で、(潜在的に)超廉価だが、この溶液のキャリア(電子を運ぶ物質)の
移動速度が遅いという欠陥があったが、今回、 水性ハイブリッドキャパシタ(AHC)と呼ばれる
デバイスの構造/構成を変更、負極(
アノード)にグラフェンベースのポリマー鎖材料を使用す
することで、
グラフェンの網目構造により表面積を極大化し、より大きな静電容量を実現。金属
酸化物ナノ粒子は、正極(カソード)材料として役立て、電気損失を最小限に抑え、より高いエ
ネルギー密度と速いエネルギー交換を実現さる。この
デバイスはフレキシブルな太陽電池やUSB
スイッチング充電器などの低電力充電システムを介し20~30秒で充電でき、従来の水性電池
よりも百倍もの大きな出力密度を実現。


Polymer Chain Anode and Metal Oxide Cathode for Aqueous Hybrid Capacitors

 Conventional AHC

❑ 長寿命で高いエネルギー密度と出力密度を可能にするハイブリッドキャパシタ
  用擬似容量性高分子鎖アノードとサブナノスケール金属酸化物カソードの合成
  Synthesis of Pseudocapacitive Polymer Chain Anode and Subnanoscale Metal Oxide Cath-
   
ode for Aqueous Hybrid Capacitors Enabling High Energy and Power Densities along with 
    Long Cycle Life, DOI: 10.1002/aenm.201702895  , 15 January 2018


【概要】

電気化学的エネルギー貯蔵は、安全性が高く、環境にやさしいため、非常に注目されているが、
長時間の充放電サイクルにわたってエネルギー密度と出力密度の厳しい基準を満たさなければな
らない。ここでは、擬似容量性の負極および正極を用いた高性能水性ハイブリッドキャパシタ
(AHC)を実現するための戦略が報告されている。還元されたグラフェンシート上のポリアニリン
の現場重合によって合成されたポリマー鎖は、20Ag-1の高い電流密度および高い温度でさえも、
繊維様の形態および酸化還元反応性表面積によりアノード材料として高容量を可能にする約6mg/
cm 2の負荷。 さらに、グラファイト上のサブナノスケール金属酸化物粒子は、擬似容量性カソー
ド材料として利用され、10nmのナノクリスタルより約3倍高い容量を示す。これらのポリマー
鎖アノードおよびサブナノスケール金属酸化物カソードをフルセルAHCに組み立てることにより、
100,000超酸化還元サイクル、約100%の容量保持と共に、水性電池のそれを超える高エネルギー
密度を与えることが示されている。 さらに、AHCは、超高速充電が可能な高出力密度で、2つの
AHCを直列に装備した、ウェアラブルディスプレイキッドを切り替えることで、フレキシブル太陽
電池モジュールとUSBスイッチング充電器で数秒以内の充電を実現できる。 

 Feb. 28, 2018

Aqueous Storage Device Needs Only 20 Seconds to Go;KAIST

最強の黒グラフェンの登場で有機/無機の材料領域が融合するという状況でさらに電池/スーパ
ーキャパシタなどの電子デバイスは大きく変わる。面白い反面、情報の整理整頓に追われるハー
ドな夜が続くよ。わかるかな、この四文字熟語?働き方改革? わからないね、吾は情熱なりで
ある(そだねぇ~、それはない!彼女は上で寝てる)。

 ● 今夜の一曲

 

 

 

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今津ざぜん草の里

2018年03月03日 | 滋賀のパワースポット

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

             ※ 舜ならどうするか:弟子の桃応(とうおう)が孟子にたずねた。
           「舜が天子のとき、皐陶は司法官でした。もし舜の父の回収が
                     人を殺したとすれば、皐陶はどうするでしょう」「捕えるほか
                     あるまい」「舜はとめないのですか」「とめようがないだろう。
                     人殺しを捕えるのは、昔から法令で定められていることだ」「
                     舜はどうするでしょう」「天子の位を捨てることなど、破れ草
                     履を捨てるくらいにしか思わなかった人だ。ひそかに父を背負
                     って逃れ、どこかの海辺に隠棲し、その暮しに満足して天下の
                     ことなど忘れてしまうだろう」


                   【解説】 舜の態度は、見方によっては無責任ともいえる。しかし孟
                              子の持論からすれば、親に孝養をつくす心で天下を治めるのである
                     から、親を見殺しにして天子の地位にとどまることは、それ自
                     体矛盾
していることになる。

                 ※ 何が風格をつくり出すか:孟子は范から斉都に帰って来たとき、
           斉の王子を箔かけて、賛嘆の念をこめて言った。「食べる物で
           体質が変わり、住む財界で気質が変わるというが、環境の力は
           まことに大きい。あの王子にしても、素質は庶民と変わりない
           はずだが」
 
           さらに続けて言った。

           「王子の衣食住は、庶民とほ.とんど変わりがない。ところが
           王子は、あんなに大きく見えた。というのもで玉子の住んでい
           る世界がそうさせるのた。まして、仁の世界に身を置いてだら
           どうだろう。こんな話がある。魯君が宋を訪れたとき、垤沢(
                     てったく)の町に到着して門前で呼ばわった。すると門衛が言
           った。わが君ではないが、驚くほど声が似ている、と。これは
           ほかでもない、二人とも控む世界が同じだからだ」

 阿志都弥神社・行過天満宮

【奥琵琶湖トレッキング 森の精霊 達磨草】

朝8時に車を走らせ奥琵琶湖は今津弘川に向かう。目的は今津の里の座禅草。伊吹山朝靄突き銀
色に輝き、琵琶湖は河口の雑木の奥で広がり海となる。見事である。メタセコイヤの林道を抜け
るとものの1時間もすれば今津弘川である。現場では三々五々と観光客が集まってくる。休憩所
でおみやげと、軽食(♂きつねうどんと♀炊き込みご飯セット)を頂き、正午過ぎ帰宅する。



今津のザゼンソウ群落 

今津のザゼンソウ群落は、滋賀県高島市にあるザゼンソウの群生地。国内南限のザゼンソウ自生
地として知られる。
饗庭野の湿地帯に高密度で広く群生するが、日本列島では高島市が南限とな
る。1981年に今津中学の生徒が理科授業の観察時に発見。環境庁の自然環境保全基礎調査の特定
植物群落に選定(1986年)および滋賀県自然環境保全条例の緑地環境保全地域に指定(1989年)
されている。
毎年2月下旬に周辺で「ザゼンソウまつり」が開催される。

● 発熱する花

ザゼンソウ(座禅草、学名:Symplocarpus renifolius Schott ex Tzvelev)は、サトイモ科ザゼンソウ
属の多年草。
仏像の光背に似た形の花弁の重なりが僧侶が座禅を組む姿に見えることが、名称の
由来とされ、花を達磨大師の座禅する姿に見立てて、ダルマソウ(達磨草)とも呼ばれている。
冷帯、および温帯山岳地の湿地に生育し、開花時期は1月下旬から3月中旬。開花する際に肉穂
花序(にくすいかじょ)で発熱が起こり約25℃まで上昇する。そのため周囲の氷雪を溶かし、い
ち早く顔を出すことで、この時期には数の少ない昆虫を独占し、受粉の確率を上げている。開花
後に大型の葉を成長させる。
ザゼンソウの発熱細胞には豊富にミトコンドリアが含まれているこ
とが明らかになっているが、発熱の詳細な分子メカニズムは、現在のところ分かっていない。動
物における発熱には、「脱共役タンパク質」が関わっていることが突き止められているが、この
タンパク質は、発熱しない植物にも幅広く存在しており、ザゼンソウの発熱に関与しているかは
不明である。
発熱時の悪臭と熱によって花粉を媒介する昆虫(訪花昆虫)であるハエ類をおびき
寄せると考えられている。全草に悪臭があることから英語では Skunk Cabbage(スカンクキャベ
ツ)の呼び名がある。



一つの肉穂花序には約100個の小花(両性花)がある。個々の小花は雌性先熟の開花システムを
持ち、雌性期(雌蕊のみが成熟して露出した期間)と短い両性期(雌蕊と雄蕊が同時に露出する
期間)を経て、雄性期(雄蕊のみが露出した期間)の順で性表現を変える。花序での発熱は雌性
期と両性期で顕著であり、雄性期に至ると急速に発熱は低下する。この植物は自家不和合であり
、昆虫などによる送粉(花粉の運搬)を必要とする。しかしながら気温の低い時期に開花するた
め、訪花昆虫の活動は低調であり、そのため種子の結実率は低い。多くの種子は野ネズミによっ
て食害されるが、一部は野ネズミの貯食行為によって運ばれる。種子はそれによって散布され、
被食を逃れて発芽することが出来る。このように、
個ノマの小花は雌性先熟の開花システムを持つ。
発熱は雌性期と両性期で顕著であり、雄性期になると急速に低下すし、外気温か氷点下で仏炎萄
は凍結していても、肉穂花序は20℃
前後に保てる能力を持つ発熱する植物――暖かい所を昆虫
に提供し、
受粉の為の昆虫を呼び寄せる(虫媒花)で、花の温度を高めて、昆虫を呼び寄せる匂い
をより多く発散させ、
低い気温から、雌しべの受粉器官を守り、雪がとけない今津の群生地では
風媒で繁殖するとのこと。またその分布は、北アメリカ東部(カナダのノバスコシア州とケベッ
ク州南部からアメリカ合衆国ミネソタ州にかけて、南限はノースカロライナ州とテネシー州)お
よび北東アジア(北東シベリア、中国北東部および日本)。

また、田中澄江が『花の百名山』で伊那山地の守屋山を代表する花の一つとして紹介し、『新・
花の百名山』で北信五岳を代表する花の一つとして紹介。守屋山の北側の長野県諏訪市の有賀峠
付近には「ザゼンソウの里公園」があり、兵庫県美方郡香美町では開花時期に合わせて、「ザゼ
ンソウ祭り」を開催する。さらに、19世紀米国の薬局方では、ドラコンティウム(dracontium
の名で呼吸器系疾患、神経症、リューマチ、浮腫の治療に用いられた。北アメリカとヨーロッパ
では、しばしば観賞用植物としてウォーターガーデンに植えられている。北米先住民はザゼンソ
ウをよく薬草、調味料、魔術的なお守りとして用いた。日本のレッドリストの
「分布上重要種」
指定を受けている。

 

発熱する植物          岩手大学教授 伊藤 菊一(きくかつ)

一般に植物の体温は外気温の変化とともに変動するものと考えられてい
るが、驚くべきことに、
ある積の植物には、自ら発熱し、その体温を積極的
に調節できるものが存在する。例えば、我が
国の寒冷地に自生し、早春に花
を咲かせるザゼンソウ(Symplocarpus renifolius Schott ex Tzvelev
は氷点下を含む外気温の
変動にも関わらず、その体温を20℃内外に維持できるサトイモ科の発熱
植物
である。

このような発熱植物の最初の記述は、今からおよそ200年以上も前のフラ
ンスの博物学者ラマルク
Jean-Baptistede Lamarck)によるヨーロビア
ン・アルム・リリーに関する報告である、その後、
ヒトデカズラ、ザゼンソ
ウ、ソテツ、ハス、デッドホースといった発無能力を有する捨物が発見
され、「
発熱捨物」とでも呼ぶべき-・群の植物の存在が明らかになりつつある。

 Apr. 23, 2015

○ザゼンソウの発熱現象-一一生物進化の過程で獲得した巧妙な仕掛け引仕組み

ザゼンソウは、北米太陰東部および北東アジアに分布するサトずモ科に属する多年生横物である
本植物は湿地に群落を形成して自生し、その地上部
には√サトイモ科に特徴的な仏炎芭と肉穂花
序と呼ばれる器官を有している。
これまでに、サーモグラフィーによる温度解析から本縫物の肉
穂花序が特異
的に発熱していることが判明している(図1A)。ちなみに、ザゼンソウと同様、
湿地に自生し早春に花を咲かせるミズバショウもサトイモ科に属す
る縫物であるが、ザゼンソウ
のような発熱現象は観察されない。植物分類学
においては、ミズバショウはザゼンソウに最も近
縁の植物種であると信管づ
けられているが、その発熱能力に大きな差異があることは非常に興味
深い。
また、ザゼンソウはサトイモ科の植物に見られる“雌雄異熟”と呼ばれる特徴を示す。こ
れは、自家受粉を避けるため、雌期と雄期が時期的に分けら
れていることを指すが、非常に興味
深いことに、ザゼンソウの肉穂花序にお
ける発熱は、雌期にのみ観察され、その体温は氷点下を
含む外気温の変動に
もかかわらずほぼ20℃内外に維持されることが明らかになっている(図1B)。
また、-15℃の寒冷環境で発熱しているザゼンソウの発熱量を他の生物と比べてみると、その発
熱量は、飛行中のハチの筋肉や、ハムスターの発熱組織(褐色脂肪組織)と比較できる程である
(図2)。

このようなザゼンソウの発熱の意義については、(1)開花・受粉プロセスの低温障害からの回
避、(2)寒冷環境における肉穂花序の生育の促進、
(3)訪花昆虫を誘引するための揮発性物
質の効果的拡散、等の仮説が提案
されている。これまで国内外で報告されている発熱桶物の中で
外気温度が氷点下まで
低下するような寒冷環境下で積極的に発熱し、かつ、その体温を自立的に
調節できる但湿性を有する植物は、ザゼンソウ以外には例がない。従って、木棺物の発熱現象に
は、生物進化の過程で獲得した温度制御システムに関する巧妙な仕掛け・仕組みが含まれている
はずである。



● ザコザゼンソウ発熱制御システムの理解に向けた研究戦略

上述したように、ザゼンソウの発熱植物としての特徴は、①寒冷環境における高い発熱能力、お
よび、②外気温の変動にもかかわらずその発熱器官で
ある肉穂花序の温度を一定に保つ恒温性、
にある。これらの特徴を考慮した
上でザゼンソウの発熱制御システムをモデル化したものが以下
の図である
(図3)。ザゼンソウの発熱器官である肉穂花序は外気温の変動にも関わらずその体
を20℃内外に維持するが、このような恒湿性に関わるメカニズムにおいて
は、外気温の変動をモ
ニタリングする温度センサーに相当する機能が必要である。あるとともに、その発熱レベルを制
御する発熱装置が内在していることがえられる。また、環境温度変化から生じる熱情報に基づい
て発熱量を調節するタイミング等を統御するザゼンソウ型“温度制御アルゴリズム(算法)”と
でも呼ぶべき制御プログラムが存在していることが推定される。これらの3つの因子、すなわち
“温度変化モニタリング≒“発熱装置”、および、“温度制御アルゴリズム”が有機的に連携す
ることにより、本植物の恒湿性が保証されていることが予想される。以下、それぞれの機能に関
する最新の知見を説明するとともに、これらの機能の応用の可能性についても論じてみたい。

●ザゼンソウは鋭敏な温度モニタリングシステムを有している

群落地に自生しているザゼンソウの肉穂花序の温度は、気温の低下とともにある種の体温振動を
示す(図4A)。肉穂花序の温度データを用いたフーリエ変換による周波数解析を行うと、肉穂
花序の体温はほぼi時間を周期として規則的に振動していることが明らかとなった(図4B)。
興味深いことに、群落地から人工気巣窟に移し、気温を一定に保った条件では、このような体温
の振動現象は観察されない(図5A)。この結果は、外気温の変動が肉穂花序における体温振動の
引き金になることを示唆している。


しかしながら、一過的に外気温を変動させる条件においても肉穂花序における体温振動は観察さ
れないことから(図5B)、外気温そのものの変化が体温振動を誘導しているのではないことが示
唆された。それでは、肉穂花序の体温振動はどのようにして発生するのであろうか?この問いに
対する答えは、人工気象室の気温をステップ的に上下させ、肉穂花序の温度をモニターするという
極めて単純な実験から明らかになった。すなわち、ザゼンソウの肉穂花序は、外気温の変化を直
接的に認識しているのではなく、外気温の変化に伴う肉穂花序そのものの温度変化をモニターし
てその発熱量を調節していたのである。つまり、外気温か変動しても、肉穂花序自身の温度が変
化しなければ、体温振動は発生しないが(図5B)、外気温の変動とともに肉穂花序の温度が変化
するような場合には、必ずほぼ1時間を周期とする体温振動が観察された(図6AおよびB)。

興味深いことに、このような肉穂花序の体温変動に対する発熱応答は、肉穂花序の体温が低下あ
るいは上昇するいずれの場合においても、ほぼ同様のカーブが描かれることから(図6Aおよび
B)、肉穂花序における温度変化のモニタリングとその後の発熱応答のプロセスは、定量的な関
係にあることが明らかとなった。それでは、肉穂花序が自らの体温変動をモニターして、その発
熱量を制御できるのであれば、肉穂花序は一体どの程度の温度差を認識できるのであろうか?こ
れは、植物の温度センサーとも呼べる因子の“闇値”の問題である。

肉穂花序で観察されるほぼ].時間を周期とする体温振動は、肉穂花序の温度が0,6℃上昇あるい
は低下した際に明確に観察される(図6AおよびB)。この実験において用いた温度センサーの
精度が土O、3℃であることから、肉穂花序は±0.9℃の温度変化に応答してその体温を制御してい
ると考えることができる。この結果は、ザゼンソウが極めて鋭敏な温度センサー分子を有してい
ることを示唆している。現在我々はこのセンサー分子の検索を進めているところであり、近い将
来、ザゼンソウの有する鋭敏な温度モニタリングシステムを分子レベルで説明できるものと考え
ている。



●ザゼンソウから得られた新しく有用な発熱遺伝子

上述したように、ザゼンソウは精密な温度モニタリングシステムを有しており、これが本植物の
優れた温度調節機能を保証していると考えられるが、一方で、本植物が有する高い発熱能力も見
逃すことができない。一般に、ヒトを含む哺乳動物においては、“非ふるえ熱産生”と呼ばれる
発熱現象が存在し、発熱担当細胞である褐色脂肪細胞のミトコンドリア内膜に存在する脱共役タ
ンパク質(UCP:uncoupling protein)が呼吸鎖によりプロトン濃度勾配として蓄えられたエネルギ
ーを熱として放逸することが知られている。一方、ザゼンソウを含む発熱植物におけるUCPの存
在は全く不明のまま残されていた。そこで、発熱している肉穂花序からUCP関連遺伝子をスクリ
ーニングしたところ、2種類の異なるUCP因子をコードする遺伝子の固定に成功し、それぞれ、
SfUCPaおよびSfUCPab)と命ることとした。興味深いことに、SfUCPa
遺伝子は、哺乳動物のUCP
と同様の6回膜貫通型のUCP分子をコード
していたが、SfUCPabは5番目の膜貫通ドメインが特
異的に欠失した新規
の蛋白質をコードしていることが明らかとなった(図7)。これまで報告さ
れているUCP分子の中で、5番目の膜貫通ドメインを欠くようなUCP分子はザゼンソウから得ら
れたSfUCPbが初めてである。

また、ザゼンソウにおけるSfUCPaおよびSfUCPb遺伝子の発現および機能を検討したところ、発熟
している肉穂花序において主に発現している分子は
新規因子のSfUCPbであり、その脱共役活性も
SfUCPaより高いことが明らか
となった(表1)。

このように、寒冷環境下で高い発無能力を有するザゼンソウにおいては、従来、哺乳動物で報告
されているUCP分子種とは異なる構造を有する蛋白
質をコードする発熱関連遺伝子が存在するこ
とが明らかとなったわけであ
る。これは、まさに、寒冷地にひっそりと自生している野生植物に
こそ、有
用な遺伝子が眠っていることを示す一つの証左と言える。現在、6回膜貫通型UCP分子
の第5番目の膜貫通ドメインが欠失した蛋白質において、その
脱共役活性(発熱誘導機能)が増
大する詳細な分子メカニズムの解析が進行
中である。

●1時間周期の温度制御アルゴリズム

これまでに述べてきたように、ザゼンソウの温度制御システムは、およそ1時間を周期とする規
則的な体温振動により制御されている。このユニーク
な制御システムの中には、±0.9℃の温度変
化に応答する鋭敏な温度センサ
やザゼンソウ型UCP分子とでも呼ぶべき新しい発熱因子(SfUCPb
が含
まれている。以上の点を考慮して、現在我々は、問題とするザゼンソウの温度制御アルゴリ
ズムについて“時間軸依存型体温振動モデル”と名付けた
新しいモデルを提案している(図8)。
このモデルにおいては、温度センサーが常時肉穂花序の温度変化をモニタリングしており、肉穂
花序の温度が閥値(±0.9℃)以上になった場合には、その情報がSfUCPbを含む一連の発熱装置の
活性を制御してその体温を一定に保とうとするレすなわち、およそ1時間を周期とする体温振動
プロセスにおいては、体温のモニタリングと、発熱レベルの制御という2つの素過程が含まれて
いることになる。そして、最終的には、何回かの体温振動の結果、肉穂花序の体温変化が闇値未
満になった際には、その発熱レベルが一定になり、体温が安定することになる。

現在のところ、1時間を周期とする肉穂花序における計時システムには不明な点が多いが、この
体温振動周期は、これまで報告されているおよそ24時間を周期とするサーカディアンリズムなど
とはその振動周期が全く異なることから、未知の計時システムが存在している可能性があり、今
後の大きな研究課題である。また、ザゼンソウの体温制御システムの特徴は、その発熱器官であ
る肉穂花序が、温度センサー器官としても機能していることである。我々哺乳動物における体温
調節は、交感神経系を介した制御下にあることが知られているが、神経系を待だない植物におい
ては、個別の器官あるいは細胞が独立して環境変動に対する応答を行っている可能性が高い。し
かしながら、もちろん、この問題については、発熱細胞レベルでの温度応答メカニズムを明らか
にすることが必須であり、今後さらなる研究の深化が必要である。

 ●「発熱モデル植物」としてより一層の戦略的な研究開発を

上述したように、これまで研究対象としてあまり顧みられることのなかった野生植物であるザゼ
ンソウは、予想外に鋭敏な温度センサー機能を有して
おり、また、その熱産生の原因蛋白質の一
つと考えられる高い機能活性を有
するUCP分子の構造にもユニークな特徴が認められる。さらに、
これらザ
ゼンソウ型体温調節システムの構成要素を統御する計時機構と関連した制御アルゴリズ
ムの存在が推定される。
これらの特徴は、各種産業あるいは国民生活への貢献という視点からも、
大いに価値があるものと考えられる(図9)。すなわち、現在、温度制御に関わる工学的なデバ
イスにはPID制御と呼ばれる比例・積分・微分的計算に
基づいた制御システムが汎用されている
がザゼンソウ型アルゴリズムにお
いてPID制御方式に比べて大きなメリットが見出されれば、生
物の機能を模
倣した革新的な熱制御技術に発展する可能性がある。我々は既にザゼンソウから抽
出・再構築した制御アルゴリズムを搭載した工学的制御装置の開発に
成功しており、現在、岩手
大学21世紀COEプログラムにおける農工連携研
究により、精力的な研究開発の推進を図っている
ところである。また、ザゼンソウから得られた新規UCP分子の構造から推定される基本的な特徴
従来型UCP分子と比較して、生体内エネルギーを熱エネルギーとしてより効率良く変換する機
を有する点にある。従って、本分子の馥能特性の利用により、低温回避作物の分子育種や肥満
の医療分野における応用展開なども考えられ、関連する研究を進めているところである。さら
にザゼンソウが持つ高感度の温度センサ分子の同定や体温制御に
関わる計時機構の分子メカニズ
ムなど、基礎研究としても非常に魅力的な課
題である。

ザゼンソウは我が国の寒冷地ではそれほど珍しい植物ではない。しかしながら、これまでの国内
外における報告を見る限り、地球上に自生する数ある
植物の中で、寒冷環境で発熱し、かつ、そ
の体温を調節できる植物は、ザゼ
ンソウ以外には報告例がない。また、地球レベルでの本植物の
分布も、北東
アジアおよび北米大陸東部に限局されていることから、本植物は、単なる山野草と
しての位置づけではなく、「発熱モデル植物」としてより一層の戦略的な研究開発を行うべき有
用資源植物であることを強調して本稿を閉じたい(2005.10.25)。

 ざぜんそうの里 きつねうどん 4百円

  日本基督教団今津教会

 

 Feb. 1, 2018

● iPhone7習得日誌

ロングドライブ用にと車載充電器を通販で取り寄せ試用(70%→100%までの高速充電)、
なるほど早い。それではと、モバイル型プロジェクタ(上写真)を物色する、これは内緒。

 

コメント
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核兵器と二酸化炭素

2018年03月02日 | 環境工学システム論

 

 

               尽心(じんしん)    /    孟子    

                                 

             ※ 心の機能を狂わせるもの:飢えた人は何を食べてもうまいと思い、のど
                    の渇いた人は何を飲んでもうまいと思う。だがそれは本当の味ではない。
                    飢えと渇きが正しい味覚を狂わせたのだ。舌のはたらきを狂わせる飢え、
                    渇きがあるだけではない。心のはたらきを狂わせるおそれもある。そん
                    な
ものに妨げられず、心のはたらきを正常に保つ人は、他人の富貴をひ
                    が
んだりはしない。

                ※ 業は井戸掘りのようなもの:ひとつの事業を行なうのは、井戸を掘る
          ようなものである。いくら深く掘っても、水脈に達しないうちに止めて
          しまえば、井戸を棄てたも同然だ。

         【解説】 もう少しで水脈に達するところで止めてしまうのは、いかにも
              残念なことである。しかし、もともと水脈のない所をいくら掘
              っても水は出ない。そこに水脈があるのかどうか。事前調査
              肝心である
 

           ※ 折角掘り当てても、横取りされる水脈もある。
              

     No.161 

【スマートグリッド篇:地域分散型電力融通システム】 

魅力的な地域分散指向

2月27日、米カリフォルニア大学アーバイン校の研究グループは、米国は太陽光発電と風力発
2018年2月28日~3月2日(「スマートエネルギーWeek 2018」東京ビッグサイト)で、村田製作所
とソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が開発する電力融通システムを公表。こ
うした各家庭の分散電源の電力を、任意の相手と直接取り引き――国内でも家庭に太陽光発電な
どの発電装置や蓄電池が普及しはじめ、これらの分散電源を統合制御して、全体を1つの発電所
のようにコントロールするバーチャルパワープラント(VPP)――できるようにするもの。現在
の電力会社から系統を経て需要家に電力が供給される「トップダウン型」から、近隣住民など地
域の需要家間で電力を融通し合う「ストック型」の送電を行えるようにする。
電力融通システム
には、ソニーCLSの1対1の双方向個人電力取引(P2P 電力融通)技術を活用。これに村田製作
所が持つ外部と通信可能な蓄電池システムを組み合わせる。同社の蓄電池の高出力・高サイクル
特性を生かすことで、電力取引で発生する1
日数サイクルの充放電にも、寿命低下を抑えつつ高
速に対応が可能になった。


両社は2014年12月からこのシステムの実証を沖縄県で実施。19棟の住宅間を350V(ボルト)の
直流電力線および通信線で接続。各住宅に設置した蓄電池システムを含むノードには共通のソフ
トウェアが組み込まれており、協調動作を行うことでマイクログリッドを形成できる。このマイ
クログリッドには、「グリッドマスター」と呼ばれるノードが設定され、各ノード間で電力融通
の必要があると判断された場合は、グリッドマスターがマイクログリッドを制御することで、物
理的な電力融通を行う。グリッドマスターに障害が発生した場合でも、他のノードがグリッドマ
スターの役割を引き継ぐことで電力融通を継続できる特徴をもつ。また、既存の系統ではなく専
用のマイクログリッドを採用し、既存系統網に依存せず、耐災害性も高い。

このシステムを導入することで、系統のルールや料金に縛られずコミュニティー内で電力取引が
可能となることや、島しょ部など系統調整力が不足しやすい地域への再生可能エネルギー導入拡
大にも貢献できるという。ソニーCSLの担当者は、村田製作所と進める同システムの開発を発表
するのは今回が初めて。今後の商用化の時期は未定だが、早期の実用化に向けて今後も引き続き
村田製作所と開発を進めていく。

❏ 関連特許:特開2018-23256 電力網結合システム (JP 2018-23256 A 2018.2.8)

【概要】

既存電力網は交流の電力の供給が殆どで、集中エネルギー発生型――発電所で大きな電力を発生
させて、変電所を経由して、最終的な負荷に電力が供給される――であるが、送電及び配電には、
保守作業や故障、急な負荷の変動対応させ、安定供給のため複数の送電系統を用意するなどの冗
長性を持たせており、
配電網が広範囲にわたり、配線が複雑になるが、配電網全体状況を把握し
配電制御が非常に複雑になる、このように、複数の配電網を疎結合し複数の配電網に対する制御
を容易なものにするための電力網結合システムの提案にあって、下図のように、送電網ごとに設
けられて電力の変換を行うコンバータと、それぞれのコンバータの動作を制御する制御装置と、
を備え、コンバータは、送電網及び少なくとも電力を蓄電する蓄電装置と接続されている直流電
力網に接続され、制御装置は、送電網の状況に応じて記コンバータの動作を制御する、電力網結
合システムを提案されている。

❏ 関連特許:特許開5576218  地域内電力融通システム ( JP 5576218 B)

【概要】

既存電力網は交流の電力の供給が殆どで、集中エネルギー発生型――発電所で大きな電力を発生

自然エネルギーの売買をオープン化し、電力負荷の平準化を推進する技術が、また、太陽光発電
を行った場合の二酸化炭素排出権の取引における売買価格の決定に係る技術が公開されているが
、前者は蓄電池を備えた一般家庭から電力の買取りが行われないと需要家のコストメリットが得
られず、商用電力系統から供給される電力と太陽光発電システムで生成した電力とを分離し、電
力の素性を明らかにし価格を設定する――❶パワーコンディショナーや電力計数器または電力盤
などで蓄電池からの電力が商用電力系統へ逆潮流することを防止する方法と、❷住宅内の電力設
備を情報ネットワークにより接続し、それぞれの稼動状態をモニタすることによって電力の素性
を保証する方法との2つが想定されるが。これを実現するためには、ホームネットワークやHE
MS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などのシステムを適用して、電力機器、太陽電
池、蓄電池等にホームネットワーク機能を付加し、ホームネットGW(ゲートウェイ)と電力会
社、プロバイダを広域ネットワークで接続してビジネスモデル構築を行う。

❶のケースの場合、一般住宅に設置された自然エネルギーを利用した発電電力を無駄なく社会全
体の資源として利用し、供給者、需要者ともに納得できる料金を提供して、分散型のエネルギー
システムの普及を目指し、社会全体でこのシステムの恩恵が得られるように、「(ソーラー設置
者のソーラー電力料金)<(機器ユーザのソーラー電力料金)<(商用電力料金)」を前提とす
るが、ソーラー電力を商用電力より安くし、分散発電設備を導入している比較的裕福な人のみが、
ソーラシステムの恩恵を受けるのではなく、ソーラシステムを導入できない一般住宅(機器ユー
ザ)にも恩恵をもたらしシステム普及促進を自然エネルギー発電した余剰エネルギーを安く有効
利用しようとするが 電力会社が分散して発電された自然エネルギーをすべて受け入れ、その電力
を自由分配できることを前提とするが、その一方で、すべての分散電力を電力会社がいつでも受
け入れること義務化され、また、電力の価格決定は公共の利益、あるいは、需給バランスの経済
原理からのみ決定できるものではないと考えら、大規模広域システムでは、電力の逆潮流ができ
る場所や時間が地区毎に異なってきた場合、全体で問題が解決できなくなる可能性がある。

さらに、自然エネルギーの発電量と電力の需要量との調整には、システム全体での解決策を考え
ておく必要があり、柔軟で早期の対策を立てにくくなる。電力会社がすべての電力の逆潮流を受
け入れる前提上で、電力情報が適切に管理されるならば、地域ごとの料金設定の変更や条件によ
る料金の設定等が可能となるが、電力の流れに制約が発生した場合、この前提が崩れる。また、
❷のケースも前者の電力取引を想定したものでない。

【特許請求範囲】

  1. 地域内の住宅の電力取引を管理する取引装置と住宅のそれぞれに設置された発電設備、蓄
    電設備及び電力分配装置とからなる地域電力融通システムであって、
    電力分配装置は、
    電力分配装置が設置されている住宅において発電設備が発電した電力と、蓄電設備に蓄電
    または蓄電設備が放電する電力と、商用低圧線を介して電力会社から受電または電力会社
    へ逆潮流する電力と、共有低圧線を介して他の住宅から受電または他の住宅へ送電する電
    力と、電力負荷へ供給される電力の流れを切替える切替部と、
    発電設備の発電電力、蓄電
    設備の蓄電電力または放電電力、前記電力負荷の消費電力を計測する計測部と
    電力の流
    れの切り替えを判断するために用いられるルールが設定された場合に、設定されたルール
    に従って前記計測部による計測結果に基づいて該電力分配装置における電力の流れを決定
    する状態判断部と
    を備え、
    取引装置は、記憶部に記憶され、電力の流れの切り替えを判断
    するために用いられるルールに従って、
    住宅の前記電力分配装置が備える計測部による計
    測結果に基づいて、電力分配装置における電力の流れを変更する対象の住宅と、変更後の
    電力の流れとを決定する状態移行判断部と、
    状態移行判断部による決定に従って、変更後
    の電力の流れを、変更対象の住宅の前記電力分配装置に指示する制御指示部とを備え、

    替部は、状態判断部による決定、あるいは、制御指示部からの前記指示に従って電力の流
    れを切替える
    ことを特徴とする地域電力融通システム
  2. 記状態移行判断部は、記憶部に記憶されているルールに従って、住宅の電力分配装置におけ
    る現在の電力の流れと、電力分配装置が備える計測部による計測結果に基づいて、電力分配装
    置における電力の流れを変更する対象の住宅と、変更後の電力の流れとを決定する、ことを特徴
    とする請求項1に記載の地域電力融通システム
  3. 前記状態移行判断部は、電力会社と取引する電力、または、地域内の住宅間で取引する電力の
    取引金額を算出するためのレートを、電力分配装置における電力の流れに基づいて決定する、こ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地域電力融通システム
  4. 前記状態移行判断部は、計測結果に基づいて、住宅において発電設備が発電した電力のうち
    の蓄電設備への蓄電及び電力負荷への供給に用いられなかった余剰電力があると判断した場
    合、共有低圧線を介して余剰電力を他の住宅へ送電するよう住宅の電力分配装置における電力
    の流れを決定し、計測結果に基づいて住宅において発電設備が発電した電力及び蓄電設備が放
    電する電力が当該住宅内の電力負荷への供給よりも少ないと判断した場合、共有低圧線を介して
    他の住宅からの余剰電力を受電するよう住宅の電力分配装置における電力の流れを決定する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の地域電力融通システ
  5. 前記状態移行判断部は、発電設備が発電した電力及び蓄電設備が放電する電力が前記電力負
    荷への供給よりも少ないと判断した住宅が複数ある場合、複数のの中から共有低圧線を介し
    て他の住宅からの余剰電力を受電するよう指示する対象の住宅を所定の優先度に基づいて選択
    する ことを特徴とする請求項4に記載の地域電力融通システム
  6. 前記状態移行判断部は、発電設備が発電した電力及び蓄電設備が放電する電力が前力負荷へ
    の供給よりも少ないと判断した住宅が複数ある場合、複数のの中で共有低圧線を介して他の
    住宅からの余剰電力を受電するよう電力の流れを指示する対象の住宅を時間によって切替える、
    ことを特徴とする請求項4に記載の地域電力融通システム
  7. 前記状態移行判断部は、余剰電力が減少した場合、共有低圧線を介して他のからの余剰電
    力を受電している住宅の前記電力分配装置において、商用低圧線を介して電力会社の電力を受
    電するよう電力の流れを決定する、ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載
    地域電力融通システ
  8. 前記状態移行判断部は、住宅における前記電力負荷への急速充電の要求を受信した場合、共有
    低圧線を介して余剰電力を受電するように急速充電を要求した住宅の前記電力分配装置におけ
    る電力の流れを決定する、ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれかの項に記載の地域
    電力融通システ
  9. 前記状態移行判断部は、計測結果に基づいて蓄電設備が蓄電されていると判断された住宅の電
    力分配装置において、共有低圧線を介して該蓄電設備から放電される電力を、急速充電を要求し
    住宅の前記電力分配装置へ送電するよう電力の流れを決定する、ことを特徴とする請求項8に
    記載の地域電力融通システム
  10. 前記状態移行判断部は、蓄電設備の蓄電電力量に応じて前記電力の取引金額を算出するための
    レートを決定する、 ことを特徴とする請求項9に記載の地域電力融通システム
  11. 前記急速充電の要求に応じて供給される電力の取引金額を算出するためのレートは、余剰電力の
    取引金額を算出するためのレートよりも高い、ことを特徴とする請求項10に記載の地域電力融
    通システム

【概説図】

【図1】本発明の第1の実施形態による地域電力融通システム地域内における電力共有の概
    要を説明するための示す図
【図2】同実施形態による地域電力融通システムの電力線の接続構成図。
【図3】同実施形態による地域電力融通システムの情報ネットワークの接続構成図



【符号の説明】

11…太陽電池(宅内発電設備)12…蓄電池(宅内蓄電設備)15…地域蓄電池(地域蓄電設
備)20…宅内電力分配器(宅内電力分配装置)21、21a…計測部(第1計測部、第2計測
部)22、22a…通信インタフェース部23…整流器 30、30a…地域電力分配器(地域
電力分配装置)31、32…直流電圧変換器(DC/DC)(第2切替部)33、33a、34
…直流交流変換器(DC/AC)(第2切替部)35、36、37、38、39…スイッチ(第
1切替部)40…ホームゲートウェイ 41…通信部 42…記憶部 43、43a…処理部 
44、44a…更新部 45…状態判断部 46、46a…状態通知部 47、47a…切替指
示部 48…リクエスト充電要求部 50…地域ゲートウェイ 60…変圧器 61…同期調整
器 70…データセンタ装置 71…通信部 72…記憶部 73…処理部 80…取引装置
81…通信部 82…記憶部 83…処理部 84…更新監視部 85…状態移行判断部 86
…制御指示部 87…レート通知部 

基本的にデジタル技術はネットワーク分散型であり、高性能で、安全な余剰電力貯蔵システムが完成す
ればエネルギー環境は変わる。間違いない。



●ソーラータイル篇:マルチテナント型物流施設「GLP神戸西Ⅱ」に竣工

1月25日、中国系資本のグローバル・ロジスティック・プロパティーズが日本事業として全権
限を掌握した『日本GLP 株式会社』が神戸テクノ・ロジスティックパーク」内に建設していたマ
ルチテナント型物流施設「GLP 神戸西Ⅱ」を竣工した。太陽光発電システムや全館LED照明、気流
解析による換気システムなど環境面にも配慮し、屋根上に6,748枚の太陽光パネルを設置した。設
置容量は1990.66kWで、発電した電力は全量売電する。このほかにも、BCP(事業継続計画)対策
として300kW の非常用発電機を備え、停電時でも事業継続を可能とした。なお、非常時における
太陽光電力の活用は行わない。太陽光発電システムの施工はテス・エンジニアリング。1
階と3
階にトラックバースを設置し、1・2階、3・4階の2層使いが可能。敷地への2カ所の出入口を
入口専用・出口専用とし、敷地内を一方通行にして安全性を確保。このほか、虫害防止対策とし
て低誘虫ランプの採用、冷蔵冷凍倉庫対応、洗浄機対応など食品物流にも対応。

【バイオマス篇:耐環境ストレス性の強い農作物の育成が可能に】

● 遺伝子が損傷時に働く植物独自の遺伝子群を解明

2月16日、奈良先端科学技術大学の研究グループは、植物体内でDNAが損傷すると、遺伝子の
活性を調節するタンパク質が146個の遺伝子を制御して、細胞分裂を停止させたり、DNAを修
復したりすることを解明。動物にも似た働きをもつタンパク質が存在し、細胞のガン化を抑制し
ているが、調節している遺伝子群は植物とはかなり異なることが示され、また、植物に病原菌が
感染すると、このタンパク質を活性化して様々な遺伝子を制御して、病原菌に対する抵抗性を持
たせることを発見。この研究により、DNA損傷に対する植物独自の応答のしくみを明らかにする
とともに、病原菌に対する植物の巧妙な防御戦略を裏付けた。、

植物のDNAに傷が入ると、植物にのみ存在するSOG1と呼ばれるタンパク質が活性化することで
成長を停止し、様々な応答反応が引き起こされることが知られていたが、このときに、SOG1
どのような遺伝子を制御しているかについては未解明であった。モデル植物のシロイヌナズナを
用いてSOG1が制御する146個の遺伝子を同定し、それらが細胞分裂の制御、DNAの修復、病
原菌に対する防御応答などさまざまな反応に関わっていることを突き止める。この
研究成果によ
り、遺伝情報であるDNAが傷ついた時に、植物がどのように DNAを修復し、自身の成長を最適
に制御しているか、その詳細な仕組みが明らかとなったことで、SOG1の機能を改変することで、
紫外線によるDNA損傷や病原菌の感染などに耐える強い農作物の作出が期待される。

動物では、細胞内のDNAが損傷を受けると、p53タンパク質という転写因子が活性化し、様々な
遺伝子の発現を制御することにより、DNAに変異が入ったままの細胞が増殖するのを防いでいる。
その結果、ガン化が抑制される。一方、植物はp53を持っておらず、代わりに、植物にのみ存在
するSOG1という転写因子がDNA損傷に応じて活性化され、成長を停止させる。しかし、SOG1がど
のような遺伝子をターゲットに制御することでDNA損傷に対処しているかは、これまでほとんど
明らかにされていなかった。シロイヌナズナを用いて、DNAに傷を受けた時にSOG1がどのような
遺伝子の発現を制御しているのかを網羅的に調べた。その結果、SOG1は、146個の遺伝子の発
現を活性化していることを発見し、それらが細胞分裂を抑える働きを持つ遺伝子や、DNAの修復に
関わる遺伝子であることを突き止めた(上図)。


動物のp53も、細胞分裂を抑制する遺伝子の発現を調節していることから、細胞分裂の制御におい
て、同様の役割を果たしていることが考えられた。また、驚いたことには、SOG1は植物病原菌が
感染した時の防御応答に関わる遺伝子の発現も誘導することがわかった。そこで、SOG1遺伝子が
壊れたシロイヌナズナの変異体に病原菌を感染させたところ、野生型の植物よりも病原菌が拡が
る様子が観察された(上写真)。

● DNA倍加誘導系の確立による高バイオマス植物の創出

この研究グループでは、多くの植物種ではDNA倍加により細胞の肥大化と器官の成長を促進、
バイオマス増産が望まれているポプラ・イネなどでは、DNA倍加はほとんど起きないので、梅
田正明研究室では非DNA倍加植物でDNA倍加を誘発する技術開発を行い、シンク器官の巨大
化を実現、DNA倍加は細胞の肥大化とともに代謝産物の高蓄積をもたらすので、物質生産性を
飛躍的に向上させることにより、二酸化炭素の資源化に貢献する。下記特許(特開2017-006050 
4倍体ポプラの作出方法)を参考掲載しておく。そこに今回の成果である。「植物と動物はどこ
が異なるのか」という命題に迫る科学的アプローチだけでない、生命全般の遺伝子の耐環境スト
レス技法領域がまた新たに加わることになる。これは面白い。

 
❏ 関連特許:特許2017-006050  4倍体ポプラの作出方法 (JP 2017-6050 A 2017.1.12) 

【概要】 

既存電力網は交流の電力の供給が殆どで、集中エネルギー発生型――発電所で大きな電力を発生
近年、植物バイオマスの資源化が進められている。植物バイオマスの資源化を実現する上で、原
料となる植物バイオマスを効率的に生産する技術開発は極めて重要である。植物バイオマスの中
でも、食糧資源と拮抗せず、大規模原料供給が可能な木本系バイオマスとしてポプラやユーカリ
が注目されている。ポプラ(poplar)とは、ヤナギ科(Salicaceae family)のヤマナラシ属または
ポプラ属に属する樹木(広葉樹)の慣用名であり、成長が早く活着が良く、並木や街路樹、防風
林として植生される。生産するポプラやユーカリの地上部器官を巨大化して生産量を向上させる
方法が考えられる。この点、地球上の被子植物の内、約70%の被子植物はDNA倍加により細
胞を肥大化させ、器官サイズを大きくしている。ところが、バイオマス生産の原料として注目さ
れているポプラやユーカリではDNA倍加が起こらないと言われている


 一方で、ユーカリ属について、生産性の向上した個体を短期間に作成できるユーカリ属4倍体の
作成方法が知られている。この事例では、ユーカリ属4倍体の作成方法は、2倍体であるユーカ
リ属の組織切片について染色体の倍加処理を行い、次いでこの組織切片を培養することにより染
色体が倍加した組織を発生させ、この組織から個体を再生して、ユーカリ属4倍体を作成するが、
バイオマス生産の原料としてはユーカリ属だけではなくポプラ等も有用であるが、ここに開示さ
れた方法は、パルプ材として有用なユーカリ属について4倍体を作成するものに過ぎない。また、
DNA倍加処理方法として、シュートをコルヒチン等の溶液中に浸漬することにより行うことが、
最も一般的としており、実施例においても、コルヒチン水溶液に24時間浸漬することで倍加処
理を行っている。ここで、シュートとは、茎とその上にできる多数の葉からなる単位をいうが、
染色体の倍加処理を行う際、ユーカリ属のシュート切片をコルヒチン等の溶液に浸漬して倍加処
理を行う方法では、培養のための培地以外に、倍加処理を行うための大規模な装置が必要であり、
煩雑であった。

さらに、倍加処理後に、植物ホルモンとしてBAPもしくはカイネチン、ショ糖、ゲランガムも
しくは寒天を含有する培地或はそれらを改変した培地により組織培養を行わなければならない方
法であったため、かかる点においても簡便な方法とはいえなかった。また、ウリ科植物の分裂組
織につきアミプロホスメチルを用いて染色体の倍加処理を行う染色体倍加方法が知られている(。
この事例のウリ科植物の染色体倍加方法は、コルヒチン等の倍加誘発剤を用いずにアミプロホス
メチルを用いて倍加処理を行うものであり、倍加効率が高いとされているが、アミプロホスメチ
ルは、通常、除草剤として用いられているため、植物体に薬害を発生させる危険性があるという
問題があった。また、ここに開示されたウリ科植物の染色体倍加方法においても、染色体の倍加
処理を行う際、ウリ科植物のシュート切片をアミプロホスメチル水溶液に浸漬して倍加処理を行
っているが、前者の事例と同様、かかる方法は煩雑であり、簡便な方法とはいえなかった。さら
に、倍加処理後に組織培養を介する方法であるため、かかる点においても簡便な方法とはいえな
かった。なお、温室で栽培中のメロンの腋芽に脱脂綿を乗せコルヒチンを滴下し処理する方法も
試みたが倍加シュートは得られなかったと記載されており、従来は、植物の腋芽にコルヒチンを
滴下する程度では倍加シュートは得られないのが常識とされていた。ここで、腋芽とは、葉の付
け根から出る芽のことをいう。

上述した2つの事例のDNA倍加方法は、何れもポプラを対象としたものではない。また、何れ
も倍加処理方法が煩雑であり、かつ、倍加処理後に組織培養を介する方法であるため、簡便な方
法ともいえない。このため
簡便な方法によりDNA倍加処理を行い、かつ、組織培養を介さずに
4倍体ポプラを安定的に作出する方法を提供にあって、下図1のように、
2倍体ポプラのシュー
トの腋芽に対してコルヒチン溶液を滴下して培養し、出てきた側枝を植え継いで4倍体ポプラを
作出する。コルヒチン溶液の濃度は、0.002w/v%以上、0.1w/v%未満であること
が好ましく、より好ましくは、0.005w/v%以上、0.05w/v%未満である。コルヒ
チン溶液には、ゲル化剤が添加され、滴下方法は、植え継いで育成したシュートの下葉を残して
主茎を切除したものの葉の根元の腋芽に対して行うことが好ましい。滴下の頻度は、2回、滴下
間隔は1日であることが好ましい。コルヒチン溶液量は、腋芽に雫の玉ができる量、かつ、腋芽
から流れ落ちない量であることが好ましい。
図1


● 無農薬で生産性30倍の最新屋内農場事例





The "most technologically-sophisticated commercial indoor farm in the world" will grow 30X more produce
 Inhabitat - Green Design, Innovation, Architecture, Green Building

● 今夜の寸評:核兵器と二酸化炭素

トランプ大統領のパリ協定離脱、エルサレム大使館移転、先制核攻撃の小型核弾頭開発、追加関
税と迷走が続き、東アジア・朝鮮半島の核武装禍と良心的な日本人への精神的圧迫感は増すばか
りだ。二度と戦禍や大惨事に巻き込まれないように腹を括る局面に突入しつつある。

 

 


 

コメント
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